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アライさんを滅ぼすということ①

890 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 19:38:15.16 ID:GzSdUw/4O
…

~森~

キツネ「それじゃあ出発しますよー皆さん」ブゥウウン

キツネは大型バスを運転している。

アライさん1「これでヒトの畑からお野菜取り放題なのだぁ!」コスリコスリ

アライさん2「楽しみなのだー!」コスリコスリ

アライさん3「アライさんも可愛い腕輪欲しいのだ!戸籍を取るのだ!」

アライさん4「チビ達と一緒に、文明人になるのだ!」

アライさん5「うおー!凄い速さなのだ!このクルマ、アライさんに寄越すのだぁ!」

キツネ「アライさんも働けば、自分だけの車が持てるよー。こんなのよりもっと可愛くて速いやつあるよ」ブゥウウン

アライさん5「ほしいのだぁ!」

アライちゃん1「なのだー」コスリコスリ
アライちゃん2「なのだー」ヨチヨチ
アライちゃん3「こせきとゆのだー」コスリコスリ
アライちゃん4「うぅーてんかをとゆのだ」シッポフリフリ
アライちゃん5「のだぁ…のだぁ…」zzz
アライちゃん6「おかぁーしゃんおっぱいー」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん7「うぅーきもちわゆいのりゃあ…おえええっ」ゲロゲロ

アライさん達はバスに乗りながら、戸籍を取得して文明人になることを夢見ているようだ。


891 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 19:44:18.81 ID:GzSdUw/4O
~保健所~

キツネ「到着ー」ブゥウウン


キツネ「ちょっと待っててねー」ガチャッ スタスタ

アライさん1「ああーヒトの暮らしが楽しみなのだぁ!」

アライさん2「みんなは戸籍取ったら、何食べるのだ?」

アライさん3「アライさんは、毎日トウモロコシをたくさん食べるのだ!チビ達も大好物なのだ!」

アライちゃん1「なのだー」
アライちゃん2「しゅきしゅきなのりゃあ!」キャッキャ
アライちゃん3「とうもろこしかぷかぷもぐもぐすゆとあまあまなのりゃあ!」
アライちゃん4「うーおなかすいたのだ!はやくたべりゅのだぁ!」ジタバタ

睡眠ガス「」プシュウウゥウゥゥ

アライさん4「う…なんか…眠くなってきたのだ…」ウトウト

アライさん5「すーぱー…かー…ほしい…のだ…zzz」バタッ

アライちゃん1「おねむすゆのだー…すぴー…」zzz
アライちゃん2「すやすや…はーきもちいいのだー…すぴー…すぴー…」ジョボボボボ
アライちゃん3「のだぁ…のだぁ…」zzz

アライさん達は、バス内に仕掛けられた遠隔睡眠ガス噴出器で眠らされた。


892 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 19:52:17.22 ID:GzSdUw/4O
保健所職員1「よーし、運び出すぞー」ガチャッ

キツネ「はいよーっと」ガラガラ

やがて、ガスマスクをつけた職員およびキツネが保健所から出てきた。

職員達はリヤカーを持ってきたようだ。
バスの扉が開けられる。

アライさん1「すやすや…」zzz

保健所職員1「それじゃあ積むぞー、ほい」ポイッ

リヤカー「」ガコン

アライさん2「ぐがー…ぐがー…」zzz

保健所職員2「ほい」ポイッ

リヤカー「」ガコン

アライちゃん1「すぴー…」zzz
アライちゃん2「すぴー…」zzz
アライちゃん3「すぴー…」zzz
アライちゃん4「のだぁ…のだぁ…」zzz
アライちゃん5「すぴー…zzz」ジョボボボボ

保健所職員3「ちっこいのはまとめて一つのリヤカーでいいな、ほい」ポイッポイッ

リヤカー「」ガコンガコン


893 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 19:53:43.18 ID:GzSdUw/4O
リヤカー1台には2匹のアライさんが積まれた。

