61 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 21:46:56.64 ID:qPLw05kfo
…
アラキレス「あ、ゆ、こー!あ、ゆ、こー♪あらーきれしゅげーんきぃー♪」ヨチヨチシッポフリフリ
アラキレス「あーゆくーのーだいーしゅきぃー♪どぉーんどぉーんゆーこーぉー♪」ヨチヨチシッポフリフリ
アラキレス「しゃっかみっちぃー♪とーんねゆぅー♪くぅーしゃーあっぱーやー♪≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリ
アラキレス「いっぽんばーちにー♪でこーぼこーじゃーいーみーちー♪」ヨチヨチシッポフリフリ
アラキレス「くーものーしゅくーぐぅってぇー♪くーだり、み、ちぃー♪なのりゃー!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリ
私は、アラキレスの首輪に繋がれたリードを持ち、アラキレスと一緒に散歩している。
アラキレス「かいぬししゃーん!あらきれしゅ、おうたちゃーんとうたえたのりゃー!ほめてー!ほめてなのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリフリフリフリフリ
私は、アラキレスの頭を撫でる。
アラキレス「のりゃー!かいぬししゃーんしゅきしゅきなのりゃあ!せかいでいーーーっっちばんだいしゅきなのりゃあー♪≧∀≦」スリスリ
私のペットアライちゃん…アラキレス。
アラキレスは、他のアライちゃんとは、明らかに異なる点がある。
何だか分かるだろうか?
62 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 21:47:44.03 ID:qPLw05kfo
そう。
私のアラキレスは…
世界で一番、可愛いのである。
64 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 21:52:08.83 ID:qPLw05kfo
…誰がなんと言おうとも、それだけは譲れない。
私とアラキレスは、公園の広場についた。
ちょっと歩くの休憩しようか。
アラキレス「なのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ
私は、アラキレスの首輪のリードを放した…。
そのとき。
アラキレス「わーい!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
なんと、アラキレスは私に背を向け、広場の真ん中へ勝手にヨチヨチ歩いていくではないか。
脱走だろうか?
アラキレス「かいぬししゃーん!こっちおいでなのりゃー!おにごっこなのりゃあー!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチ
…なるほど。
アラキレスは、お外で私と遊びたがっているのか。
無理もない。
アラキレスにとって、私との散歩は貴重な時間。
外を歩きまわれる、数少ない時間なのである。
それに加え、アラキレスは最初に飼った時よりずいぶん大きくなった。
育ち盛りの食べ盛り。
日頃ケージの中でなまった体を、動かしたくてしょうがないのであろう。
65 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 21:54:20.51 ID:qPLw05kfo
アラキレス「かいぬししゃーん!あらきれしゅをちゅかまえゆのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
アラキレスはヨチヨチと走り回っている。
よし、捕まえるか…
だが、全力疾走してしまっては、すぐにこのおいかけっこは終わってしまうだろう。
私は、全力を出さずに、適度なスピードでアラキレスを追いかけ回した。
…そのとき。
66 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 21:57:15.65 ID:qPLw05kfo
突如、空中から素早い何かが、アラキレスに向かって飛んできた。
アラキレス「う゛ゆぅ!?」
鷲「キュエェーッ!」ガシィィ
アラキレス「ぴいぃぃっ!?」グイイ
私は、とっさにアラキレスのリードを握った。
リードはすぐにピンと張られた。
鷲「キュロロロォ!」バサバサバサバサバサバサ
アラキレス「ぐ、ぐゆじぃいい!が、がい、ぬじじゃ!ぴ、ぎぃいい!」グググ
…なんてこと!
鷲がアラキレスを捕まえ、飛び去ろうとしているではないか!
とっさにリードを掴み、綱引きをする私。
67 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:01:13.56 ID:qPLw05kfo
アラキレスを離して!
その子は食べ物じゃない!
