577 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 00:21:18.52 ID:xr3L0ff3o
男児3「どうやって退治しようかなーと思って」
アライちゃん1「あ…あらいしゃんは、いきのこるためにたたかったのだ…!」ブルブル
理科の先生「いけませんよ。一寸の虫にも五分の魂という諺があります。こんな虫でもちゃんと脳があるんです。その気持ちを踏みにじるのはよくありません」
男児4「えー?ねーよ、こんな奴に!」
理科の先生「そうですね…こういうのはどうですか?これからこのアライちゃんが、私の理科クイズに正解したら、放っておいてあげましょう」
アライちゃん1「た…たすけてくれるのか!?」
男児2「じゃー不正解なら?」
理科の先生「すなわち満足な脳がないということ。五分の魂すらないなら処分しましょう」
アライちゃん1「のだぁっ!?」
男児1~4「「「「はーい!」」」」
584 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 00:38:02.06 ID:xr3L0ff3o
理科の先生「それでは、問題です」ガサッ
理科の先生は、バッグから小さなビー玉を取り出した。
理科の先生「重さ2kgほどのアライちゃんと、重さ5gのビー玉。同じ高さから同時に落としたら、先に落下するのはどちらでしょうか?」
アライちゃん1「え?な、なにいってるのだ…わからないのだ!」
男児1「えー?」
男児2「重いほうが先に落ちるんじゃね?」
男児3「アライちゃんだろ」
男児4「だと思うけど…」
理科の先生「もう一度だけ言います。アライちゃんとビー玉、同じ高さから同時に落としたら、どちらが先に落ちるでしょうか?」
585 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 00:42:43.12 ID:xr3L0ff3o
アライちゃん1「なにいってるのだ?いっしょにおとしたら、いっしょにおちゆにきまってゆのだ!」
男児1「え」
男児2「…?」
理科の先生「ほほう…どうしてそう思うのですか?」
アライちゃん1「だって、いっしょにおとすっていったのだ!じゃあいっしょにおちるのだ!」
男児3「アライちゃんの方が、ビー玉より…えと…」
理科の先生「400倍です」
男児3「そう、400倍も重さがあるんだぞ!それでもか!?」
アライちゃん1「おもさ?よんひゃくばい?よくわかんないのだ。とにかく、いっしょにおちゆのだ!」
男児2「だってさ。先生、正解は?」
589 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 00:47:09.46 ID:xr3L0ff3o
理科の先生「そうですね…では、実際に見てみましょうか」
アライちゃん1「のあっ!?」
男児1「はーい」サッ
男児1は、机の上からビー玉とアライちゃん1を落とす準備をしている。
理科の先生「待ってください。この高さじゃよく結果がわからないはずです」
男児2「どうすればいいの?」
理科の先生「待っててください」ガシィッ
理科の先生は、アライちゃん1とビー玉を持って…
…
…高さ15メートルの灯台へ登った。
592 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 00:50:48.87 ID:xr3L0ff3o
~灯台の中~
理科の先生「いいですか、下でよく見ていてくださいねー」ガシィ
ハーイ!
