113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 18:59:07.73 ID:y7yeKo4fO
…
野良アライちゃん3「うゆうぅ…!だれかたしゅけてえぇ…!」ブルブル
野良アライちゃん3は、アライホイホイの粘着シートにくっついたまま、トラックで運ばれていた。
野良アライちゃん3「なんで…なんでこんなことになったのりゃあ…」ブルブル
不安に押し潰されそうになる野良アライちゃん3。
野良アライちゃん3は、今に至るまでの経緯を思い出していた…。
114 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 19:28:48.31 ID:y7yeKo4fO
…
野良アライちゃん3は、森の中で4姉妹の三女として産まれた。
母アライさん「ふはは、チビ達。木の実がとれたのだ」
姉妹アライちゃん1「たべたいのりゃ!」
姉妹アライちゃん2「ごはん~」
野良アライちゃん3「すごいのりゃ~!」シッポフリフリ
姉妹アライちゃん4「あむあむちたいのりゃ~!」シッポフリフリ
母アライさん「まあまあ待つのだ。この木の実は、獣道へ置いておくのだ」スッ
野良アライちゃん3「はやくたべたいのりゃ!」
母アライさん「いいかチビ達。木の穴に隠れて、静かにしてるのだ。うんしょ、うんしょ…」ヨジヨジ
母親は、角が尖った岩を持ち、木の上に登った。
姉妹アライちゃん1「なにしゅゆのりゃ?きのみたべないのりゃ?」シッポフリフリ
母アライさん「…今から、アライさんが喋っていいって言うまで。一言でも声を出した奴は、お尻ペンペンなのだ」
木の上から、母アライさんの苛ついた声が聞こえてきた。
アライちゃん達「…」ゴクリ
野良アライちゃん3たち姉妹は、木の穴に隠れてじっと待った。
何が起きるのだろうか…。
115 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 19:35:17.88 ID:y7yeKo4fO
しばらく木の穴の中で待っていると…
猪「…」ノソリノソリ
野良アライちゃん3「…!?」
姉妹アライちゃん達「「…!!」」
母アライさんが置いた木の実に、大きな獣が近付いてきた。
猪「…」ムシャムシャ
猪は、木の実を食べ始めた。
野良アライちゃん3(うゆ…!おかーしゃんがあつめたきのみ、たべられちゃうのりゃ!)
すると…
姉妹アライちゃん1「ふぅーーーっ!!きゅるるるぅっ!それおかーしゃんのだぞぉ!とゆなああっ!」ヨジヨジ
なんと姉妹アライちゃん1が木の穴から這い出て、猪を威嚇した。
猪「!?」ビクゥ
姉妹アライちゃん1「おかーしゃんがとってくれたきのみ!ありゃいしゃんがまもゆのりゃあっ!わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジ
母親の言いつけを守らず、穴から這い出て木から降りていく姉妹アライちゃん1。
猪「…」ボリボリ
猪は、気にせず木の実を食べ続けている。
116 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 19:44:40.72 ID:y7yeKo4fO
母アライさん「っ…!」バッ
そのとき、尖った岩を持った母アライさんが、木の上から勢いよく猪の上にとびかかってきた。
猪「!?」ヒュバッ
姉妹アライちゃん1の威嚇で木の方を警戒していた猪は、母アライさんの襲撃を避けた。
母アライさん「く…!くそっなのだぁ!」ズガァ
母アライさんが振りかざした尖った岩は、地面をどんと叩いてめり込む。
猪「フ、フギィィッ!」ドタッドタッドタッドタッ
猪は、獣道の向こうへ勢いよく逃げていった。
姉妹アライちゃん1「やったのりゃー!おかーしゃんのだいじなきのみ、まもったのりゃあ!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリ
母アライさん「…」
姉妹アライちゃん1は、まるで木の実を守ったのは自分だと言わんばかりに、母親の足下へ這いヨチった。
姉妹アライちゃん1「みたかーおかーしゃん!ありゃいしゃん、あのけものをおっぱらったのりゃー!たべものまもったのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ
姉妹アライちゃん1「うゆ~!ほめて!ほめて!おかーしゃん!ありゃいしゃんのことうんとほめてぇ!ごほーびにきのみいーっぱいちょーだいなのりゃ!≧∀≦」スリスリ
姉妹アライちゃん1は、母親の足にすり寄っている。
120 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 21:42:24.51 ID:EEyuLHPLo
姉妹アライちゃん1「ほめてー!なでてー!のりゃっ!のりゃっ!」コスリコスリ
母アライさん「…」スッ
母アライさんは、木の枝を拾うと…
母アライさん「全然偉くないのだ!バカチビ!」ブンッ
ベチィッ
