483 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 21:30:54.36 ID:KfKgSfV5O
…
~飼い主男の家~
アライちゃん1「なのりゃ~!」シッポフリフリ
飼い主男「おーよしよし」ナデナデ
工場での教育を終え、ペットショップで無事に飼い主に購入されたアライちゃん1。
どうやら、優しい飼い主のもとに飼われたようだ。
飼い主男「ほら、ドッグフードだぞ」サッ
アライちゃん1「いただきましゅなのりゃ~!あむあむあむ!」モグモグ
ペット工場で食わせられていた不味い餌よりもずっと美味しかった。
アライちゃん1「ぷはー!ごちそーさまなのりゃ~!かいぬししゃんしゅきしゅきなのりゃあ~!≧∀≦」スリスリ
アライちゃん1は、飼い主に媚びた。
飼い主男「よーしよし、可愛いなあ。よし、お前に名前をつけよう」
アライちゃん1「のりゃ?」
飼い主男「そうだな、じゃあ…。お前の名前は、『アラ助』にしよう」
アライちゃん1「あらしゅけ!あらしゅけなのりゃ~!」シッポフリフリ
484 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 21:40:17.78 ID:KfKgSfV5O
アラ助は、散歩に連れていってもらった。
アラ助「う、うゆうぅ…」ヨチヨチヨチヨチ
首輪とリードをつけられて散歩するアラ助は、初めて外界に出たばかりだ。
周りには知らないものがたくさんある。
自動車「ブーン」ブゥーン
アラ助「ぴぃ!?いまのなんなのりゃ!?」ビクゥ
飼い主男「あれは車だよ。俺も持ってる。乗り物だ」
アラ助「うぅ、こわいのりゃ…」プルプル
ハムスター程度の大きさの手乗りサイズであるアラ助には、車は恐ろしい凶器に見えていた。
柴犬「ワンワン!」
おばさん「あっ、こら!吠えちゃだめ!」
アラ助「ぴぃいいいいいっ!こあいのりゃあああ!たべられゆぅううう!」ビクゥ
おばさん「どうもすみませんうちの子が怖がらせてしまって」ペコペコ
飼い主男「いえいえ、まだ赤ちゃんですから。何でも怖がるんですよ。ほら、アラ助、いくぞ」
アラ助「こあい…こあいいい…!」シクシク
飼い主男「仕方ないな。よっと」ヒョイ
飼い主男は、アラ助を抱っこした。
…というより、手に乗せた。
飼い主男「これで安心だろ」スタスタ
アラ助「うゆうぅ~♪かいぬししゃんのおてて、おちつくのりゃ~♪」
外は怖いものばかりだが、きっと飼い主はどんな危険からも自分を守ってくれるはずだ。
アラ助「かいぬししゃ~ん、ずっとずーっといっしょにいるのりゃ♪」スリスリ
飼い主男「ああ」ナデナデ
この先何があろうとも、優しくて頼もしい飼い主の傍を離れまい。
アラ助は、そう固く心に決めた。
486 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 21:49:17.13 ID:KfKgSfV5O
飼い主男はいつもの散歩コースから戻り、家についた。
アラ助「かいぬししゃん、おさんぽにつれてってくれてありがとーなのりゃ!」シッポフリフリ
アラ助は、工場で教わった通り、きちんと飼い主にお礼を言った。
自分は飼い主を喜ばせ、癒し、楽しませ、可愛がられるためだけに生きることを許される、一匹では生きていけない弱い弱い生き物。
その一方で、人間である飼い主はこの世で一番偉くて凄い生き物。
下等生物でありペットのアライちゃんよりもはるかに強くて偉大な格上の生き物。
そんな飼い主が、自分のために貴重な時間を割いて散歩に連れていってくれることは、大変有り難い。
飼い主の優しさに感謝しなさい。
…きっちりと教え込まれた通り、アラ助は心の底から飼い主男に感謝した。
飼い主男「お前はいい子だなぁ」ナデナデ