アライちゃん1「おい、おまえ?あらいしゃんになにすゆのだ?」
理科の先生「あなたの回答が正しいか、実験するんです。正しければ、放っておいてあげますよ」グイイッ
アライちゃん1「わかったのだ」
理科の先生「では」スッ
理科の先生は、アライちゃんとビー玉を持った手を、灯台の窓から出した。
アライちゃん1「のぁ!?」
596 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 00:53:58.90 ID:xr3L0ff3o
\絶対重い方のアライちゃんが先だってー!/
\固い方のビー玉が先だってー!/
理科の先生「実験開始です」パッ
理科の先生は、15mの高さから、2つの物体を同時に離した。
ビー玉「」ヒュウウウウ
アライちゃん1「のぁああああああああ!」ジタバタ
…
ビー玉「」カコーン
アライちゃん1「じび!」グシャボギメギ
男児1「ああっ!」
男児2「同時に落ちた!」
男児3「なんでー!?」
603 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 01:04:07.14 ID:xr3L0ff3o
理科の先生が灯台から下りてきた。
理科の先生「それは、物が落下するときの軌道が、初期の位置と速度だけで決まるからです。重さは関係がありません」
男児1「そうなんだ!」
男児2「すげー!」
理科の先生「厳密には、空気抵抗の影響やクーロン力が作用する場合もありますが…、この程度の高さなら、ほぼ影響ありません」
男児3「なるほどー」
アライちゃん1「い…ぢゃ…いぃ…」ピクピク
男児4「うわっ、生きてる!」
アライちゃん1「あ…あたっ…た…のだ…!やぐ…そぐ…どおり…だ…じゅ…げゆ…のだ…」ブルブル
アライちゃん1「からだ…じゅう…いぢゃい…しんじゃう…だじゅげで…てあてして…なのだ…」ブルブル
606 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 01:06:55.83 ID:xr3L0ff3o
理科の先生「ええ。大正解ですよ、アライちゃん。それでは約束です」スッ
アライちゃん1「え…えへへ…た…たしゅ…かった…のりゃ…」ブルブル
理科の先生「約束通り、正解したので。放っておいてあげましょう」ザッザッ
アライちゃん1「っ…の…ぁあ…!?」
理科の先生は、アライちゃんから遠ざかって行く。
613 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 01:13:07.77 ID:xr3L0ff3o
理科の先生「本来は、害獣の死骸を見つけたら、きちんと保健所に連絡するのが正しい対応です」
男児1「そうだな…でも、ちゃんとアライちゃんはクイズに正解したんだし。約束通り放っておいてあげようぜ!」スタスタ
男児2「頑張ったんだから、意思は尊重しないとな!」スタスタ
アライちゃん1「ま…っで…!ほっと…かれたら、し…ん…じゃ…うの…らぁ…!」ブルブル
理科の先生「ええ、一寸の虫にも五分の魂です。アライちゃんは頑張って自分の望む結果を得たのだから、その気持ちを踏みにじるのはよくありません」スタスタ
男児3「あー面白かったー!」スタスタ
男児4「じゃー後片付けしようぜー!」スタスタ
アライちゃん1「ぎ…びぃ…!だ…じゅ…げ…」
男児たちは、アライちゃんの意思を尊重し、放っておいてあげた。
そして、アライちゃんスマブラの舞台を片付けた。
615 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 01:25:19.65 ID:xr3L0ff3o
…
~物置小屋の前~
アライさん「やったのだ!たくさん食べ物が手に入ったのだ!」ズルズル
アライさんは、ゴミ袋にたくさんの食べ物を入れて引きずっていた。
腐りかけの、野菜や果物。
ちょっと身がついた、魚の骨。
花壇から掘り返した、よくわからない球根。
乾燥してガビガビになった、米の塊。
電柱の下に落ちていた、鳥の死骸。
質はともかく、量はそれなりであった。
アライさん「あったのだ、新しいおうちなのだ!今日はご馳走パーティーなのだ!チビ達もきっと喜ぶのだぁ!」ズルズル
アライさんは、物置小屋を開けるのが楽しみで仕方がなかった。
きっとお腹をすかせた4匹の可愛い子供達が、よちよちと自分の方へ向かってくる。
そしてどっさりと持ってきたご飯に目を輝かせ、自分に感謝し、甘えてくるだろう。
子供たちと仲良く食事をしながら、笑顔に包まれる…。
アライさんは、そんなひとときが、今からもう楽しみで仕方がなかった。
アライさん「おーい、チビ達!おなかすいたのだ?ご飯にするのだ!」ガラッ
アライさんは、物置小屋の扉を開けた。
618 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 01:32:53.19 ID:xr3L0ff3o
アライさん「のあ?」
物置小屋から、音はしない。
アライさん「そうだった、チビ達はかくれんぼが好きだったのだ。きっと隠れて、アライさんを驚かそうとしてるのだぁ!」
