839 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 4e12-3ZDl)[sage] 投稿日:2017/10/24(火) 19:54:04.76 ID:h02EJJig0 [2/5]
――――さて、そろそろツライボールのその後を見てみよう。
突然だが、この工場ではアライさんもアライちゃんからアライさんになるまでの過程であるアライしゃんもまとめて入荷している。
その方が入荷コストが安くなるのだが、ホイッスルはおろかボールにすらなれないアライさんやアライしゃんをどうしているのであろうか?
そう、アライさんやアライしゃんがボールになれないのは、アライサッカーに使用されるボールに大きさの規定があるからだ。
規定を上回ってしまうと重すぎてスピーディーな試合展開が出来ないからである。
故に、規定値を超えてしまったボールちゃんたちはアライボールとしては使用できなくなってしまう。
ホイッスルちゃんたちはその数が少ないのでまず在り得ないが、ある程度成長するとせっかくの澄んだ音が不愉快な害獣ボイスになってしまう。
それもまた商品価値が失われることになる。
そういった価値の無くなったボールちゃんやホイッスルちゃんはどうなってしまうのか?
さらに言えば入荷時に早速切り落とされたアライちゃんの手足や脱落したホイッスルちゃんはどうなっているのか?
全ての答えはこの工場最後の施設、ツライボールが送られる部屋にあった。
840 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 4e12-3ZDl)[sage] 投稿日:2017/10/24(火) 19:58:49.17 ID:h02EJJig0 [3/5]
そこにあったのはこの工場で最も資金をつぎ込まれた大型作業用機械、通称「アライーター」である。
アライーター、それはその名の通りアライさんを食べる大型機械である。
しかし、食べると言っても本当に飲み込んで消化してしまうわけではない。
そんなことわざわざ言われなくてもわかると思う視聴者がほとんどだろうが、どうか怒らないでほしい。
さてこのアライーター、その役目は皆さんのご想像通りアライさんをこの大きな口から丸呑みし、鉛筆削りよろしくゴリゴリをその身を削りアラミンチにする機械だ。
取材スタッフはどうせならとアラミンチ製造の様子もカメラに収めさせてもらうことにした。
まず、アライちゃんと一緒に搬入されてきたアライさんやアライしゃんが次々とアライイーターの大きな口の中に投げ込まれていく。
アライちゃんのように覚醒薬を吸わされていないので、まだ麻酔が聞いている状態のアライしゃんもアライさんも微動だにせず、どんどん粉砕されアラミンチとなっていく。
アライさん共が次々駆除されていく光景は実にすがすがしいものだが、声一つ出さないとなると少し物足りなさを感じてしまう。
アライさん18「はすっ、すふ、すふぅ……」
どうやらこのアライさんは麻酔に対して多少の耐性があったようで、覚醒しているようだ。
だが、アライさんに使われる特殊麻酔は長年の研究の末、たとえ意識が取り戻せたとしても覚醒薬を用いないかぎり、身体を動かせるようになるには確実に3時間はかかる。
自分の同族がどのようになるのか間近で見ていたそのアライさんはろくに動かない唇をわずかに動かし何かを訴えているようだ。
アライさん18「はしゅっ、しゅしゅ……!」
程なくそのアライさんもアライーターに放り込まれた。
その時に見せた表情がこちらだ。
なかなか味わい深いものがあるが視聴者は満足はできないだろう。
私もだ。
841 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 4e12-3ZDl)[sage] 投稿日:2017/10/24(火) 20:06:27.97 ID:h02EJJig0 [4/5]
やがて搬入されたアライさんとアライしゃんがすべて処理されると今度はアライちゃんの手足と昨日行われたアライサッカー終了後に出た粗ライごみが投入される。
「粗ライごみ」それは元はアライボールやアライホイッスルだったアライちゃんの肉片のことである。
改めて説明するまでもないと思うが、原形をとどめていないアライさんの破片全般のことをそう呼ぶのである。