姉妹アライちゃん1「ぴぎぃっ!」
なんと、姉妹アライちゃん1の頭を叩いた。
母アライさん「褒めるとこなんて一つもないのだ!お前はアライさんの言いつけを破ったのだ!」
姉妹アライちゃん1「う…ゆぅっ…!」ウルウル
姉妹アライちゃん1の目には、次第に涙が溜まっていき…
姉妹アライちゃん1「びえええええーーーんっ!ありゃいしゃん、おかーしゃんのきのみまもったのにいいいぃいいいいいーーーっ!!いーことちたのにいいぃいーーーっ!のぁああああーーんっ!のぁああああーーんっ!」ビエエエエエンシッポブンブン
姉妹アライちゃん1は、大声で泣きじゃくった。
痛がる程度で済むあたり、母アライさんは相当手加減したのだろう。
121 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 21:51:51.03 ID:EEyuLHPLo
母アライさん「いいかチビ!アライさんは、お前に声を出すなって言ったのだ!覚えてるか!?」ガシィ ヒョイッ
姉妹アライちゃん1「びええーーんっ!のあああーーんっ!おもいだちたぁ!おもいだちたのりゃあ!」ビエエエン
母アライさん「あの言いつけはまだ続いてるのだ!アライさんはまだお前たちに、喋っていいなんて一言も言ってないのだ!」
母アライさん「あと5つ数えるまでに、泣き止まなかったら!もっと痛いお仕置きするのだ!」フゥーッ
姉妹アライちゃん1「やああなああああああ!おちおぎやなあああああああああああ!」ビエエエン
母アライさん「泣き止んだらお仕置きはしないのだ!いくのだ!ごーーー…よーーーん…さーーん…」
母アライさんは、カウトダウンを始めた。
当然だが、母アライさんは算数など習っていない。
しかしながら、自然に日本語を覚えるように、簡単な足し算と引き算ぐらいならできるようだ。
姉妹アライちゃん1「ぴぃいいぅーーーっ!いぢゃあいいい!あだまいぢゃああいいいぃーーーっ!」ビエエエン
母アライさん「にーー…いーーーち……」
姉妹アライちゃん1「ぴいいいいぃいいいいいーーーーっ!やなやなやなやなやなやなああああーーーーっ!おぢおぎやなあああーーーっ!」ピギイイイィイシッポブンブン
姉妹アライちゃん1は、お仕置きが嫌なら泣き止めばいいというのに、相変わらずピーピー泣きわめいている。
122 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 22:37:40.14 ID:EEyuLHPLo
母アライさん「ゼロ…なのだ!」ガシィ
母アライさんは、姉妹アライちゃん1の尻尾を持ち上げ…
123 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 22:39:39.66 ID:EEyuLHPLo
母アライさん「泣き止むまで、そこで反省してるのだ!」グルグル
草の弦を使い、木の枝へグルグル巻きにして縛り上げてしまった。
姉妹アライちゃん1「ぴいいぃいーーーーっ!おろちてえええーーーーっ!」ピギイイィイジタバタジタバタ
姉妹アライちゃん1は、必死に暴れている。
母アライさん「泣き止んで大人しくなったら下ろしてやるのだ!」
姉妹アライちゃん1「やなやなやなやなやなやなああああーーーーっ!」ジタバタ
124 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 22:45:01.35 ID:EEyuLHPLo
10分後…
姉妹アライちゃん1「う゛…ゆ゛…」ビクッビクッ
逆さ吊りにされていたせいで頭に血が上り、意識が混濁してきた姉妹アライちゃん1は、さすがに静かになった。
母アライさん「よし、そろそろ解放してやるのだ」グルグル
母アライさんは、姉妹アライちゃん1の尻尾を解放し、木の枝からおろした。
そして、そっと草の上に横たわらせた。
姉妹アライちゃん1「う゛…ぎゅ…゛う゛びゅぅ゛うぅ…」グッタリ
そんな姉妹アライちゃん1の姿を…
野良アライちゃん3&姉妹アライちゃん達「「…」」ブルブル
3匹の姉妹は、木の穴の中で震えながら、声を殺して見ていた。
母アライさん「チビ達!もう喋ってもいいのだ!」
野良アライちゃん3「っ…」ブルブル
一体なぜ母親がこんなに怒っているのか、幼い野良アライちゃん3には理解できなかった。
125 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 22:49:01.73 ID:EEyuLHPLo
やがて、姉妹アライちゃん1は意識を取り戻した。
母アライさん「チビ達。アライさんは今、木の実を使ってあの獣を誘きだして、捕まえようとしていたのだ」
姉妹アライちゃん1「つかまえゆ…?」
母アライさん「そうすれば、木の実よりもっとたくさん、美味しいお肉が食べられたのだ」
野良アライちゃん3「おにく!?」
姉妹アライちゃん2「おにくなんなのりゃ?」シッポフリフリ
姉妹アライちゃん4「きのみともむししゃんともざにがにともちがうのりゃ?」コスリコスリ