アライちゃん達は1つのリヤカーへ積まれた。

保健所職員1「じゃ、運ぶぞー」ガラガラ

保健所職員2「こいつらはまとめてガス室送りかな?」ガラガラ

保健所職員3「いや、研究所で強制献血&ドナーになるかもな」ガラガラ

保健所職員4「アラジビになるかもしれんぞ」ガラガラ

保健所職員5「デスゲームもいいよな」ガラガラ

キツネ「…」ガラガラ

アライさん達はリヤカーに積まれていき、運ばれていった。
894 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 20:01:29.94 ID:GzSdUw/4O
キツネ達は、アライさん達を檻へ閉じ込めた。

保健所職員1「いやー今回もお手柄だなキツネ!」

保健所職員2「こんなたくさん捕まえるなんて…やっぱキツネはすげーや!」

キツネ「…どうもー。ちょっと今日は用事があるんで…失礼します」スタスタ

保健所職員3「今度飲みに行こうぜー!」

保健所職員4「今度メシ行こうぜメシ!いい店あるんだ、飛龍咆哮って中華料理店なんだけど…」



彼女…キツネは保健所の職員である。
だがそれは表の顔。

彼女もまた、特定有害駆除対象フレンズ駆除免許を持ったハンターだ。

銃は使わないが…驚くなかれ。
彼女が今までに捕獲したアライさんの累計数は、なんと全国ランキング1位である。


896 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 20:05:06.99 ID:GzSdUw/4O
キツネ「軽トラ、軽トラっと…。じゃ、行こうかな」ブゥウウン

キツネは軽トラを飛ばし、街へ戻る。

…

~アパート~

キツネ「御手洗さーん、迎えに来たよ~…」ブゥウウン

清掃員「お待たせなのだ、準備はできたのだ」チャキ

清掃員こと御手洗は、杖を1つと、様々な道具を入れたリュックを持っていた。

キツネ「…じゃあ、行こうか」

清掃員「…行くのだ」

2人を乗せた軽トラは、先程とは別の森へ向かう。


900 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 20:13:57.84 ID:GzSdUw/4O
キツネ「…腕輪のないアライさんは、全員駆除対象だって。…本当に大丈夫…?」ブゥウウン

清掃員「任せるのだ…。あたしは、コンビニを襲ったアライさん達を皆殺しにしたことがあるのだ。魚泥棒のチビだって殺したのだ…」

清掃員「…きっと、できるのだ」スッ

清掃員はリュックから、キャップと飲み口がついた食品パックを取り出す。

清掃員「ごくごく…」

清掃員が吸っている食品は、『サンドスターチャージャー』。

サンドスター科学研究所と大塚製薬が共同開発した試作品である。

このパックの中のゼリーには、野良アライさんの脳から抽出されたサンドスターが含まれている。

消耗したサンドスターは睡眠で回復するが、これを飲むことでチャージできるのである。


903 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 20:19:47.28 ID:GzSdUw/4O
キツネ「…」ブゥウウン

やがて、軽トラは森に到着した。

キツネ「…倒したアライさんの死骸はほっといていいよ。鼻だけ切り取って持っていけば、それがキルマークになるから」

清掃員「…」

キツネ「この狩猟は、死骸回収班の訓練でもあるんだ。死骸の有りかを彼らに伝えれば、死骸回収班が狩猟の後に死骸を持ち帰ってくれる」

キツネ「やっつけたアライさんは、鼻だけ切り取れば、死骸全部を持って運ぶ必要はないってことだよ」

清掃員「…分かったのだ…」

キツネ「…気を付けて」

清掃員「行ってくるのだ」スッ

清掃員は、帽子とコートを脱ぎ、車内へ置いた。

リュックへ袋と電話を入れ、杖を持って森へ向かった。


906 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 20:23:10.56 ID:GzSdUw/4O
~森の中~

清掃員「くんくん…」ノソノソ

清掃員は四つん這いになって地面の匂いを嗅ぎながら、森を進む。

清掃員「ん?この匂いは…」クンクン

清掃員「…はじめて嗅いだけど…多分間違いないのだ。あっちなのだ」ノソノソ

やがて清掃員は、岩場に辿り着いた。

清掃員「間違いないのだ…アライグマの溜め糞なのだ」クンクン

岩場には穴が空いており、その前にはアライグマの溜め糞があった。


908 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 20:27:59.16 ID:GzSdUw/4O
アライさん達自身は、溜め糞をする習性サンドスターによって取り除かれている。

