704 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 20:01:03.21 ID:Aa9u3/tVO
食通の友人が、フォアグライ事業を初めてから3年が経った。
人々を虜にする絶品超高級食材フォアグライは、世界中の富豪にバカ売れ売れた。
フォアグライ加工場は、初期費用を1年で回収。
その後も経営は黒字であり、事業として成功していた。
取締役である食通の友人の方針により、
この会社は6年でフォアグライ生産を終了する計画を打ち立てていた。
それだけの期間が経てば、アライさんはほぼ途絶えると見込んだためである。
その経営方針が、フォアグライのプレミア感を引き立たせ、
「今しか食えない超プレミア品!」という謳い文句でさらに購買意欲を掻き立てた。
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 20:06:04.59 ID:Aa9u3/tVO
ではその間、アライさん達は狩られるままだったであろうか?
否。
人間達に狩られる恐怖の中、アライさん達は希望を求めていた。
人間達を倒す、希望の『流れ』を、待ち望んでいた。
自分達を率いて、統率し、人間達と戦う戦略をもつ『誰か』を。
それが自分でないことを知りながら、『誰か』が現れるのを待っていた。
…その『誰か』は、ついに頭角を表すことになる。
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 20:11:06.13 ID:Aa9u3/tVO
…
~森~
新人ハンター「家屋に忍び込んだアライ退治は駆除業者の仕事…」ザッザッ
新人ハンター「山狩りするのは俺の仕事!!」ザッザッ
犬(ダックスフント)「ワンワン!」ザッザッ
新人ハンターは、籠と猟銃を持って森を進む。
この犬…ダックスフントは小型犬だが、決して格闘能力は低くない。
アライさんの巣穴へ潜り込み、アライちゃんを引きずり出すことに関しては人間以上。
アライちゃん狩りにはうってつけの犬種である。
「のだ~~~!」
アライさんの声が聞こえる。
新人ハンター「行くぞ」ザッザッ
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 20:13:35.05 ID:Aa9u3/tVO
「のだ~~~!!」
新人ハンター「こっちから聞こえたな」ザッザッ
犬「ワンワン!」
犬が上を見ながら吠える。
新人ハンター「どうした?まだアライさんはいないぞ」
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 20:14:28.82 ID:Aa9u3/tVO
ごしゃっ。
新人ハンターは、自分の頭蓋骨が砕ける音を聞いた。
…立ち上がれない。
視界の焦点が合わない。
「ワンワン!ワン!」
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 20:19:32.17 ID:Aa9u3/tVO
地面に倒れ伏す新人ハンターの頭の隣には、大きな石…いや、小さな岩が転がっていた。
彼は、頭上から落下した岩に頭を打たれたのである。
頭部からの出血は甚大だ。
犬「ワンワン!ワン!」
犬は、なおも頭上に向かって吠える。
ボスアライさん「のだぁ!」バッ
上空から、竹槍を持ったアライさんが襲いかかる。
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 20:29:06.73 ID:7DSIJ9VCo
犬「ワンワン!」サッ
犬は素早く動き、槍をかわすが…
ボスアライさん「遅いのだ!」シュバ
犬「ギキャウウウゥ!」ブッシュウゥ
犬の喉に竹槍が突き刺さる。
犬「ギュウゥ…」バタッ
ボスアライさん「はぁ、はぁ、どんなもんなのだ…」シュウゥゥ
ボスアライさんの体が少しだけ光る。
EXPを得て、レベルが上がった反応だ。
ボスアライさん「いい感覚なのだ…また少し、力を増したのだ」
取り巻きアライさん1「ボスはすごいのだぁ!」ガサッ
取り巻きアライさん2「ヒトを倒しちゃったのだぁ!」ガサッ
ボスアライさん「ヒトは便利なものをたくさん持っているのだ。全部奪うのだ」
アライさん達は、新人ハンターの荷物を漁る。
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 20:33:31.67 ID:7DSIJ9VCo
取り巻きアライさん1「犬はどうするのだ?」
ボスアライさん「晩御飯にするのだ!」
取り巻きアライさん2「ヒトの死体はどうするのだ?」
ボスアライさん「………」
取り巻きアライさん1「ど、どうするのだ?」