私はパニックになり、無我夢中でアラキレスの首輪に繋がるリードを引っ張った。
鷲「クエエエエ」バサバサバサバサバサバサバサバサバサバサ
だが、鷲も負けじとアラキレスの背中を鷲掴みし、アラキレスを引っ張る。
アラキレス「ぐびゅぎゅぎゅびゅぎゅ!びゅぎぃいいいいいいい!おご、ごぉぉぇえええ!」グググメキメキ
あああ!アラキレスの首が絞まっている…!
どうしよう、どうしよう…!
私は少しでもアラキレスの首への負担を和らげるために、鷲が飛んでいこうとしている方へ走った。
68 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:06:15.11 ID:qPLw05kfo
アラキレス「ぎ…ひいぃ!ぴぎぃいいい!がい…ぬじ…じゃ…!だ…ぢゅげ…でえええ…!じ…に…だぎゅ…ないぃい…!ぴぎゅぅるるるるうぅぅ!」メキメキ
離して!お願い!
早くアラキレスを離して!
私は鷲を追って必死に走り回る。
このままでは、鷲が諦めるより先に…
アラキレスが絞殺されてしまう…!
ふざけるな…
ふざけるな。
お前なんかにやるものか。
アラキレスの命は私のものだ!
そして、それを奪う権利も!私だけにある!
アラキレスを殺していいのは私だけだ!
横取りされてたまるか!害鳥がぁ!
私は、鷲と戦うことに決めた。
何か、鷲に向かって投げられるものはないか?
辺りを必死に見回した。
野良アライちゃん「うゆ~?なんのあそびなのりゃ?ひとしゃん?いっしょにあそんでなのりゃ」ヨチヨチ
…広場で暴れる私の様子を見て、遊んでいるものだと思ったのか。
野良ヨチラーがヨチヨチと這い寄ってきた。
69 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:10:52.61 ID:qPLw05kfo
可愛いねアライちゃん。
おやつあげるからこっちおいで。
野良アライちゃん「おやつなのりゃ?たべゆのりゃ~!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ
野良アライちゃんが、尻尾を振りながら私の足下へ近寄ってきた。
私は、野良アライちゃんの尻尾を握りしめ、持ち上げた。
野良アライちゃん「ぴ…ぎぃいいいい!いぢゃい、いぢゃいのりゃあ!ひとしゃ、ありゃいしゃんのふわふわちっぽつかむのやめてぇ!。≧Д≦。」ピギィイイイイ
そして私は、その尻尾を握ったまま、野良アライちゃんをブンブンと振り回して回転させた。
野良アライちゃん「ふぅうぎゅうぅぅぶぐぎゅぅうう!?はなぢでいっぢゃあああいいいいい!」ブンブンピイイイィィイ
70 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:14:50.85 ID:qPLw05kfo
野良アライちゃん「はなぢでええええ!ごあいいいい!はあああなああぢでええええっ!」ブンブンブンブン
私はハンマー投げの要領で、尻尾からぱっと手を放し、野良アライちゃんを空へ放り投げた。
野良アライちゃん「ふみゅぅううううううう!」ヒューーーンッ
野良アライちゃんは、空中へ…
鷲のほうへ向かって、高々と飛んでいく。
鷲「…!」パッ
アラキレス「び…ぎ…」ヒュー…
鷲はアラキレスを離した。
鷲「キュロロロォ」ガシィィ
野良アライちゃん「びぎぃ!?」ガシィィ
そして、野良アライちゃんを掴んだ。
鷲「キュララァ」バッサバッサ
野良アライちゃん「ぴぃいいいい!とりしゃ、やべ、は、はなぢで!やな!やなあああああ!」ブランブラン
…鷲は野良アライちゃんを掴んで飛んでいき、視界からすぐに消えた。
72 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:20:03.83 ID:qPLw05kfo
アラキレス「ぐ…げ…」ヒュゥウウウ
アラキレス!
私は、自分のお腹をクッションにして、アラキレスを受け止めた。
アラキレス「ふぎゅぅっ!」ボフン
痛いぃ!