しかし、アライグマの雄の溜め糞を探す力は残っているのである。

アライグマの溜め糞は、ただの排便場所ではない。

好きな食べ物や、家族構成、巣に居着いた期間の長さ、体調…などなど。

その見た目や量、匂いから、巣に住むアライグマの情報をたくさん知ることができる。

アライグマ達は、自身の排便さえも、コミュニケーションツールとして利用しているのである。

清掃員「くんくん…よく分からないけど…多分この辺にいるのだ!」クンクン

長い間人里で生活している清掃員は、匂いをかぎ分けて情報を分析する力がやや弱い。
経験不足である。


909 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 20:31:16.60 ID:GzSdUw/4O
と、そこへ…

アライグマ♂「キュルルルルル」トトッ

清掃員「…!来たのだ!」サッ

清掃員は、リュックの中の拳銃を握る。

本来、日本国内では狩猟に拳銃は使えない。
だが対アライさんの場合のみ、アサルトライフルや拳銃、火炎放射器すら使用可能となるのである。

清掃員「はぁ、はぁ…」ドキドキ

清掃員は、胸の高鳴りを感じた。
緊張からであろうか。

訓練場で拳銃の練習はしたが、あまり命中率が高くはなかった。

果たして、どうであろうか…。


910 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 20:38:18.73 ID:GzSdUw/4O
清掃員「仕留めるのだわ…」チャキ

清掃員は、アライグマへ拳銃を向ける。

アライグマ♂「キュルルルルル」ノソリノソリ

アライグマは清掃員へにじり寄ってくる。

清掃員「っ…!こいつ、あたしが怖くないのか…?」ブルブル

アライグマ♂「キュルル」

ふと、清掃員の目に、アライグマの股間が映った。

清掃員は、目の前の雄のアライグマが、自分を妊娠させるつもりでにじり寄ってくることが痛いほど分かった。

清掃員「っ…こい、つっ…」ブルブル

…引き金が、引けない。


913 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 20:42:41.96 ID:GzSdUw/4O
清掃員「はぁっ…はぁっ…」ハァハァ

清掃員はいつも思っていた。
何故森のアライさん達は、子供を産む数を減らそうとしないのかと。

餌をめぐって争うくらいなら、子供を作らなければよいではないか、と。

だが、アライグマの雄と対峙した清掃員は、
なぜ野良アライさんが後先考えず子作りをしたがるのか、本能で理解した。

清掃員「っ…くる、なぁっ…」ハァハァ

下腹の奥が熱く疼く。
獣としての本能が、目の前の雄の子を孕めと痛いほど訴えかけてくる。


清掃員は理解した。野良アライさんは、子作りがしたくて交尾していたのではない。
このどうしようもない下腹の疼きを処理するために交尾していたのだろう。


917 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 20:47:30.50 ID:GzSdUw/4O
清掃員「はぁっ…!はぁっ…!」

目の前の雄が、どうしても撃てない。
まるで、この世で最も価値のあるモノであるかのようにさえ感じられてしまう。

清掃員「く…くるなああっ!」バァン

清掃員はアライグマに向かって威嚇射撃を放つ。

アライグマ♂「!!キュ、キュルルル!!」タターッ

清掃員「ああっ!待つのだ!」

アライグマは巣とは反対方向へ…
森の奥へ逃げていった。

清掃員「…逃がしてしまったのだわ…」ハァハァ

清掃員は、どこかほっとした気持ちを感じている自分に苛立ちを覚える。

自分は何をしにここへ来た…?

