アットウィキロゴ

野良姉妹の生活・研究所編

219 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/03(金) 19:36:08.91 ID:r23DoIbKO
野良アライちゃん3「うゆぅ…うゆぅうぅっ…おかーしゃんっ…」グスグス

たくさんのアライちゃん達(大部分は死骸)と箱に閉じ込められている野良アライちゃん3は、母親と過ごした日々を思い出していた。

野良アライちゃん3「おがーしゃん…たしゅけてぇ…!おうぢ…がえりだいぃっ…」シクシク

野良アライちゃん3は、母親から無理矢理インターンシップへ向かわされた。

拒否すると物凄い剣幕で怒られ体罰を受けるため、インターンシップに行かざるを得なかった。

しかし。

野良アライちゃん3「おうぢ…がえりだいいぃいっ…!」シクシク

本当は、インターンシップなど行きたくなかった。

本当は、もっともっと大好きな母親に甘えたかった。

毎晩毎晩、強烈なホームシックにかられていた。

許されるならすぐにでも、母親のもとへ戻りたかった。


そう思うのも無理はない。

野良アライちゃん3は、言葉こそ喋れても、赤ちゃんなのである。

母親が恋しくならない赤ちゃんなどいない。

その肉体や、知能は、明らかに。
誰の助けも借りず自立することなど、不可能なほど幼いのである。

膝をついたヨチヨチ歩き(人間でいうとこのハイハイ)は、野良猫から逃げ切れないほど遅く、ネズミを捕まえられないほど遅い。

アライちゃんの肉体は、とにかく…
とにかく貧弱この上ない。
鋭い爪と牙以外、武器などないのである。


220 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/03(金) 19:39:09.51 ID:r23DoIbKO
野良アライちゃん3「ぐしゅぅっ…うゆぅ、う…」ウトウト

野良アライちゃん3はそのうち眠くなってきた。

アライちゃんは、昼でも夜でも起きて活動できるが、それでも1日10時間ほど眠る必要がある。

野良アライちゃん3は普段、昼寝て夜起きる生活をしていた。

昼は寝る時間なのだ。

野良アライちゃん3「おかー…しゃ…。しゅぴぃー…しゅぴぃー…」zzz

野良アライちゃん3は、すやすやと眠ってしまった。


221 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/03(金) 19:45:52.73 ID:r23DoIbKO
…

野良アライちゃん3「うーん…うゆぅ…」モゾモゾ

野良アライちゃん3は目を覚ました。

野良アライちゃん3「のりゃ!?ここどこなのりゃ!?」キョロキョロ

野良アライちゃん3が目覚めたのは、床も壁も天井も真っ白な迷路の中だった。

野良アライちゃん3「おなかすいたのりゃ…」グーギュルルル

そのとき…
遠くから、食べ物のにおいが漂ってきた。

野良アライちゃん3「うゆ!?くんくん…なんかいーにおいしゅゆのりゃあ!くんくん!」ヨチヨチ

野良アライちゃん3「すすむのりゃー!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ



野良アライちゃん3は、白い壁の迷路を、においのする方へ向かってひたすら進んだ。


222 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/03(金) 19:56:41.98 ID:r23DoIbKO
だが…

野良アライちゃん3の前に、文字通り壁が立ち塞がった。

野良アライちゃん3「うゆ!いきどまりなのりゃ!?」ピタッ

これ以上は進めない。

野良アライちゃん3「こっちからいーにおいしゅゆのにぃ!のりゃっ!のりゃっ!」ピョンピョン

野良アライちゃん3は、壁にくっついてピョンピョン跳ねる。

野良アライちゃん3「ここのぼゆのりゃー!…うゆぅ、つゆつゆしゅべゆぅ!」ピョンピョン

野良アライちゃん3は壁を登ろうとしているが、掴まるところがないようだ。

野良アライちゃん3「ほかのとこいくのりゃ」ヨチヨチ

野良アライちゃん3は、においのする方へ向かって迷路をウロウロしているが…

野良アライちゃん3「うゆぅぅ~~~!どっちいったらいーのりゃあーーっ!」ピイイィイ

一向ににおいの元へは辿り着けない。


223 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/03(金) 20:09:05.98 ID:r23DoIbKO
野良アライちゃん3「ふうぅー!うぅー!」ウロウロヨチヨチ