お腹の中身、内臓を打ち付けられる激痛が走る。
アラキレス「ひ…ぎ…」ピクピク
アラキレスは落下のダメージを受けずに済んだようだ。
私はお腹の激痛に悶え苦しみ、悲鳴をあげながら広場をごろごろと転がり回った。
そして、地面の上に胃液をぶちまけた。
血が混じっていなかったのが幸いだ。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 22:24:01.55 ID:dwYS/dnU0
受け止めて結構ダメージ受けてるとは、アラキレスも結構大きくなってるっぽい?
74 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:26:23.95 ID:qPLw05kfo
私がうつ伏せに突っ伏していると…
アラキレス「かい…ぬし…しゃ…」ゼェハァ
アラキレスが、私に話しかけてきた。
よかった…死んじゃったかと思ってた。
私は、まるでアライちゃんのような無様な四足歩行をして、アラキレスにずるずると這い寄った。
アラキレス「ごめ…ごめんなしゃい…なのりゃ…!あらきれしゅが、かいぬししゃんから、はなれたせいで…!」ブルブルウルウル
アラキレスは涙を流し、泣いていた。
首を手で押さえている。きっと痛いのだろう。
アラキレス「ごめんな…しゃいぃ…!かいぬし…しゃん…!しなないで…しなないでえぇっ…!」ヒグッグスッ
私は、なにも言わずアラキレスを抱き締めた。
アラキレス「がいぬししゃんっ…!ありがとぉ…だぢゅげでぐれで…ありがとぉぉっ…!」スリスリ
アラキレス。
助かって…よかった。
75 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:31:26.99 ID:qPLw05kfo
しかし、アラキレスの身代わりに放り投げた野良アライちゃん。
あれが来てくれて、本当に運が良かった。
もしあの子が来なかったら、アラキレスは今頃、首が締まり窒息死していた。
野良アライちゃんも、役に立つときがあるんだな…。
私は、お腹の痛みが和らぐのを待ってから…
首を辛そうに擦るアラキレスをしっかりと抱き抱えながら家に帰った。
76 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:39:33.09 ID:qPLw05kfo
さて。
家に帰った私は、アラキレスの気持ちがまだ落ち着かないうちに…
しっかりと、教育を施すことにした。
アラキレス「ひ、ひいぃい…!」ブルブルガクブル
私はアラキレスを膝の上に乗せ、タブレットPCで色々な動物のことを検索し、その写真をアラキレスへ見せた。
…これがさっき、アラキレスを捕まえた大きな肉食の鳥。『鷲』だよ。
アラキレス「ぴっ…ぴいぃいいいいいいいいいいいいい!!!」ガクブル
アラキレスは先程の体験を思い出して恐怖している。
この『鷲』に、アラキレスみたいな小動物が捕まったらもう逃げられない。
この鋭いクチバシでお腹をつつかれ、内臓を引きずり出されて、生きたまま食べられるんだ。
アラキレス「やなあああああ!やなああああああああああっ!たべられゆのやああなあああああああっ!のぁああああああーーーんっ!のぉおおおおぁああああーーーんっ!」ビエエエエン
77 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:49:05.91 ID:qPLw05kfo
怖い生き物はこれだけじゃないよ。
こっちの写真はね…『熊』っていうの。
アラキレス「く、くま?」ブルブル
そう、熊。
こいつは森の中に住んでる、凄く強くて大きな肉食獣。
アラキレスみたいなちっちゃい子はもちろん…
アラキレスがどんなに大きくなって大人になっても、だこいつに会ったら絶対に食べられちゃうよ。
アラキレス「う、うゆぅ!?」ビクゥ
この熊はね、大人のアライさんが大好物なんだよ。
アライさんを見つけると、大喜びで襲いかかって。
鋭い爪と牙でバラバラに引き裂いて!頭から…がぶり!脳みそをすすり食う!!
