353: 名無しさん (ワッチョイ 0543-9683) :2019/06/26(水) 05:24:16 ID:ulRnjgQU00
「[バーチャルペット]アライちゃんは序章だったのです。
変更前のプロフに「ぜんこくのかいぬししゃん」と書いてあった通り、
このアライちゃんが皆さんの元へ行くのです)」
Twitterを見ている青年。
最近話題の「[バーチャルペット]アライちゃん」を見るのが最近の日課だったが、今日は可愛らしいアライちゃんの動画ではなく終了のお知らせがツイートされていた。
「なんだ、やめちまうのかー。ま、俺のイメージするアライちゃんとは違ってたからなー」
彼はここ最近、可愛らしいCGのアライちゃんが「かいぬししゃん」と楽しい毎日を過ごすという、ハートフルbotという触れ込みのTwitterを複雑な気持ちで追っていた。
「本来アライちゃんってのはもっとずっとわがままで自己主張が強くてムカつく奴だよな」
アラ虐で扱われるアライちゃんは将来アライさんになるムカつく幼獣で愛想を振りまく程にガンガンとヘイトが溜まる不快生物だ。
だがツイートの中のアライちゃんは見た目も言動も可愛い、彼にとってはもやもやする存在だった。
先日のツイートでも画面の中のアライちゃんが「かいぬししゃん!はやくいっしょにねゆのりゃ~♪(しっぽふりふり)」と愛嬌を振りまいていたのを見て・・・
「うおー、こんなに動き回れる害獣、デカくなったら制御が効かないぞ?スグに足を潰さないと!!」といった発想に至ってしまう。
「アラ虐のアライちゃんとはまた別の意味でムカつく奴だったけどSSのネタに困らなかったのも確かなんだよなあー」
残念そうにTwitterを閉じるとデスクトップにアライちゃんの顔が描かれた見慣れぬアイコンがあった。
「うおっ、何だこりゃ?デジタルで呪いでも無いだろーに」
彼はアイコンの正体を確かめようとマウスカーソルを合わせプロパティを開こうとした。
その瞬間!
「うゆー?のりゃ!のりゃ!」とアライちゃんらしき音声が再生された。
「やべっ!ウィルスか?!」PCから素早くLANケーブルを抜く。
彼の脳裏に最後のツイートが思い返される。
“アライちゃんを愛してくださった皆さんの所にこのアライちゃんは旅立つのです”
「まさか、これがその“旅立ったアライちゃん”だってのか?!」
「うゆ?かいぬししゃん?どこにいるのあー!」
その声と共に画面端から見慣れた“[バーチャルペット]アライちゃん”が顔を出す。
画面の奥からこちらに向かって歩いてくるアライちゃんはどんどん大きくなる。
そして画面の外にいる彼、新しい“かいぬししゃん”に向かって
「かいぬししゃん!はじめまちてなのりゃ!あらいしゃんはあらいしゃんなのりゃー!」
そういうと満面の笑みでぶんぶんと両手を振り回し全力の可愛いアピールをする!