アラ助「のりゃ~♪」スリスリ
アラ助は一日目が終わる頃には、飼い主のことが大好きになっていた。
これからも、うんと褒められて、可愛がられよう。
…アラ助は、これから楽しい日々が続くのだとわくわくしていた。
487 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 21:56:52.62 ID:KfKgSfV5O
飼い主男「さて、ケージにお入り」スッ
アラ助「おお~!ここがありゃいしゃんのおうちなのかあ!」シッポフリフリ
ケージの中には、ハムスター用の回し車や、ボール、的当ての的、ふかふかのベッドがあった。
穴の空いた丸太のようなデザインのベッドだ。
アラ助はまるで遊園地に来たかのようにわくわくしていた。
アラ助「わーい!わーい!ありゃいしゃんのべっど♪ふわふわべっど♪もふもふもーふっ♪≧∀≦」モフンモフン
アラ助は、ベッドの穴へ潜り込んだ。
アラ助「ふわふわなのりゃ~!」ヒョコッ
そして、穴から顔を出した。
飼い主男「おやすみ。明日から仕事だ。いい子にしてお留守番してるんだぞ」ナデナデ
アラ助「はいなのりゃ~!おやすみなさいなのりゃ~!」
飼い主は電気を消し、寝室へ去っていった。
アラ助「すぅ…すぅ…」スヤスヤ
488 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 22:06:47.03 ID:KfKgSfV5O
~翌朝~
アラ助「すぴ~…すぴ~…」スヤスヤ
午前7時。アラ助はベッドですやすやと寝ている。
アライさんは人間に生活リズムを合わせることができるが、基本的に夜行性の生き物。
朝は苦手なようだ。
目覚まし時計「ジリリリリリ!」
アラ助「ぴぃ!?」ビクゥ
ケージの中の目覚まし時計が鳴った。
アラ助「なんなのりゃこれ!うゆしゃいのりゃあ!たあ~!」ポチッ
目覚まし時計「ジリ…」ピタッ
飼い主男「やあ、おはよう」スタスタ
アラ助「かいぬししゃん?このうゆしゃいのなんなのりゃ?」シッポフリフリ
490 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 22:11:47.66 ID:KfKgSfV5O
飼い主男「それは起きる時間を教えてくれる時計だよ。ちゃんと早起きして、偉い偉い」ナデナデ
アラ助「うゆうぅ~♪」スリスリ
頑張って早起きをすれば、いっぱい撫でて貰える。
飼い主に褒めてもらい、愛情を注いで貰える。
これからもきちんと早起きして、いっぱい褒めてもらおう…。
アラ助はそう学習した。
飼い主男「さ、ごはんだぞ」パラパラ
飼い主はケージの中の器へドッグフードを盛り、水差しの水を替えた。
アラ助「ふおぉ~いっぱいなのりゃ!いただきますなのりゃ~!」
アラ助「あむあむあむあむあむあむっ!あむあむあむあむあむあむっ!」ポリポリ
アラ助は、工場で厳しく躾された通りに、口を閉じて食べた。
491 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 22:16:40.76 ID:KfKgSfV5O
飼い主男「さて、夕方になったら散歩に連れていってやるからな。仕事に行ってる間、おとなしくしてるんだぞ」スタスタ
アラ助「いってらっしゃいなのりゃ~!≧∀≦」シッポフリフリ
本当は、大好きな飼い主に、仕事になど行ってほしくない。
ずっと自分と一緒にいてほしい。
だが、工場では飼い主へワガママを言うと、嫌われて殺処分されることを何度も繰り返し教わった。
可愛らしくおねだりするのはいいが、断られたらゴネてはならず、素直に従わなくてはならない。
幼い時期のアライちゃんはとても従順である。
本心を圧し殺して、アラ助は飼い主を見送った。
