330 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/16(水) 22:00:51.06 ID:Gtcaeycto
ショクエモンPこと食通の友人は、ステージクッキング終了後、ブースをぶらついていた。
彼はバッグからスマホを取りだし、電話を始める。
電話の相手『はい、こちらハンター。どうだ?調理の調子は』
食通の友人「無事ステージクッキング完了したぜ。お前が活きの良いアライさんの子供を獲ってくれたおかげだ」
電話の相手『そうか、そいつは何よりだ。あの後、同じ畑に罠を仕掛けて、何組か生け捕りにしたぞ。どうする?』
食通の友人「おお、それならこっちに持ってこいよ!食肉補充ブースに持ち込めばそこそこ稼げるぜ。生け捕りは今不足してるからな」
電話の相手『不足って…。オーケー、持ってくぜ』
『アライさん達をここから出すのだぁ!』
『なのだー!』
『のぁー』
食通の友人「そりゃみんな大喜びだろう。そうだ、ついでにお前も食事に来ないか?おごるぜ」
電話の相手『はは、冗談きついぜ。あんなもん食うだなんて吐き気がする。細胞の一片とて体内に入れたくないね』
食通の友人「そっかー、まあ仕方ないな。それが普通だ」
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/16(水) 23:26:50.98 ID:Olza9wAOo
…
俺は食通の友人からの電話を切ると、アラジビフェスの会場に向かった。
軽トラの荷台へ、アライさんの親子を乗せた籠を5つ乗せている。
エンジン音と風の音が、荷台のクソやかましい騒ぎ声をかき消してくれる。
駐車場へ着くと、食通の友人がスタッフを連れて待っていてくれた。
食通の友人「よう、ハンター!待ってたぜ」
スタッフ1「どうもどうも!して、獲物はどこですか?」
ああ、ここにあります。
軽トラの荷台の上に乗った、5つの籠を指差す。
アライさん1「開けるのだ!開けるのだあぁ!」ガンガン
アライさん2「アライさん達をここから出すのだ!みんな可哀想なのだぁ!」ガンガン
アライちゃん1「あけぅのらー」クイクイ
アライちゃん2「せまくてこわいのらー!」ビエエエエン
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 23:32:03.26 ID:c5AUbZJx0
「かわいそうなのだ」ってアライさんのおきまりの台詞になったな
この自己憐憫溢れる台詞、最初に考えた人には脱帽もんだわ
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/16(水) 23:38:26.06 ID:Olza9wAOo
ああうるせぇ!お願いだ!早く持ってってくれ!
スタッフ1「はい、どうもー。ひぃ、ふぅ、みぃ…。とにかく運びますね」ガシッ
アライさん3「のだっ!?おい、アライさん達をどこへ連れていくのだ!?」
スタッフ1「くっ、大人しくしろ!」
アライさん3「いやなのだあああああ!出るのだあああああ!」ドッタンバッタン
スタッフ達も、暴れ騒ぐアライさんを連れていくのに一苦労しているようだ。
食通の友人「なあ、アライさん…さっきからこの会場から、いい匂いがしないか?」
アライさん3「くんくん…そういえば、さっきから美味しそうな匂いと、アライさん達の匂いがするのだぁ」
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/16(水) 23:49:54.61 ID:Olza9wAOo
食通の友人「そう!その通り。ここではアライさん達と、とっても美味しいお料理で、みんなでお食事会してるんだよ」
アライさん3「!すごいのだ!アライさんも食べたいのだぁ!さっさと連れていくのだ!」
アライさん2「アライさんも行きたいのだ!」
アライさん1「みんなで行くのだ!」
アライちゃん1「のだー」ピョンピョン
アライちゃん2「おなかいっぱいごはんたべれるのだー!」キャッキャ
アライちゃん3「うれしいのだぁ!」ワイワイ
食通の友人「でも、ここはマナーが大事だからね。大人しく、静かにして、喋らないでいた子から先にご馳走のとこに行けるよ」