野良アライちゃん3は、においへ近付こうとして、同じ道を行ったり来たりしている。

野良アライちゃん3「うー!どこからいけゆのりゃあーー!」ピイイイィイ

野良アライちゃん3は、どれだけにおいの元へ近付こうとしても近づけないので、苛立ってきているようだ。

野良アライちゃん3「うゆ!うゆ!」ドカドカ

やがて、壁に体当たりをし始めた。

野良アライちゃん3「うゆうぅ~~っ!こわれろぉーー!こわれろぉーーっ!のーりゃっ!のーりゃっ!」グイグイググググ

野良アライちゃん3は、壁を全力で押しているが、びくともしない。

野良アライちゃん3「うゆぅ…」ヨチヨチヨチヨチ

野良アライちゃん3は壁から距離をとり…

野良アライちゃん3「たあ~!」ヨチヨチヨチヨチ

助走をつけ、全速力でヨチヨチ突進した。

野良アライちゃん3「ぴぃ!」ゴチン

そして壁に思い切り頭突きをした。

野良アライちゃん3「う゛っ…ふみゅうぅうぅ~~ん…うみゅぅ…」ガクッ

そして、頭突きの衝撃で気絶した。


224 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/03(金) 20:15:05.16 ID:r23DoIbKO
野良アライちゃん3「う…うゆぅ…」ムクッ

やがて目を覚まし体を起こした。

野良アライちゃん3「おなかしゅいたのりゃ…」グーギュルルル…

野良アライちゃん3「おーーーなーーーがーーーしゅいだああーーーーっ!!のどがわいだああーーーっ!」ジタバタジタバタ

野良アライちゃん3「ごはんごはんごはんごはんごはんごはんーーーーっ!おみじゅおみじゅおみじゅおみじゅおみじゅおみじゅぅーーーーっ!!」ピギイイジタバタジタバタ

野良アライちゃん3は独りぼっちでギャーギャーと癇癪を起こした。

野良アライちゃん3「うぅ…」スッ

やがて、尻尾を上げると…

野良アライちゃん3「うぅーっ!」ブリブリ

迷路の真ん中で脱糞した。

野良アライちゃん3「おちっこもしゅゆのりゃ!はぁ~…」チョロロロロ

そして排尿した。


225 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/03(金) 20:19:51.87 ID:r23DoIbKO
野良アライちゃん3「うぅーくしゃいのりゃあ!」ヨチヨチヨチヨチ

野良アライちゃん3は、自分の排泄物から離れた。

野良アライちゃん3「たべものさがすのりゃ…」ヨチヨチヨチヨチ

野良アライちゃん3は、がむしゃらに迷路を進んだ。

10分前に来た道を、再び歩いたりしている。

野良アライちゃん3「うぅ…もうやなのりゃ…!」ヨチヨチヨチヨチ

野良アライちゃん3は、迷路を進むのに疲れてきた。

野良アライちゃん3「ここからでたいのりゃ…ごはんたべたいのりゃ…」ヨチヨチヨチヨチ

野良アライちゃん3「どーしゅればいーのりゃーーっ!」ヨチヨチヨチヨチ


226 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/03(金) 20:24:21.89 ID:r23DoIbKO
野良アライちゃん3「うゆ!?なんかあゆのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ

やがて、真っ白い床の上に何かがあるのを見つけた。

野良アライちゃん3「くしゃいのりゃ!だれかのうんちか!?だれかいゆのかー!?」ヨチヨチヨチヨチ

見なくてもニオイで分かった。
あれは大便だ。
ともあれ、近付いてみた。誰か別のアライちゃんがいるのかもしれない。

野良アライちゃん3「くんくん…ふんふん…」クンクン

大便のにおいをかいだ。

野良アライちゃん3「…」




野良アライちゃん3「…これ、ありゃいしゃんのにおいなのりゃああーーーーっ!」


そう。
これは先ほど、野良アライちゃん3が排泄した糞尿であった。

迷路の中をぐるぐるヨチり回った挙げ句、また同じ場所へ戻ってきたのである。


227 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/03(金) 20:26:49.24 ID:r23DoIbKO
野良アライちゃん3「がんばったのにぃぃいいーーーーーっ!ありゃいしゃんおててもあんよもへとへとになゆまでがんばってあゆいたのにぃーーーっ!」ビエエエエエン