492 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 22:22:14.86 ID:KfKgSfV5O
言葉を喋れるようになってからのアライちゃんの学習能力は、驚くほど高い。
さすがに一度で覚えることは難しいが、繰り返し反復して教えることで、様々なことをしっかり覚える。
野良アライちゃんを見ればそれは一目瞭然だ。
『インターンシップ』という、親から言伝てで教わるルールを、大人になってもきちんと暗記している。
(無論、たまに間違えて覚えたり、中途半端に忘れる個体もいるが…)
工場で繰り返し教わった、ペットとしての教育は、しっかりとアラ助の身に付いていた。
アラ助「う、ゆ…ねむく、なったのりゃ…」ウトウト
アラ助「すぴ~…すぴ~…」zzz
目覚まし時計で朝早く起こされたアラ助。
飼い主が仕事に行って暇なので、ベッドに潜って二度寝を始めた。
493 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 22:28:33.71 ID:KfKgSfV5O
アラ助「しゅぴぃ~…しゅぴぃ~…」zzz
アラ助「ふおぉお…」チョロチョロ
なんとアラ助は、寝ながらおねしょをしてしまった。
アラ助「うゆぅ!?」ビクッ ムクリ チョロチョロ…
尿意の感覚で目覚めたアラ助。
アラ助「あ…あ…」ビッショビショ
トイレ以外の場所で粗相をしたことに気付いたアラ助。
アラ助「っ…」ガクガクブルブル
これがばれたら、飼い主にどんなひどい目に遭わされるだろうか。
殺処分されてしまうのだろうか。
犬の餌にされるのだろうか。
アラ助「ひ…ひいいぃぃいっ…」ガクガクブルブル
アラ助は、己の末路を想像し、ひどく恐怖した。
アラ助「ど…どうすればいいのりゃ…」ガクガクブルブル
494 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 22:37:27.92 ID:KfKgSfV5O
アラ助は、工場での経験を思い出した。
工場にいたころも、何度かおねしょをしてしまったことがある。
その度に、飼育員にきつく叱られ、罰として食事を減らされた。
自分から報告し、ごめんなさいと謝れば、あまり減らされなかったが…
誤魔化そうとして隠し、漏らしてないと嘘をついたときは、全て見破られ、その日の食事はすべて没収された。
アラ助「っ…」ガクガクブルブル
何度も繰り返し教わった。
間違いは誰にでもあることだ。
だが、保身のためにそれを隠蔽したり、改善せずに怠けたり、間違いを認めずに周りのせいにする者は…
脳に欠陥のある『出来損ない』であり、生きている価値が無い殺処分されるべき存在だと、そう教わった。
間違いを素直に認めて、飼い主に自分から謝り、繰り返さないように改善する…。
それができる個体だけが、最低限生きていく価値のある『並の、マトモな』ペットであると。
アラ助「ぴぃ…ぴいいぃい…!」ブルブル
見せしめに目の前で殺された『出来損ない』の姿が脳裏に浮かぶ。
自分はああなりたくない…。
アラ助「しにだぐない…しにだぐないいい…!ひぐっ…ぐしゅっ…!」シクシク
アラ助「のぁああああーーーんっ!のおおぉぉーーーぁああああーーーんっ!」ビエエエエン
ただのおねしょ一回だが、アラ助は死の恐怖に震えていた。
495 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 22:39:56.37 ID:KfKgSfV5O
アラ助「っ…」キョロキョロ
謝ったからといって、飼い主は自分を許してくれるだろうか。
このケージを脱け出し、飼い主のもとから逃げ出せば、殺されずに、罰を受けずに済むだろうか?