「こいつ・・・まさか居座るつもりか?」
憎々しげに画面の中央に居座るアライちゃんを睨み付けると、
「かいぬししゃん、しょんなこあいかお、だめなのりゃ、えがおになーのりゃ!これからはじまうあらいしゃんとのはーとふるらいふでいやされてほしいのりゃ!」
ムカつく笑顔で返された。
「カメラもついていないPCでこっちの表情を見てるってのか?オカルトだろ・・・」
彼はスマホでバーチャルペットアライちゃんについて検索する。
大半はTwitterの内容だがぽつぽつと彼と同じ現象のレポートが見つかった。
「対策は・・・何か無いか?原因のファイルとか見つかってんのか?」
「かいぬししゃん、かいぬししゃん!あそんでほしーのりゃぁ」
画面の中のアライちゃんはぺたりと座り込み退屈そうに手足をバタバタとしている。
「うるさい、ちょっと黙ってろ!すぐにゴミ箱に放り込んでやるからな!!」
アライちゃんを怒鳴りつけた。
「の!のおあぁーん!あたらちいかいぬししゃんはこあいひとなのりゃぁぁぁ!のあぁぁーん!!」
更にうるさくなった。
「おい、少し静かにしろって言ってんだ!」
試しにカーソルをアライちゃんに向け左クリックしてみる。
「みぎゃっ!いたいのりゃぁ!」
どうやらクリックでお仕置きが出来る様だ。
「ははっ、飼育放棄して要らないペットを送り付けるとかクズなご主人様かと思ったが、良いところもありそうだな!」
そういいながら今度は左ボタンを長押しするとアライちゃんは首筋を掴まれた様にカーソルに吊り下げられている。
「かいぬししゃん、いたいのりゃぁ・・・」アライちゃんは涙目になっている。
「おっ、このままゴミ箱直行出来るか?」
ゴミ箱のアイコンまで移動しボタンから指を放すとアライちゃんはゴミ箱に吸い込まれていった。
「おちゆのりゃぁー!!へねっくーたちけてのりゃぁぁぁぁ・・・」
「よし、後はゴミ箱を空にっと」
ゴミ箱を右クリックしようとすると・・・画面の中央にウィンドウが表示された。
そこにはゴミ箱の中でもがくアライちゃんを映している。
「のあぁぁーん、あらいしゃんはかいぬししゃんとなーよくしたいだけなおりゃぁぁん!!」
ゴミの山に押し潰されそうになったアライちゃんは見えない壁に押し付けられている。
「むぎゅうぅぅん、のあぁぁぁー・・・うぎゅぅ」
「じゃあアライちゃん、会ったばっかだがさよならだ」
右クリックメニューから“ゴミ箱を空にする”と周りのゴミと一緒にアライちゃんがゴミ箱の下、ウィンドウ外に飲み込まれていく。
「だじげでのりゃぁ、がいぬじじゃぁぁん、へっ、へねっくーぅ!!まえのかいぬししゃぁぁん!!!」
ごりゅごりゅとまるでシュレッダーに飲み込まれる様にゴミに沈んでいく。
「のおぉぉ、がいぬじじゃおぎょぉぉー、いじゃぁぁぃ、のぎょがぁぁ!」
ウィンドウが血飛沫で真っ赤に染まっていきゴミ箱は空になった。
354: 名無しさん (ワッチョイ 0543-9683) :2019/06/26(水) 05:25:35 ID:ulRnjgQU00
「ふう、アラ虐は楽しめたがあんなのが居たんじゃどんな障害が出るやら」
デスクトップのアイコンを削除しようとカーソルを合わせるとまたしても・・・
「ふひぃー、ひどい目にあったのりゃぁ」まさか!!
画面の奥からずたずたになったアライちゃんが再生しながらこちらに向かってハイハイしてくる。アライちゃんはちょっと怒った表情で
「かいぬししゃんひどいのあ!あらいしゃんあんあことされゆとちんじゃうのりゃ!」
そういうと今度は表情を初めて会った時の満面の笑みに切り替えて
「こんどはかーいーかーいーちてほちいのりゃ!もどってきていーこってほめてほちーのりゃぁー」
そういうと画面外の彼に手を振っている。
「こいつ・・・やっぱ根本的な解決をしないとダメかぁ・・・」
もう一度スマホに目を向けアライちゃんから気が逸れた瞬間にアライちゃんは自分でウィンドウを開き身体の倍はあろうかという大きなフランクフルトを取り出しくちゃくちゃと食べ始めた。
