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アライサッカー ~その誕生と発展、そしてアライさん~・2

760 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 4e12-3ZDl)[sage] 投稿日:2017/10/23(月) 19:52:07.98 ID:j4cyYjll0 [2/10]
――――それでは、次の工程を見て行こう。

手足を裁断されボールとなったアライちゃんたちは専用のケースに並べられる。

といっても手足のないアライちゃんボールはろくに動けないので、一般的なプラケースを使いやすいように組み合わせているだけである。

何せここで行われていることは製造業と言うよりは畜産業に近いからである。

ボールちゃん1「おなかすいたのりゃーっ!ごはんもってくゆのりゃーっ!!」シッポフリフリ

ボールちゃん2「てあしがないのはふべんなのら…… でも、ここならうごかなくてもごはんがたべられるからしゃーわせなのら!!」シッポフリフリ

ボールちゃん3「ふはははーっ!ヒトしゃん、アライしゃんのためにさっさとごはんをもってくゆのだ!!」シッポパタパタ

手足を切られた直後のボールはその痛みに泣き叫び、人間への呪詛を吐く。

だが、所詮はアライちゃんである。

餌を毎日与えてやればそれだけでご満悦になるのだ。

自由を奪われた恨みなど直ぐに忘れてしまう。

こういうふてぶてしい態度をとれるくらい元気で生意気なボールちゃんはアライサッカーでは好まれる。

ぬくぬくと育てられ、自分が人間に奉仕されて当然だと思い込んでる愚かなアライちゃんが迫り来る突然の死を前に泣き叫ぶ様が人気なのだ。

ボールちゃん4「の、のだぁ……っ!のだあああああっ!!」ジタバタバタ

ボールちゃん5「あ、アライしゃんは、てんか…… とゆのやぁああああああーーーー!!!」ジタバタバタ

ボールちゃん6「こんなきょあくをゆるしてはいかないのぁっ!むくいをうけさせゆのぁあああーーーー!!!」ダバダバダバ

このように自身への仕打ちを忘れることなく、必死に脱出しようとしたり恨みを晴らそうとする個体も人気である。

生き抜くために必死の抵抗を見せるアライちゃんの命が濡れたティッシュのように簡単に引き裂かれる様を見るのが最高の愉悦だからだ。


761 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 4e12-3ZDl)[sage] 投稿日:2017/10/23(月) 19:57:04.99 ID:j4cyYjll0 [3/10]
ボールちゃん7「う、うぅ…… アライしゃんのおてて、まだはえてこないのや……」グスグス

ボールちゃん8「うごきたいのだ…… おかーしゃんにあいたいのだぁ……!!」ビェェェ

ボールちゃん9「つらいのや……」ツライガイジカオ

これらのように辛気臭いボールちゃんはお察しの通り不人気である。

アライサッカー通の中にはこの所謂ツライボールが死の直前に漏らす絶望の言葉がたまらないという者がいるが所詮マイノリティだ。

こういったツライボールはボールとして利用されることはほとんどない。

しかし、その内に絶望への反抗心を手に入れたりふてぶてしい態度になったりして商品価値が戻ることもある。

そういう場合を考慮してツライボールは1~2週間は様子見される。

その上で、ツライボールから変化する余地が無いと判断された個体は最後の工程へと回されることになる。

さて、ツライボールのその後はいったん置いておいて、ボールちゃんへと話を戻そう。


762 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 4e12-3ZDl)[sage] 投稿日:2017/10/23(月) 20:01:13.89 ID:j4cyYjll0 [4/10]
ボールちゃんには決められた時間に餌が与えられる。

ボールちゃん18「のぁーん…… くっちゃくっちゃ……」クッチャクッチャ

ボールちゃん19「おい!アライしゃんはせいちょーきなのら!もっとごはんをたべさせゆのら!!」クッチャクッチャ

ボールちゃん20「くちゃくちゃくちゃ…… ぷっ、たまにはちがうあじのごはんをたべさせゆのや!!」シッポブンブン

なんという生意気さだろうか。

我々がここの従業員であれば思わずその場で潰してしまっているであろうこの態度。

しかし、従業員たちはボールちゃんたちの横柄な態度に腹を立てることもなく何とその要求に応じた。

餌をもっととねだるボールには追加で与え、味に文句を言うボールには甘い味付けにした餌を与えている。

何故だろうか?

それは、アライサッカーをより良いものにしたいという従業員たちの熱い心にある。

試合がある日までボールが生きた状態を保つだけなら餌は彼らが通常与えている量の半分以下、回数も半分に減らしてもかまわない。

だが、それではアライちゃんは心地よい苦痛の叫びをあげてくれない。

生きているだけでは、疲れた現代人の心をスカッとさせる悲鳴を出す元気がないからだ。

せっかく選手が素晴らしいプレーをしてもそこにアライちゃんの血が混じった叫びがなければ凡プレー以下である。

故に、ここの従業員たちはボールちゃんたちが最高のコンディションでいられるように努力を惜しまないのだ。

そして、従業員たちのケアはボールちゃんたちが出荷され工場を出ていくその直前まで続けられる。

――――最高のアライサッカーのために。


764 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 4e12-3ZDl)[sage] 投稿日:2017/10/23(月) 20:05:19.92 ID:j4cyYjll0 [5/10]
ここで、アライちゃんボールからアライちゃんホイッスルへと話を移そう。

ホイッスルちゃん1「ぴ、ぴぃ……」シッポフリフリ

ホイッスルちゃん2「ぴぁ、ぴぃぃ……」シッポフリフリ

ホイッスルちゃん3「ぴぃぃいいー!ぴぃぃいいいいいーーーー!!!」シッポダバダバ

さて、視聴者の皆様はこの違和感にお気付き頂けただろうか?