アラ助「うぅ…ぅううぅ…」ガクガクブルブル
いや、野垂れ死ぬだけだろう。
自分は弱い弱い生き物なのだから。
もはや、アラ助に選択肢はなかった。
496 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/17(水) 22:48:35.24 ID:KfKgSfV5O
…夜…
アラ助「ごめんなさいなのりゃ…かいぬししゃんっ…もうしないから…いーこにしゅゆからぁっ…ころさないでぇっ…」ブルブル
飼い主男「…」
アラ助は震えながら、飼い主男に謝った。
飼い主男「…」
アラ助「ひぐっ…ぐしゅっ…」ブルブルプルプル
どう返答すべきなのか…飼い主男は迷った。
目の前のペットは、明らかに自分を恐れている。
涙を流し、絶望的な表情で、震えている。
そして、きちんと謝り、もうしないと宣言している。
飼い主男「…」
ペットアライちゃんと人間の子供は、思考にどんな違いがあるのだろうか。
自分のペットを、どこまで動物扱いしてよいのだろうか。
人間との扱いの線引きはどこにあるのだろうか。
厳しく罰を与えるべきなのだろうか。
優しく許してあげるべきなのだろうか。
…アラ助は、飼い主男の子供ではない。
というか、人間ですらない。
あくまでもペット。
そう、愛玩動物なのである。
初めて飼育するペットアライちゃんに、『可愛がる』以外の場面でどう接するべきなのか…?
飼い主男は、頭を悩ませた。
504 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/18(木) 22:46:43.10 ID:p18AaqR4o
人が人に、自分の言うことを聞かせるには、どうすればよいだろうか。
そのアプローチ方法は、大きく分けて4つに集約される。
1つ目は、規則と罰、そして恐怖によって行動を支配するというものだ。
法律や、独裁政権の圧政、暴力団の上下関係がこれに当てはまる。
命令に従わなければ罰を与え、財産を没収したり、拘束したり、体罰を与えたり、社会的な将来性を絶たれたり…
場合によっては、殺したりする。
この方法には、非常に低コストで命令に従わせられるという利点がある。
だが、革命や反乱によって上下関係が崩れた時、復讐としてこれまで味わわせてきた以上の苦しみを味わわされることになるであろう。
505 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/18(木) 22:53:47.29 ID:p18AaqR4o
2つ目は、報酬の対価として労働させるというもの。
企業が労働者を働かせるのがこのパターンだ。
この方法には、指示者と被命令者が良好な関係を築き、互いに助け合えるという利点がある。
さらに、恐怖による支配と違って労働者には余裕と自由があるため、成果向上のために自ら率先して工夫をする可能性も期待できる。
しかしながら、労働者へ与える報酬を用意しなくてはならない。
更に、その報酬は、労働者が納得するものでなくては、この働かせ方はできないのである。
人間であれば、金銭を渡せば間違いないだろうが…
農家で余った柿が報酬だよ、などと言っても、従う者はいないだろう。
506 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/18(木) 23:17:22.87 ID:p18AaqR4o
3つ目は、カリスマによって従わせるというもの。
強烈な魅力で虜にし、応援したくなる気持ちで掻き立てることで、無償で手を借りようというものだ。
クラウドファンディングであったり、あるいは街頭やネット上で呼び掛けて有志を募り、共に活動する…などの例があるだろう。
だが、これを狙ってうまくいくことなど稀である。
人々に夢を与えるセンスと信頼、人柄が揃っていなくては、実現は難しいだろう。
507 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/18(木) 23:24:59.10 ID:p18AaqR4o
そして最後に、4つめ…
「良心に委ねる」というものだ。
これはボランティア参加者の募集であったり、ゴミのポイ捨て防止の啓蒙活動であったり…
基本的に、実利を伴わない活動に依るものである。
向上心や自尊心が高く、自ら良くあろうと心掛ける者ならば、賛同し動いてくれることもあるだろう。
だが、それは理想論だ。
実際には、ゴミやタバコの吸殻、空き缶をポイ捨てする者などザラである。
自発的に良くあろうとする意識がない者などこの世にはいくらでもいる。
そして彼らは、決して少数派などではない。
…そんな者達を、『良心に委ねる』つもりで意のままに従わせようとしても、動くはずがないのである。
508 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/18(木) 23:31:42.12 ID:p18AaqR4o
これら4つが、人が人に対して、自分の言うことを聞かせるための四大アプローチだ。
そしてこれは、そのまま人ならざるもの…
動物や、アライちゃんに対しても通用する。
どうにかしてアライちゃんへ言うことを聞かせたいならば、この四つのうちいずれのアプローチをとるか、明確にしなくてはならない。
…いや…
実際は三択だ。
何故なら『良心に委ねる』ことで従う可能性は、とうてい期待できやしないからだ。
それは一体何故か?