アラキレス「ぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!やなあああああああああ!くまこわいいぃいいいいいーーっ!こあああああいいいいいいーーーーっ!」
ふふふ。
怖がるアラキレスの顔…とってもいい表情だ。
もっと見たくなるね。
私はアラキレスへ、森でヒグマがアライさんを襲って貪り食っている動画を見せた。
アラキレス「ひぃ、ひぃいいいいいいいいい!やなのりゃあああ!かい、かいぬししゃあああんっ!くま、くまこわいいいぃい!びえええええええんっ!」ビエエエエン
78 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 22:54:46.45 ID:qPLw05kfo
まだまだ怖い生き物はいるよ。
こっちはティラノサウルス。
アラキレス「てぃ、てぃら!?なんなのりゃ!?もうやなのりゃあ!」ブルブル
これは体の大きさが10メートルもある、すごく大きいトカゲ。
こいつに襲われたら、人間だって食べられちゃう。
アラキレス「ひ…ひとも!?」
こんな風にね。
私は、恐竜が人間を襲って食べる映画のワンシーンを見せた。
アラキレス「ぴ…ぴいいいいぃぃぃぃ!?こんなにおっきいのりゃあ!?びえ…ぴぃいいっ!やなああ!こあいいいーーっ!こああああいいーーーっ!」ビエエエエン
でも、こいつは人がたくさんいる所には出てこないから心配しないで。
アラキレス「う、うゆぅぅ…!?」グスグス
そう、アラキレスが私に守られている限りは、来ないよ。
もしアラキレスが大人になった後、私のところから自由になろうとして、お家を出ていったら…
アラキレスも、さっきの人みたいに、こいつにぱくり。丸かじりだ。
アラキレス「や…やなのりゃ…!がいぬししゃ…!あらきれしゅ…ずっといっしょに…いたいのりゃあ…!」ブルブル
ふふ、いい子だ。
79 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 23:07:55.92 ID:qPLw05kfo
アラキレス。
よく聞いて。
アラキレス「う…うゆ!」
アラキレスはそのうち、大人になる。
大人になったペットアライちゃん達は、みんな『立派』になろうとして…
『独り立ち』しようとする。
そう。
ケージの中にいるのが嫌になって、お家の外へ出たくなる。
自分は何でもできると思い込む。
自分は一番強いと思い込む。
だけど、その大半が、さっきの熊やティラノサウルスに食べられる。
これは、アラキレスよりずっと先に生まれた、たくさんのアライちゃん達の末路だ(嘘だけど)。
よく覚えておいて。いいかな?
アラキレス「は、はいなのりゃあ…」ブルブル
もしも、アラキレスが、お外で暮らしたくなったら、きちんと私に言って。
熊や恐竜に食べられると知っていても、それでもお外で暮らしたくなったら、必ず私に言って。
怒らないから。
…わかった。
アラキレス「わかったのりゃ…。でも、あらきれしゅは…おそとになんて、ひとりででないのりゃ…!」
アラキレス「さっき、わしにたべられそうになったとき…!ほんとに…ほんとに!こわぐってええぇ!」ヒグッグスッ
アラキレス「かいぬししゃんいながったら、あらきれしゅ、たべられでだのりゃあああっ!」グスグス
アラキレス「もうやなのりゃああ!おとなになっても、かいぬししゃんといっしょにいゆのりゃあ!くまもてらのしゃうゆしゅもたべられだぐないのりゃあああっ!」ビエエエエン
よしよし。
いい子だ。
その気持ち、決して忘れちゃあ駄目だよ。
私はアラキレスを抱き締め、優しく撫でた。
80 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 23:09:37.01 ID:qPLw05kfo
それからしばらくの間…
アラキレスは、散歩に行くことすら怖がるようになった。
ケージの中で、一生懸命、石膏粘土で動物のお人形やアクセサリーを作るのに没頭しているようだ。
どうやら、しっかりと…
『教育』の成果が出たようだ。
いつまでも、一緒にいようね…アラキレス。
81 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/04(水) 23:10:16.36 ID:qPLw05kfo
続く
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/06(金) 23:33:49.09 ID:IcLWNDQu0
もうそんなに大きくなったのかぁ~
最終更新:2019年01月28日 00:59