母アライさん「せっかくお前達に、美味しい美味しいお肉を食べさせてやれるところだったのに…!バカチビ!お前がアライさんの言いつけを破ったから、捕まえられなかったのだ!」
姉妹アライちゃん1「うゆぅう…!」
母アライさん「チビ達!美味しい食べ物が食べられなかったのは、一番上のバカチビのせいなのだ!」
姉妹アライちゃん1「!?」
この言い方はまずい。
126 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 22:51:24.24 ID:EEyuLHPLo
姉妹アライちゃん2「おねーしゃんのせーで!」
野良アライちゃん3「おねーしゃんがゆーこときかなかったからなのりゃあ!」フゥーーッ
姉妹アライちゃん4「ばかちび!ばかちびぃ!」
姉妹アライちゃん1「ぴいぃいーーーっ!ごめんなしゃいなのりゃあーーっ!」ビエエエン
母アライさん「全く…。また罠を仕掛ける場所を変えなきゃいけないのだ…」ハァ…
127 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 22:59:51.60 ID:EEyuLHPLo
その後…
母アライさん「だああ!」バッ
猪2「ブギイィイ!」ドグシャア
姉妹アライちゃん達「おおー…!」
母アライさんは別の猪を、尖った岩を凶器にした木の上からの奇襲で倒した。
母アライさん「のだっ!のだっ!」ドガッドガッ
猪2「ぶ…ぎゅ…」ビクッビクッ
猪は、強靭な体と硬い頭蓋骨を持った動物だ。
攻撃力も、防御力も高い。
成体のアライさんといえど、体当たりをくらえば、鋭い牙で貫かれて吹っ飛ばされてしまう。
木の上から小石を投げ当てた程度では、その肉体はびくともしないであろう。
猪2「」グッタリ
しかし、木の上から飛びかかってきたアライさんが、体重を乗せて角の尖った岩でその頭を殴ったのである。
これで脳震盪を起こすなという方が無理である。
母アライさん「いててて…。手が痛いのだ…」コスリコスリ
もっとも、それだけの威力で猪の硬い頭をぶったたいたのだから、
岩を持っていたアライさんの方も反動を受けるのは仕方がない。
128 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 23:05:50.33 ID:EEyuLHPLo
母アライさん「さあチビ達!お肉を食べるのだ!」
姉妹アライちゃん達「「「「のりゃーっ!」」」」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
猪に群がるアライちゃん達。
姉妹アライちゃん達「「「「はぐっあぐっ!あぐあぐっ!」」」」ガジガジ
その未発達な顎と、まだ何本か乳歯が残ったままの歯では、猪の分厚い毛皮を食い破るのは相当苦労するようだ。
母アライさん「はぐがぶぅ!」ガブゥバリバリ
鋭い牙と爪を持ち、顎の力が充分に鍛えられた母アライさんでさえ、楽ではないようだ。
129 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 23:13:48.32 ID:EEyuLHPLo
母アライさん「こうなったら…これを使うのだ」スッ
母アライさんが取り出したのは、ステンレス製のハサミである。
恐らくまだアライしゃんだった頃に、インターンシップ中に人里で手に入れたものだろう。
民家の小屋に侵入して盗んだのであろうか…。
ハサミは余程使い込んだのか、ところどころ傷がついている。
母アライさん「いくつか似たようなのを持ってたけど…だいたい茶色になってダメになったのだ。でも、これだけはずっと使えるのだ!」
野良アライちゃん3「それなんなのりゃ?」シッポフリフリ
母アライさん「こうするのだー!ふははー!」ジョキジョキ
猪の毛皮を、ハサミで切り裂いていく。
姉妹アライちゃん達「「「おおー!しゅごいのりゃあ!」」」
130 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 23:18:59.39 ID:EEyuLHPLo
姉妹アライちゃん1「あむあむあむあむあむあむっ!(≧'u(≦ )」クッチャクッチャ
姉妹アライちゃん2「あむあむあむあむあむあむっ!(≧'u(≦ )」クッチャクッチャ
野良アライちゃん3「あむあむあむあむあむあむっ!(≧'u(≦ )」クッチャクッチャ
姉妹アライちゃん4「あむあむあむあむあむあむっ!(≧'u(≦ )」クッチャクッチャ
姉妹アライちゃん達「「おーいちーびりゃああーーーっ!≧∀≦」」ムシャムシャモグモグ
母アライさん「ふははー!チビ達。アライさん達は、猪と違って足が速くないのだ。だからおいかけっこしても勝てないのだ」ムシャムシャ
母アライさん「だから、一生懸命知恵を振り絞ってです罠を仕掛けるのだ!それがアライさん達の武器なのだ!」モグモグ
野良アライちゃん3(おかーしゃん…かっこいいのりゃあ…!はやくありゃいしゃんも、おかーしゃんみたいにつよくなりたいのりゃ…!)
