695 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/10(日) 23:31:23.94 ID:miiYcAiko
…
アライキング・ボス「はぁ…はぁ…」タタタタタ
アライキング・ボスは、街中を逃走する。
何故だ。いつもいつも自分の邪魔をしてきた警察さえ倒せる力を身につければ、
この国は制圧できる…そう思っていたのに、
まさかそれ以上の戦力がいたなんて。
アライキング・ボスは、自分の腕輪を見ながら、過去を思い出す。
696 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/10(日) 23:34:46.65 ID:q25PnoBOO
…
アライキング・ボスは、小さな家屋の中で産まれた。
彼女の母は、野生のアライグマだ。
産まれたときは、フレンズでは無かった。
彼女は、自分たちがいた家を、自分の縄張りだと信じて疑わなかった。
自分達のものであると。
…しかし。
突如、人間達が一家を襲った。
母親が捕まり、兄弟も捕まった。
しかし、彼女は森へ逃げ切った。
697 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/10(日) 23:39:08.32 ID:miiYcAiko
幼い彼女はただ一人、森をさまよう。
食べ物を求め、人の畑から何度も野菜を収穫した。
その度に、人に追いかけられた。
仲間は何匹か捕まり、戻ってくることは無かった。
なぜ、自分達は、ヒトという存在に、こうも虐げられるのであろうか。
ヒトは、なぜこんなにも攻撃的なのであろうか。
ある日。
火山が噴火した。
そして、キラキラと光る、綺麗なものが降ってきた。
699 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/10(日) 23:44:51.98 ID:miiYcAiko
獣に、物体を綺麗だと感じる感性はあるのだろうか。
無いかもしれない。
だが、この一匹のアライグマには、
この物体がとても輝いて、綺麗に見えた。
器用な前足でそれを掴み、
夜はそれを抱いて眠った。
…
翌朝。
彼女は、自らの体を見て驚いた。
ヒトの姿を得ていたのである。
700 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/10(日) 23:50:24.41 ID:miiYcAiko
体が重く、木に上るのは大変だったが…
それ以上に、高い知能と器用な手、
そして高い身体能力を得られた。
そして…
前の体以上に、腹が減る。
深夜、いつものように、畑に行った。
夜目がきくのは獣のころから変わらない。
ここには何故か、森には実らないような美味しい野菜がたくさん生える。
空腹を満たすには、ここに行くのが一番だろう。
畑に降りたとき。
ヒトの声が聞こえた。
農家のおじさん「お嬢さん、ここはヒトの畑じゃよ。何しとるんだ?」
…驚いた。
今までは、わけのわからない声で唸っていただけの人間が、
自分に理解できる言葉でコミュニケーションを取ろうとしてくるのだ。
703 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/10(日) 23:58:31.50 ID:miiYcAiko
アライグマ「アライさんは、お腹が減ったのだ。ここの野菜は美味しいのだ。だから食べるのだ」
農家「でも、お金を払わずに野菜を盗むのは泥棒、犯罪だよ。親は何しとるんか」
アライグマ「…お前たち人間に捕まったのだ。もう会えないのだ」
農家「…!もしかして、フレンズか?君は」
フレンズ?
