719 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/19(木) 23:18:39.61 ID:C8nWqJkAO
司会「まずはブラウンPから、どうぞ!」
毎度毎度、小さなアライちゃんをよくなつかせてから殺すブラウンP。
今回は、何をやらかしてくれるのか。
ブラウンP「さ、おいで」
麦わら帽子アライさん「ふはははー!」ドタドタ
ブラウンPは、ステージの上へ成体のアライさんを呼んだ。
麦わら帽子アライさん「ブラウンおねーさん、アライさんは絶好調なのだ!今日も美味しいご飯作るのだ!」
ブラウンP「うん。頑張ろうね」
司会「…………!!!!!??」
観客達「せ…成体のアライさん…!?」ドヨッ ザワザワ…
ブラウンPのステージの上へ、成体のアライさんが来た…。
もちろんいつも通り、ブラウンPに
それが、どれほどの異常事態であるか。
どんなにヤバい事であるのか…
分かる人には、一瞬で分かってしまった。
723 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/19(木) 23:28:41.04 ID:C8nWqJkAO
アライさんとは、極めて人に馴れにくいことで知られるフレンズである。
幼いアライちゃんの頃は、自分一人では生きていけないため、人によくなつく。
しかし成長してくると、やがて人に保護される必要がなくなるため、反抗が目立つようになる。
これは、何も悪意をもった行動ではない。
アライさんは、基本的に群れを作らずに、独りで暮らす習性を持つ。
協調性を持たず、家族以外の誰にも施しを与えない。
逆に言うと、他のアライさんから一切施しを受けることができないのである。
早いうちから独立心と自立心を身に付ける必要があるため、
反抗期になるとすぐに親離れしようとするのである。
誰とも協調せず、一切人を気遣わず、すべてが自分のためにあり、何でも自分のものにしてしまえると考えている、生来にして究極のエゴイスト。
だからこそ、アライさんは害獣として忌み嫌われているのである。
故に…
成体のアライさんが、他の誰かになつくなど…
あり得ない。いや…
『あってはならない』事なのである。
725 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/19(木) 23:35:36.02 ID:C8nWqJkAO
司会「ぶ、ブラウンP…このアライさんは?」
ブラウンP「私の漫画のアシスタントの一人だよ。1年半前に、罠にかかっているところを見つけて…、私の家で保護し、育てていたんだ」
麦わら帽子アライさん「そうなのだ!ブラウンおねーさんからは、いっぱいお世話してもらったのだ!色んな事を教わったのだ!」
司会「あ、アシ…何ですって?」
観客1「まあ、ブラウンPが都合よく『罠にかかったアライちゃんを保護する』のはいつものことだとして…」ザワザワ
観客2「アシスタント?アライさんなんかにできるわけねーだろ…」ザワザワ
司会「アシスタントっていうのは…ベタ塗りとかですか?」
ブラウンP「アライグマは手先が器用な動物だ。彼女もその特徴を持っているよ。…実力を見てみるかい?」スッ
ブラウンPは、原稿用紙とペンをキッチンに起き、ビデオカメラでプロジェクターへ映し出した。
麦わら帽子アライさん「ブラウンおねーさん?今日は料理するんじゃないのか?」
ブラウンP「その前に、ちょっと何か書いてみなよ」
麦わら帽子アライさん「分かったのだ!」
麦わら帽子アライさんは、ペンを握った。
727 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/19(木) 23:41:50.20 ID:C8nWqJkAO
麦わら帽子アライさん「ふんふんふーん!」シャシャシャ
麦わら帽子アライさんは、原稿用紙へブラウンPの似顔絵を描いていく。
その出来映えは、一言で言うと『プロの技』。
漫画の原稿として出版するに十分な上手さであった。
司会「はー…す、すごいですねー…。天才ですか?」
麦わら帽子アライさん「ふはははー!アライさんをうんと褒めるのだぁ!」ピカピカガイジガオ
麦わら帽子アライさんは、腰に手を当てて高笑いする。
麦わら帽子アライさん「そうなのだ!アライさんは天才なんだぞー!」エヘン
ブラウンP「最初は下手だったよ。でも、絵に興味を持つようになってから、私のテクニックをマンツーマンで指導したんだ」
麦わら帽子アライさん「お、おねーさん!バラしちゃダメなのだ!カッコ悪いのだ!」アセアセ
ブラウンP「実際、彼女には漫画の原稿を手伝って貰ってるよ」
観客「ドヨドヨドヨ…ザワザワザワ…」
736 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/19(木) 23:52:01.02 ID:C8nWqJkAO
司会「ブラウンPの漫画といえば…『キッズ探偵ドタバタ君』ですか?」
ブラウンP「そうだよ。私のアトリエで、他のアシスタントさんに混ざって、彼女にも原稿を描いてもらった」
ブラウンP「ここだけの話、24巻の花見のシーンの背景は、この子に任せたんだ。良い出来映えだっただろう?」
観客1「ああー、あの背景か…」
観客2「そんな凄いってわけでもないけど…アライさんに描かせたって考えると凄いな…」ザワザワ
ブラウンP「それだけじゃないよ。私のもう一つの作品…」チラッ
ブラウンPは、ステージの袖に隠れて見ている食通の友人を一瞥する。