アライさん1「そうなのか?」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/16(水) 23:56:35.87 ID:Olza9wAOo
食通の友人「ああ。『さっさと食べさせるのだぁ!』とか騒いじゃうと、後に戻されるか、最悪何も食べ物が無くなるから気を付けてね」
アライさん3「それは困るのだ!チビ達もお腹空かせてるのだ!」
食卓の友人「逆にずーっと我慢して静かにできたら、すぐ食卓の一員になれるよ」
アライさん2「じゃあアライさん、静かにするのだぁ」ピタッ
アライちゃん4「やなのだ!いまあうぐたべたいのだー!」ジタバタ
アライさん4「静かにするのだ!チビのせいでアライさん達がご飯食べられなくなったらどうするのだぁ!アライさんの危機なのだぁ!」ガシッ
アライちゃん4「うぐぐ、むぐぐー!」モゴモゴ
食通の友人「さ、静かになりましたよ。一緒に搬入しましょう」ガラガラ
スタッフ「あ、は、はい…。ありがとうございます」ガラガラ
食通の友人とスタッフは、リヤカーへ籠を乗せ、品質検査室へ向かい移動を始める。
アライさん5「楽しみなのだー…」ヒソヒソ
スタッフ「そちらの方も同行お願いします。中で検査してから、換金します」
俺もスタッフへと同行する。
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/17(木) 00:12:12.67 ID:Eg2tRJAmo
~品質検査室前~
スタッフ「えー検査終わりました。生け捕りで健康体、未糞抜きの成体アライさんが5匹。同条件で、生後3ヶ月以内が2匹、生後6ヶ月以内が4匹、生後9ヶ月以上2年未満が1匹」ピポパ
スタッフ「計9万5千円です」
え!?そ…そんなにたくさん貰っていいのか!?
こんなクソゴミハエガイジ共にそんな価値があるとは思えないんだが…
スタッフ「生け捕りで栄養状態が良く、怪我のないアライさんは貴重なんですよ。逆に死亡していても、血抜き済みで保存状態が良ければそれなりの値段になります」
ほほう…。例のライブキッチンのチケット代で稼げるってわけか。
じゃあ、値が下がるのは?
スタッフ「病気だったり、あるいは血抜き無しの死体だったりすると、加工の手間があるので価値が下がりますね。さらに、腐敗してたり毒が抜けてないと、お引き取りはできませんので返却となります」
なるほど。いいビジネスだな。
スタッフ「お客様も是非、お食事をされていっては如何ですか?」
はは、あり得ないな。
吐き気がする、あんなものを食うなんて。
言葉には出さないが…
『お前ら、狂ってるよ』と、そう思わずにはいられない。
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/17(木) 00:16:03.15 ID:Eg2tRJAmo
俺は軽く挨拶すると、自宅へ戻った。
次の仕事場への仕事道具を取りに行くためだ。
今度のハンティングは、今まで以上に神経を使いそうだ…。
………
……
…
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/17(木) 00:19:49.39 ID:Eg2tRJAmo
つづく
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/17(木) 00:29:37.48 ID:Eg2tRJAmo
~オマケ~
それにしても、いくらなんでもあいつらだけで9万5千円は高すぎやしないか?
スタッフ「それは、アライさんを閉じ込めてる檻ごと引き取ってるからです」
ああ、そういえば…。檻ごと持ってってたな。
あれ仕事道具なんだが…。
まあ、檻から出すわけにもいかないだろうし、仕方ないか。
スタッフ「お客様の檻は原価が1個6000円で、中古価格で5千円。それが5個で2万5千円となります。それをさっぴいた7万円がアライさん売却の純利益となります」
なるほど。
しかし…何度も言うが、檻は仕事道具だ。
また買いに行かなきゃならんのか…
スタッフ「使い終わった檻は、檻の中古販売コーナーで売却されます。そちらへ立ち寄っては如何でしょうか?」
それは助かる。
早速俺は、檻コーナーへと中古檻を買いに向かった。
…
つづく
最終更新:2017年11月13日 23:44