182 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/29(日) 10:40:14.38 ID:JtzNBDz9O
哺乳類の幼獣と成獣の間には、どれだけの知能の差があるだろうか。
はっきり言って、その差は段違いに大きい。
生きてきて学習した情報や知識の差もあるが、
何よりも脳組織の成長度合いが違う。
小さな小さな幼獣の未発達な頭では、独り立ちして生きていくことはほぼ不可能だ。
体も貧弱で、知能も未熟な幼獣は、親に育てて貰わなくては厳しい自然の中を生きていけないのである。
野良アライちゃん3「おねえええしゃああああああーーんっ!おがあああああああしゃあああああああああーーーんっ!ぴぃぎゅるるるるるるぅーーっ!」ビエエエエエン
野良アライちゃん3「のおおぉおおおおおおおぁああああああーーーーーーーーんっ!!!の゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ーーん゛っ!!!」ピギイイィシッポブンブン
アライちゃんとて同じ。
アライちゃんは、まだまだ生育途中の初期段階の赤ちゃんなのである。
アライさんという動物(?)になりかけの段階、昆虫でいうとこの幼虫にあたる。
だがアライちゃんの体は本来、昆虫の幼虫と違って生後すぐに独りで生きていけるようにはできていない。
その貧弱すぎる肉体。
その未成熟な知能。
独り立ちするのはあまりにも無謀すぎる。
野良アライちゃん3「かえりだいいぃいいいいーーーーっ!!!おうぢがえりだいいぃいいーーーーっ!」ピギイイィシッポブンブン
親からインターンシップに駆り出される、アライちゃんという幼獣は…
はっきり言って、本来親無しでは生きていけないほど弱々しい生き物なのである…。
先天的に高い知能を持った一部の天才個体を除いて。
ただの平凡な才能しか持っていなかった野良アライちゃん3など、こうなって当然なのである。
183 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/29(日) 11:39:24.53 ID:W66yZ5wYo
そこへ…
野良アライちゃん5「こっちからいーにおいしゅゆのりゃ!」ヨチヨチ
野良アライちゃん6「なのりゃー!」ヨチヨチ
2匹の野良アライちゃんがやってきた。
野良アライちゃん3「!!ぴ、ぴいぃいいいい!そこのおまえたちぃ!ありゃいしゃんをたしゅけてえええ!」ジタバタシッポブンブン
アライホイホイにくっついたまま、野良アライちゃん3は尻尾をブンブンばたつかせた。
野良アライちゃん5「うゆ!?これ…わななのりゃあ!?」ビクゥ
野良アライちゃん6「くんくん…うゆぅ、こんなわなが…。おぼえたのりゃ!」ピトピト
野良アライちゃん5&6は、他にもアライホイホイがあることのを見つけた。
あれこれいじくり回し、アライホイホイを学習したようだ。
184 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/29(日) 11:56:41.87 ID:W66yZ5wYo
野良アライちゃん3「いーからはやくたしゅけてえええーーーっ!」ジタバタ
野良アライちゃん5「どーしゅゆのりゃ…?」シッポフリフリ
野良アライちゃん6「うゆぅ…。しんだいもーとのかわりにできゆかもしれないのりゃ!たしゅけゆのりゃあ!」ガシィ
野良アライちゃん5「おい、おまえ!たしゅけたら、ありゃいしゃんたちのけらいになゆかー!?ふぅーっ!」フゥーーッ
野良アライちゃん6「めしつかいになゆかぁー!?ふぅーっ!」フシャアア
野良アライちゃん5&6は、尻尾を立てて体を大きく見せ、野良アライちゃん3を威嚇した。
野良アライちゃん3「なゆ!なゆからたしゅけてええ!」ジタバタ
野良アライちゃん5「ふははー!じゃーたしゅけてやゆのりゃ!」ガサガサ
野良アライちゃん6「こんなんはむれでわけあうのりゃ!」ガサガサ
野良アライちゃん5&6「「わっちぇ!わっちぇ!」」グイグイ
野良アライちゃん5&6は、3を家来にするため助け始めた。
野良アライちゃん達の中には、独りで生きていくにはあまりに弱々しいが…
少数の群れで集団行動をとることで、効率よく餌を獲得できることに気付く個体もいる。
こういう個体は、死んだ姉妹の代わり…『残機』を増やすために、
血縁関係のない他のアライちゃんを従えようとすることがある。
厳しい生存競争を生き残れるのは、こういった発想やアイデアで貧弱な肉体をカバーできる狡猾な個体のみである。
189 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/30(月) 07:04:14.15 ID:Ii1LACq1O
野良アライちゃん達の最大の武器…
それは、木登りの上手さや、器用な手よりも…