姉妹アライちゃん4「おかーしゃんはさいきょーなのりゃあ!≧∀≦」シッポフリフリ
流石に一晩で猪の肉を 全部食うのは無理のようだ。
一家は木の根元へ猪の肉を置いておき、翌日食べることにした。
131 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 23:25:05.65 ID:EEyuLHPLo
…翌日の夕方…
野良アライちゃん3「…ん、みゅ…」パチッ
野良アライちゃん3は、木の穴の中で目を覚ました。
野良アライちゃん3「うんちしゅゆのりゃ…」ヨジヨジ
木の穴の中のアライちゃん達は、鳥の雛のように、巣穴から尻を出して排便する。
野良アライちゃん3は、穴の外へ排便するため、外を見た。
すると…
熊「ハグッハグッ」ムシャムシャ
猪の死骸「」バリボリ
野良アライちゃん3「!?」
なんと、せっかく狩った猪が、黒くて大きな獣に食われていた。
野良アライちゃん3「お、おかーしゃ…」キョロキョロ
木の枝に乗っているであろう母親へ、このことを伝えようとしたが…
母アライさん「っ…チビ、静かにしてるのだ…」
…母アライさんは、食糧を奪う熊を、じっと見つめていた。
132 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 23:28:33.19 ID:EEyuLHPLo
野良アライちゃん3「おかーしゃ…!いのしししゃんじびえが…!おにくが…!」
母アライさん「今盗み食いしてるあの獣は、熊っていうのだ。人間の次に強いのだ。あいつがいなくなるまで待つのだ…」
野良アライちゃん3「う、うゆ…」コクリ
野良アライちゃん3は、大便を我慢している。
そこへ…
姉妹アライちゃん1「うゆ!?なんかでっかいけものが、ありゃいしゃんたちのごはんぬしゅみぐいちてゆのりゃあ!」ヒョコッ
母アライさん「!」
…以前猪狩りの邪魔をした長女が、木の穴から顔を出した。
133 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 23:33:51.33 ID:EEyuLHPLo
姉妹アライちゃん1「おいっ!おまえっ!それありゃいしゃんのおかーしゃんのたべものだぞぉ!」ヨジヨジ
姉妹アライちゃん1は、木の表面に捕まりながら、ちょっと降りた。
母アライさん「バカ!チビ、巣穴に戻るのだ!」
姉妹アライちゃん1「ふうぅううううーーーっ!きゅるるるるるうぅーーーっ!おかーしゃんはなぁ!さいきょーなんだぞぉ!せかいでいーーーっちばんちゅよいんだぞぉ!」ヨジヨジ
姉妹アライちゃん1は、木の表面をまた少し降りた。
姉妹アライちゃん1「おかーしゃん!あのけものもぶっこよちておにくにしゅゆのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ
姉妹アライちゃん1は、熊の前足が届かないであろう位置から熊を挑発した。
母アライさん「チビ!いいから早く戻るのだぁ!」アセアセ
姉妹アライちゃん1「やーいやーい!うんこぶーりぶりー!≧∀≦」ブリブリ
姉妹アライちゃん1は、熊の目の前で排便した。
熊「…」
135 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 23:41:34.80 ID:EEyuLHPLo
母アライさん「いい加減にするのだガイジ!」ガシィ グイイッ
姉妹アライちゃん1「うゆうぅ!?」グイイッ
母アライさんは、姉妹アライちゃん1の首根っこを掴んで上へ引っ張り上げた。
その瞬間。
熊「フバアアアウウウゥウーーーーッ!」ズガァ
木の表面「」ズバシャアッ
つい今の瞬間まで姉妹アライちゃん1がいた位置に、熊の爪がふりかざされら。
姉妹アライちゃん1「ぴぃっ!?」ズガァ
姉妹アライちゃん1の尻尾の先端が、縦に引き裂かれた。
姉妹アライちゃん1「いっ…」ズキズキ
届かないと思っていた…はずなのに。
熊は両足で立った上に、その場で跳び跳ね、手を振りかざした。
その爪は、母親が一瞬掴み上げるのが遅かったら、姉妹アライちゃん1の腹を引き裂き内臓をズタボロに引き裂いていたであろう。
姉妹アライちゃん1「いっ…ぢゃあああああああああいいいいいいーーーっ!ありゃいしゃああんのかーーいいかーーいいちっぽいぢゃいいぢゃあいいなのりゃあああーーっ!」ピギイイィイジタバタジタバタ
母アライさん「黙ってるのだ!」ポイッ
母アライさんは、尻尾から血を流す姉妹アライちゃん1を、巣穴へ投げ込んだ。
137 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 23:47:53.46 ID:EEyuLHPLo
野良アライちゃん3「ひ…ひいぃ…」ブリブリジョボボボボ
野良アライちゃん3は、恐怖のあまり巣穴の中で失禁・脱糞した。
姉妹アライちゃん2「…!ぴいいいぃぃっ!くっちゃいのりゃあああっ!」
姉妹アライちゃん4「きちゃないのりゃあああーーっ!」
…
やがて、熊は去っていった。
