538 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 21:56:37.81 ID:c1gYR+HRO
…
~食通の友人の家~
食通の友人「ふぃ~着いた着いた」スタスタ
今日は一段と冷える日だ。
季節の変わり目とはいうが、夏の終わりにいきなり冬が来たかのような寒さであった。
食通の友人「だが…こんなこともあろうかと!」ガラッ
食通の友人は、居間の戸を開ける。
食通の友人「こたつ&床暖房!既に準備OKなんだよなぁ!」
和室には電気カーペットが敷いてあり、こたつが準備されている。
こたつは食通の友人の外出中でも常に低温を保っており、帰っていきなり潜り込んでもそれなりの温もりを与えてくれる。
539 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 21:59:24.26 ID:c1gYR+HRO
食通の友人「さあ、こたつの中に…スライドイン!」ズボォ
食通の友人は、こたつの中へ勢い良く足を突っ込む。
すると…
こたつの中の声『のぎゃああぁっ!?』ゲシィ
食通の友人「!!!??」
こたつの中で、食通の友人の足が何か柔らかくて温かいものに当たった。
食通の友人「な…なんだ!?」メクリ
食通の友人は、こたつ布団を捲る。
543 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 22:06:15.15 ID:c1gYR+HRO
アライしゃん「のだあああぁ!だれなのだおまえは!あらいしゃんのおうちにかってにはいってくゆなー!」シャアアアッ
…なんと、こたつの中に幼い害獣がいた。
こたつの中には、みかんの皮がいくつも落ちている。
食通の友人「ーーーーー!!!?」キョロキョロ
食通の友人は、部屋の中を見回す。
すると、天井近くの壁に穴が空いているのを見つけた。
…穴からは、冷たい外気が吹いてくる。
こたつと床暖房があっても、これでは暖かさ差し引きマイナスである。
食通の友人「…てめえ!俺の家に何しやがる!楽しみにしてた蜜柑も食い尽くしやがって!」
アライしゃん「なにいってゆのだ!ここはあらいしゃんがみつけたのだ!あらいしゃんのおうちなのだぁ!このあったかいねどこも、だいだいのあまあまも、あらいしゃんのなのだぁ!」フゥーッ
553 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 22:18:33.35 ID:c1gYR+HRO
食通の友人「出ていけェァ!」
アライしゃん「ひとしゃんこそでていくのだぁ!ふほーしんにゅーなのだぁ!ぷらいばしーのしんがいなのだぁ~!」ジタバタ プゥーッ
アライしゃんは癇癪を起こしてじたばたしながら屁をこいた。
体が小さいせいか大した匂いではないが、それでも害獣が自分のこたつの中で屁をこくのは堪えるものがある。
食通の友人「…お前、いつからここに住んでたんだ?」
アライしゃん「ここはさっきみつけたのだぁ!なかがからっぽだったから、あらいしゃんのおうちにしたのだぁ!」
アライさんがこうもあっさり家泥棒をするのは、恐らくアライグマの習性だろう。
アライグマは、他の動物の巣穴を自分の巣穴として利用することがあるという。
アライしゃん「おそとはすっごくさむいけど、ここはあったかいのだ~。…おまえにはやらないのだぁ!」シャアアアッ
このアライしゃんは体長40cmほど。
人と比べ、体積と表面積の比率が大きい。
この寒い日は体温が奪われやすいのだろう。
559 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 22:30:30.65 ID:c1gYR+HRO
アライしゃん「このだいだいのあまあまも、あらいしゃんがみつけたのだぁ!くっちゃくっちゃ…ん~、おいひいのだぁ~!くっちゃくっちゃ…」クッチャクッチャクッチャクッチャ
アライしゃんは口を開けたまま、クチャクチャクチャクチャと気持ち悪い音を立てて蜜柑を咀嚼する。
それはそれは美味しいだろう。
食通の友人がネット通販で取り寄せた高級蜜柑なのだから。
食通の友人「…ここに来る前は、どこに住んでたんだ?」
