580 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 21:07:15.82 ID:fRfbjI3To
…
食通の友人が、森から戻ってきた。
籠にはアライさんの親子がぎっしり詰まっている。
食通の友人「悪の芽は摘んだぜ」
まさか、子まで探してかっさらってくるとは…。
あのアライさんと意志疎通をとり、子供の居場所を聞き出すなど、俺には真似できない芸当だ。
食通の友人「そっちはどうだ?」
ああ、あの後他のアライさんが3匹畑に近付いてきたよ。
全員撃ち殺したけどな。
食通の友人「さすが」
…
そして、夜が明けた。
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 21:15:31.05 ID:fRfbjI3To
…
アライさん達の死骸「」グチャア
アライちゃん達が入った籠「ダスノダー!」ガシャンッガシャンッ
農夫「こ、これは…?」
食通の友人「昨晩こっそり、知り合いのハンターに依頼して、あなたをアライさんから守ってました」
こいつらは、あなたの命を狙ってやってきました。
我々が駆除しなければ、あなたは怪我を負うか、最悪死んでいたかもしれません
農夫「そんな、ばかな…一体どうして…」
食通の友人「溺死し損ねた奴が、徒党を組んできたんでしょう」
農夫「…君のお陰で救われた。ありがとうな。費用はちゃんとワシが払うよ」
食通の友人「頼みますよ」
これからは、あいつらの駆除にはちゃんとプロの駆除業者を呼んでください。
我々は、日々奴らの行動原理と、効率的かつ安全な殺し方を研究してるんですから。
農夫「あんたがいうと説得力あるな…わかったよ」
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 21:20:04.37 ID:fRfbjI3To
食通の友人「じゃあ、捕らえたこいつらは、貰っていきますよ」ガシャ
農夫「ああ、それは…大丈夫なのかい?確かアライグマやらウシガエルやらは、特定外来ナントカっていう法律で、生きたまま持ち運びできないんだろう?」
食通の友人「動物のままなら、ね。フレンズは違います」
農夫「なんと?」
食通の友人「大体それじゃあ、外来生物のフレンズは、善良であっても人と一緒に移動しただけで殺されちゃうじゃないですか」
農夫「それは可哀想だなぁ…」
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 21:27:29.24 ID:fRfbjI3To
かつて人々を脅かしていたセルリアンを、退治してくれたフレンズ達…。
彼女達は、人間に成り代わって地上の支配者になることだってできた。
しかしそんなことはせず、人類復興のために力を貸してくれたのだ。
そんな彼女達を、一体なぜ畜生扱いできようか。
そんな人々の感謝と尊敬から制定されたのが、『フレンズと国民と自然の共存のための法律』である。
簡単にいうと、フレンズは獣として生きることもできるが、
申告すれば人としての戸籍を持ち、差別なく人と平等に暮らせるというものだ。
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 21:32:15.95 ID:fRfbjI3To
農夫「人と同じか…。ん?だったら、尚更アライさん達を駆除しちゃいけないんじゃないのか?」
そこでできたのが、『特定有害フレンズの駆除促進のための法律』…
通称アライさん駆除法である。
「第一条。
以下のフレンズは、戸籍を持たない限り、特定有害駆除対象フレンズとする。
以上」
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/22(火) 21:36:34.33 ID:5Yzb5sc70
アライ狙いうちの法律ですやんwwwwww
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/22(火) 21:37:14.91 ID:3YASqmNAo
アライさんはいらないってはっきりわかんだね
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 21:40:38.97 ID:fRfbjI3To
農夫「…?なんだそりゃ?」
数年前、火山の噴火でサンドスターが撒き散らされ、
野生のフレンズが急増した。
その中の多くは、人と共存し、コミュニケーションを取ることが可能だった。
しかしただ一種だけ、極めて利己的であり、人々の生活を脅かす害獣と成り果てたフレンズがいた。
それがアライさんである。
サンドスターには人の意志が宿る…と聞く。
日本に住むアライグマがフレンズ化した際、その人格形成には、害獣としての側面が大きく反映されたのだ。
最初は彼女達となんとかして共存しようと試みる者もいた。
だが今ではもはや、そんな夢物語を語る者はお花畑の住人くらいしかいない。
ただの迷惑な奴…で済めば、話は簡単だった。
だが、アライさん達の脅威はそんなことで収まる規模ではなかった。
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 21:51:16.04 ID:fRfbjI3To
アライさんといえば「宝探し」。
その貪欲な物欲により、民家を意図的に荒らし回り、
「面白そうなもの」や「美味しそうなもの」を強奪していく。
さらに、その繁殖力。
フレンズは全員が雌である。
その増え方はネズミ算といって差し支えない。
最も恐ろしいのは、単体回復のスキルと、一切の寄生虫や病原体を寄せ付けない異常な免疫力である。
一般の動物は、生後から成体まで育つ確率は30%に満たない。
それは病死であったり、怪我であったり、他の生物からの捕食であったりする。
だが、アライさんはその殆どと縁がない。
成体まで育つ確率はゆうに90%を超える。
このまま放置すれば、自然は荒廃し、冗談抜きで人類の文明が崩壊しかねない。
フレンズ達との協議の結果、戸籍を持たないアライさん達を、『特定有害駆除対象フレンズ』と認定。
国家ぐるみでの駆除作戦が始まったのである。
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 21:59:50.20 ID:fRfbjI3To
アライさん駆除の名目では軍隊を動かせないため、民間の狩猟者が中心となり駆除を進めるしかなかった。
始めはただただ、徒労であった。
生産性のない狩猟に対し、協力する者は多くはなかったし、
国家予算も雀の涙であったという。
だが、転機が訪れた。
あるカニバリストが、仕留めたアライさんの肉を食ったところ、
一般販売される食肉すら上回る、絶品ともいえる美味だということに気付いた。
サンドスターの影響だろうか。
元のアライグマも悪くない味だが、それを遥かに凌駕する美味なのだ。
アライさんに食肉としての利用価値を見いだされたことで、
『特定有害フレンズの駆除促進のための法律』へ二条以降が追加されたのだ。
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:13:59.14 ID:dvwsxjxeO
「第二条。
特定有害駆除対象フレンズは、
国家が指定した研究機関を除き、一切繁殖の助長を禁止する。
本法律に違反した場合、個人に対しては懲役30年以下の禁固刑または3000万円以下の罰金を、法人に対しては8億円以下の罰金を課す。」
「第三条。
特定有害駆除対象フレンズは、その駆除を以て達成される事業を認可され、
フレンズ省及び環境省の審査により助成金を受けることができる。
ただし、第二条を守るため、特定有害駆除対象フレンズの存在なくして存続できない民間事業はこれを禁ずる。」
長いから大雑把に言うと、
- アライさんを繁殖させるのは禁止!