全て振り出しに戻った…。

野良アライちゃん3は、ただただ泣いた。

野良アライちゃん3「の
お゛ぉ゛ぉ゛ぁ゛あ゛あ゛ーーーーあ゛ん゛っ!」ビエエエエエン

野良アライちゃん3「おーーーーなーーーーーーがああああああーーしゅーーーいーーーだあああああああああああああーーーーーーっ!!!!」

野良アライちゃん3「もーーーーやなあああーーーっ!やああーーーーなあああああーーーーーっ!ここやなああああーーーっ!」ビエエエエエン

野良アライちゃん3はひたすら泣きじゃくった。


228 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/03(金) 20:32:58.72 ID:r23DoIbKO
お腹が鳴る度に、遠くからする食べ物のにおいが鼻腔をそそる。

野良アライちゃん3「たべものおおおおおおおおおっ!」ヨチヨチヨチヨチ

野良アライちゃん3は、においが漂ってきた方へ向かってひたすら進もうとするが…

野良アライちゃん3「ぜぇ…ひぃ…ちゅかれたあああっ…」グッタリ

この迷路で目を覚ましてから3時間が経過していた。

精神力も、体力も、とっくにボロボロだ。



野良アライちゃん3は、ただただ泣いた。

その姿はまさに幼子そのもの。

母親に助けをねだる赤ちゃんそのものであった。

この大きさのアライちゃん本来の…
年相応の…
ありのままの姿であった。


237 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 10:37:27.27 ID:t7uA5xfxO
野良アライちゃん3「う…ぐ、ぎゅ…ふむぎゅぅっ…」ヨチヨチ

野良アライちゃん3は、進もうとするが…

野良アライちゃん3「もうつかれたのりゃあ…」グデー

…そのまま止まってしまった。

乳離れこそしていても、所詮は赤ちゃん。
3時間もヨチヨチ這い回っては体力も尽きる。

そもそもアライちゃんは、その不自然で異常な大きさの頭のせいで、ヨチヨチすること自体がなかなか大変なのである。

加えて、ずっと飲まず食わずだ。

野良アライちゃん3「お…み…じゅう…」ゼェハァ

這い回る元気すら、もう無さそうだ。

野良アライちゃん3「ふぅー…ふぅー…」ウルウル

野良アライちゃん3は、ここに来るまでのことを思い出した。

アライホイホイにくっつき、姉妹に見捨てられ…

人間によって箱へ閉じ込められた。

そして目が覚めたら、ここにいた。

野良アライちゃん3「…うゆ…べとべとがもうないのりゃ…!」パチクリ

迷路を3時間もウロチョロして、ようやく粘着シートの罠から脱出していることに気付いたようだ。


238 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 10:42:16.29 ID:t7uA5xfxO
野良アライちゃん3「おねーしゃん、いもーと…!ありゃいしゃんはここなのりゃあ、だしつできたのりゃあ!」ピーピー

野良アライちゃん3「おねーしゃ…!いもーと…!たしゅけてぇ…!」グスグス

野良アライちゃん3「おなか…しゅい…た…!のどかわいた…!」

野良アライちゃん3「お…み…じゅ…」ヨチヨチ

野良アライちゃん3は、先ほど排泄した糞尿へ近付いた。

野良アライちゃん3「ぺちゃぺちゃ…」ペチャペチャ

そして、凄く嫌そうな顔をして自分の尿を舐めた。

野良アライちゃん3「まじゅい…まじゅいぃ…!」ウルウル ペチャペチャ

あまりの不味さに泣きそうになる野良アライちゃん3。

だが、これ以外に水分補給できるものはない。

野良アライちゃん3「う、ゆぅ…」ヨチヨチ ゴロン

野良アライちゃん3は、排泄物から少し 遠ざかって…

野良アライちゃん3「しゅぴぃー…しゅぴぃー…」zzz

…すやすやと眠り始めた。


240 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 10:46:21.67 ID:t7uA5xfxO
それから1時間、野良アライちゃん3は昼寝をした。