アライしゃん「くっちゃくっちゃ、あらいしゃんはとかいそだちなのだ。まちなかでおかーしゃんといっしょにすんでたのだぁ、くっちゃくっちゃ」クッチャクッチャ
アライしゃん「はむっ、くっちゃくっちゃ…、おかーしゃんはこないだごはんをさがしにいったきり、かえってこなくなっちゃったのだぁ!あらいしゃんは、このとしでじりつしたのだぁ!…くっちゃくっちゃ」クッチャクッチャ
自立はできても、自律する気は無いようである。
アライしゃん「あらいしゃんはすごいんだぞぉ!いだいなんだぞぉ!にほんあしでたてるんだぞぉ!くっちゃくっちゃ…」ピカピカガイジガオ
食通の友人「…そうか」
食通の友人は、別に雑談をしてアライしゃんと仲良くしようとしていたわけではない。
単に…
森育ちか、街中育ちか。
ただそれだけが知りたかったのである。
565 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 22:42:32.42 ID:c1gYR+HRO
食通の友人「街中育ちか…残念だ。それじゃジビれねぇな」
アライしゃん「じび…?くっちゃくっちゃ、わけわかんないこというななのだ!ざんねんなのはおまえののーみそなのだぁ!≧∀≦」ゲラゲラ
『ジビれねぇ』。
アライさんでなくとも、一般のまともな人間が聞いても意味不明な言葉である。
アライしゃん「ふぅ~…おなかいっぱいなのだ。…ひとしゃんはいつまでそこにいるのだ?ここはあらいしゃんのおうちなのだ。さっさとでていくのだぁ!」フゥーッ
炬燵の中のアライしゃんは、こたつ布団を捲って中を覗き込んでいる食通の友人を睨み付け、威嚇する。
アライしゃん「あらいしゃんはなぁ、つよいんだぞぉ!おっかないんだぞぉ!」バリバリ
アライしゃんは、電気カーペットに爪を立てて表面の布地を引き裂きながら、自らの爪の鋭さを誇示する。
さすがに安全性の高い製品であるためか、表面がボロボロになってもアライしゃんは感電しないようだ。
567 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 22:47:52.38 ID:c1gYR+HRO
食通の友人「はいはい分かったよ。俺はもうお前に関わらないからな。お前に呼ばれても、返事しないからな」スッ
食通の友人は、捲っていたこたつ布団を元に戻した。
炬燵の中の声『おまえなんかよばないのだー!ふはははー!』
炬燵の中の声『やったのだぁ!あらいしゃんのつめのするどさにびびって、おうちどろぼーがにげてったのだぁ!あらいしゃんはつよいのだー!』バリバリ
炬燵の中からは、再び電気カーペットの布が引き裂かれる音がした。
食通の友人「よし」スタスタ
食通の友人は、厨房に向かった。
569 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 22:53:26.57 ID:c1gYR+HRO
食通の友人「気の済むまでそこで温まってていいからなー」スタスタ
炬燵の中の声『いわれなくてもそうするのだぁ!おまえはさっさとでてくのだぁ!』
~厨房~
食通の友人「えーと、どこにあったかなー。…あった」
食通の友人は、大きなバケツを取り出した。
そしてバケツに水を貯めると、マイナス40℃に保たれている業務用冷凍庫から氷を取り出し、バケツの水へ入れた。
続いて、大きな鉄板4枚とロープを持ち、食通の友人は再び居間へ戻った。
571 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 22:59:45.50 ID:c1gYR+HRO
~居間~
食通の友人は、音を立てないように、居間へ戻ってきた。
炬燵の中の声『はぁ~ぬくぬくできもちい~のだぁ~…。しょーらい、あらいしゃんもちびをうんで、ここでかぞくだんらんしたいのだぁ~…』
害獣は相変わらず炬燵の中におり、何やら独り言を言っているようだ。
そして食通の友人は、炬燵の足を外側から鉄板で囲い、ロープでグルグル巻きにして固定した。
続いて、電気炬燵のサーモスタット(自動消灯機能)を解除する。
そして、電気炬燵の温度調節ダイヤルを最大まで上げる。
さらに、電気カーペットの温度調節ダイヤルも、最大(ダニ殺し用)まで上げた。
食通の友人「…」ソッ
食通の友人は、こたつの隣へそっと腰かけた。