アライさん「見つけてやるのだ、チビ達!どこいったのだー?」ガサガサ
アライさんは、小屋のなかの物をどけながら、愛しい子供たちを探す。
アライさん「いない…どこいったのだ?勝手にお外に出たらだめなのだ!」ドタドタ
アライさん「すんすん…あっちから、チビの匂いがするのだぁ!」ズルズル
アライさんは、ゴミ袋を引きずりながら、灯台の下へ歩いていく。
622 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 01:39:46.32 ID:xr3L0ff3o
アライさん「ふははははー!チビ達ー!かくれんぼで、アライさんに勝てるなんて思わないことなのだー!」クンクン
アライさんは、匂いの強い場所を見つけた。
アライさん「こっちに隠れてるのだ!チビ!」ガサッ
アライさんは、自分の子供を見つけた。
アライさん「…」
アライちゃん1「」
カラス1「アホーッ!アホォーッ!」ガツガツムシャムシャ
カラス2「ガァーッ!アホーッ!」ガブブヂイィ
ネズミ1「チューチュー!」バリバリムシャムシャ
ネズミ2「キチチ!」ガリガリゴリゴリ
蝿1「ブウゥ~ン」
蝿2「ブリブリ…(産卵)」ポコポコ
シデムシ「」ウジャウジャ
ゴキブリ「」カサカサ
アライさん「ひっ…」
625 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 01:44:14.03 ID:xr3L0ff3o
アライさんは、ゴミ袋を落とした。
そのゴミ袋が放つにおいにひかれ、一斉に生き物が向かってきた。
カラス3「カーカー!アホォーッ!」バッサバッサ
カラス4「アホー!バーカ!」バッサバッサ
ネズミ3「チューチュー!」チョロチョロ
ネズミ4「ジコチュー!」ガササッ
蝿3「ブウゥ~ン」
蝿4「マルデジブゥ~ン」
ゴキブリ「カサカサ.」
アライさん「の、のあああぁあーーっ!」タタタッ
アライさんが子供のために集めてきた食糧は、無事子供の供養のお供え物となり、色んな生き物に食われた。
629 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 01:51:45.49 ID:xr3L0ff3o
…
理科の先生「先程は、なかなか楽しんでもらえたようですね…」
理科の先生は、保健所業者へアライちゃん2~4の死骸を渡し終わり、帰路へついていた。
国語の先生「シロウ先生…さっき、生徒たちと、何やってたん…ですか?」
やってきたのは、国語の先生。
やや歳をめした女性だ。
理科の先生「おや、奇遇ですね。理科の楽しさを、教えていたんですよ」
国語の先生「そうですか?…アライさんの子供を、虐待していたように見えました」
理科の先生「教材にしていました」
国語の先生「何言ってるんですか!子供の前であんな…!残酷すぎます!教師として失格ですあなたは!」
636 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 01:57:34.92 ID:xr3L0ff3o
理科の先生「どうしてですか?」
国語の先生「だって…生き物を、あんな残酷に殺して…!…非倫理的です!」
理科の先生「…生き物を殺すことが、非倫理的なのですか?」
国語の先生「そうですよ!」
理科の先生「しかしあれらの害獣は、放っておくわけにはいきません。遅かれ早かれ、誰かが殺していましたよ」
国語の先生「そうじゃなくて…子供に見せることが…いけないのです!」
理科の先生「それは何故ですか?」
国語の先生「だって…常識的に考えて…いいはずありません…!」
理科の先生「その常識とやらのせいで、この国はアライさんの大繁殖を早期に食い止めることができなかったのでは?」
641 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 02:05:54.14 ID:xr3L0ff3o
国語の先生「なっ…!そ、それは…」
理科の先生「倫理やら常識やらといった思考の壁は、時に合理的な判断の妨げになるのですよ」
理科の先生「…残酷なことを禁止したら、ウイルスのワクチンは作れますか?癌の治療法の開発は?安全な臓器移植法の研究は?…そういった恩恵を受けておきながら、それを生み出すことが罪だとでも言うのですか?」
国語の先生「…でも、あんな残酷な…子供の教育に…悪いのでは…!」
理科の先生「我々が生徒に指導すべきことは、『いい子になること』ではありません。『いい個になること』です」
理科の先生「大人に守ってもらえると考えているようでは…敵と戦えなくなるのですよ」スタスタ
国語の先生「し、シロウ先生!」
理科の先生は、去ってしまった。
国語の先生「…」
国語の先生「…だからって…あんなの…。指導者として…間違ってる…!」
642 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/23(土) 02:06:29.94 ID:xr3L0ff3o
つづく
最終更新:2017年11月19日 16:04