野良アライちゃん3「う…ゆ…」ムクリ

そして目を覚まし、体を起こすと…

野良アライちゃん3「お…み…じゅ…」フラフラ ヨチヨチ

迷路の中を再びさまよいヨチった。

野良アライちゃん3「…」フラフラ ヨチヨチ

まるで亡霊のように静かに黙りながら、ひたすら右手側へ進んでいる。

野良アライちゃん3「…」ヨチヨチ

野良アライちゃん3は、もう何も考えていなさそうだ。

どちらに餌がありそうか、どうすれば脱出できるかなど考えていなさそうである。

ただひたすら、この道を進む。

それしか考えていないといった様子である。


241 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 10:51:00.84 ID:t7uA5xfxO
野良アライちゃん3「…」ピタッ

野良アライちゃん3は、なにかを見つけた。

水ボトル「」ゴロン

それは、水が入ったペットボトルであった。

野良アライちゃん3「ふぅーーーっ!うぅーーーっ!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

野良アライちゃん3は、ペットボトルへ襲いかかった。

野良アライちゃん3「はぐがぶぅ!ふぅううーっ!きゅるるるるぅうっ!はぐぅ!」ガブガブバリバリ

野良アライちゃん3は、ペットボトルに噛みついたり、引っ掻いたりしている。

野良アライちゃん3「のりゃっ!のりゃっ!」ベチベチ

ペットボトルに体当たりをしている。

だが、ペットボトルは壊れなかった。

野良アライちゃん3「ふぐぎゅるるるるぅ!ふぎゅうぅう!ふしゃあああっ!」ガジガジ

どんなに噛んでも、ペットボトルに穴は空かない。

野良アライちゃん3「うぅーーっ!ふぎゃうぅーーっ!ぶぎゃるるるうぅうっ!」バシバシ

何度ひっぱたいても、ペットボトルは壊れない。


242 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 10:53:22.85 ID:t7uA5xfxO
野良アライちゃん3「うぅ!がう!ぎゃうぅっ!ばうぅっ!」ガァンガァンガァン

野良アライちゃん3は、ペットボトルへ頭突きを繰り返した。

野良アライちゃん3「ぜぇ…はぁ…」ゼェハァ

息が上がり、疲れてきたようだ。

野良アライちゃん3「う…ぅううぅっ…」ポロポロ

野良アライちゃん3は涙を流した。

野良アライちゃん3「うぅうぅっ…ぺろぺろ…」ペチャペチャ

野良アライちゃん3は、水入りのボトルを舐めた。

無論、そんなことをしても喉が潤うはずがない。


243 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 10:56:48.73 ID:t7uA5xfxO
野良アライちゃん3「ふぎゃう…きゅるるるぅ…」ヘナヘナ ペタリ

とうとう野良アライちゃん3は、その場にうつぶせに突っ伏してしまった。

野良アライちゃん3「…ぴいぃい…ぴぃいいいいっ…!」チュパチュパ

野良アライちゃん3は、ペットボトルの蓋を、哺乳瓶のようにしゃぶっている。

哺乳瓶と違って、水は出てこないが…。

野良アライちゃん3「おかあしゃ…おか、しゃ…」ペチャペチャ

野良アライちゃん3は、ひたすらボトルをしゃぶっている。

野良アライちゃん3「んぱっ…きゅるるるるぅ…きゅるるるぅ…」

とうとう、ボトルをしゃぶるのを止めた。

野良アライちゃん3「…」

野良アライちゃん3は、うつらうつらと目を閉じ始めている。


244 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 11:04:55.24 ID:t7uA5xfxO
野良アライちゃん3「…」グッタリ

野良アライちゃん3は、動かなくなった。



研究員1「…」ガパッ

研究員1が、迷路の天井(蓋)を外した。

迷路の壁の高さは1メートル程、床から天井までは1.4メートルである。

研究員1「…」ガシィ

野良アライちゃん3「…」ブラーン

研究員1が、野良アライちゃん3の首のファーを握って、迷路から出した。

研究員1「実験終了」ピッ

研究員1はなにかのタイマーを止めた。

研究員2「ケージ持ってきました」ガラガラ

研究員2は、一般的なペットアライちゃん用ケージを台車に乗せて持ってきた。

ケージの中にはプールや、生きたコオロギ(活き餌)、クルミの実やイガ栗などが入っている。


245 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 11:08:40.65 ID:t7uA5xfxO
研究員1「よいしょ」ポイッ