576 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 23:07:46.64 ID:c1gYR+HRO
壁に空いた穴から部屋の中へ、冷たい外気が流れ込んでくる。
食通の友人は、寒さを堪えながら、その場に居座った。
炬燵の外はすこぶる寒いが、中はさぞかし温かいであろう。
炬燵の中の声『ふぅ~、なんかあっつくなってきたのだ。そろそろおそとにでゆのだ』モゾモゾ
鉄板「」ガンッ
炬燵の中の声『のだっ!?』
炬燵の足へくくりつけた鉄板に、何かがぶつかったようだ。
炬燵の中の声『な、なんなのだ…なにかあゆのだ!』ガンッ ガンッ
炬燵の中の声『うぅー!こっちにありゅのだぁ!』ガンッ ガンッ
炬燵を囲う鉄板から、しきりに衝突音が聞こえてくる。
炬燵の中の声『あついいいぃ!あちゅいのだああああああ!どこからでればいいのだあああ!』モゾモゾ
鉄板「」ガンッ ガンッ ガンッ
出口…
そんなものはない。
炬燵の中の声『これを、もちあげれば…!うぬぬ…!』グイグイ
鉄板を持ち上げるには、炬燵ごと持ち上げる必要がある。
当然、身長40cmのアライしゃんにそんな腕力はまだない。
炬燵の中の声『うぬぬ~、はぁはぁ、このままじゃ、あらいしゃんのききなのだぁ!』ガンッガンッ
580 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 23:16:57.16 ID:c1gYR+HRO
炬燵の中の声『あぢゅいいいいのだあああああーーーー!のどもからっからなのだああああーー!』
それはそれは熱いだろう。
炬燵のサーモスタットは、内部が一定温度まで上昇したら安全性のために自動消灯する機能である。
それを解除したのだから、炬燵のヒーターと電気カーペットにより、炬燵の中の温度はどんどん上がっていく。
炬燵の中の声『だれがーー!あらいしゃんをたすけゆのだぁーーーー!だれがあああぁーー!』ガンッ ガンッ ガンッ
炬燵の中の声は、外へ助けを求め始めた。
食通の友人「おやチビ、遠慮すんな。気の済むまで温まれよ」
炬燵の中の声『もうきはすんだのだあああぁ!あああああぢゅいいいいいい!じぬううううぅぅぅ!あらいしゃんをだぢゅげゆのりゃああああっ!!』
食通の友人「はー、困ったなぁ。返事できないんだよなぁ。俺は約束しちまったからなぁ」
食通の友人「俺はもうお前に関わらないし、お前に呼ばれても返事しないって…約束したからなぁ~」
炬燵の中の声『…!!!!そんなのもういいのだぁ!はやくごごがらだしゅのだあああああ!!あらいしゃんがかわいしょーなのりゃああっ!』
食通の友人「約束は守らねえとなぁ~。アライさんが可哀想だけどなぁ~」
584 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 23:26:58.37 ID:c1gYR+HRO
食通の友人「まあ、炬燵の外に鉄板をくくりつけたのは俺だけどな」
炬燵の中の声『!!お、おまえーっ!あらいしゃんにいじわゆすゆのかあぁぁーーーっ!!たあ~!たあ~!たあ~!』ガンッ ガンッ ガンッ
鉄板から何度も衝突音がするが、ロープはびくともしない。
炬燵の中の声『いたいのりゃあ!あぢゅいのりゃああぁ!』ハァハァハァハァ
食通の友人「でも…これはなんとなく炬燵に鉄板をくくりつけたいからやっただけだ」
食通の友人「別にこの家の持ち主サマに関わろうとしたわけじゃないからなぁ。約束はキッチリ守らなくちゃいけないからな」
炬燵の中の声『ぴっ…!』
炬燵の中の声『…っ』
炬燵の中の声『……ぴいいいいいぃぃぃーーーっ!!』
炬燵の中の声『だしゅげでええぇーーっ!!』ガタンガタンガタン
炬燵の中の何者かは、一生懸命鉄板を持ち上げようとしているようだ。
しかしいくらやっても持ち上がらない。
炬燵の中の声『ぜーはっ、ぜぇーはぁっ、あ、あなをほゆのだあぁ!』バリバリ
しかし、電気カーペットの表面は裂けても、中身までは裂けないようだ。
586 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 23:31:48.34 ID:c1gYR+HRO
炬燵の中の声『ぜひーっ、ぜひーっ、ぜひーっ、ぜひーっ、ぜひーっ』ハァハァハァハァ