聞いたことのない単語であった。
アライグマ「知らないのだ。アライさんはアライさんなのだ」
農家「そうか、こないだの噴火でサンドスターが噴出したって言ってたか…。うちの牛もフレンズになったんじゃよ」
アライグマ「何言ってるか分からないのだ。とにかく、野菜は貰うのだ」
705 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/11(月) 00:01:58.50 ID:nNax/Hqfo
農家「やめなさいって!」ガシッ
アライグマ「離すのだ!ご飯食べなきゃ死んじゃうのだ!」ジタバタ
農家「…ご飯が欲しいのか?」
アライグマ「ほしくないわけないのだ」
農家「…それじゃ、こっち来なさい」グイグイ
アライグマ「何するのだ!離すのだ!アライさんを捕まえる気なのか!?」ジタバタ
農家「身寄りがなくて大変じゃろ。こっち来なさい、簡単な食事を作ってやるからの」
アライグマ「…本当なのか?」
農家「ああ、こっち来なさい」
707 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/11(月) 00:05:47.22 ID:nNax/Hqfo
農家のおじさんは、鮭とキャベツのスープをアライさんに出した。
アライグマ「美味しいのだ!すごく美味しいのだ!」モグモグ
農家「野菜を丸かじりするのとどっちが美味しいかの?」
アライグマ「こっちなのだ!」
農家「そうじゃろ。お前も、お金を稼いでちゃんと野菜を買えば、こんなご飯が食べられるんじゃぞ」
アライグマ「どうすればいいのだ?」
農家「うちの牛もフレンズになった後、しばらくは畑作業してたんじゃが…、都会で暮らしてみたいって言っとってな。行かせてやった」
農家「お前も、都会に行ってみたらどうじゃろうか。よかったら、車出してやるよ」
アライグマ「行くのだ!お宝がありそうなのだ!」
710 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/11(月) 00:11:16.42 ID:+L8VhJ1jO
農家のおじさんは、市役所でフレンズの戸籍登録をした。
野生のフレンズは、最初の住民票発行の際、
各地の『ジャパリ寮』を住所とすることが多いらしく、
アライグマもまたジャパリ寮を住所とした。
家族はいない。
自分一人だ。
…そうしてアライグマは、戸籍登録を完了した。
712 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/11(月) 00:16:14.60 ID:nNax/Hqfo
市役所職員「これからアライグマさんには、社会生活に馴染むために、ジャパリ学校に通ってもらいます」
アライグマ「何なのだそれ?」
市役所職員「アライグマさんが、これからヒトの社会で生きていけるように、知恵と知識、道徳を学ぶ場所です」
アライグマ「そこに行けばゴハンが食べられるのか?」
市役所職員「…ええ、まあ。労働に必要な知識は得られるでしょう。きちんと働いてお金を稼げば、美味しいゴハンが食べられますよ」
市役所職員「一応、ジャパリ寮でも奨学金を借りれば、ゴハンは食べられます」
アライグマ「じゃあそうするのだ!」
720 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/11(月) 00:26:48.65 ID:nNax/Hqfo
そしてアライグマは、ジャパリ寮へ向かった。
先生「初めまして、アライグマさん!わーもふもふの可愛い尻尾!」モフモフ
先生は、アライグマの尻尾を触る。
アライグマ「わあぁ!なんなのだお前!?」
先生「はっ…ごめんなさい。これから指導をつとめる先生です。お勉強以外のことも何でも聞いてね。お外をガイドすることもできますよ」
アライグマ「ゴハンはまだなのか?」
先生「えーっと、説明会でこれからのこと説明したんだけど…ちゃんと説明聞いてたかな?」
アライグマ「何かいっぱい喋ってたけどわからなかったのだ!それでゴハンはまだなのか?」
先生「^^;」
725 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/11(月) 00:35:37.08 ID:nNax/Hqfo
それから、アライグマは多くの問題行動を起こした。
先生の帽子を勝手に盗み、自分のものだと言い張る。
他のフレンズにはできる『心のコミュニケーション』が、
アライグマにはできなかった。
できないことに、何ひとつ負い目を感じることもなかった。
「まわりがわけの分からないことを自分に強いてくる。嫌だから従わない」。
そう思い、何の改善もしなかった。
ジャパリ学校は、彼女へ『チューター』をつける事にした。
過去の実績から、アライグマのフレンズへ基本的な道徳を指導できる人物をを探し、協力を求めた。
その人物…フレンズは、快く引き受けた。
729 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/11(月) 00:39:19.72 ID:nNax/Hqfo
…
先生「今日から、お友達と一緒に過ごして貰うことになります。先輩だから、いろいろ教えて貰ってくださいね」
アライグマ「お友達?どんなやつなのだ?」
先生「そのお友達は、前にも他のアライグマのフレンズさんと一緒に過ごしたことがあってね。アライグマさんの助けになってくれるはずですよ」
アライグマ「楽しみなのだ。意地悪したり、怒ったり、アライさんに逆らわない奴がいいのだ!」
先生「…」
アライグマは、自分の部屋に入った。
大きな耳のフレンズ「やあ、初めましてアライさーん」
そこには既に、チューターが到着していた。
アライグマ「はじめましてなのだ、アライさんはアライさんなのだ!お前は誰なのだ?」
730 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/11(月) 00:40:23.47 ID:nNax/Hqfo
大きな耳のフレンズ「私はフェネック。フェネックギツネのフレンズだよ。よろしくね、アライさーん」
アライグマ「よろしくなのだ!」
731 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/11(月) 00:40:49.55 ID:nNax/Hqfo
つづく
最終更新:2017年11月15日 23:36