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アライハザード⑫ ~死体の山の刺客~

537 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 22:17:15.32 ID:lxx3wgJYo
…

所変わって、ここは避難所の学校前。

俺はエアライフルを使い、警官1と警官2と共に、避難所へやってくるアライさん達を拳銃で次々と倒していった。

校門の前には、アライさん共の死体が山積みになっている。

警官1「ハァ…ハァ…」ゼェハァ

警官2「一通り倒したようですね…」ゼェハァ

しかしこれだけの死体、片付けるのは大変そうだな。

警官1「全くですよ…」



その瞬間。
銃声が鳴った。




警官1「…ぐっ…」ドサァ


541 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 22:27:16.60 ID:lxx3wgJYo
…何だ!?どこから撃たれた!

死骸隠れアライさん「ふはははー!やったのだぁ!」シュウウゥ

何ッ…!
アライさんの死体の山の中に、生きてる奴が一匹隠れていやがった!
しかも一発で当てやがった…!

死骸隠れアライさん「お前たちもやっつけるのだぁ!」バァンバァン

警官の拳銃はセミオート。
今どき撃鉄を手で起こすリボルバーなど使わない。
アライさんは拳銃を連射する。

警官2「ぐっ!この野郎!」バァンバァン

死骸隠れアライさん「ガードなのだ!」モゾッ

警官2「ハァ…ハァ…くそ…隠れやがった!」バァンバァン

アライさんの死骸の山「」グチャグチャ

『ふはははー!むだなのだー!』

死骸の山から、声が聞こえてくる。
どうやら拳銃では貫通できないらしい。


543 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 22:32:46.84 ID:lxx3wgJYo
警官1「ぐ…はっ…」

警官2「おい!しっかりしろ!」ユサユサ

警官2は、警官1の傷を見ている。
おびただしい出血だ。

…あの位置は急所だ。きっと救助が来ても、助からない…。

その時、再び銃声が鳴った。

警官2のそばで、地面から跳弾の音がする。

警官2「ッ!てめえッ!」ジャキッバァンバァン

死骸隠れアライさん「無駄なのだー!」サッ

アライさんの死骸の山「」バチュバチュ

くそっ…あの害獣、無駄に隠れるのが早いな。
まるでゴキブリみたいだ。


545 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 22:35:17.78 ID:lxx3wgJYo
『んー…それにしても、重いのだ…』

…ん?
重い、だと?

そうか、ならば。

俺はアライさんの死骸の山へ近付いた。

警官2「お、おい!?どうする気だ!」

こうするのさ。
俺はアライさんの死骸の山へ座る。

『むぎゅぅ!な、なんかまた重くなったのだぁ!』

死骸の山から、アライさんの声がする。

『のぁっ…顔を出せないのだ!上の奴、どくのだぁ!』


547 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 22:38:39.26 ID:lxx3wgJYo
俺は警官2の方を…もとい、後ろで戦いを見守っている避難民に向かって叫ぶ。

勝手な事をしてすまない。
だが、この中に、警官に守られるだけでなく!
自らアライさんと戦う意志を持つ者がいたら!
どうか…力を貸してほしい!

力というよりも…
体重を、貸してほしい!

警官2「あ、あんた、まさか…」

そのまさかさ。
バリケードに潜ってて手が出せないなら、バリケードごと押し潰せばいいのさ!


548 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 22:45:39.07 ID:lxx3wgJYo
しばらくすると、避難所から数名の人がやってきた。
来た人は皆、不摂生そう…
…オホン、失礼。
…殺傷力が高そうなボディをしている。

デブ男「ワ、ワイも戦うで!」ズシィ

体重90kgはありそうな巨漢が、俺の隣へ…
アライさんの死骸の山へ腰掛けた。

『のぎゃあああああああああっ!お、重いのだあああ!』

超デブ女「フスーッ、フスーッ!」ドスンドスン

なんと。
今度は体重100kgを超えそうなマシュマロ女子が、加勢しに来てくれた。

超デブ女「ヌフスーッ!ブラウンPたま、あだすに力を貸すて!」ズシイィ

『ぐぶぎゃああああああああ!ぎひいいぃいぃっっ!つ、つぶれぢゃうのだああああっ!おごええぇっ!』

効いているぞ…!


554 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 22:54:31.78 ID:lxx3wgJYo
力士「…」ズシィン ズシィン

うおぉ…あんたは。
テレビでたまに出る力士だ。

身長185cm、体重200kgの大型力士。
最近戦績が芳しくないようだが…
ここに避難していたのか。

力士は、俺達のいるところから少し離れた場所で立ち止まる。

力士「…離れていてくれ」

お、おぉ…
俺たち3人は、死骸の山から離れる。

『ぜはーぜはー、軽くなったのだぁ、死ぬかと思ったのだぁ!』

『…きっとあいつらは諦めたのだ!こんな戦術を思い付くなんて、アライさんはボスより賢いのだぁ!』

『よーし、ヒトから奪った弾を拳銃にリロードしたのだ!また顔を出して、撃ってやるのだ!』

こいつ、一人言か…?
俺らが遠くに離れたと思って、油断しているな。

力士「…フウウゥゥウウンッ!」ズドドドドドド

力士が走ってくる!
速い!
あの体格だというのに…!さすが力士は、足腰の鍛え方が違う。

力士「ドスコォイ!」バッ

力士は、その強靭な足腰で高くジャンプし、
死骸の山へボディプレスを叩きつけた。


557 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 23:01:33.76 ID:lxx3wgJYo
『ごぶええぇえぇっ!!』