炬燵の中の声『だじで…だじゅげで…おみず、のませで…おがぁ…しゃん…』
食通の友人「うーむ、これは独り言だけど…。まさか自立した偉いお方が、今さら母親に助けるわけねーよなぁ?そんな情けないことできねーよなぁ?」
炬燵の中の声『…だじゅ…げで…!おがぁ…しゃん…!おがぁ…しゃん…!おがあああああああ…しゃああああーーんっ…!』ビエエエエエエエン
一人立ちしたはずの偉いアライしゃんは、とうとう母親を呼びながら泣き出した。
炬燵の中の声『だじでっ…だじでえぇ…!だじでぐれだら、さっぎのだいだいのあまあま、いっこやりゅかりゃああぁ…!』ビエエエエエエエン
食通の友人「#^^」
590 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 23:39:50.97 ID:c1gYR+HRO
炬燵の中の声『だじでぇっ…!しんじゃう…ほんとに…しんじゃうぐらいあぢゅいのりゃああ…!ぜひーっ、ぜひーっ、ぜひーっ…』
食通の友人「…」ガサガサ
食通の友人は、新聞を読んでいる。
炬燵の中の声『ぜひーっ、ぜひーっ…!さっきのあまあま、おいしいんだぞぉ…!おまえにいっこやゆぞぉ…!だがりゃはやくだぢゅげゆのりゃああああああああああああああーーーっ!!!!』
炬燵の中の声『ぜひーっ、ぜひーっ、ぜひーっ…ぜひーっ…』ゼェハァゼェハァ
炬燵の中の声『………ひっ………はっ………あまあま……ぜんぶ…やりゅかりゃ……』ハッハッ
炬燵の中の声『…ぉ…………ぇ……』
炬燵の中の声『…おう、ち…この、おうち、やゆから…だじゅげ…で…』
炬燵の中の声『…………』
急に声がしなくなった。
596 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 23:48:08.14 ID:c1gYR+HRO
炬燵の中の声『』
食通の友人「…チビー、チビー、ドコナノダー。オカーサンガ、タスケニキタノダー(裏声)」ボソボソ
アライさんには似ても似つかない声である。
炬燵の中の声『おが…ひゃ…ここ…なの…ぁ…』コンコン
しかしなんと、母親と思って返事をしてきた。
食通の友人「チビー、モットオーキナコエデオヘンジシナイト、タスケテヤラナイノダー(裏声)」
炬燵の中の声『だじゅ……げ…!……ぴいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!』
炬燵の中の害獣は、渾身の声で叫んだ。
というか鳴いた。
食通の友人「オヤオヤー?イマノクッソキモイコエハナンナノダー?ブタノナキゴエナノカー?ガイジノサケビゴエナノカー?(裏声)」
炬燵の中の声『あら…しゃ…がいぢ…じゃ…ない…のりゃ…』
600 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/17(火) 23:55:31.02 ID:c1gYR+HRO
食通の友人「ソンナクッソキモイコエデナクナンテ、ホントニアライサンノチビナノカー?チビハオウタガウマイノダー(裏声)」
食通の友人「ウタヲウタエナキャ、アライサンノチビジャナイノダー。タスケルイミナイノダー(裏声)」
炬燵の中の声『……ハァ…ハァ…ハァ…』
炬燵の中の声『ノ…ノダ……ノ……ノダッ…』
食通の友人「キモイノダー、ヤッパガイジナノダー。ウタエナイナラ、オカーサンハカエルノダー(裏声)」
炬燵の中の声『オ………ガ………ジャ…………』
炬燵の中の声『…ノァ……ノ…ノダ……』
炬燵の中の声『…』
再び声がしなくなった。
606 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/18(水) 00:04:18.58 ID:ITakUf5VO
食通の友人「…ハァー。しゃーねーなー。別に、ただ炬燵の掃除がしたいだけだからな。誰かさんのためじゃないからなー」ガタガタ
食通の友人は、ロープを外し、鉄板をどけた。
食通の友人「あらよっと」パサッ
こたつ布団をめくると、ムワっとした湿っぽい熱気が一気に出てきた。
アライしゃん「」グッタリ
食通の友人「よいしょ。もう死んだかな?」ヒョイ
食通の友人は、アライしゃんの尻尾を掴んで持ち上げる。
毎度毎度、よくアライさんの尻尾を掴んで持ち上げる者は多いが、