アライさんとアライグマを滅ぼしに来たのだ。

余計な私情を挟む余地などないはずである…。


920 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 20:53:34.36 ID:GzSdUw/4O
…

清掃員「くんくん…アライさんの匂いがするのだわ…」クンクン

清掃員の嗅覚は、獲物の存在を匂わせる。

アライさんは人間に比べ、やや視力が弱い。
若干色弱気味である。

だが、森において、嗅覚は視力以上に役立っている。

清掃員「こっちからたくさんの匂いがするのだな…!」ノソノソ

清掃員は、陽の当たる岩場へ到着した。

アライさん1「おぉ?見ない顔なのだ」

アライさん2「どこから来たのだ?」

アライさん3「アライさんと友達になるのだ!」

…清掃員は、同族を…
獲物達を発見した。


924 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 21:01:20.66 ID:GzSdUw/4O
アライさん4「人間かと思ってびっくりしたのだ…」ガサッ

アライさん5「仲間なのか?」ガサッ

清掃員「…」

『友達になるのだ』。

そんなことを言われたのは、何年ぶりであろうか。

きっと、10年以上前…
自分がまだ、人気者だった頃…
それ以来であった。

清掃員「お、お前達は…?」

アライさん1「アライさん達は、みんなで暮らしてるのだ。姉妹なのだ」

アライさん2「お前はどこから来たのだ?」

清掃員「…あっちの山の斜面あたりから来たのだ」

アライさん3「食べ物探しなのか?それとも巣作りなのか?」

清掃員「…食べ物探しなのだ」

自分は何を言っているのだろうか。
さっさと殺せばいいではないか…と、
清掃員は思った。

アライさん4「だったら、アライさん姉妹がお前を案内してやるのだ!いい餌場があるのだ!」グイグイ

清掃員「のあっ…!?」

アライさん5「お前も食べ物をとるのだ!」

どこへ連れていこうというのか…?


926 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 21:07:02.41 ID:GzSdUw/4O
…

~森の中~

アライさん1「ここは栗の木がたくさん生えてるのだぁ!」

アライさん2「栗はイガイガが怖いけど、とっても美味しいのだぁ」

アライさん3「さ、お前も取るといいのだ!」

清掃員は上を見上げた。
栗の木に、熟れた実が成っていた。

アライさん4「はじめてなのか?それじゃあ、アライさんが落としてきてやるのだ!」ヨジヨジ

アライさん4が、栗の木に登り始める。

アライさん4「頭に当たったらごめんなのだー!」ヨジヨジ

清掃員「え…え?」

なんだこれは。
自己中で欲張りなアライさんのくせに。
自分に食べ物を分けてくれようとしているのか?

こんなことがあってはならない…。

一刻も早く駆除しなくてはいけないのに。
同族達の優しさが、清掃員の心を動かしていた。


930 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 21:11:23.78 ID:GzSdUw/4O
アライさん4「落とすのだー!」ベシッ

栗「」ヒュー ボトッ

アライさん4「やったのだぁ!さ、食ってみるといいのだ」ガッツポーズ

アライさん5「グッジョブなのだ!」

清掃員「…い、いらないのだ!自分のは自分で取るのだ!!」アセアセ

アライさん4「そうかー。じゃあ、次はお前の番なのだ。やってみるといいのだ」ヨジヨジ

アライさん4が下りてきた。

アライさん5「別にお前が落としたのを持って逃げようなんて考えてないのだ、安心するのだぁ!」

清掃員「…」

なんなんだ、こいつらは。

アライさんとは、畑を荒らし、家畜を襲い、無差別テロを起こす、
救い難い害獣でなくてはいけないのに。
一目で駆除に値する存在だと理解できるような、醜い害獣でなくてはいけないのに。

何故、そのイメージから背くことばかりするのか。


933 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 21:15:45.42 ID:GzSdUw/4O
清掃員「…手本を見せてくれてありがとうなのだ。今度やってみるのだ」

アライさん1「わかったのだ!」

アライさん2「頑張るのだ!」

清掃員「…アライさんっていうのは、群れを作らずに暮らすって聞いたのだ。違うのか?」

アライさん3「そういう奴もいるのだ。でも…お前はいい奴なのだ!」

アライさん4「アライさん達は、お母さんから教育されたのだ。困難は群れで分け合えと!」エヘン

アライさん5「最近は食べ物が減ってるけど…力を合わせているのだ!」

清掃員「…食べ物はどこから取ってきているのだ?」


935 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 21:18:39.11 ID:GzSdUw/4O
アライさん1「この辺の森の中なのだ!食べ物が見つからなくなったら、チビを連れて別の森へ行くのだ!」