姉妹アライちゃん1「ひぐっ…ぐしゅっ…しっぽいぢゃあいぃっ…」コスリコスリ
母アライさん「いいかチビ。アライさんは、世界最強なんかじゃないのだ。お前達もみんな、世界最強になんてなれないのだ」
野良アライちゃん3「うゆ…!?」ビクゥ
意外なことを聞いた。
猪を簡単に倒す自分の母は、最強だと思っていたのに。
母アライさん「アライさんも、昔は自分が最強だと思ってた恥ずかしい時期があったのだ…でも!そういうのは卒業したのだ!」
母アライさん「というか、アライさんは多分…猪よりも弱いのだ」
姉妹アライちゃん2「うゆぅ?」
母アライさん「弱いから、頭を使わないと、自分より強い敵に勝てないのだ。これはお前達もみんな同じなのだ!肝に銘じておくのだ!」
野良アライちゃん3「は…はいなのりゃあ…!」
138 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 23:51:06.03 ID:EEyuLHPLo
母アライさん「アライさんのお姉さんや妹達は、ほとんどみんな死んでしまったのだ」
母アライさん「アライさんが生き残ったのは…運が良かったからなのだ。ひょっとしたら、お姉さんの代わりに死んでいたのはアライさんだったかもしれないのだ」
野良アライちゃん3の母親は、死亡率80~90%ともいわれる、超難関のインターンシップを生き抜いた個体。
身に付けてきたサバイバル知識も、それなりの蓄積はあるのだろう。
139 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/18(水) 23:56:02.16 ID:EEyuLHPLo
母アライさんは、その後も猪や鹿を狩り続けた。
何の罪もない野生動物を…己と子の糧とするために、殺し続けたのであった。
野良アライちゃん3「なんでこんなにいっぱい、けものいゆのりゃ?」
母アライさん「この獣道から下に降りると、人の畑があるのだ。鹿や猪は、そこを狙っているのだ」
姉妹アライちゃん1「はたけなんなのりゃ?」
母アライさん「畑は…」
畑アライさん「人間が、食べ物を作っている場所なのだ」
姉妹アライちゃん1「たべものつくゆ!?」
姉妹アライちゃん2「しゅごいのりゃあ!」
140 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:00:13.24 ID:aO0nSPlVo
野良アライちゃん3「ありゃいしゃんもたべていいのりゃ?」
母アライさん「…畑の食べ物をとると、人間は怒って殺しにくるのだ。森の安全な食べ物とは
違うのだ」
姉妹アライちゃん4「こ、こあいのりゃ!うゆ…。ありゃいしゃんは、ずっともりでくらしたいのりゃ…」
母アライさん「ダメなのだ」
姉妹アライちゃん4「なんでなのりゃ?」
母アライさん「なんでって…」
母アライさん「森の安全な食べ物は、大人のアライさんだけが食べていいのだ」
姉妹アライちゃん達「「!?」」
母アライさん「お前達はインターンシップの間、森に帰ってきちゃダメなのだ。子供のうちは、森じゃなく人の畑から食べ物をとるのだ」
姉妹アライちゃん1「な、なにいってゆのりゃ!それじゃころされちゃうのりゃ!」アセアセ
141 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:05:44.75 ID:aO0nSPlVo
母アライさん「甘えるななのだ!」
姉妹アライちゃん達「「!?」」ビクゥ
母アライさん「…アライさんだって!ちっちゃい頃!ずっとずっと森に帰りたかったのだ!!!」
母アライさん「おっかない人間の畑からなんて、食べ物とりたくなかったのだ!野菜は森の食べ物より美味しいけど!命の方が大事なのだ!」
母アライさん「アライさんの妹も、畑で人に殺されたのだ!逃げ遅れて!大きな道具でグシャグシャにされたのだ!」
母アライさん「でも!森の食べ物は、数が限られてるのだ!チビ共が好き放題食いまくったら森の食べ物はあっという間に無くなるのだ!」
母アライさん「だから!大人だけが森で安全に食事していいのだ!チビ達は危ないとこで勉強しながら食事する!それが決まりなのだ!」
母アライさん「アライさんも!アライさんのお母さんも!ずっとずっとずーーっとそうしてきたのだ!だからお前達もそうするのだ!」
姉妹アライちゃん達「「」」ガクガクブルブル
野良アライちゃん3と姉妹は、いつになく激昂する母親の姿に恐怖を抱いていた。
142 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:09:36.65 ID:aO0nSPlVo
姉妹アライちゃん1「…にんげんって、そんなにつよいのりゃ?」
母アライさん「…人間は、最強の生き物なのだ」
野良アライちゃん3「…」
この母親が最強とまで言う人間という生き物。
一体どんなに大きくて、鋭い爪と牙を持った動物なのか…
野良アライちゃん3は、一度見てみたかった。
143 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:13:20.34 ID:aO0nSPlVo