この行為は尻尾の関節に強い負荷を与え、怪我の要因になり得る。
アライさんを痛め付けたいのでもなければ、尻尾を掴んで持ち上げるべきではない。
アライしゃん「」プラーン
食通の友人「おーい、くたばったかー?」ベシッベシッ
食通の友人は、白目をむいたアライしゃんのほっぺを何度もはたく。
607 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/18(水) 00:08:50.45 ID:ITakUf5VO
アライしゃん「…み……みず……」ハァハァ
なんと。
まだ生きている。
食通の友人「おやおや。水が欲しいのか?」
アライしゃん「みず………」ゼェハァゼェハァ
アライしゃんの尻尾は熱い。
口から吐く吐息もとても熱い。
まるで携帯用の暖房器具か何かのようだ。
この熱さを吐き出し続ける道具があったら、寒い地方ではさぞかし役立つだろう。
もっとも、雪の降る街中を行き交う人々が皆体長40cmのアライしゃんの尻尾を握りながら闊歩していたら、
ホラーどころの話ではないが。
610 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/18(水) 00:15:30.99 ID:ITakUf5VO
食通の友人は、アライしゃんをよく観察する。
アライしゃん「ぜぇ、はぁ…」シロメ
どこからどう見ても、重度の熱中症である。
皮膚は身体中真っ赤になっており、心拍数がとても高くなっている。
これは体内の熱を逃がすために、身体中の血管や毛細血管が径を拡張しているためだ。
心拍数を高めることで、血流を促進している。
さらに、息づかいはとても荒い。
これは呼吸によって外気を取り入れ、体内の熱を逃がそうとしているのである。
顔中は汗まみれでビショビショである。
こんな状態でも意識があるのは、アライさんの生命力の高さ故か。
食通の友人「いいぜ。たーーっぷり冷たい水をやるからな」スタスタ
アライしゃん「…はぁ、はぁ…」ブラーンブラーン
食通の友人は、アライしゃんの尻尾を握りながら厨房へ向かう。
611 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/18(水) 00:20:13.11 ID:ITakUf5VO
~厨房~
食通の友人「ほーら、キンキンに冷えた冷たい水だぞ」グイイッ
厨房には、大きな大きなバケツに貯まった氷水があった。
バケツの中にはたくさんの氷が入っている。
この氷は、先程マイナス40℃の業務用冷凍庫から出したものだ。
アライしゃん「…み、みず…はや…ぐ…」ビクッ ビクッ
尻尾を握られ吊り下げられているアライしゃんは、水を求めて手足をびくつかせた。
食通の友人「いいぜ、たっぷり水浴びしな。ほら」パッ
食通の友人は、バケツの上でアライしゃんの尻尾から手を離す。
612 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/18(水) 00:22:57.64 ID:ITakUf5VO
アライしゃんの体は、体積と表面積の比率が大きい。
先程行った通り、冷たいところでは…
すぐに体が冷えるのである。
アライしゃん「ぴゃぶ!」バッシャアアアアアンゴボゴボ
アライしゃんは氷水の中に勢い良く落下した。
613 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/18(水) 00:26:05.86 ID:ITakUf5VO
アライしゃん「ぎびぃぐっ」ビグググググッ
アライしゃんは、突然痙攣すると…
アライしゃん「」プカァ…
…ダンゴムシのように丸まり、そのまま動かなくなった。
食通の友人「おーい、どうした?あんだけ飲みたがってた水だぞー?好きなだけ飲んだらどうだー?」ペチペチ
アライしゃん「」シロメ
アライしゃんの頬をはたいても、何も反応がない。
616 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/18(水) 00:32:51.62 ID:ITakUf5VO
食通の友人「…ああ、そーいえば。小学校で習ったっけか」ガシッ
食通の友人「嘘か誠か…。冷たい水にいきなり飛び込むと、心臓発作が起きるって」ザパー