アライさん2「チビ達は可愛いのだぁ!お前に自慢したいのだぁ」エヘン

アライさん3「アライさんのチビが一番可愛いのだぁ!着いてくるのだ!」グイグイ

清掃員「のあああっ…」テクテク

清掃員は、巣へと案内される。

アライさん4「うぅ~、アライさんも子供欲しいのだ。でも、食べ物が無くなるから我慢なのだ…」テクテク

アライさん5「なのだー」テクテク

清掃員「…お前達は、畑から野菜は取らないのか?」


937 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 21:25:27.73 ID:GzSdUw/4O
アライさん1「ダメなのだ!畑は人間が縄張りにして、野菜を独り占めしてるのだ」テクテク

アライさん2「鶏の巣も、人間が独り占めしてるのだ」テクテク

アライさん3「人間はおっかないんだぞぉ!火を吹く筒を持ってて、アライさん達を殺すのだ!」テクテク

アライさん4「人間達は怖い奴らなのだ。だから怒らせちゃダメなのだ。あいつらのすみかに…街に行っちゃダメなのだ」テクテク

アライさん5「怒らせなければ襲ってこないから平気なのだ」テクテク

清掃員「…誰に教わったのだ?」テクテク

アライさん1「お母さんなのだ!お母さんはなぁ、偉大なんだぞぉ!」テクテク

アライさん2「でもお母さんは、突然森から居なくなってしまったのだ…」テクテク


939 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 21:33:43.07 ID:GzSdUw/4O
清掃員「どんな奴なのだ?」

アライさん3「お母さんはキラキラの腕輪つけてて、目の前に2つの透明なものを着けてるのだ!」

清掃員「腕輪…こういう奴なのか?」スッ

アライさん4「ああっ!お母さんの腕輪なのだ!」

アライさん5「それはお母さんのものなのだ!返すのだぁ!」

清掃員「…これはいっぱいあるのだ。アライさんも、1つ貰ったのだ」テクテク

アライさん1「なんだ…そうなのか。お母さんの知り合いじゃなかったのだぁ…」ションボリ

清掃員「…そいつが、お前達に色々教えたのか?」

アライさん2「そうなのだ!『困難は群れで分け合え』『人間が独り占めしてるものを取ると殺されるからやめろ』『人里に降りるな』『食べ物が無いときは子供を作るな』なのだぁ!」テクテク

アライさん3「お母さんの教えは偉大なのだ!アライさんのチビにも、そのまたチビにも、この教えをずっとずっと教えていくのだ!」テクテク

清掃員「…少し前、たくさんのアライさん達が人間のすみかを襲って、人間をやっつけたことがあったのだ。知ってるか?」テクテク

清掃員は、質問を続ける。

殺す決心をするために。
害獣としての本性を暴くために、問い続ける。


945 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 21:45:02.76 ID:GzSdUw/4O
アライさん4「な、何てことするのだ!そんな事したら、逆に殺されるのだ!」

アライさん5「人間は強くて凄く残酷なのだ!いとも容易く、アライさん達を殺すのだ!」テクテク

アライさん1「うぅ…きっとそいつら、巣まで襲われて根絶やしにされたのだ。怖いのだ…」テクテク

清掃員「…」テクテク

こいつらは、アライハザードにも参加していないようだ。

アライさん2「さあ着いたのだ!アライさん達の巣なのだ!」

姉妹と清掃員は、山の斜面の洞窟に着いた。

アライさん2「ちびー!お母さんが帰ったのだー!」パンパン

アライさん3「チビ達!お客さんが来たのだ!可愛い顔を見せるのだぁ!」パンパン

アライさん達は洞窟の前で手を叩く。
すると、洞窟の中から小さな影が這い出てくる。

アライちゃん1「なのだー」ヨチヨチヨチ
アライちゃん2「なのだー」ヨチヨチヨチ
アライちゃん3「にゃのだー」ヨチヨチヨチ
アライちゃん4「なのりゃぁ」ヨチヨチヨチ
アライちゃん5「なのだー」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん6「のりゃ!のりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライさん1「妹たちのチビは可愛いのだぁ…!うぅー、アライさんも子供欲しいのだぁ…」