…ある日の昼間。
野良アライちゃん3「うーん、きょうもうんちしゅゆのりゃ…」ゴソゴソ
野良アライちゃん3は、排便しようとして木の穴から尻を出した。
すると…
老人「…ケンタ、森はどうだい…?」ヨボヨボ
児童「わーい!木がいっぱい生えてる!クワガタみーっけ!」トタトタ
野良アライちゃん3「…?」
弱そうな生き物が2体、木の下を歩いていた。
野良アライちゃん3「おかーしゃ、あれなんなの…」クルッ
野良アライちゃん3は、木の枝の上の母親に聞こうとするが…
母アライさん「っ…!」ブルブル
母アライさんは、木の高いところへ登り、葉の陰になるように必死で隠れていた。
その顔には、熊が来たときすら見せなかった、絶望的な恐怖の表情が浮かび、とめどなく脂汗が流れていた。
145 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:19:13.17 ID:aO0nSPlVo
姉妹アライちゃん4匹は起きて、老人と児童が通りすぎるのを観察していた。
やがて、二人が去っていた後…
母アライさん「…あれが、人間なのだ」
姉妹アライちゃん1「にんげん?」
姉妹アライちゃん2「よわっちそーなのりゃあ!」
野良アライちゃん3「ぜったいおかーしゃんのほーがつよいのりゃ!」
姉妹アライちゃん4「いしおとせばぶっこよちぇゆのりゃあ!」
母アライさん「…人間は、誰か一人が死んだら、それを仲間がすぐに知ることができるらしいのだ…」
母アライさん「そして、その回りに住んでるアライさんを、一匹残らず皆殺しにする…らしいのだ!」
姉妹アライちゃん1「らしいって…みたことないのりゃ?」
母アライさん「もしその光景をアライさんが見ていたとしたら…とっくにもう死んでるのだ」
姉妹アライちゃん達「ヒイイィイイイ」ガクガクブルブル
146 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:28:16.27 ID:aO0nSPlVo
母アライさん「そして、お母さんから聞いた話だと…。人間の赤ちゃんは、いつも親に監視されているらしいのだ」
母アライさん「だから、もしもお前達が、人間の赤ちゃんや年寄りを殺して食おうとしたら…」
母アライさん「食べる前に捕まって、死ぬよりも恐ろしい拷問をされるそうなのだ。全身の皮を剥がされ、目玉をくり抜かれ…!もう殺してと泣いても許してくれないのだ!」
野良アライちゃん3「は、はたけは!?はたけのおやしゃいは!?」
母アライさん「畑の野菜は、まだ監視がユルいらしいのだ。…とにかく、人間を自分から襲って殺しちゃダメなのだ!」
姉妹アライちゃん達「「わ、わかったのりゃ………」」
母アライさん「その代わり、中には優しい人間もいるのだ。可愛く甘えたら、ナデナデしてくれたり、ごはんくれるいい人間もいるのだ」
姉妹アライちゃん達「「いいにんげん!?」」
野生動物に餌付けするのが、『いい人間』かどうかは微妙なところだが…
きっとアライさんにとって都合が『いい』人間ということだろう。
147 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:29:36.93 ID:aO0nSPlVo
そうして姉妹アライちゃん達は、母親から多くのことを学んだ。
そして、乳歯がすっかり生え揃った頃…
姉妹達は、人里へ降りた。
インターンシップの開始である。
148 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:33:15.36 ID:aO0nSPlVo
だが、インターンシップは地獄であった。
野良猫「にゃー」トテトテ
野良猫が、道路を歩いている。
姉妹アライちゃん1「おかーしゃんみたく、かっこよく…わなで、けものをぶっこよちゅのりゃ…!」プルプル
姉妹アライちゃん1は、コンクリートの塀の上に登り、小石を持って猫の上に来た。
姉妹アライちゃん1「たあー!」パッ
姉妹アライちゃん1は、小石を野良猫の頭へ落とした。
野良猫「にゃっ!」ビシィ
頭の真ん中へクリーンヒット。
姉妹アライちゃん1「やったのりゃあ!ありゃいしゃんもおかーしゃんみたくさいきょーになれたのりゃあ!≧∀≦」
姉妹アライちゃん達「「おぉー………」」ゴソッ
野良アライちゃん3と姉妹は、草陰に隠れてその様子を見ていた。
149 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:36:09.10 ID:aO0nSPlVo
野良猫「…フゥー…!」ギロリ
姉妹アライちゃん1「うゆ?しなないのりゃ」キョトン
だが、所詮生後2ヶ月程度のヨチラーの体力。
木や塀を登るのは得意でも、大した大きさの小石は持てない。
小さな姉妹アライちゃん1の手に収まる、さらに小さな小石など、野良猫の頭に大したダメージをあたえなかった。
それどころか。
野良猫「フビャアアアッ!」ガバァ
姉妹アライちゃん1「≦∀≧」!?