野良アライちゃん3「…」バシャッ

野良アライちゃん3は、ケージの中の小さなビニールプールに投入された。

野良アライちゃん3「…!」ブクブクブクブク

しばらくビニールプールの中で動かずにいたが…

野良アライちゃん3「ぷはぁっ!きゅるるるるぅ!ぴきゅるるるるるぅぅっ!」バシャバシャ

目を覚ましたのか、ばしゃばしゃと暴れだした。

野良アライちゃん3「ぜは、がはっ!ぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃ!」ゴクゴクゴクゴク

そして、ビニールプールの水を凄い勢いで飲み始めた。

野良アライちゃん3「ぜぇ、はぁっ!んごぐっ!ごぐごぐごぐごぐっ!」ゴクゴクゴクゴクゴクゴク

ビニールプールの水かさはどんどん減っていく。


246 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 11:13:00.32 ID:t7uA5xfxO
研究員1は、すぐにケージの蓋を閉め、白い布で覆った。

野良アライちゃん3「ぷっはああああ!!」ゼェハァ

野良アライちゃん3「うぅ~~!ごはん!ふぅううーーっ!」キョロキョロ

野良アライちゃん3は、ケージの外の研究員に気付いていないのだろうか…

ケージの中で食べ物を探し始めた。

コオロギ達「「…」」ピョンピョン

野良アライちゃん3「こーよぎ!こーよぎなのりゃあ!たあ~!」ヨチヨチヨチヨチ

さすがにのろまな野良アライちゃん3でも、虫ぐらいなら捕まえることができる。

野良アライちゃん3「はぐはぐ!あぐっあぐっ!ぐっちゃぐっちゃっ!」グチャグチャ

そして、捕まえたコオロギを物凄い勢いで食い始めた。

野良アライちゃん3「はぐはぐはぐっ!うゆぅ!のりゃ!のりゃっ!あむっ!」パクムシャパクムシャ

野良アライちゃん3は、獲物を食べることしか考えていないようだ。


247 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 11:15:50.88 ID:t7uA5xfxO
だが、コオロギはすぐに無くなった。

野良アライちゃん3「うぅーー!ふぅーーーっ!」ヨチヨチヨチヨチ

次は、イガ栗や、クルミの方へ向かったが…

野良アライちゃん3「ぴぃ!?」チクッ

栗の針のせいで、栗を食うことはできず。

野良アライちゃん3「あぐあぐあぐ!」カリカリ

硬いクルミの殻を噛み砕くこともできなかった。

野良アライちゃん3「ふぅーーーっ!ふぅーーーっ!きゅるるるぅうーーっ!」ヨチヨチヨチヨチ

そして、ケージの中を這い回った。


248 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 11:18:55.87 ID:t7uA5xfxO
野良アライちゃん3「ぜぇ、はぁ…」グーギュルルル

野良アライちゃん3は、ひとしきり暴れた後…

野良アライちゃん3「…」グッタリ

暴れ疲れたのだろうか、そのまま横になった。

野良アライちゃん3「…うゆぅ…むにゃむにゃ…。しゅぴぃー…しゅぴぃー…」スヤスヤ

そして、そのまま眠ってしまった。


249 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 11:26:12.77 ID:t7uA5xfxO
研究員1「…今回のアライちゃんも、迷路を効率的に探索することはできなかったな」

研究員2「ああ。しばらく前に来た道を、後で同じように辿ったりしている。どうやら、アライちゃんはこういう道を覚えるのは苦手なようだ」

研究員1「それに、ほとんど食べ物のにおいのする方向へ一直線に進んでいた。本当は、一旦遠ざかる遠回りの道が正解なんだけどな…」

研究員1「その『一旦遠ざかる』というのが、野良アライちゃんにはできなかったようだ」

研究員2「…少しずつ、データが集まってきたな」

研究員1「ああ。迷路の中の糞尿を除去したら、この野良アライちゃんは別の研究室へ売ろう…」ガラガラ

研究員達は、迷路を清掃し始めた。


250 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 11:31:39.14 ID:t7uA5xfxO
やがて、研究室の入り口に、作業着の女性が来た。
荷台を持っている。