『言語能力』であると言う有識者もいる。
野良アライちゃん達は、互いに言語による意思疎通や情報伝達が可能である。
他の野性動物とは一線を画した高度なコミュニケーションを行える。
そして、コミュニケーション能力を有効に活用するには…
『群れる』ことが必要不可欠だ。
単独では穴ひとつ掘るのさえ苦労する野良アライちゃんだが
二匹、三匹集まれば、できることの幅はうんと増える。
その上、『仲間の死からの学習』をする回数も増える。
野良アライちゃん5&6は、野良アライちゃん3のためを思って助けようとしているわけではない。
自分たちのためである。
野良アライちゃん5&6「「わっちぇ!わっちぇ!」」グイグイ
野良アライちゃん3「ありがとうなのりゃあ…!ぐしゅっ、ひぐっ…!がんばってなのりゃ!」シッポフリフリ
だが、動機はどうであろうと。
仲間を救おうとしていることに違いはない。
190 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/30(月) 07:09:29.43 ID:Ii1LACq1O
野良アライちゃん5&6「「とれないのりゃー!」」ゼェハァ
野良アライちゃん3「のりゃ!?」
しかしながら。
野良アライちゃんが群れることなど、アライホイホイのメーカーも想定済み。
たかがヨチラー二匹がガンバるだけで逃げられてしまうようなお粗末な罠など、販売できるわけがない。
アライちゃん防除グッズの中では売れ筋製品のアライホイホイは、こんな貧弱なヨチラー共がちょっと頭をひねってどうこうした程度で
害獣をとり逃がすようなヘマはしない。
野良アライちゃん5「たしゅけゆのはむりなのりゃ…」
野良アライちゃん3「ぴいぃーーっ!?あきらめゆなぁ!ありゃいしゃんのききなのりゃあ!」シッポブンブン
野良アライちゃん6「ぜぇはぁ…どーしゅゆのりゃこいつ?おにくにしゅゆのりゃ?」シッポフリフリ
野良アライちゃん3「ぴいいぃぃっ!?」ビクゥ
191 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/30(月) 07:12:32.25 ID:Ii1LACq1O
野良アライちゃん3「ふ、ふうぅーっ!くゆなぁ!ぶっこよすぞぉっ!きゅるるぅ!」フゥーーッ
野良アライちゃん3は、野良アライちゃん5&6を威嚇する。
野良アライちゃん5「やめとくのりゃ、あぶないのりゃ…。それより、あっちになんかあゆのりゃ」クンクン
野良アライちゃん6「なんなのりゃ?」
野良アライちゃん5「こっちなのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃん6「なのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃん5&6は、野良アライちゃん3を放っておき、民家の前にある…
…チューリップの植木鉢に向かった。
野良アライちゃん5「ここほゆのりゃ!」ザックザック
野良アライちゃん6「わっちぇ!わっちぇ!」ザックザック
192 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/30(月) 07:18:53.31 ID:Ii1LACq1O
チューリップの植木鉢の土を掘ると、球根が露出した。
野良アライちゃん5&6「「おやしゃいなのりゃー!≧∀≦」」シッポフリフリフリフリフリフリ
野良アライちゃん3「お、おやしゃいぃ!?ありゃいしゃんにもくわせゆのりゃあ!…ふんぐぅー!とれないぃ!」ジタバタジタバタ
野良アライちゃん3は、アライホイホイでもがいている。
野良アライちゃん5「あむあむあむあむあむあむあむあむっ!」カリコリカリコリカリコリカリコリ
野良アライちゃん6「あむあむあむあむあむあむあむあむっ!」カリコリカリコリカリコリカリコリ
野良アライちゃん5&6「「げぇーぷ!おいちかったのりゃあ!」」
野良アライちゃん5&6は、植木鉢のすべてのチューリップの球根を食いつくしてしまった。
野良アライちゃん3「う、うぅ~!たしゅけろぉ!ありゃいしゃんをたしゅけろぉーーーっ!けらいになゆからぁーっ!≧Д≦#」モゾモゾ
野良アライちゃん5&6「「むりなもんはむりなのりゃー!」」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃん3「ぴいぃーーっ!いがないでぇーーっ!。≧Д≦。」
野良アライちゃん3「のぁああああああああーーーーんっ!のおおおぉおーーーーぁああああーーーんっ!」ビエエエエエン
野良アライちゃん3は、そのまま朝まで『鳴き』続けた。
193 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/30(月) 07:22:15.39 ID:Ii1LACq1O
