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アライハザード⑩ ~フォアグライ加工場~その1

344 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 22:02:13.98 ID:PWrAzQOLo
~フォアグライ加工場前~

アライさんの勢力は6つに分かれた…というが、
細かい目的達成のためにそれ以前に分かれた部隊がある。

これがそのひとつ。
30匹からなる、『チビ救出部隊』である。

保健所から脱走したアライさん達は、変な男2の案内のもと、フォアグライ加工場へやってきた。

ここに囚われている子供達を解放しに来たのだ。

アライさん1541「捕まったチビ達はここにもいるのか!?」ドタドタ

変な男2「はい。ここは…日本で、いや世界で一番邪悪な秘密結社です!絶対ぶっ壊しましょう!」ヨタヨタ

アライさん1542「見張りがいないのだ!突入なのだ~!」ダダッ

警官達は、民間人の安全を確保するのに精一杯であり、
こんな一企業の建物を守っている余裕はない。

アライさん達は、バール等の武器を使って窓を叩き割り、フォアグライ加工場へ侵入した。


346 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 22:10:05.65 ID:PWrAzQOLo
~アライちゃん育成場~

アライさん1541「のだのだのだー!」ドガンッ

アライさん1542「アライさんの可愛いチビ達を返すのだぁ!」バァン

愛する我が子を救出すべく、アライさん達は建物内をずかずかと進み、ついにアライちゃん達がいる大きな部屋へ到達した。

そこでアライさん達が見たものは…

デブアライちゃん1「うぅ…げふっ…ぐるじいのらぁ…」ブヨブヨ

デブアライちゃん2「おえええっ…」ゲボゲボ

デブアライちゃん3「おうぢがえりだい…のらぁ…」ブリブリ

デブアライちゃん4「だれか…たしゅけてぇ…おかーしゃん…」ジョロロロ

デブアライしゃん5「もう…ころして…ほしいのだ…」

便器のようなものに座らされ手足を拘束された、百を超える数のアライちゃん、アライしゃんであった。

アライちゃん達は吐瀉物にまみれ、悪臭を放っている。

アライさん1542「うっ…!」

アライさん1543「なんなのだこれ…酷すぎるのだ…!」

変な男2「っ…ひ、ひでぇ…こんなの人間がやることじゃねえっ!!」


355 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 22:22:15.91 ID:PWrAzQOLo
お面の男「よう、精の出るこったな」

変な男2「…!誰だ!」クルッ

アライさん1541「ヒトなのだ!お前がチビ達をあんな目にあわせたのか!?」

お面の男「まあまあ落ち着けよ。お前ら、腹減ってないか?」

声のする方を向くと、アライさんの紙製お面を被った男が、テーブルの側の椅子に座っていた。

テーブルの上には、銀の蓋で覆われた料理の皿がある。

アライさん1542「減ってるに決まってるのだ」

アライさん1543「お腹ぺこぺこなのだ」

お面の男「ほー、そうかい。じゃあ、ここらで飯にしねえか?」カパッ

お面の男は、蓋を外す。
皿には大きな大きな揚げ物料理が乗っていた。

アライさん1544「おぉーー!」

アライさん1545「美味しそうなのだぁ!」ジュルリ


362 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 22:29:17.80 ID:PWrAzQOLo
「食べたいのだぁ」「それ、食わせるのだ!」

30匹程のアライさん達は、口々に食べたいと言っている。

お面の男「ちょっと待ってな。冷めてるからな、レンジでチンしてやるよ」ガチャッ

お面の男は、料理をラップで包むと、業務用の大きな電子レンジで温めた。

アライさん1546「わくわくするのだぁ」

アライさん1547「お前、いいやつなのだぁ!またヒトが家来になったのだぁ!」

アライさん1548「腹が減っては、戦はできないのだぁ!」

デブアライちゃん4「おかーしゃ…あいたかった…のだ…。た…たしゅ…け…て…」

デブアライちゃん4は、自分の母親を見つけた…ようだ。
いや、よく似た別人かもしれないが、自分の母親とでも思わないと精神が持たないのだろう。

アライさん1549「チビと会えてよかったのだ!アライさん達は今からご飯なのだぁ、お前はちょっと待つのだぁ!」ワクワク


365 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 22:39:37.04 ID:PWrAzQOLo
変な男2「お前…何者だ?何でここにいる。何が狙いだ」