- アライさんの駆除を助長するビジネスには補助金出すよ!
- でも、アライさん無しじゃ存続できないビジネスは、そのうちアライさんを繁殖させるかもしれないからダメだよ!
ということだ。
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:20:03.66 ID:dvwsxjxeO
農夫「ポカーン」(話についていけてない)
どうやら農夫は、長々とした説明で頭がパンクしかかっているようだ。
食通の友人「要するに、俺はこれからこいつらを自分の店で調理する。だから持ち運びしてもいいんですよ」
農夫「…はっ、そ、そうなのか…」
食通の友人「そうです」
全く…
こいつと同じ悪趣味を持った連中のお陰で、
俺はアライさん狩りでなかなか儲けているというのだから、複雑だ。
俺はアライさんの肉なぞお断りだ。死んでも口にしたくないね。
食通の友人よ、こないだ仕留めた鹿の肉まだあったろ。
今日の昼飯は、お前んとこのジビエ料理店に行くよ。
食通の友人「おっ、そうか!じゃあ、アラジビ料理にも挑戦してみないか?」
…お断りだっつってんだろッ!
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:30:33.36 ID:fRfbjI3To
…
翌日。
食通の友人は、ブログへアライちゃんが入荷したことを記載した。
すると、彼の経営する『食獲者(ショクエモン)ジビエ料理店』は、即座に予約が殺到。
限定15食程のアラジビ料理は、一瞬で予約が埋まってしまった。
食通の友人「さて、料理の仕込みをやるか」
食通の友人は、アライさん一家が入った籠に目をやる。
幸いにも、あれだけの地獄絵図にも関わらず、
死亡したのは母親であるアライさん3と、ハンマーで押し潰されたアライちゃん3の二匹のみであった。
これらはとうに血抜きを済ませ、冷蔵されている。
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:37:03.33 ID:fRfbjI3To
食通の友人「さーて、糞抜きとかライブキッチンの準備とかやっとこうかな。明日は客が殺到するだろうし」
プルルルルル
食通の友人「はい、もしもし。…はい、大臣。え!?今から!?今からですか!」
食通の友人「しかしこの食材は、明日の限定15品の…。え?14品にすればいいって?うーん…まあ、分かりました」
ピッ プーッ プーッ プーッ…
食通の友人「…全く、さんざん世話になったとはいえ、大臣はいつも突然だから困る…」
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:42:05.61 ID:fRfbjI3To
数分後、ジビエ料理店「食獲者」の前に、高級車が到着した。
中からは、黒いスーツに身を包んだ3名の少女と、
温かそうなコートを着た少女が1名現れた。
食通の友人「お出ましか」
??「さ、新作のアラジビ料理を食べさせるのです。予約に割り込んだ分、お題は弾むのです」
食通の友人「ようこそ、大臣」
特徴的な髪、耳、尻尾。
高級車から降りてきた4名は、全員がフレンズである。
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:52:28.46 ID:fRfbjI3To
食通の友人は、コートを着た少女…大臣と呼ばれるそのフレンズを店内へ招く。
食通の友人「さて、何かお望みの料理はありますか?」
大臣「こないだのアラジビフェスで披露した、アラフライもいいですが…。未公開の新作はあるのですか?」
食通の友人「はい。ビックリするようなのがありますよ」
大臣「じゃあ、それを寄越すのです」
食通の友人「かしこまりました。驚いて体がシュッと細くなるようなのをお出ししますよ」
大臣「わくわくするのです」
誰も見たことのない完全新作メニューが、
突如訪れた、このやたら偉そうなフレンズの前で披露されることになった。
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:53:04.07 ID:fRfbjI3To
つづく
最終更新:2017年11月14日 12:14