なんてことだ。
このアライさん姉妹は…


産まれてから一度も…
畑荒らしも、家畜殺しも。
ゴミ袋荒らしも、人への暴力も…
やっていないようだ。


954 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 21:55:50.27 ID:GzSdUw/4O
洞窟から、6匹の幼獣が這い出てきた。

「なのだー!」「のだー」「あしょぶのりゃー!」「なのだー」「わーい!」

ウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチノダノダノダノダコスリコスリコスリコスリ

アライさん2「見るのだ!これがアライさんのチビ達なのだ!とっても可愛いのだぁ!」ヒョイ

アライさん2は、3匹の幼獣を抱き抱える。

アライちゃん1「おきゃくしゃんなのだー!」キャッキャ
アライちゃん2「あったかいのりゃぁ」ギュー
アライちゃん3「おかーしゃんおぱいー」スリスリ

アライさん3「いーや!アライさんのチビ達の方が可愛いのだぁ!」ヒョイ

アライさん3も、3匹の幼獣を抱き抱えた。

アライちゃん4「おかーしゃん!あしょぶのだー!」キャッキャ
アライちゃん5「あらいっこすゆのだ!けずくろいすゆのだー!」スリスリ
アライちゃん6「おなかしゅいたのりゃー」コスリコスリ

アライさん4「チビ達ー、お隣さんに挨拶するのだ!」

アライちゃん1「おとなりしゃん、こんにちわなのりゃ!」コスリコスリ
アライちゃん2「なかよくすゆのだー」キャッキャ
アライちゃん3「おともだちになゆのだ!」

清掃員「…」

こんなの。
どうしろというのだ。


959 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 22:01:49.89 ID:GzSdUw/4O
清掃員「っ…」ブルブル

さっき誓ったはずだ。

仕事に私情は挟まないと。

この仕事は、大臣が斡旋してくれた大事な仕事だ。

必ず、遂行しなくてはいけない…!

清掃員は、杖を強く、強く握りしめる。

アライさん2「どうしたのだ?具合悪いのか?」

アライちゃん1「なのかー?」

清掃員「うっ…!」


清掃員「うああああああああああああああああああーーーーーーーーっ!!!!」シャキイイィイン

清掃員は、杖の先端の鞘を外した。

隠されていた槍の先端の刃が光る。


960 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 22:04:13.29 ID:GzSdUw/4O



清掃員「だああああああああああああああーーーーーーーーーーっ!!」シュバアアッ

アライさん2「の…ああっ…!?」

清掃員は、アライさん2に向かって、鋭い槍の一撃をくり出す。



961 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 22:04:55.60 ID:GzSdUw/4O





だらりと鮮血が流れ出た。



967 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 22:09:02.60 ID:GzSdUw/4O
アライさん2「の……あぁ……っ…!?」ブルブル

清掃員「っ……!」グリィ

アライちゃん2「…おかー…しゃんっ……!?」

アライさん2の左胸には、鋭い槍が突き刺さっていた。

清掃員「っ……!」ズプゥ

槍が抜かれた。

アライさん2「」ブッシュウウウウゥゥゥウ ドサアッ

アライさん1「い、妹っ!?しっかりするのだ!」ユサユサ

アライちゃん1「おがーーしゃあああんっ!?おがーーしゃあああんっ!!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん2「どう…したのだ?おかーしゃんは…ねちゃったのか?」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん3「ち、ちが、ちがでてゆのりゃあああっ!!」

清掃員「っ…」ハァハァ

アライさん3「お…おまえええっ!!」

アライさん4「なんでお姉さんを!!!」

アライさん5「どうしてっ!!」


972 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 22:14:32.82 ID:GzSdUw/4O
清掃員「う…うあああああああああっ!!!」ドズウゥゥ

アライさん1「ごぼぐぶうっぅぅっ!!
」ゴボォ

アライさん1の喉を、槍が貫いた。

アライさん3「や、止めるのだああああっ!!チビ!巣に逃げるのだぁ!!」

アライちゃん1「ぴいぃぃぃいっ!!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん2「おがーしゃん!おがーしゃあんっ!おきゆのりゃあ!おがーーしゃあああんっ!!」グイグイ
アライちゃん3「おかーしゃんがすごいけがなのりゃあ!て…てあてすゆのりゃあ!」コスリコスリ
アライちゃん4「ぴいぃぃぃいっ!!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん5「わゆいやつなのりゃあああっ!!!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん6「のああああああーーーんっ!のーーーああぁぁんっ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん達は、ヨチヨチモゾモゾと洞窟へ入っていく。