そして、夜が明けるまでに、もう1組の野良アライちゃん姉妹がやってきて…
アライホイホイの罠を学習し、去っていった。
194 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/30(月) 07:23:47.74 ID:Ii1LACq1O
…翌朝…
野良アライちゃん3「ぴいぃーーー!ひとしゃん!たしゅけてぇええーーーっ!」シッポブンブン
植木鉢の前に大量に仕掛けられたアライホイホイ…
粘着テープの罠。
そのうち1つだけに、野良アライちゃん3がくっついている。
ガラッと音がして、民家のドアが開いた。
花好きおばさん「あああああああ!!クソ!!!あたしのチューリップがぁ!」
中から出てきた人間は、荒らされ、ほじくり返されたチューリップの植木鉢の前で激昂している。
チューリップは野良アライちゃん5&6が球根をほじくり返し、食ったのである。
この人間は、植木鉢を守るためにアライホイホイを仕掛けようだが…
野良アライちゃん3「うゆうぅ~~!ひとしゃん!とってくれたらあらいしゃんのせなかなでなでしていいぞぉ!ほっぺなめなめちてやゆぞぉ!」ヒグッグスッ
罠にかかったのは、大泣きして涙と鼻水を垂らしている野良アライちゃん3…一匹のみ。
他にも何匹か野良アライちゃんは来た。
だが、罠にかかった野良アライちゃん3の様子を見て、アライホイホイを罠だと学習し、植木鉢を荒らして帰っていった。
花好きおばさん「ハァー…ハァー…くそ…」ピポパ
花好きおばさんは、電話をかけはじめた。
195 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/30(月) 07:28:12.58 ID:Ii1LACq1O
野良アライちゃん3「うぅ、ぅうっ…!」ガクガクブルブル
この人間は自分をどうする気だろうか?
やはり、捕まえて食べるつもりなのだろうか…。
そのうち、軽トラに乗った人間が来た。
荷台には大きな箱が積まれており、アライちゃんの泣き声がたくさん聞こえてくる。
アライ回収業者「どうも…野良アライちゃん一匹ですね。50円で引き取ります」ガシィ
野良アライちゃん3「ひとしゃん!とってぇ!とってぇ!うゆぅ、うみゅみゅぅぅ~~~っ!」ジタバタシッポブンブン
野良アライちゃん3は、アライホイホイにくっついたまま、懸命に身をよじった。
アライ回収業者「では」ガシッ
野良アライちゃん3「う、うゆぅ!?」ビクゥ
アライ回収業者「ほいっと」ポイッ
野良アライちゃん3「ぴいぃい!」ヒュー
野良アライちゃん3は、軽トラへ積まれた箱の中へ投入された。
野良アライちゃん3「だぢでえええええ!せまいのやなのりゃああああっ!おうぢがえゆうぅう!おながしゅいだあああ!」モゾモゾ
アライ回収業者「ご利用ありがとうございました」
軽トラ「」ブゥーン…
野良アライちゃん3を乗せた軽トラは走り出した。
花好きおばさん「あーーーもう!どうしたらあのアライどもを殲滅できるんだい!」
古道具屋おばさん「花さん、大変ですねぇ…」
花好きおばさん「全くだよ…。でも、花を植えるのはやめたくない…」
古道具屋おばさん「…そうだ、うちの息子が今帰ってきてるから、ちょっと相談してみようかねえ」
花好きおばさん「ん…。何だっけ、くず鉄業者の?」
196 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/30(月) 07:36:15.40 ID:Ii1LACq1O
…
野良アライちゃん3「うゆうぅ…!だれかたしゅけてえぇ…!」ブルブル
野良アライちゃん3は、アライホイホイの粘着シートにくっついたまま、トラックで運ばれていた。
これまでの自分の人生を思いだしながら…。
野良アライちゃん3「だれか…だれかぁ…!うぅ…!」ヒグッグスッ
自分はこれからどこへ連れていかれるのか…。
いくら想像しても、悪い未来しか思い浮かばなかった。
野良アライちゃん3の心は、少しずつ絶望に支配され始めた。
野良アライちゃん3「…」キョロキョロ
野良アライちゃん3は、箱の中のまわりの様子をうかがう。
死骸アライちゃん「」
野良アライちゃん6「あぐあぐ!もぐもぐ!」ムシャムシャ
自分とともに捕まった他の野良アライちゃんが、死骸を貪っている。
野良アライちゃん3「あ、ありゃいしゃんもたべたいのりゃ…んんー!とれないぃ!」ググググモゾモゾ
だが、粘着シートがそれを阻んだ。
…やがて、軽トラは止まった。
野良アライちゃん3や、他たくさんの野良アライちゃんを乗せた箱は、どこかへ運ばれていく…。
197 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/07/30(月) 07:36:48.57 ID:Ii1LACq1O
つづく
最終更新:2019年02月03日 23:36