ボスアライさん「…どんぐりの木の根本に埋めるのだ。きっといい栄養になるのだ」
取り巻きアライさん2「…わかったのだ!」ザッザッ
アライさん達は、新人ハンターや、民家から奪った刃物で犬を解体する。
新人ハンターの死体は、どんぐりの木の根本に埋められてしまった。
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 20:44:36.63 ID:7DSIJ9VCo
…
深夜の森。
木に登ったボスアライさんのもとへ、たくさんのアライさん達が集結している。
ボスアライさん「ヒトはアライさん達を徹底的に滅ぼしに来ているのだ!」
アライさん1「こ、こわいのだ…!」ザワザワ
アライさん2「最悪な奴らなのだ…!」ドヨドヨ
ボスアライさん「お前達!…そう、今話を聞いているお前だ。もし明日、自分が銃を持ったヒトに会ったら…そのときお前は、どうなるのだ?」
アライさん3「会いたくないのだぁ!」
アライさん4「でも、もう森には食べ物が少ないのだ…畑に行かなきゃ野菜がないのだ…」
ボスアライさん「まさか自分だけは助かる、そう思っているのか?…お前たちの友人はそう思い続け、何の備えもせず!あっけなくヒトに見つかって、殺されたのだ!」
アライさん5「うぅ…!」ガクガクブルブル
アライさん6「明日にも、ヒトがアライさんを殺しにくるかもしれないのだ…」ガクガクブルブル
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 20:52:18.62 ID:7DSIJ9VCo
ボスアライさん「そこのお前!そう、チビを3匹連れてるお前なのだ!お前は明日、子供を連れて歩いてるとき、ヒトに会ったらどうするのだ?」
アライさん1「えっ…っ…に、逃げるのだぁ!」
ボスアライさん「ヒトは銃を持ってるのだ。背中をズドンと一発。大きな穴を開けられ、お前は死ぬのだ」
アライさん1「ひっ…い、いやなのだぁ!」
ボスアライさん「そこのお前!木によりかかってるお前!お前はどうするのだ?」
アライさん2「そ…そうだ…仲良くしてもらうのだ。お友だちになるのだ!」
ボスアライさん「握手した瞬間、お前は首を刃物で刺されるのだ。ヒトが仲良くしたいのは、お前の死体とだけなのだ」
アライさん3「の、のだあああぁ!」ガクガクブルブル
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 20:59:08.92 ID:7DSIJ9VCo
ボスアライさん「お前はどうだ!」
アライさん4「た…戦うのだ!」
ボスアライさん「一人で戦うのか?」
アライさん5「うぅ…一人じゃ勝てないのだ…!」
ボスアライさん「じゃあ、どうすれば勝てるのだ?」
アライさん5「うぅ……わからないのだ!」
ボスアライさん「教えてやるのだ。お前達がヒトを倒せる方法は3つあるのだ」
アライさん5「…?」
ボスアライさん「1つ。夜中にヒトの寝床へ忍び込み、首をかっきるのだ」
ボスアライさん「2つ。ここにいる全員で、武器を持って一斉に襲いかかるのだ」
ボスアライさん「3つ。これを使うのだ」チャキ
アライさん5「そ…それは!ヒトの銃なのだ!銃で撃つのか?」
ボスアライさん「これというのは、銃だけの話じゃないのだ。罠を…道具を使うのだ」
アライさん5「罠…道具…」
ボスアライさん「ヒトは油断しているのだ。自分が狩られる側に回るなんて、ちっとも思ってないのだ!」
ボスアライさん「見るのだ!この荷物を!これはアライさんが倒したヒトから奪ったものなのだ!」
アライさん達「「す…すごいのだ!」」ザワザワ
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 21:09:41.88 ID:7DSIJ9VCo
ボスアライさん「ここにいるお前達!できるだけ多くの仲間を連れて、アライさんのもとへ集うのだ!たくさんの力が合わされば、ヒトに勝ち、屈伏させることができるのだ!」
アライさん1「わ…わかったのだ!」
ボスアライさん「『明日になれば、事は勝手に良くなる』そう考えてる奴!お前が真っ先に死ぬのだ!」
ボスアライさん「大事なのは、今、生きているこの一瞬一瞬すべてが、ヒトとの戦いだと意識することなのだ!」
アライさん2「た…戦うのだ!」
アライさん3「ボス!アライさんは、ボスについていくのだ!アライさんの力を使ってほしいのだ!」
アライさん達『ボス!ボス!ボス!ボス!』
ボスアライさん「よろしいのだ!いい仲間を持てて、アライさんは幸せなのだ!アライさんはこれから、名前を名乗るのだ!」
名前。
アライさん達は、誰もが自らを「アライさん」と名乗る。
名前を名乗るという発想すら、持つものはいなかった。
