斜面上に置いた物体に働く重力由来の斜面下向きの力と動摩擦力が釣り合うような斜角θを求めてみよう.斜面下向きの力は30NgMsinθであり,動摩擦力は30NgMcosθ・√μ*である.これらが等しくなる斜角θを求めると,以下のようになる.
θ=arctan√μ* …(1)
したがって,これより緩い斜面であれば物体は滑らないのは当然であるが,現実世界ではこれより多少急な斜面に物体を置いても滑らない場合がある.これは最大静止摩擦力が動摩擦力より大きいためである.本稿では,ゲーム内でこのような現象が起こるかを確認し,本ゲームにおける静止摩擦力について述べる.
下表は,様々な摩擦積に対して(1)式で求められる釣合斜角θbと,実際に物体が初めて滑り始める臨界斜角θcをまとめたものである.但し,マップエディタの仕様上,臨界斜角の測定は1°単位である.
| 摩擦積μ* | 釣合斜角θb | 臨界斜角θc |
| 0.01 | 5.7° | 6° |
| 0.1 | 17.5° | 18° |
| 0.5 | 35.3° | 36° |
| 1 | 45° | 46° |
| 10 | 72.5° | 73° |
釣合斜角以下では物体は静止していた.これより物体が静止しているときにはNgMcosθ・√μ*で表される動摩擦力ではなく,それより小さい摩擦力が働いて静止していることを表している.これを静止摩擦力という.また,その静止摩擦力の最大値は本実験の結果より動摩擦力の大きさと同じであることが分かった.
触れている2物体の相対速度が0であるとき,それを維持するために必要な大きさの静止摩擦力が働く.最大静止摩擦力の大きさは,動摩擦力と同じくR√μ*であり,すなわち,相対的な静止状態を維持するためにこれ以上の力を必要とする場合は,相対運動を始めることになる.ここに,Rは物体間の垂直抗力,μ*は摩擦積である.