ブラウンP「『仮面精肉師(マスクド・ブッチャー)ショクエモン』の方も、手伝って貰ってるよ」
観客&司会「………は………?」
誰もが、『それだけはないだろう』と思っていたことが…
起こってしまっていた。
743 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/19(木) 23:59:56.08 ID:C8nWqJkAO
司会「その作品は、確か…」
ブラウンP「そう。世界を滅ぼそうとするアライさん達を、捕まえてその場で料理する…正義のブッチャー、ショクエモン仮面のヒーロー漫画さ」
客席は壮絶とする。
司会「て、手伝ってくれてるんですか?このアライさんが?」
麦わら帽子アライさん「そうなのだ。…漫画の中で、いっぱいアライさんが死んでるのだ」
麦わら帽子アライさん「でもそれは漫画の中の話なのだ!それに…」
麦わら帽子アライさん「悪い事したやつが、懲らしめられるのは当然なのだ!アライさんだって、人に悪い事されたり、泥棒されたら嫌なのだ!」
司会「」
観客「」
食通の友人「あ~あ…」
…聞いてはならないことを、皆が聞いてしまった。
この会場でたくさん殺され、料理されている害獣のうち一匹の口から…
誰もが絶対に聞きたくなかった言葉が、放たれてしまった。
746 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 00:03:49.03 ID:/6Q/xrt+O
司会「あ…あの…」ブルブル
司会は、声も体も震えていた。
司会「そのアライさん…いえ、あなたのアシスタントさん。…なんでここに連れてきたんです?」
司会は、最も聞きづらい質問を、ブラウンPへ問いかけた。
ブラウンP「そんな事…言わなきゃ分からないかな?」
司会「え…?え…?嘘…ですよね…」ブルブル
観客1「やめろ…」ブルブル
観客2「やめてくれええええ!!!」
客席からは悲鳴に近い叫び声が聞こえた。
そんなことが、あってはならない。
756 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 00:10:13.26 ID:/6Q/xrt+O
司会「あの、ブラウンP…」ブルブル
ブラウンP「何ですか?」
司会「…やめませんか?普通の…その辺で…食材調達コーナーで売ってる…『普通の』にしませんか…?」ブルブル
ブラウンP「今更かい?私はこの日のために仕込みをしてきたんだよ」
司会「その子を育てたのは…人の社会できちんと、溶け込んで…暮らしていけるようにするため…ですよね?」ブルブル
ブラウンP「だと思います?」
司会「…」ブルブル
観客1「ブラウンP!もういい!もういいよッ!」
観客2「やめてー!」
観客3「いいぞいいぞー!やれー!」
観客4「ああ見たくない…見たくなかった…もう見てしまった…見なきゃ良かった…」ブルブル
767 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 00:19:12.95 ID:/6Q/xrt+O
ブラウンP「というか、さっきから何故私の料理を止めようとするんだい?」
司会「え、え…だって…え…?私…なにか間違ってますか?え?普通…止めるでしょう…?」ブルブル
これまで何度も、ショクエモンPやブラウンPのライブキッチンを促し、会場を賑わせてきた司会。
そんなベテラン司会が…
本来、ステージクッキングを円滑に進めるための役割をもつ司会が…
これからブラウンPがやろうとしていることを、止めようとしていた。
麦わら帽子アライさん「ブラウンおねーさん?何なのだ?いつになったら料理始めるのだ?アライさんは待ちくたびれたのだぁ!」ドンドン
麦わら帽子アライさんはステージをどんどんと踏み鳴らす。
ブラウンP「だってさ。…料理を円滑に促すのが、君の仕事じゃないのかい?」
司会「」
司会は顔が真っ青になっていた。
ブラウンP「今までだって君は、たくさんの料理へGOサインを出してきた。…今回はなぜ止める?今までと何が違う?…何も違わないだろう?何も…」
司会「ひっ…だ、誰か…誰か!あ、ああ…いけない…いけませんブラウンP…」ガクガクブルブル
772 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 00:29:09.75 ID:/6Q/xrt+O
司会「あっあの皆さん…こ、今回は!ぶ、ブラウンPの勝ちってことでどうですかね!」アセアセ
司会は支離滅裂なことを観客席へ言い始めた。
観客1「それでいい!もうそれでいいから!」
観客2「止めさせてくれー!」
観客3「いいわけねえだろ!!!ここからが盛り上がるとこじゃねーか!!」
観客席は大混乱である。
なぜ司会は、こんなに必死になって、ブラウンPの料理を止めようとしているのであろうか?
…それは…
彼女がこれから行おうとしていることが、今のご時世のこの社会へ、どんな影響を与えるか。
ショクエモンPや会長とともに、『アライさんをいくら殺しても構わないという世論』を作り上げてきた司会には、分かっているからである。
司会も、観客も、食通の友人も、ブラウンP自身でさえ…
…絶対にあってはならない程ヤバい事が、これから起こることを確信していた。
773 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 00:29:56.58 ID:/6Q/xrt+O
つづく
最終更新:2017年11月24日 21:18