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 21:14:49.04 ID:7DSIJ9VCo
ボスアライさん「これからアライさんは、名前を名乗るのだ…!人類への反逆者…アライさんの王…『アライキング・ボス』と!」
アライさん「…お、おぉ…」
イマイチなネーミングセンスに、それまでの熱が若干冷める。
『アライキング・ボス!アライキング・ボス!アライキング・ボス!』
…
アライさんは、基本的に群れを作らない。
互いに分け合うことも、譲り合うことも、支え合うこともない。
だが、共通の敵を見つけたときのみ。
互いに力を合わせるのである。
今、森に生きる大勢のアライさんは、人類という共通の敵を見つけた。
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 21:19:28.81 ID:7DSIJ9VCo
…
翌朝…
アライさんのいる森に、一台のバスが停まっている。
バスから、一人のフレンズが降りてくる。
キツネ「はぁ…いい加減もうやめたいなぁ…」ハァ
ため息をついて出てきたのはキツネのフレンズである。
キツネは、森に入り、アライさんを探す。
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 21:26:36.10 ID:7DSIJ9VCo
キツネは、アライさんの群れを見つける。
キツネ「やあやあアライさん達、おはよう~」
アライさん1「…フレンズなのだ」
アライさん2「何なのだ?」
アライさん3「お前、人間の匂いがするのだ」
キツネ「そうだよ~。フレンズがヒトと仲良くなって、おんなじ暮らしができるようになる方法があるんだ」
アライさん1「…やっぱり、ヒトの仲間なのだ」
キツネ「そうだよ。ヒトと一緒に仲良く暮らしてる。アライさん達も同じようになれるよ」
アライさん2「ヒトはアライさん殺しなのだ!仲良くなんて、絶対嫌なのだ!」
キツネ「…で、でも、安全で、美味しいご飯を毎日…」
アライさん3「ヒトをみんなやっつければ!安全で、美味しいご飯を毎日食べれるのだ!」
キツネ「…やばいっ!逃げよう!」ザッ
アライさん1「お前、人間の仲間なのだ!」ザザッ
アライさん2「人間の仲間なら、お前も倒すのだ!」ザザッ
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 21:32:19.45 ID:7DSIJ9VCo
キツネ「うわー!」タタタッ
アライさん1「待つのだー!」ドタドタ
アライさん2「倒すのだ!」ドタドタ
アライさん3「やっつけるのだ!」ドタドタ
キツネ「…交渉決裂か。嫌だなぁ…やむを得ないなぁ…」クルッ
キツネは、一番先頭を走って追ってくるアライさんをチラリと見る。
アライさん1「捕まる気になったのか!」ドタドタ
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 21:36:48.56 ID:7DSIJ9VCo
キツネは一瞬、身を翻す。
キツネ「大胆不敵!トリッククロー!」ブンッ
突如、キツネはアライさん1に向かって拳を振りかざした。
アライさん1「のああぁー!」バギィ
アライさん1はキツネの拳に当たり、吹っ飛ぶ。
アライさん2「いだぁいっ!」ドゴォ
アライさん3「のぎゃっ!」ガスゥ
吹っ飛ぶアライさん1にぶつかり、アライさん2&3はボーリングのピンのように倒れた。
キツネ「乱暴してごめんねー。それじゃ~」スタコラサッサ
キツネは遠くへ逃げていった。
アライさん1「ぐ…ぐぞ~…」ムクッ
アライさん2「逃げられたのだ…悔しいのだぁ!」ムクッ
アライさん3「むかつくけど追っても仕方ないのだ!帰るのだ!」
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/04(月) 21:47:42.73 ID:7DSIJ9VCo
…
アライさん1「たくさん仲間が集まったのだ!どうやってヒトと戦えばいいのだ?」
アライキング・ボス「ふっふっふ。アライさん達を追うやつらは、決まって森の中でもだけ銃を撃つのだ」
アライキング・ボス「銃を撃つ奴は、猟師っていうのだ。あいつらは人里では銃を撃てないのだ」
アライさん2「つ…つまり、どういうことなのだ?」
アライキング・ボス「矛盾してるように見えて、実は森の中よりも、敵の本拠地…つまり人里が、一番安全なのだ!」
アライキング・ボス「銃さえなければ、ヒトなんて烏合の衆なのだ!」
アライさん3「まさか、これから…人里に行くのか!?」
アライキング・ボス「その通りなのだ!まずは集落を1つ、乗っ取るのだぁ!」
最終更新:2017年11月14日 23:24