22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 19:21:03.36 ID:K8NUA451O
…
食通の友人「子供のアライさんを、2~3匹ほど生きたまま狩ってきてくれないか?」
生け捕りか。
構わないが、どうしてだ?
車の中で泣き叫ぶわ暴れるわ…、息の根を止めた方が狩りやすいのだが。
食通の友人「今度のやつはな、生きたままじゃなきゃダメなんだ」
いいだろう、我が友人よ。
お前には色々援助してもらっている。
今回は生け捕りを試みよう。
丁度、農園からアライさん駆除の依頼が来ていたところだ。
俺はアライさん捕獲用の籠を持ち、農園へ向かった。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 19:37:49.84 ID:K8NUA451O
~農園~
トラップの設置は完了した。
あとは、監視カメラを仕掛け、深夜の間にアライさんが引っ掛かるのを待つだけだ。
だが正直、友人の期待を満たすのは難しいだろう。
フレンズでない野生のアライグマであれば、食べ物を畑から奪う際、子連れでやってくることはめったにない。
警戒心が強いためだ。
俺は一旦帰宅することにした。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 19:39:18.11 ID:K8NUA451O
…
翌朝、俺は目を覚ますと、食卓へ向かった。
トーストを焼きながら、テレビをつけ、録画した映像を映す。
農場へ取り付けた、例の監視カメラの録画映像だ。
しばたく早送りすると、森のほうからのそのそと何かがやってくるのが見えた。
アライさん「チビ達!こっちへ来るのだ!」
アライちゃん1「なのらー」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん2「のだ~」ヨチヨチ
アライちゃん3「ごはんなのだー!」ヨチヨチヨチヨチ
アライさん「美味しそうなにおいがするのだ!今日は美味しい野菜がいっぱい採れそうなのだ!」
アライちゃん1「なのだー」ヨチヨチ
映像の中では、アライさん親子が畑へ近づいていた。
フレンズになり、警戒心が薄まったのだろうか?
まだ両脚で立つことすらできない子供を連れていた。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 19:56:24.37 ID:K8NUA451O
アライさん「ん?なんなのだ?この匂い」スンスン
アライちゃん1「あっちなのら~」ヨチヨチ
アライちゃん2「いいにおいなのだー」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん3「うまそうなのだー」ヨチヨチ
親子が向かった先には、俺が仕掛けた捕獲用トラップの籠があった。
籠の中には、揚げパンやキャラメルコーン等、匂いの強い餌を仕込んである。
アライさん「あの中に入ってるのだ!みんな、入るのだ!」モゾモゾ
アライさん「んしょ、んしょ…!」モゾモゾ
アライさん「入れたのだ!」スポッ
アライさん「ん…食べ物が入ってるのだ。もぐ…」モグモグ
アライさん「!!すごい、とーっても美味しいのだ!みんな入ってくるのだ!」
アライちゃん1「たべるー!」ヨチヨチヨチヨチ スポッ
アライちゃん2「はやくたべたいのだー!」ヨチヨチヨチヨチ スポッ
アライちゃん3「おなかすいたのだー!」ヨチヨチヨチヨチ スポッ
4匹の親子は、いとも簡単に籠へ入った。
そして、親のアライさんが奥のベーコンへ手を伸ばす。
アライさん「これが一番美味しそうなのだぁ」ガシッ
ベーコンが取られた瞬間、仕掛けが作動する。
ガシャンと音を立て、籠の入り口フタが閉じた。
アライさん「!?なんなのだ!?」ビクッ
アライちゃん1「のぁっ?」
アライちゃん2「おいしーのらぁ」モグモグ
アライちゃん3「おかーしゃんもごはんたべるのだー」モグモグ
アライさん「…なんだ、この箱から音がなっただけなのだ。なんでもないのだ」ムシャムシャ
親子は籠の中の餌を食い漁る。
元々大した量は入れていない。食い終わるには時間の問題だろう。
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 20:02:47.13 ID:K8NUA451O
アライちゃん1「ごちそーさまなのだぁ」ケプ
アライちゃん2「もっとたべたいのだー!」ジタバタ
アライちゃん3「はたけいきたいー!」
アライさん「確かに物足りないのだ。ここから出て畑に…」ガシャ
アライさん「…?」ガシャガシャ
アライさん「で、出られないのだ!入り口がないのだ!?」グイグイ
アライちゃん1「はやくあけてー」
アライちゃん2「まだなのだー?」
アライちゃん3「?」
アライさん「はぁ、はぁ、どこなのだ、出口はどこなのだぁ!」ガシャ!ガシャ!
アライさんは籠の壁に手当たり次第タックルをかました。
その揺れは籠全体に伝わり、ガシャンガシャンと大きな音を立てる。
アライちゃん1「ごはんー」ヨチヨチ
アライちゃん2「はやくあけてー」クイクイ
アライちゃん3「もっとたべたいのだー!びええええん!」ビエエエエン
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 20:12:34.44 ID:K8NUA451O
アライさん「このっ!このっ、このっ!どうやったら開くのだ!?」ガシャガシャ
アライちゃん1「おかーしゃんがあけてくれないのだー!」ビエエエエン
アライちゃん2「いじわるやなのだー!」ビエエエエン
アライちゃん3「はたけいくー!やだー!」ジタバタ
とうとう子供達が泣き出した。
アライさん「あ、アライさんだって出たいのだ!チビ達も見てないで手伝うのだぁ!」
あの籠はアライさんがどんだけ暴れても壊れることはない。
このまま見続けても時間の無駄だろう。
俺は電気ヤリを車へ積み、再び農園へ向かった。
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 20:13:08.72 ID:K8NUA451O
つづく
最終更新:2017年11月13日 23:20