509 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/18(木) 23:38:35.79 ID:p18AaqR4o
その答えは…
『アライさんが本質的にワルモノだから』
『アライさんは人間でなく害獣だから』
…と決めつけるのは、いささか短絡的であり、早計だ。
ある命題が正しいかを検証するには、その待遇をとればよい。
つまり、『アライさんは人間でなく害獣だから良心が無く、良識を守らない』という命題の待遇は、すなわち『害獣でない人間ならば良心があり、良識を守る』となる。
この待遇となる命題は、果たして正しいと言えるだろうか?
アライさんでなく人間ならば、その良心に委ねることで、必ず良識を守った行動をとるのだろうか?
510 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/18(木) 23:44:46.05 ID:p18AaqR4o
アラ助「かいぬししゃんっ…もーおねしょしないから…しないからああっ…!こよしゃないでええっ…!」ブルブルウルウル
飼い主男「………」
おねしょをしたことを、素直に謝り、反省を誓うアラ助。
その態度は立派なものだ。
きちんと工場で教わった通りの心がけをしているのだろう。
表面的には、その態度は明らかに善良な振る舞いといえる。
少なくとも、野良アライちゃんならば絶対に見せない態度といえる。
では…
アラ助は、そんな善良な態度を、『何故』とっているのであろうか?
己の良心に従っているからであろうか。
工場は、先程の四つのアプローチのうち…
どの方法を選択し、アラ助に言うことを聞かせているのだろうか…。
519 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/23(火) 00:08:19.33 ID:i1OhJAq9o
飼い主男「…」
飼い主男は、職場ではそれなりの役職の男である。
彼は感情的にならず、冷静であった。
飼い主男「なんでおねしょしちゃったんだ?」
アラ助「ぴぃ!?」
飼い主男「もうやらないと言っても、原因が分からないと対策もできないだろう。…どうしておねしょしちゃったんだ?」
アラ助「ご、ごめんなさいなのりゃあ…!うゆぅ…なんでって…わかんないのりゃあ…」プルプル
飼い主男「…」
そりゃそうだ。
自分がなぜおねしょしたか、どうすれば対策できるか。
アライちゃんでなくとも、人間の幼児ですらそれを自力で考えるのは難しいだろう。
520 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/23(火) 00:20:09.05 ID:i1OhJAq9o
アラ助「ありゃいしゃんがわゆかったのりゃあ…」
飼い主男「…」
『自分が悪かった』と認め、謝る行為。
一見すると、誠実で立派な振る舞いのようにも見える。
だが飼い主男にとっては、そこで終わってしまうのは逆に不誠実な行為に思えていた。
謝った後の、繰り返さないための行動こそが最も肝心だと、飼い主男は考えるの。
『自分が悪い』と言い、自分を責めて己の人格否定へと話をすり替えるのは、それこそ不誠実であると。
反省とは、己の過ちを責めて戒めるために行うのではない。
己の過ちを認め、改善し、二度と繰り返さないように知恵をつけるために行うのだと。
アラ助「かいぬししゃん…ありゃしゅけ、どーすればいいのりゃあ…?もーおねしょしたくないのりゃあ…!」シッポフリフリ
飼い主男「…」
だが、我が子ならともかく、子犬や子猫等のペットにそこまでしっかりと反省させる飼い主などいるまい。
そして、アラ助は紛れもなくペットである。
それ以上でも以下でもない。
521 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/23(火) 00:25:21.62 ID:i1OhJAq9o
飼い主男「…次からは気を付けるんだぞ」
アラ助「はいなのりゃー!」シッポフリフリ
…結局、飼い主男は、曖昧にしたまま叱るのを終えた。
その日の夕方、飼い主男はアラ助を散歩に連れていった。
~公園~
アラ助「なのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ
飼い主男「運動は大事だぞ」スタスタ
