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大臣とアライちゃんバーグ その4

705 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/25(金) 23:22:31.59 ID:Kc5QPffYo
大臣はアラジビ愛好家である。

一般人なら芽を背けたくなるようなグロテスクな料理、『アラフライ』でさえ、
彼女は明確に「食べたい」と言ってのけた。

しかし、そんな彼女でも。

大臣「う…う…」ガクガク

ナイフとフォークを握る手は、しばらく震えていた。

707 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/25(金) 23:30:28.06 ID:Kc5QPffYo
食通の友人「ちなみに俺はこれ食べましたよ。自分が食ってウマいと思うもの以外、人に食わせるわけないじゃないですか」

大臣「その理屈は分かってますが…」プルプル

そこへ、小学生くらいの男の子が入店してきた。

食通の友人「へいらっしゃい」

男の子「おじちゃーん、干しアライください」

食通の友人「へい、あんがとな。150円だ」

男の子は、ガマ口財布から150円を取り出し、渡す。

食通の友人「へい、まいど~」スッ

食通の友人は、串に刺さった干し肉を男の子へ渡した。

男の子「いただきまーす」ムシャムシャ

男の子は、美味しそうに干し肉を食べている。

708 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/25(金) 23:35:44.83 ID:Kc5QPffYo
大臣「…ショクエモンP、私にもあれを1つ寄越すのです」

食通の友人「へいまいど、150円です」

大臣にも、串に刺さった干し肉を手渡す。

食通の友人「サービスの麦茶です。どぞ」コトン

大臣「いただくのです。あぐあぐ…」モグモグ

大臣「…うん、やはり干しアライは美味しいのです」モグモグ

食通の友人「屑肉を出汁で味付けして、干し肉にしたもんですが、けっこうイケますよね」

大臣「…ここの所、お前の料理はインフレしていたので、この素朴な味がまたいいのです」

大臣「無理に見た目の派手さを追究しなくても、アラジビ肉はそれ単独で十分美味しいのです」モグモグ

709 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/25(金) 23:38:12.53 ID:Kc5QPffYo
食通の友人「豚や牛と同等以上のポテンシャルありますよね。ただ、やっぱアライさんが人の見た目してるから、パンピーには受けが悪いですが」

大臣「ふぅ…。さて、アライちゃンバーグを頂くのです」カチャカチャ

大臣は、ハンバーグを切って口へ運ぶ。

大臣「もぐもぐ……!ごくんっ…」

大臣「な…何ですか、これは!」

710 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/25(金) 23:41:35.06 ID:Kc5QPffYo
大臣「美味しいのです。骨は軟骨みたいでコリコリしてるのです」

食通の友人「アラフライは、頭まで美味しく頂かれましたからね。こいつらは骨も歯も爪も、加熱すると柔らかくなるんですよ」

大臣「むぅ…。無駄がないのです。普通焼き魚でさえ頭は残されるのです。もぐもぐ…」モグモグ

大臣「御馳走さまなのです」

食通の友人「いかがでしたか?」

大臣「…料理としては満点です。しかし…」

大臣「ライブキッチンのクッキングショーとしては、さっきのは微妙なのです」

711 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/25(金) 23:47:20.43 ID:Kc5QPffYo
大臣「まず、カタルシスがないのです。盛り上がりに欠けます。ただ淡々と殺して、後は普通に料理するだけ」

大臣「料理のピークと、虐殺のピークがずれてるのです」

食通の友人「随分冷静な観点で批評しますね。まあ…確かに…」

大臣「それから、アライさんのリアクションが面白みがないのです。拘束し、ただ叩かれて、痛がってるだけなのです」

大臣「もっとこう、もがき苦しみ、動き回るようなのがウケるのです」

食通の友人「フーム、難しいっすね…」

大臣「これはダメ…とまでは言いませんが、次のフェスで挑戦者に負けるかもしれないのです」

食通の友人「挑戦者?」

715 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:01:53.71 ID:+Smt3iqlo
大臣「聞いてないのですか?次のフェスで、あのブラウンPが、あなたにクッキング対決の挑戦をしてるのです」

食通の友人「最近ブログチェックしてなかったからな~…」

大臣「ブラウンPは新人ながら、めきめきと腕を上げているのです。そして何より、ブラウンP自身のファンが多いのです」

食通の友人「…だろうな」

大臣「クッキング対決では、料理は600g以下と規定されるのです。それでどれだけたくさんの試食者から票を得られるかで、競い合うのです」

食通の友人「うーん…相手はあのブラウンPか…。俺より格上のランカーか」

大臣「次のライブキッチン、アライちゃんバーグで出る気なら、勝ち目は薄いのです」

716 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:07:31.55 ID:+Smt3iqlo
大臣「どっちが格上かはさておき…、今現在のランキングではお前の方が上なのです。でも、ブラウンPの急成長は、あっという間にお前を抜き去りそうなのです」