アライさん4「なんでこんな事するのだ!アライさん達がお前に何かしたか!!?」

アライさん5「なんか言うのだ!!」

清掃員「っ…」ハァハァ


975 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 22:20:20.97 ID:GzSdUw/4O
清掃員「おっ…お前達は、いつか…畑を…襲うかも、なのだ…」ハァハァ

アライさん3「絶対しないのだ!殺されるだけなのだぁ!!」

アライさん4「お前は人間の仲間だったのか!!?せっかく友達が増えるかと思ったのに!!」

アライさん5「アライさん達は人間になんにも迷惑かけてないのだぁ!!」

清掃員「だ、だけど、アライさん達は、畑を…荒らして、ヒトを襲う…害獣で…」ゼェハァ

アライさん3「知らないのだ!それは畑に入った奴がバカなのだ!アライさん達は関係ないのだ!!」

アライさん4「とばっちりで殺されてたまるもんかなのだ!!!」

アライさん5「お前もアライさんなのだ!お前とアライさんのどこが違うっていうのだ!!?」

清掃員「」

自分もアライさんだ…
どこが違うのか?

腕輪の有無か?
…だから何だというのだ。

腕輪持ちにも悪い奴はいるし、
腕輪のない奴にも、こいつらのように『無害獣』もいる。


自分と、何が違うというのか。


981 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 22:27:01.26 ID:GzSdUw/4O
アライさん1「」ゴボゴボ

アライさん5「お姉さん!お姉さん!しっかりするのだ!死んじゃダメなのだぁ!」コスリコスリコスリコスリ

アライさん5は、アライさん1の喉を必死に擦り続けている。

アライさんのマジカルウォーターハンドは、自分にしか効果がないというのに。

清掃員「う…うああああああっ!!!」ザグウウゥ

アライさん5「ぐぎゃああああああああっっ!!」ブッシュウウウウゥゥゥウ

アライさん5の腹が貫かれた。
槍は大動脈を貫通しており、アライさんの止血能力があっても致命傷であろう。

清掃員「お…お前達が、畑やヒトを襲わなくても、子供がやるかもしれないのだ…」ハァハァ

アライさん3「そんな理由で殺されてたまるかなのだ!チビを守るのだああ!うああああああああああーーーーーっ!!!」ダッ

アライさん4「人殺しぃいっ!やっつけてやるのだああああああっ!!たあああああーーっ!!」ダッ


984 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 22:29:11.82 ID:GzSdUw/4O
清掃員「だああああ!」ドズウゥゥ

アライさん4「が…ふっ…」ブシュウウゥ

アライさん4の心臓が貫かれた。

アライさん4「」ドサアッ ブシュウウゥ

アライさん3「あ…あ…」ペタン

アライさん3は戦意喪失し、後退る。

アライさん3「ま…待つのだ…やめるのだ…こっ…殺さないで…」ブルブル

清掃員「ふぅー、ふぅー…!あたしは正しいのだ、大臣は正しいのだ、みんなは正しいのだ…」ブルブル


992 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/12(木) 22:33:13.73 ID:GzSdUw/4O
アライさん3「あ、アライさんは死にたくないのだ…ち、チビ達…」ブルブル

清掃員「…」コツンコツン

アライさん3「や、やめ…何か悪いことしたなら…ごめんなさいするのだ…だから…たっ助け…許し…て…」ウルウル

清掃員「…」

アライさん3「な、なんでなのだ…!アライさん達が、いつ人間を困らせっていうのだぁ…!どうすればよかったっていうのだぁ…!」ヨタヨタ

アライさん3「ずっと、お腹減っても、耐えて、耐えて、耐えて…小さいチビが餓死しても、それでも畑に行かず、我慢…してきたのに…!」ヨタヨタ

清掃員「…」





最終更新:2017年11月20日 22:06