アライしゃん「」プラーン
アライしゃんをよく観察してみた。
呼吸も脈拍も止まっているようだ。
食通の友人「ゴミはゴミらしく、ようやくゴミになったようだな」
食通の友人「ジビれない生ゴミは、ゴミ袋へ詰めてっと。…これでよし」ポイ
ゴミ袋「」ドサッ
その晩、食通の友人は生ゴミの詰まった袋をゴミステーションへ出した。
617 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/18(水) 00:35:40.33 ID:ITakUf5VO
~深夜のゴミステーション~
アライさん「…はぁ、はぁ…。ようやく帰ってこれたのだぁ」ドタドタ
アライさん「チビー、チビー?どこに行ったのだー?」ドタドタ
アライさんは、子供を探しているようだ。
アライさん「うーん、仕方ないのだ…。まずは食べ物を探してからなのだ」ゴソゴソ
アライさん「たあ~!」ビリバリ
アライさんは、ゴミ袋を破く。
アライしゃん「」ドチャッ
アライさん「…!!!ち、ちびぃ!!?」
620 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/18(水) 00:42:12.33 ID:ITakUf5VO
アライさん「ち、ちび…?」
アライしゃん「」
アライしゃんには目立った外傷はない。
だが体は硬直しており、体を丸めたポーズのまま固まっている。
アライさん「そ、そうか!お前ここに隠れて、アライさんを脅かしてたのかぁ!」
アライさん「いつまで寝てるのだ。ほら帰るのだチビ。おんぶしてやるのだ」ヒョイ
アライさんは硬直した我が子を背負う。
アライさん「お前をおんぶしてやるのも久しぶりなのだ。随分重くなったのだー」ドタドタ
アライしゃん「」ユサユサ
アライさん「へっくし、今日も冷えるのだ」ドタドタ
寒い夜中を、冷たい風がびゅうと吹き抜けた。
623 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/18(水) 00:48:00.61 ID:ITakUf5VO
シャークP「シャークッ!(火炎有刺鉄線バット)」ドガァ
アライさん「あづいのだあああ!?」ドサァ
カメラマン「…」ジィーッ
シャークP「シャーク!シャーク!シャークッ!シャーク!…ゼェ、ハァ、シャーク!シャークッ!ハァッハァッ…」ドガァボガァ
アライさん「ぎびぃ!ひぎぃ!あづいのだああああ!!」メラメラ
アライさん親子は、バットについた燃えるオイルにより大層温められた。
624 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/18(水) 00:48:36.48 ID:ITakUf5VO
つづく
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/18(水) 00:47:16.26 ID:6dzWv5R10
流石ハエガイジ
自分の子供の死にも気づかないとは
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/18(水) 00:59:37.50 ID:1ZZqM9XG0
621
お前自分の子供がゴミ袋から出てきたら素直に現実受け入れられるのか…?現実逃避しちゃうのも仕方ないと思うが
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/18(水) 11:26:06.77 ID:ulyz2mAnO
621
ゴミパンダなんだからゴミ袋から出てきても何もおかしくないだろ
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/18(水) 01:04:41.72 ID:v+p4xie/o
629
現実逃避じゃなくて本当にただの馬鹿に見えるが
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/18(水) 01:15:42.92 ID:DT8Djr6Lo
632
アライさんだからな
そもそも気づいてないんだろう
人間でも同様の現象は起こるが、現実逃避の結果だからなぁ
最終更新:2017年11月24日 21:03