さてこれに無色の妖精
地獄の申し子の一匹は
その小さな足を踏んで
ぽつりぽつりと呟く
そう、かねてより思うに
物足りないものがある
地獄の妖精にして
その記号は何処に?
ありとあらゆる罪人が
この身産まれた故郷に落ちて
そして己が罪のその故にまた去ってゆく
しかるにこの身には一欠けらの罪さえなく
それが故にこの身は行くべきところも無い
ただそこにあるだけではいけなかったのか、と。
或いはそれがたった一つの罪か
さながら
己に立ち向かう 全てをなぎ倒す
怒りに震える姿を思い起こさせよう
――我は知っているぞ!
この業火にも似た色
これこそいつか見た[Ira]というのだろう?!
ああ、なんという罪の色彩をしている!
ああ、これこそこの身にふさわしい――!
そもこれが無垢の妖精
地獄の申し子の一匹が
その小さな頭をふって
ぽつりぽつりと呟く
そう、己の産まれを
問い始めるその前に
そのらしさを求める
一体何が為に?
何も知らないもの、何かを身に纏うこと、が
或いはそれが初めの罪であろうか?
さながら
己の持たぬもの すべてを恐れ憎む
醜く歪んだ姿を思い起こさせよう
――我は知っているぞ!
この極寒に似た色
これこそいつか見た[Invida]というのだろう?!
ああ、なんという罪の色彩をしている!
ああ、これこそこの身に纏う色――!
穢れなき砂漠に
根付くなき「幻想」
無垢なるものの目が
明々と爛々と
さあさあ
踊れよ非無垢
誰の意思にさえも抗え
歌えよ非無垢
お前が世界の中心となって
笑えよ凶精
幾つもの罪の成果に意味を与えよ!
己の望むもの 全てを叶えよう
遥か遠き「幻想」にさえ手を伸ばすように
――我にはわかったぞ!
この象形の意味が
これこそいつか見た[superbia]というのだろう!?
ああ、なんという罪に満ちた意匠か!
ああ、これこそ求めた形よ――!
ああ、これでいい、これがいい、と独り
ただ、そっとほくそえむのである!