食通の友人「…となると。俺の方も、ずっと温め続けてきた秘密兵器を御披露目するしかないな」

大臣「秘密兵器?」

食通の友人「はい。誰にも見せてなかたんですが…。俺は勝負には勝たなくちゃ気がすまないタチで。次のライブキッチンは、全力でいきますよ」

大臣「楽しみにしてるのです」

大臣「…お前には、感謝してもしきれないのです」

食通の友人「…お互い様ですよ」
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:12:17.32 ID:+Smt3iqlo
大臣「…かつて、アラジビ料理は悪趣味なゲテモノでしかなかったのです。同好の狩人がひっそりと集まって、こっそり食べ合う地味で陰気な集いにすぎなかったのです」

食通の友人「…」

大臣「そこへお前がやって来て、アライさんを虐殺しながら料理する、ライブキッチン動画を動画サイトへ投稿し始めたのです」

大臣「お前はトーク技術や、アライさん虐殺ショーの魅力でファンを獲得し、アラジビ料理の普及に貢献したのです」

大臣「お前のおかげで、フェスの参加人数は増え始め、アラジビ肉の優れた味が純粋に評価され始めているのです」

食通の友人「物騒な話ですがね…。人と同じ姿のフレンズを食べるなんて」

718 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:20:33.86 ID:+Smt3iqlo
大臣「明日は客がいっぱい来ると言ってたのです」

食通の友人「はい。ま、材料が15皿には足りなくなりましたがね…」

大臣「だったら、『特定有害駆除対象フレンズ引き取り保護サービス』を使うといいのです」

食通の友人「何ですかそれ?」

大臣「駆除業者が集めた特定有害駆除対象フレンズは、保健所へ集められますが。それを注文のあった場所に配送する事業なのです」

食通の友人「有料なんすね」

大臣「名目上は、『引き取り保護』ですが…、ぶっちゃけると、アラジビ肉の通販なのです」

食通の友人「ぶっちゃけましたね!?」
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:29:17.32 ID:+Smt3iqlo
大臣「駆除業者や狩猟業者が持ってきた特定有害駆除対象フレンズを、卵管をレーザーで焼いて避妊した後、アラジビ料理人のところへ流通させるシステムなのです」

食通の友人「あ、いいですねそれ」

大臣「これがあれば、アラジビ料理人は安定したアラジビ肉の供給を受けられるようになり、我々は料理人から代金を受け取り駆除活動資金にできます。良循環なのです」

食通の友人「採算取れるんすか?」

大臣「今はまだ赤字なのです。でも、安定してアラジビ肉を供給できれば、やがて多くの人に普及して、人気と需要が高まるのです」

大臣「そうすれば、やがて市場規模の増大に繋がり、黒字化できるのです。今は先行投資の時期なのです」

食通の友人「うまくいけばいいっすね」

721 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:34:57.91 ID:+Smt3iqlo
大臣「そのためには、お前ら料理人が頼りなのです。頑張ってアラジビ料理を普及させて、駆除活動を促進してほしいのです」

食通の友人「ああ、任せてくれ。次の秘密兵器で、多くの人の胃袋もハートも鷲掴みにしてやるさ」

大臣「かつて多くの動物達を乱獲し絶滅に追いやった、お前達人間の群れとしての強さを見せるのです」

大臣「ドードーやステラー海牛にやったように、奴らを絶滅させてやるのです」

食通の友人「…健闘しますよ、大臣」

722 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:38:06.32 ID:+Smt3iqlo
大臣「配送完了、と。これで明日までには、子供のアライさんが2~3匹そっちに届くのです」

食通の友人「おぉ…便利ですね」

大臣「着払いなのです」

食通の友人「俺の自費ィ!?」

大臣「ご利用ありがとうなのです。あ、それと、干しアライ3つ寄越すのです」

食通の友人「ほいよ、450円っす」

大臣は、黒服の三人のフレンズ達へ干し肉の串を1本ずつ渡すと、車に乗って去っていった。

723 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:40:36.94 ID:+Smt3iqlo
食通の友人「…さてと、アラジビフェスの挑戦者か…」

食通の友人「丁度いいや。『秘密兵器』も食べ頃だったしな」スタスタ

食通の友人は、自宅の地下室へ足を運んだ。

地下室の前には、重い鉄の扉がある。

724 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:42:18.99 ID:+Smt3iqlo
食通の友人「仕込みももうすぐ終わりかな…」ガチャ

食通の友人「お前ら、飯の時間だぞー」ギイィー…

食通の友人は、ゆっくりと、鉄の扉を開ける。

そこは暗く、独特な匂い…悪臭が漂っていた。

デブアライさん1「も、もごご…」

デブアライさん2「うぐぐ、ぐ、ぐるじいのだ…」ブヨンブヨン

725 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:43:09.74 ID:+Smt3iqlo
つづく


727 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 01:04:21.91 ID:fWEe5ny20
大臣の言うことよく分かるわぁ
殺し方が呆気ないと思ってたら大臣にこう言わせるための伏線だったんだな






最終更新:2017年11月14日 12:32