お面の男「そりゃこっちのセリフさ。お前は何者だ?何でここにいる。人に聞きたきゃ、まずは自分から名乗るのが礼儀ってもんだぜ」

変な男2「…俺は、もうアライさん達が傷付く世界が嫌になっただけさ。おかしいと思わないか?人と同じ姿をし、言葉を話し、心を持ったアライさん達が、無惨に殺される…」

変な男2「この国の連中は皆感覚が麻痺している。なんでフレンズを平気で差別し、虐殺することが、さも当然のように平然と行われてるんだ?」

変な男2「挙げ句の果てに、みろよこの狂った部屋を。人殺しどころじゃない、人食いだ。…みんな、狂ってるよ」

変な男2「正常な感覚じゃない」

お面の男「…優しいんだな、あんた」

変な男2「…アライさんの何が悪い。俺達人間だって、他の動物を、地球を、自分達のために犠牲にして生きている。何故アライさんだけを責められる!」

変な男2「アライさん達だって、子供を育てるため、生きていくために!畑の野菜を取ったり、民家を寝床にしているんだ!生きていることの何が悪いっていうんだ!」

お面の男「…哀れなもんだな、アライさん達ってのは」


369 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 22:48:43.11 ID:PWrAzQOLo
変な男2「ああそうさ!分かってくれるのか、お前も!?」

電子レンジから、いい匂いがしてくる。

お面の男「ああ。アライさん達だって生き延びるのに必死なんだろうよ。…お前さんはつまり、こいつらの手助けをし、この国をブッ壊して解放してやろうとしてんのか?」

変な男2「そうだ!アライさんを虐殺するような鬼畜共は、もう人間じゃねえ!みんなくたばっちまえばいい!」

変な男2「はは、どいつもこいつもいい気味だぜ。今までさんざんアライさんを虐殺しておいて、いざ自分達が襲われる立場になったら、皆命乞いしやがる。…自分達は、アライさんの命乞いなんて聞かなかったくせにな」

お面の男「…そいつらは、どうしてやったんだ?」

変な男2「ああ!そいつらなら、アライさん達が殺してくれたよ!バットやバールでボコボコにしてな!」

お面の男「…そうか。大したもんだぜ、あんた」

電子レンジから、チーンと音が鳴る。

お面の男「ほい、どうぞ。超ビッグサイズのアゲアゲ揚げ料理だぜ」スチャ

お面の男は包丁を持ち、大きな大きな揚げ物をざくざくとカットしていく。
アライさんの数と同じ、約30個に分割した。


378 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 22:58:18.42 ID:PWrAzQOLo
アライさん1541「いただくのだぁ!」タッ

変な男2「待った!こいつ怪しいぞ!この料理、毒が入ってるかもしれん!」

お面の男「入れねえよそんなもん。料理人が自分の料理に入れるのは、客をもてなす心だけだ。そんなに信用できねえなら俺が毒味してやるよ」

変な男2「むぅ…」

アライさん1542「食べるのだぁ!」ガシッ

アライさん1542が、フライを一切れ掴み、口へ運ぶ。

お面の男「俺はこの3年、表に出ず、ずーっと経営と料理の腕を磨いていたからな。じっくり味わいな、絶品だぜ?」

アライさん1542「あーん、がぶっ」ガブリ

アライさん1542は、大きなフライの一切れを噛み千切る。
断面からは、肉汁が滴り落ちる。


384 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 23:04:41.58 ID:PWrAzQOLo
アライさん1542「もぐもぐ…」モグモグ

お面の男「どうだ?」

アライさん1542「…おいしーーのだあああああ!とっても美味なのだ、脂っこくて最高なのだぁ!」モグモグ

アライさんは料理を絶賛する。

アライさん1543「アライさんも食べるのだぁ!」ドタドタ

アライさん1544「栄養補給なのだぁ!」ドタドタ

アライさん1545「今度は料理ができる家来ができたのだ!」ドタドタ

アライさん1546「アライさんにも欲しいのだ!」ドタドタ

お面の男「はいはい、一匹一切れな。カロリー高いからな」

アライさん達は全員、一切れずつフライを食べた。

皿の上には、フライの一番はじっこの丸い部分だけが残っている。


389 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 23:16:41.93 ID:PWrAzQOLo
アライさん1541「ふぅー、もっと食べたいのだぁ!」