そう、ここにいるアライちゃんたちは新入りを除き、皆「ぴぃ」としか鳴かないのだ。

それはどうしてなのか?

では、この新入りホイッスルちゃんの調教風景を見ながらその答えを探っていこう。

ホイッスルちゃん4「うー、たいくつなのへぶっ!?」ビシィッ

ホイッスルちゃん4「いちゃいのりゃああぶっ!?」バシィッ

ホイッスルちゃん4「のぁあああん!なにしゅるのやぁ!!アリャイしゃぶしぃっ!!?」バッチィィンッ

何故、この新入りちゃんが鞭打たれているのか?

皆さまにはもうおわかりだろう。

ホイッスルちゃん4「いちゃあっ!いちゃっ、ぎぴっ!ぴっ、ぴぃぃいいいいいいーーーーーっ!!!」ビシビシッ バッチィィインッ

ホイッスルちゃん4「ぴぃぃ…… のぁ?ヒトしゃんなんでなえなえしてくれゆぴぎぃぃぃいいいーーー!!?」ナデナデ・・・ バチィーンッ

ホイッスルちゃん4「ぴぃ、ぴぃ、ぴぃぃいいーーー!!!」ナデナデ

新入りちゃんが鞭打たれた理由、それはホイッスルがホイッスルにあるまじき音を出していたからである。

このようにホイッスルらしからぬ音を出す度に鞭打たれることでホイッスルちゃんは次第に「ぴぃ」以外の音を出さないようになる。

先に述べたようにアライホイッスルになれるような澄んだ音を出せるアライちゃんは少ない。

つまり、ホイッスルちゃんになれた時点で彼女たちはアライちゃんたちの中のエリートなのだ。


766 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 4e12-3ZDl)[sage] 投稿日:2017/10/23(月) 20:06:31.76 ID:j4cyYjll0 [6/10]
だが、エリートと言えどやはりエリートの中には落ちこぼれがいる。

そんなアライちゃんはいくら鞭打たれようと「ぴぃ」と鳴く度優しくされようと決して「ぴぃ」以外の音を出すことをやめず撃たれ続けて死んでしまう個体もある。

数少ないアライホイッスル候補をそのような形で失ってしまうことは大変にもったいないことだと感じる方もいるだろう。

だが、そこで妥協してはいいアライサッカーは出来ない。

ここの従業員たちは皆プロフェッショナルなのだ。

そして、飴と鞭も工程を終えたホイッスルちゃんたちは次の工程に進む。

実はこの飴と鞭を終えたばかりのアライちゃん、かなり「ぴぃ」に近い音を出すことができるだけでまだまだ未熟である。

ここではそんなホイッスルちゃんたちに正しい、そして美しい「ぴぃ」の音色を覚えさせるのだ。

飴と鞭の時はほぼ職員が付きっきりで「ぴぃ」と鳴けば餌がもらえたりかまってもらえたりした。

しかし、ここではそうはいかない。

良く通る澄んだ音で、良く響く大きな音でなければ餌をもらったりかまってもらえたりしないのである。

この部屋にはまたアライホイッスル選定技能の保持者が待機している。

彼はまだ1級を持っていないが、美しいホイッスルの音を選別するのは3級でも出来るのだ。

耳を研ぎ澄ましアライホイッスル候補たちの出す音を彼はじっくり聞き分ける。

そして、アライホイッスルに相応しい声を出した個体だけに餌などの指示を出すのである。


767 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 4e12-3ZDl)[sage] 投稿日:2017/10/23(月) 20:07:39.91 ID:j4cyYjll0 [7/10]
しかし、選ばれたエリートのホイッスルちゃんたちとは言え所詮はアライちゃん。

ホイッスルに相応しい音を出せばいいと自分で気付くことは99.9999%在り得ない。

故に、ホイッスルちゃんたちの中央にはアライちゃんの剥製が置かれる。

この剥製にはスピーカーが仕込まれており、従業員が任意でアライホイッスルの音を出せるようにしてあるのだ。

剥製アライちゃんが済んだ音を出す度抱っこしてもらえたり餌を食べさせてもらえる。

勿論それはただのフリだが、ホイッスルちゃんたちがここで生きていくためにはどうすればいいか理解させることが出来るのである。

自分たちも餌をもらおうと、かまってもらおうとホイッスルちゃんたちは剥製アライちゃんの出す音を必死に真似る。

そうやって十分な餌と従業員からのケアを受けられる頃には、ホイッスルちゃんたちは澄んだ音色を出すようになっているのだ。

こうして見事ホイッスルとボールになれたアライちゃんたちは出荷用ケースに収められる。

そして、従業員たちに最後まで笑顔で優しい言葉をかけられ出荷されていく。

――――全てはより良いアライサッカーの為に。

(アライさんの汚らしい言葉づかいを連想させる「なのだ」「~のだ」という表現が入ったこと、深くお詫びいたします)

つづく






最終更新:2017年10月26日 00:28