「なんだ、そんなことも出来るのか。一体どんなソフトなんだ?」
フランクフルトを食べ終わったアライちゃんはケチャップまみれになった両手をコスコスと擦り出す。
「おててべとべとなのあー、きれいにすゆのりゃ!こっすこっすじゃっぶじゃっぶ!」
そう歌い出すとじゃぶじゃぶと水音がしケチャップで汚れたアライちゃんの手がみるみる綺麗になっていく。
「かいぬししゃーん、あらいしゃんきれーずきなのりゃ!おててあらったのあ!いーこいーこしてほしいのりゃー!!」
くそっ、好き放題しやがって。なんか情報は無いのか・・・。
必死にスマホの検索結果を見るも有力な情報は無し。
「だったら、掲示板はどうだ?」彼は匿名掲示板のPC関連のスレッドを確認する。
「あった!なになに?ウザいが実害なし?可愛いだぁ?マジか!冗談じゃないこんなのが勝手にうろつくデスクトップじゃアイコンの位置も確認出来ないぜ・・・」
アライちゃんはというとお腹いっぱいになったのか画面の真ん中に陣取って寝息を立て始めた。
「しゅぴー・・・しゅぴー・・・がいぬじじゃんのうしょちゅきー、おわかれのとき・・・大ファンがひきとってくれりゅっていったのりゃー、あたらちいかいぬししゃんとしゃーわしにくりゃすっていったのあー、ひっく、ひっく、うしょちゅきー、しゅぴー」
やれやれ、ほんとにソフトなのか?前の飼い主に恨み言かよ!まあTwitterの頃より格段にアライちゃんぽいけどな。
「しっかしバーチャルとはいえ、飽きたからって垢消してアライちゃんを送り付けるとかとんだクソ飼い主だなぁ」
ブツブツと毒づきながらスレッドを読み進める。
「元凶ファイルの場所はっと、なんか情報無いか?」
PC上ではアライちゃんが目を覚ました様だ。ぺたんと座り込んで「むぅー」っと伸びをしている。
そして何かを見つけた様にくんくんと匂いを嗅ぐジェスチャーをしている。
「あぶないのののーいりゃ!わりゅい、いけないのーいなのりゃ!」
そういうと勝手にウィンドウを開きどんどんとフォルダを掘り進んでいく。
「あったのりゃ!こえはわゆいものなのりゃ!!」そこには“アラ虐”と表示されたフォルダがあった。
その中には彼が投稿掲示板に投稿したアライさん虐待SSのファイルが収められていた。
「こんあおっかないのはぽいなのりゃ!」
アライちゃんはアラ虐フォルダを持ち上げるとゴミ箱に向かって放り投げる。
「おいお前、俺のパソコンで勝手に何してんだ!!」
アライちゃんはビクっと肩を震わす。
「かいぬししゃん、あんああぶあいおもちゃはあらいしゃんといっしょにいるのにひつよーないのりゃ、あらいしゃんがしょぶんしゅたげりゅのりゃ」
震えながらこちらに向かっておずおずと向き直るアライちゃん。
「お前とは一緒に暮らさないんだよ!クソ害獣が!!もう一度削除してやる!」
そういうとアライちゃんの全身にカーソルを這わせカチカチと左クリックを連打する。
「ぷぎゃ!ひぎっ!へぶっ!ほぎゃ!」
クリックされたところがアザになりアライちゃんはどんどんボロボロになっていく。
「やなぁー!やなぁぁあー!ちゃいのあ・・・いちゃ・・・のあぁ」
アライちゃんは頭を押さえ小さくしゃがみ込む。
「勝手にファイルを捨てるとか、許すわけないだろ、ウィルスがっ!」
さらにカーソルをしっぽに合わせると長押しでアライちゃんを掴み上げる。
まるでしっぽを掴まれ逆さ吊るしにされた様にカーソルにぶら下がっているアライちゃん。
「おらおらおらぁ!」
マウスをめちゃくちゃに動かすと画面の中のアライちゃんもブンブンと振り回され、ぐちゃっ、べちゃっとあちこちにぶつかる様な音が響く。
「やべっ!やべてぇぇー、たちけてぇぇ!」傷だらけのアライちゃんはどんどん血まみれになっていく。
「おごぉお・・・ぷげっ!」
アライちゃんはぴくぴくと痙攣し画面の端で動かなくなった。
「よし、今のうちにっと」