野良猫は姉妹アライちゃん1の居場所を見つけ、コンクリート塀の上へ登ってきた。
150 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:38:50.75 ID:aO0nSPlVo
野良猫「フニャウゥ!」ガブゥ ブンッ
姉妹アライちゃん1「ぴいぃいっ!」ヒューンッ ドサッ
姉妹アライちゃん1は、塀から投げおとされた。
姉妹アライちゃん1「うゆうぅ…!いぢゃい、いぢゃいのりゃあ…!」シッポブンブン
熊に引き裂かれた跡がすっかり完治した尻尾を振りながら、姉妹アライちゃん1は落下の痛みに悶絶した。
野良猫「ガァブ!」ガブゥ
姉妹アライちゃん1「ふぐぎゅぅ!?」
野良猫は、姉妹アライちゃん1の首に噛みつき、絞め始めた。
151 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:44:28.11 ID:aO0nSPlVo
姉の命の危機。
妹たちは…
姉妹アライちゃん2「おねーしゃんをはなちぇ~!」ガサッ ヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃん3「はなしゅのりゃあ!ふぅーーっ!」ガサッ ヨチヨチヨチヨチ
姉妹アライちゃん4「はなしゃないとびっこよしゅぞぉ!きゅるるぅ!」ガサッ ヨチヨチヨチヨチ
姉妹アライちゃん2~4「「「ふぅーーっ!」」」ヨチヨチヨチヨチ
妹達は、姉を助けに来た。
姉妹アライちゃん1「いも…と…だぢゅ…げで…」ビクビク
野良猫「フゥーッ」グググ
姉妹の情や絆?というのも多少はあるが…
これまでのインターンシップ生活から、いかに仲間との助け合いが重要か、身に染みて覚えていたからだ。
まあ、助け合いをしなくても、共に行動していれば、こういうふうに身代わりになってくれることもある。
『残機』を無駄に減らすと、自分の生存率も下がる。
そのため妹達は、怖いけど仕方なく姉を助けに来た。
これだけの数がいれば勝てるだろうと見込んでの助太刀だ。
152 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:47:57.64 ID:aO0nSPlVo
だが。
野良猫「フニャウウウゥ!」バリバリ
姉妹アライちゃん2~4「「ぴぎいいぃいい!」」
野良猫は、姉妹アライちゃん2~4を引っ掻き、ぶん投げ、体当たりし、ぶちのめした。
ヨチラー3匹よりも、成体の猫の方が単純に強かった。
姉妹アライちゃん2~4「「に…にげゆのりゃああ~っ!」」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
一目散に逃げていく姉妹アライちゃん2~4。
姉妹アライちゃん1「だ…ぢゅ…げ…」ブクブク
野良猫「がぶぶぢぃ!」ガブシュゥ
姉妹アライちゃん1「」ボギグシャア ガクッ
姉妹アライちゃん1は、喉笛を噛み砕かれて死亡した。
153 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:53:21.67 ID:aO0nSPlVo
…公園の木陰
姉妹アライちゃん2「ひぐっ…ぐしゅっ…」シクシク
野良アライちゃん3「だいしゅきなおねーしゃんが…しんじゃったのりゃあっ…!たべられたのりゃあっ…!」グスングスン
姉妹アライちゃん4「うええええん…!ぴええええーーんっ…!ぴいぃーっ…!」シクシク
姉妹アライちゃん2~4は、姉を見捨てて生き延びた。
『残機』が1減ったのである。
姉妹アライちゃん2「でも…おねーしゃんのおかげでわかったのりゃ。あのけものはつよいって…!」
野良アライちゃん3「ありがとうなのりゃ…おねーしゃん…」
姉妹アライちゃん4「おねーしゃんは、ありゃいしゃんのむねのなかでいきちゅぢゅけゆのりゃ…!」シクシク
長女の死は、サバイバル知識へと姿を変え、生き延びた妹達へ受け継がれる。
こいつらの母親である母アライにも、このように…
『残機』である姉妹たちの犠牲からサバイバルの知識を得たおかげで、成体まで成長し、森へ帰還できたのである。
154 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 00:58:39.42 ID:aO0nSPlVo
…1ヶ月後、深夜の住宅街…
姉妹アライちゃん2「きょーもごはんさがすのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃん3「なのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ
姉妹アライちゃん4「なのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ
姉妹たちが、食べ物を探していると…
姉妹アライちゃん2「んん!こっちからいーにおいしゅゆのりゃあ!」ヨチヨチヨチヨチ
姉妹アライちゃん3~4「「なのりゃあー!」」ヨチヨチヨチヨチ
姉妹たちは、そのいいにおいがする方へ這い寄った。
そこには…
いい匂いがする箱が、たくさんあった。
156 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 01:02:17.74 ID:aO0nSPlVo
野良アライちゃん3「うゆ~!たべゆのりゃあ~!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ
野良アライちゃん3は、箱へ突撃する。
野良アライちゃん3「なのりゃー!」スポッ
箱へ頭を突っ込むと…
粘着シート「」ベタアアッ
野良アライちゃん3「うゆうぅ!?と…とれ…ないぃ…!?」ビクゥ
姉妹アライちゃん2&4「「!?」」
野良アライちゃん3「とれないいいい!うゆうううう!とれないのりゃああああああっ!」グイグイシッポブンブン
なんと野良アライちゃん3は、箱にくっつき、出られなくなってしまった。
野良アライちゃん3「とってえー!たしゅけてえーっ!」ジタバタ
姉妹アライちゃん2&4「「いまたしゅけゆのりゃ!わっちぇ!わっちぇ!」」グイグイ
尻尾を引っ張る姉妹達。
野良アライちゃん3「いぢゃあいいい!とれないいいい!」ピギイイイィイ
…だが、一向にとれる気配はない。
157 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 01:09:32.73 ID:aO0nSPlVo
野良アライちゃん3「たしゅけてえ!はやくたしゅけてえ!」シッポブンブン
姉妹アライちゃん2「…わ…」
姉妹アライちゃん4「わな…なのりゃ…!」
野良アライちゃん3「!!!」
罠…
そう聞いて、野良アライちゃん3は、自分の母親が木の実を餌にして、鹿や猪、小さな猿などを狩っていたことを思い出した。
野良アライちゃん3「ぴ…ぴぃ…」ガクガクブルブル
…自分が今捕まっている『これ』は…
母親がやった『あれ』と、同じものだ。
野良アライちゃん3「…ぴいいいぃいいlーっっ!やなやなやなやなああああーーーっ!たべられたくないいいいいいいいいーーーーっ!」ピギイイイィイシッポブンブン
野良アライちゃん3は、大声で泣き出した。
野良アライちゃん3「たしゅけてえええええええーーっ!おねーしゃ!いもーと!たしゅけてえええええええーーっ!」ビエエエンシッポブンブン
野良アライちゃん3は、とにかく泣きわめいた。
158 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 01:15:22.73 ID:aO0nSPlVo
姉妹アライちゃん2「ここまでなのりゃ、いもーと…おまえはきっと、ひとしゃんにたべられゆのりゃ…!」
姉妹アライちゃん4「でも、おまえのことはわすれないのりゃ…!」
野良アライちゃん3「ぴぃ!?な、なにいって…!」
姉妹アライちゃん2&4「「おまえのぶんまでいきゆのりゃああーーーーっ!」」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃん3「…」ポツーン
姉妹は去っていた。
野良アライちゃん3「や…やなああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーっ!やああああああーーーなあああああーーーーーっ!」ビエエエンシッポブンブン
野良アライちゃん3「だぢゅげでえええええええええーーーーっ!」ピイイイイイイイイイイ
野良猫に襲われ、自分たちが見捨てた長女も、こんな気分だったのであろうか。
野良アライちゃん3は、なんだかんだで自分は生き延びれると思っていた。
姉妹達が犠牲になっても、自分は特別に生き延びれると思っていた。
だが、その幻想は、ほんの一瞬で崩れ去った。
野良アライちゃん3「しにだぐないいいいいいいいいいいいいいいっ!たべられだぐないいいいいいっ!のおおおおーーーーぁああああーーーーんっ!」ビエエエン
…今回、『残機』となって減ったのは…
自分だったのだ。
姉妹が生き延びるための『知恵』となって消えるのは、自分だったのである。
野良アライちゃん3「なんでありゃいしゃんがこんなめにあわなくちゃいけないのりゃあああーーーーーーーーーーっ!」ビエエエン
159 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/19(木) 01:15:50.57 ID:aO0nSPlVo
続く
最終更新:2019年02月03日 23:28