アライさん1542「すっごく美味しかったのだ!ひとつだけ残ってるのだ、アライさんに寄越すのだ!」

アライさん1543「なぁっ、ずるいのだ!アライさんのものなのだぁ!」

アライさん1544「アライさんだってまだ食べ足りないのだぁ!」

アライさん1545「うおー、アライさんが貰うのだぁ!」ドタドタ

アライさん1545は、皿に向かって走る。

アライさん1546「させないのだぁ!」ガバッ

アライさん1545「のだっ!?」ドサッ

アライさん1546は、アライさん1545に後ろからタックルして押し倒した。

アライさん1546「これでフライはアライさんのものなのだぁ!」バッ

アライさん1546は、皿へ向かって手を伸ばす。

アライさん1545「よくもアライさんに乱暴したのだ!許さないのだ!」ドガァ

アライさん1546「のだっ!?」ドサッ

なんとアライさん1545は、先程タックルで押し倒された仕返しに、アライさん1546の後頭部を金属バットで殴った。


394 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 23:23:45.74 ID:PWrAzQOLo
アライさん1546「あああああ痛い痛いのだあああぁぁ!」バタバタ

アライさん1546は、異常な痛がり方をする。
後頭部は頸椎と頭蓋骨の接合面であり、人体の急所。金属バットで殴られたら無事では済まない。

アライさん1545「ふーっ、ふーっ、アライさんに乱暴したからなのだ、お前が悪いのだ」フゥフゥ

アライさん達は、静まり返る。

アライさん1545「これはアライさんが貰うのだ」スッ

アライさん1547「ずるいのだ!そうはさせないのだ!」ガシッ

アライさん1547は、アライさん1545を羽交い締めにした。

アライさん1545「離すのだ!アライさんが一番強いのだぁ!」ジタバタ

アライさん1547「こんな乱暴で悪い奴に、美味しいゴハンを寄越すわけにはいかないのだぁ!」グイグイ

アライさん1545「アライさんはやられたからやり返しただけなのだ!そこでうずくまってる奴が元凶なのだ!アライさんは悪くないのだぁ!」ジタバタ


397 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 23:28:21.03 ID:PWrAzQOLo
アライさん1547「みんな!こいつは仲間を殴った裏切り者なのだ!」グイグイ

アライさん1548「酷いのだ!」

アライさん1549「ゴミなのだぁ!」

アライさん1545「う、うぅ!なんで誰も分かってくれないのだぁ!アライさんは被害者なのだぁ!」ジタバタ

変な男2「もうやめるんだみんな!」

アライさん達「「!?」」ピタッ

変な男2「敵は人間だろう?こんな所で味方同士でいがみ合ってどうするんだ!子供達が見ているんだぞ!」

アライさん1545「…ちび…?アライさんのチビは、この中にいなかったのだぁ」

変な男2「いやそういう話しじゃなくてね!?」


399 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 23:34:05.57 ID:PWrAzQOLo
変な男2「ここは料理を作ってくれた、あの人に感謝すべきなんじゃないのか?最後の一切れは、あの人に残してあげようよ」

変な男2は、お面の男を指し示す。

アライさん達「…」

誰も納得してはいないようだが…

アライさん1541「…わかったのだ」

アライさん1542「…それでいいのだ」

『共通の敵は人間』ということを思い出したおかげか、しぶしぶ変な男2の言うことを受け入れた。

アライさん達は、共通の敵を見つけた時のみ団結できるのである。

お面の男「いや、俺はいい。それよりあんた、この争いを静めるとは大したもんだな。あんたも腹減ってるんじゃねえか?」

変な男2「お…俺?」


404 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 23:40:19.48 ID:PWrAzQOLo
お面の男「考えてもみろ。お前がアライさん達をここへ連れてきたおかげで、みんなは俺の料理が食えたんだろ?」

お面の男「だったら、お前にだって食う権利がある。そうじゃないか?」

アライさん1541「…それもそうなのだ。家来はいい仕事したのだ」

アライさん1542「お前も労ってやるのだ」

アライさん1543「アライさんはその辺バッチリなのだ」

アライさん1544「美しい友情なのだぁ!人間だったら絶対奪い合ってたのだ」

アライさん1545「…イゾンないのだ。その代わり、お前も家来になるのだ!お前も家来になって、毎日アライさん達にこれを作るのだぁ!」

お面の男「いいぜ。お前が本当にそれを心から望むならな。材料集めから料理の過程まで、じっくり見せてやっていいぜ」

先程の奪い合いとは裏腹に、アライさん達は残った料理を変な男2へ譲るようだ。


406 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/08(金) 23:44:03.19 ID:PWrAzQOLo
変な男2「…さっきは貶して悪かったな。頂いてもいいかい?」

お面の男「ああ。どうぞ」スッ

お面の男は、変な男2へフライを差し出す。
一番はじっこの、丸い部分だ。

お面の男「…おおそうだ。言っておくが、その部位はフライの衣を剥がしてから食った方が、料理をより深く味わえるぜ」

変な男2「そうなのか?ありがとう。どrどれ…」ペリペリ

変な男は、フライの衣を剥がす。








最終更新:2017年11月15日 22:43