「私、白馬に乗った王子様が欲しい」
「「「は?」」」
いつもの仲間に、いつもの日常。
しかし、いつもじゃない発言に場が止まった。
「プリンは冷蔵庫にあるって言ってくれる様な、騎士 (ナイト)様」
「王子じゃないのかよッ!」
1人語るセミロングの少女に先に我に返った短髪の青年が律儀にツッコミを入れる。
「え~っ!あたし、プリンより苺の乗ったショートケーキが良いなあ~」
隣に居たポニーテールの少女も我に返り頬を膨らませてる。
しかしツッコミはズレていた。
「王子様でも騎士様でも良いの。私にかしずいてくれれば。」
「ドSですね。」
尚も語る少女に今度は長髪の青年が楽しそうに呟く。
…別にMではない…多分。
「っつうか、この国砂漠だしラクダじゃねぇのか?」
「砂漠=駱駝は安直ですね。そもそも…「私がお姫様。」…」
ウンチクが始まりそうだったが、何というタイミングで割り込まれるのか。
「何か、顔色悪いよ?大丈夫?」
「そう言えばそうですね。肌が黒いので分かりませんでした。」
流石におかしいと思ったのかポニテの少女は心配し始めたのに長髪の青年、お前はドSだ。
ふと、息を飲む様な気配がしたかと思うと部屋から二人が出てきた。
笑顔だ、怖い位の笑顔だ。
いや、訂正する…男の方は黒い笑顔だ。
「邪魔しないように、我々は離れましょうね。」
首根っこを掴まれる。
なんだ、どこのコントだ。
「ねぇねぇ、あたしたちは行こうよ!何だっけ?空気嫁?」
ちょっwおまw草生やすぞwww
「刈り取っておきますね。」
二人によりその場から強制退去させられる瞬間、完全に閉まり切らなかった扉から中の様子が伺えた。
後ろから抱き締められている少女と、抱き締めつつもそっぽを向く青年の姿。
倒れそうになったのを支えた様だが、顔が赤い。
何か口を動かす様が見れたが何を言ったかは分からなかった。
後日、件の二人をからかおうとした著者は黒い笑顔に邪魔される事になる。
馬に蹴られた。
9月吉日 著者・遊佐 呉
(遊佐 呉)
最終更新:2010年04月25日 16:29