リードを引いて、アラ助と一緒に散歩する飼い主。
すると、そこへ…
522 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/23(火) 00:36:53.60 ID:i1OhJAq9o
おじさん「おや、こんばんは」スタスタ
子アライグマ「キュルルルル」ヨチヨチヨチヨチ
飼い主男「ああ、どうも」ペコリ
アラ助「…!」ピタリ
ペットの子アライグマを連れて散歩しているおじさんがいた。
…アライグマ。
今、日本でもそれなりに人気のあるペットだ。
大分前に、「あらいぐまブツカル」というアニメの大ブームにより、アメリカから輸入されてきたペット。
幼少期はよくなつくが、成体になるとひどく狂暴になり、飼えなくなって自然へ逃がす飼い主が多発した。
政府は、アライグマのペットとしての飼育を禁止することも考えたが…
ペット業者たちの間で構築された『アライグマの楽園システム』のおかげで、幼少期の人懐っこい頃だけ飼育することが可能になった。
また、アライグマの楽園システムによる選別で、ほんの少しずるペットアライグマは品種改良が進み、最初に日本へ来た時よりも大人しくなりつつあるという。
…そう。
アライさんの楽園システムは、『アライグマの楽園システム』を流用したものである。
523 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/23(火) 00:43:54.38 ID:i1OhJAq9o
アラ助「なのりゃー!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ
アライグマ♀「キュルルルル」スリスリ
このアライグマは雌のようだ。
アラ助と頬擦りしたり、毛繕いをし合ったりしている。
飼い主男「ほら、もう行くぞ」クイクイ
アラ助「うゆぅ!もっとあそびた…」ピクッ
アラ助は我が儘を言おうとしたが、途中で青い顔をした。
アラ助「…ぴぃ!ごめんなさいなのりゃあ!わがままいわないのりゃああ!。≧д≦。」 プルプル
飼い主男「よしよし、いい子だ。行くぞ。では、また…」スタスタ
おじさん「どうもでーす」スタスタ
子アライグマ♀「キュルルルル!キュルルルル!」ズルズル
アラ助「…」ヨチヨチチラッヨチヨチチラッヨチヨチチラッ
アラ助は、ちらちらと後ろを振り返りながら進む。
…どうやら、飼い主男以外の遊び相手との別れを惜しんでいるようだ…。
524 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/10/23(火) 00:46:28.84 ID:i1OhJAq9o
つづく
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/23(火) 04:00:33.98 ID:lsLqJVGA0
乙でしゅ
普通のアライグマ(幼体)が飼育可能な世界とは興味深いですね
そしてアラ助への教育が今後どう転んでいくかも楽しみです
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/23(火) 08:55:25.22 ID:mzMnfHMJo
乙一
アライグマも殺処分してたのか
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/24(水) 06:30:36.15 ID:ExK+Zoct0
ペットアライちゃんは規格品だからな
ある程度想定された範疇の性格に育たなきゃ殺処分されるわけで、キャラかぶりは当たり前
粗末に扱って死んだところで新しく買えば同じようなもんなんだし効率がいいと思うわ
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/24(水) 09:54:25.51 ID:7ABHqT8Ko
532
値段は工場によって違うみたいだから欲しいアライちゃんの性格に合わせて買えるってのも良いよね
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/24(水) 10:10:12.04 ID:ywFztrJSo
しっかり手間かけて躾てるところは高いんだったな
最終更新:2019年02月12日 00:14