作業着の女性「ちわーす。アライちゃん引き取りにきました」

研究員1「お、アライ飼育室の方か。はい、検体はこのケージの中です」ガシャ

研究員1は、女性が持っている荷台へ、白い布で覆ったケージを乗せた。

作業着の女性「はい、ではお預かりします。研究室の口座には1200円を振り込んでおきますね」ガラガラ

作業着の女性は、野良アライちゃん3が入ったケージを運び、廊下を進んでいった…。

研究員1「いまだに実験用の野良アライちゃんは不足してるな…」

研究員2「ああ。大学のアライ飼育室から買値は1500円だが、生かしたまま売れば1200円で売れる」

研究員2「アライちゃんを殺さずにできる実験なら、実質300円でできるわけだな」


251 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 11:40:08.93 ID:t7uA5xfxO
東(あずま)大学…。

アライさんの生態や肉体に関する研究室がたくさん存在している。

アライ回収業も、この大学から出たベンチャー企業である。

研究員2「しかし、アライ回収業始めたはいいものの…まともに実験に使える野良アライちゃんは集まりが悪いようだな」

研究員1「無理もないですよ。生きたアライちゃんでも、たかが100円程度しか買い取らないですし。利用者が少ないんです、このサービス」

研究員2「やっぱりか…。実際はもっとたくさん、住人達は野良アライちゃんを捕まえているんだろうけど。自分で殺して燃えるゴミに出したり、あるいは追っ払うだけで済ます人も多いようです」

研究員1「もっと効率的に野良アライちゃんを集めたいところだな…」


252 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 11:50:40.47 ID:t7uA5xfxO
研究室教授「どうだ、論文は書けそうか?」

研究員1「あ、はい!『アライちゃんの迷路探索実験による知能水準の考察』書けそうです!」

研究室教授「どれどれ、これがレポートか…」パラリ

  • 概要-

アライちゃんは、幼獣としては異常に高い知能をもつ。

その高いサバイバル能力や学習能力で、罠や動植物について学習していく。

しかしながら、アライちゃんは幼獣、つまり脳は発育途上にある。

一般の動物の成体を超えるほどの知能を持っているかは不明である。

そこで今回の実験では、迷路探索実験を行い、成体ドブネズミとアライちゃんの対照実験を行った。

その結果、アライちゃんの迷路探索能力は、成体ドブネズミより大きく劣ることが確認された。

このことから、発育途中のアライちゃんの知能は、サバイバルに最低限必要な能力のみが優先して発達しており、それ以外は遅い段階で発達していくものと推察される。


253 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 11:54:24.14 ID:t7uA5xfxO
研究室教授「…よろしい。次の学会は大丈夫そうだな」パラッ

論文を読み終えた研究室教授は、まあまあ満足といった表情をしている。

研究員1&2「「ありがとうございます!」」ペコリ


254 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 11:59:48.00 ID:t7uA5xfxO
~アライ飼育室~

野良アライちゃん3「うぅー…せまいのりゃ…」

野良アライちゃん3は、ケージの中に閉じ込められている。

野良アライちゃん3「はやくここからでたいのりゃ…でも、ごはんはもらえゆし…」ゴロン

野良アライちゃん3「うぅ…」

野良アライちゃん3は退屈そうにしている。

奇妙な運命であった。

アライホイホイに引っ掛かり、姉妹が罠を学習するための『残機』となって消耗され、消えるはずだった野良アライちゃん3。

そんな野良アライちゃん3が、人に保護され、実験動物として生き長らえているのである。

野良アライちゃん3「おねーしゃんたちは…どうしてゆんだろ…またあそびたいのりゃあ…」ゴロン


255 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 12:01:39.28 ID:t7uA5xfxO
そういえば、野良アライちゃん3を見捨てて生き延びた姉妹アライちゃん2&4は、今頃どこで何をしているのであろうか?








…こうなっていた。


256 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/04(土) 12:04:01.48 ID:t7uA5xfxO
続く


257 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/04(土) 12:05:29.76 ID:mRrXIXb4O
残りの姉妹はすでに罠にはまって駆除されていたとは…


258 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/04(土) 12:05:57.07 ID:sdrQDuQt0
乙

実験パートでも作者が変われば、違う分析になったりするからいいね





最終更新:2019年02月10日 22:06