試合終了後、サポーターらによってグチャグチャにされたそれらは業者によって回収され、ここでこうしてボールちゃんやホイッスルちゃんの餌となるのだ。
アライちゃんの手足、脱落したホイッスルちゃん、粗ライごみの処理が終わるといよいよお待ちかね、商品価値のなくなった手足のないアライさんたちの番である。
アライさん27「の、のだぁ……」
先程の光景の一部始終を見ていたアライさんたちは恐怖に怯えている。
ツライボール1「のぁ…… やっとしねゆのぁ……」
ツライボール2「なにもたのしーことのなかったいっしょうなのりゃ……」
諦観している個体も何個かいるが。
そこから先は従業員たちの個性が表れる。
今までの優しい作り笑いをやめ、高笑いしながら次々とアライーターに放り込む者。
アライさん28「はっ、離すのだっ!アライさんはこんなところで死ぬようなぶぎゃばあああああああーーーっ!!!」ガリガリガリ
アライさん29「どうしてなのだ!おねーさんあんなに優しかったのにっ!?のぎゃばばばばばばば」ガリガリガリ
アライさん30「死にたくないのだ!死にたくないのだぎゃばばばあああああーーーー!!!」ガリガリガリ
今までどおりの優しい笑みを浮かべながら懇切丁寧にいかにアライさんたちが不要か、アライさんが死ぬことでどれだけの人が幸せになれるのかを説く者。
その中にも2種類ある。
842 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 4e12-3ZDl)[sage] 投稿日:2017/10/24(火) 20:12:09.25 ID:h02EJJig0 [5/5]
みんなの為に死ねと淡々とアライーターに放り込む者。
アライさん36「離すのだ!アライさん以外のアライさんが死ねばいいの… うぎゃばばっ、ばばばああああああーーーーー!!!」ガリガリガリ
アライさん37「ごめんなさいなのだ!ごめんなさいなのだ!ごめっ… ぴぎゃああああああーーーーー!!!!」ガリガリガリ
アライさん38「お願いだから死んでくれって、じゃあ今まで一体何のためにアライさんを育ててくれっぶぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!!!」ガリガリガリ
アライーターの口の前にアライさんを放置し、自ら死ぬように強要する者。
アライさん48「嫌なのだぁ!なんでアライさんが死ななきゃならないのだぁ!!」ジタバタバタ
アライさん49「なんでアライさんが死ねばみんな幸せなのだ!寧ろアライさんの為にみんな死ねばいいのだあ!あ、た、助け…のぎゃあばばばばばば!!!!」ジタバタ ズルッ ガリガリガリ
アライさん50「ほ、ほら!かわいいしっぽのダンスなのだ!かわいいのだ!だからアライさんだけは助けっ、なんで蹴ったのぎゃばあああああ!!!」ガリガリガリ
皆思い思いの形でアライさんをアライーター処理にかける。
しかし、このやり方ではかなり非効率的ではないか?
工場長に窺うとこのやり方を認めている意外な理由があった。
何と、これは精神ケアの一環だというのだ。
工場の従業員たちは日々アライちゃんたちの面倒を見なくてはならない。
そうでない者もアライちゃんの醜い声を聞いたりその姿を見たりしてしまう。
ここで働く者たちにかかるストレスは一般的な社会人よりもずっと大きい。
そこで、こうやって思い思いにアライさんを殺すのがストレス発散となっているのだ。
こうしてアライーターで処理されたアライさん改めアラミンチはさらに専用のアライクッカーという機械によってゲル状になるまですり潰される。
このゲル状のアラミンチがボールちゃんやホイッスルちゃんたちの餌なのだ。
そう、この工場に来たアライさんには3種類の価値の内のどれかが与えられる。
アライボールとしての商品価値、アライホイッスルとしての商品価値、そしてボールちゃんやホイッスルちゃんの餌としての価値。
生きている、いや存在している価値すらないアライさんのような害獣に価値を与えてくれるこの工場は当にアライさんにとって救いを与えてくれるパライソなのだろう――――
(アライさんの汚らしい言葉づかいを連想させる「なのだ」「~のだ」という表現が入ったこと、深くお詫びいたします)
つづく
最終更新:2017年10月26日 00:42