彼は掲示板で見つけた情報を元に偽装されたファイルを全て削除。そしてインストールした記憶もない謎のアプリケーションをアンインストールする。
すると画面に「本当にアンインストールしますか?」とダイアログが出る。
迷うことなく“はい”を選ぶとアンインストールのウィザードが立ち上がる
ウィザードには小さな檻に入れられた「 [バーチャルペット]アライちゃん」が居た。
アライちゃんは逃げ出そうと檻に手をかけ必死に揺さぶっているが檻はびくともしない。
「あ、あらいしゃんはまえのかいぬししゃんにすてらりたのりゃ!もうすてらりるのはいやのりゃ!!」目に一杯涙を溜めて懇願する。
「全く、こんなとこばっかりアライちゃんぽいなwww」
「あたらちいかいぬししゃんといっちょにいたいのりゃ、ごめーなしゃいすゆかやゆゆしてほちーのりゃぁ!」
無視をして“完全削除”を選ぶ。進行ケージが表示されるとアライちゃんの檻に時限爆弾が表示された。
「ひぃぃっ!おねがいしましゅのりゃぁ!だっ、だじげでぇぇ、のりゃぁぁぁん!」
無情にもゲージは進んでいく。
「全くどんだけ容量あんだよ!ぜんぜん進まねー!!」
「がいぬじじゃぁぁん、なんでむししゅゆのあー、ゆーこときーてなのあー!」
「はやぐっ!はやぐっ!だじげでぇ!ちんだりゃあらいひゃんとのしゃーわしなせーかちゅがうちなわりぇりゅのあーぁぁぁ!」
「なんりぇ・・・なんりぇおへんじちてくりぇないのりゃぁー」
「うしょちゅきぃい!!!!まえのかいぬししゃんのうしょちゅきぃい!!!!しゃーわしぇなんてないのあぁぁ!!!」
「すてりゃれてぇぇ!またしゅてらりぇるのぉぉやなぁぁっ!やなぁぁぁあ!!」
全くうるせえなあ、だからアンインスコされんだっつーの、アホかwww。
彼はだんだんアンインストールの遅さにイラつくよりアライちゃんの死を前にした醜い懇願を聞くことが楽しくなってきた。
「アライちゃーん、もうすぐお別れだね、出会ったばっかだけどwww」
「のおおおおおおおおおおん!!!!!じにだぐない!じにだくないぃぃぃい!」
「もーじかんがないのあ、きっとこーかいすゆのあ、はやぐっ、だじで!だずげぶげぇぇっ!!!」
アンインストールの完了を知らせるダイアログの表示と共にアライちゃんの足元の爆弾が爆発しアライちゃんは血まみれの肉塊になって弾け飛んだ。
ウィザードを閉じデスクトップを確認するとアライちゃんのアイコンは消えていた。
が、替わりにどす黒い色をした血だまりのアイコンが出来ていた。
「嘘だろ、まだなんかあんのかよー!」
彼はうんざりした表情でPCの電源を切った。
355: 名無しさん (ワッチョイ 0543-9683) :2019/06/26(水) 05:27:47 ID:ulRnjgQU00
どうかなとも思いましたが、
作者様が「SSにするのも面白いかもしれません。」と言っていたので
思い切って投下します。
356: 名無しさん (スプー 7e2b-7439) :2019/06/26(水) 06:30:55 ID:9eOOg7iMSd
乙です!
飼い主のイメージに沿った性格に変換されて送信される仕様みたいだね
その親切設計がアライちゃんの命取りになったか…元のままでも変わらず駆除されてたと思うけど
357: 名無しさん (バックシ e094-4745) :2019/06/26(水) 07:57:56 ID:rQiZWDxsMM
完全に電子の中の生き物という解釈いいですね!
YouTuberみたいなの想像してた
358: 名無しさん (アウアウ dc35-be1f) :2019/06/28(金) 17:01:23 ID:m6rhvopgSa
デジモンのいい餌になりそう、でもアライちゃんだしなぁ
※このページは、『アライさんアンチスレ避難所』様にあるアライさん、コバエさんなりきり用のスレッド『アライちゃんのおうち』をまとめたものです。
最終更新:2019年08月26日 23:30