まるでカエルが車に轢かれたかのような声が聞こえた。

力士「フンッ!」バッ ズシイイィン

力士は死骸の山の上で高くジャンプすると、
再びボディプレスを打ち込んだ。

アライさんの声は、聞こえなかった。

力士「フンッ!フンッ!フンッ!フンッ!フンッ!フンッ!」ビョーンッズシィンビョーンッズシィンビョーンッズシィン

力士は何度もジャンプとボディプレスを繰り返す。

力士「フゥーッ、フゥーッ…」ポイッ ポイッ

力士が、アライさんの死骸の山をどけていく。


560 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 23:04:39.80 ID:lxx3wgJYo
死骸の山の、一番下には。

死骸隠れアライさん「…ご…ぼふ…」ドクドク

…口と肛門から大量出血しているアライさんの姿があった。
この出血量。
身体中の骨がメチャクチャにへし折れ、筋肉が潰れ、内臓が破裂しているに違いない。

力士「ドスコォイ!」バッ

力士は、再び高くジャンプすると…

力士「フウゥンッ!」ドグシャア

…アライさんの首を、体重を乗せた踵で踏みつけた。

死骸隠れアライさん「」メギャゴキィ

アライさんは、血泡を吹くことすら止まった。


563 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 23:15:31.00 ID:lxx3wgJYo
アライさん討伐に加わってくれた3人の勇者達は、避難所へズシンズシンと戻っていった。

いや、誇張表現とかバカにしてるんじゃなくて。
事実として、靴の音がでかいのであった。

そして俺達は、警官1のもとへ駆け寄った。

警官2「くっ…!き、傷を布で覆って、塞いだ…ぞ!」

警官1「…」ドクドク

…すまない。
俺はあんたを助けられない。

警官1「…警官2、もう、俺以外、誰も人死にを出すんじゃない…ぞ」ドクドク

警官2「…ああ、わかった…よッ…!くそぉっ…!」ブルブル

警官1「…そこの、あんた…き、てくれ」

俺か?

警官1「これ…を…きみに…やる」スッ

何か麻酔銃のような物を渡された。
これは何だ?


565 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 23:19:44.15 ID:lxx3wgJYo
警官2「警官1、それは…まさかASLか?…いいのか?彼に渡しても。彼は民間人だぞ」

警官1「…俺は、それを、敵を倒す…ためじゃ、なく、人を…守る、ために…使えと、いわれた」ブルブル

警官1「でも、だめだ、それじゃ…た、たの、む…あんた、猟師…なん、だろ…」スッ

警官1が、俺の手を握る。

警官1「た…の、む…やつ…ら、を…根絶やし…にっ…して、ぐれっ…!」ブルブル

手は震えており、冷たくなってきている。
血を大量に失っており、まるで幽霊のように白い手だ。

警官1「いっぴき、も…のこ…さ…」

警官1「」

…警官1は、それ以降一言も言葉を発さなかった。
警官2は、本部へ通話し、警官1の死を報告した。


567 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 23:32:11.45 ID:lxx3wgJYo
警官2。さっきASLと言ったな。
これは何だ?俺が持ってていいものなのか?

警官2「…そいつはアンチ・サンドスター・リキッド。サンドスター科学研究所と三菱重工が共同開発した兵器だ。サンプル品で、まだ世界に一つしかない」

どういう兵器なんだ?

警官2「…その中の液体は、サンドスターを不活性化させる。そいつをフレンズに撃ち込めば、強制的にレベルを1にできる。身体能力をがた落ちさせられるんだ」

警官2「毒の効かないフレンズもいるだろう。銃弾や注射針を通さない硬さのフレンズもいるだろう。だが、ASLを撃ち込めば、免疫だろうと鋼鉄の皮膚だろうと無力化できる」

そんな貴重なものを、俺が?
あんたが持つべきでは?

警官2「…仕事に私情を挟むべきではないのだろうが…、あいつはお前にその最終兵器を託した。『警察』より、『猟師』が持つべきと判断したんだ」

警官2「…あいつには先見の明があった。きっと、一番有効に使えるのはあんただと、見込んだんだろう」

……分かった。受け取ろう。

警官2「それで、あんたはどうするんだ?」

どうする、とは?

警官2「…ここを出て、そいつで敵を倒しにいくのか?もしお前がそうする気なら、俺は止めないぞ」


…そういう話か。
答えは決まっている。


568 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 23:33:01.44 ID:lxx3wgJYo




行かない。
俺は、この避難所を守る。


574 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 23:40:44.94 ID:lxx3wgJYo
警官2「…いいのか?」

ああ。
俺は映画の主人公じゃない、単なる民間人だ。
俺なんぞが避難所から出て暴れても、自衛隊の軍事作戦の妨げにしかならん。
俺が邪魔で軍がドンパチやれなかったら、それだけ人が負傷するだろう。

それに、単独行動した俺が奴らに追い詰められ、こいつを『自分の身を守るため』に使う可能性だってある。
それは最悪の使い方だと思わないか?

警官2「…そうかもな」

それに、彼は言っていたぞ。
『これから一人も人死にを出すな』と。

さっき警官1も言っていただろう。
この兵器は、敵を倒すためじゃなく、人を守るために使えと言われた、と。

少なくとも、今この場では、
アライさんを1匹狩るより、人を1人助ける方がはるかに重要だ。
…そうだろう?

警官2「…ああ」


575 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/09(土) 23:43:21.79 ID:lxx3wgJYo
もしもだ。

もしもここに、異常にレベルの高いアライさんが攻めてきたら。
その時こそ、こいつを使わせてもらう。

警官2「…頼んだぞ」






最終更新:2017年11月15日 22:52