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ラストアラジビフェス① ~ブラウンPと善意の刃~その3

846 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 21:40:24.45 ID:/6Q/xrt+O
ブラウンP「そろそろ始めていいかい?もう少し何か話したい?」

ブラウンPは、優しく司会に話しかける。
どうやらブラウンPは、司会の反応を見て愉悦を感じているようだ。

司会「っ…そ、そうだ…。どうやってそんなに、まともに育てたんです?」

麦わら帽子アライさん「のだ…」

ブラウンP「というと?」

司会「過去の噴火でアライさん達が大量発生した時期に、8匹のアライさんが戸籍を取得し、人間社会で生きようとしました」

司会「しかし教育の甲斐むなしく、その腐った性根もあって、やがて全員が人間社会から脱落しました」

司会「どんなに頑張っても共生できない害獣、駆除対象フレンズとなったのです。なのに、どうやって…そんなに仲良くなれたんです?」

ブラウンP「…簡単なことだよ。アシスタントの皆が…友達がいたからさ」

司会「友達…?」


849 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 21:54:16.17 ID:/6Q/xrt+O
ブラウンP「今まで育てた子達は皆、私が一人で育てたり、姉妹と育てたりしたけど…反抗してダメだった」

麦わら帽子アライさん「?ちょっと待つのだ。今まで育てた子…?アライさん以外にもお世話してたのか?」グイグイ

麦わら帽子アライさんは、ブラウンPの袖を引っ張りながら聞いた。

ブラウンP「そうだよ、君みたく親を失った子をね。…みんな立派な姿になって旅立っていったよ」

麦わら帽子アライさん「やっぱりブラウンおねーさんは偉大なのだぁ!みんなが害獣って呼ぶアライさんを、立派に育てるなんて!」シッポフリフリ

ブラウンP「話を戻そう。この子には小さい頃から、アライさん達の悪行を、話で、映像で…いろんな手段で教えた」

麦わら帽子アライさん「うぬぬ…。アライさんたちのせいで、たくさんの人が困ってるのだ。畑泥棒も、家荒らしも…。それに、アライハザードだって…!すっごく悪い事なのだ!みんな悪い奴なのだぁ!」

ブラウンP「そして、アシスタント達と小さい頃から会わせて、お友達になってもらったんだ」

麦わら帽子アライさん「アシスタントの皆は、いいやつだぞぉ!アライさんの自慢の友達なのだ!」

ブラウンP「『他種族の友達を作ること』…。それが、アライさんが人と仲良くなれるように育つために何よりも大事なことだよ」


852 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 22:03:52.35 ID:/6Q/xrt+O
麦わら帽子アライさん「アライさんはなぁ、アシスタントの皆やブラウンおねーさんから、たくさん大事なことを教わったのだ!」

ブラウンP「どんなこと?言ってごらん」

麦わら帽子アライさん「4つ言うのだ!ひとつ!何かするときは、自分が相手の立場だったらどう思うかを考えるのだ!」

麦わら帽子アライさん「ふたつ!良いことして貰ったらお礼を言い、悪い事したら謝るのだ!」

麦わら帽子アライさん「みっつ!自分がされて嫌なことは、他の人にやっちゃダメなのだ!じゃないと相手に嫌われちゃうのだぁ!」

麦わら帽子アライさん「よっつ!自分がされて喜ぶことを、他の人にするのだ!そうすると相手は喜んでアライさんと友達になってくれるのだ!」

ブラウンP「…」

麦わら帽子アライさん「これが、アライさんが心掛けている、みんなと友達になる秘訣なのだぁ!」エヘン

観客席の所々から、拍手が沸き上がる。
…ここまでアライさんを育てたブラウンPに対してだろうか?

それとも彼女の気持ちに答えて育った、アライさんに対してであろうか?


856 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 22:13:30.20 ID:/6Q/xrt+O
ブラウンP「うんうん。実際、この子は生活の中で、これらの秘訣を守れているよ」

観客1「立派じゃねーか!もうブラウンPの勝ちでいいから、そいつを幸せにしてやれよ!」

観客2「うぅ…嘘だろ。アライさんはどうしようもない害獣なんだ…あんなの、無理矢理言わせてるだけだ…!」

観客3「いつまでインタビューやってんだー!早く料理始めろー!」

観客4「これ台本あるの?」

観客5「いや、アライさんが台本なんて覚えられるわけないし…でも台本無しでアライさんがあんなこと言うわけない。ど…どっちだ!?」


ブラウンP「…この子は、アライデスゲームを見に行った時も、マナー良く見ていたからね」

どよっ…

司会「あ、アラデスを見せたんですか!?」

麦わら帽子アライさん「あれは怖かったのだ…。悪い事したアライさん達が、いっぱい処刑されてたのだ。きっとアライさんも、悪い事やったらああなるのだ…」ブルブル

麦わら帽子アライさんは、ステージを思い出して怖がっているようだ。


858 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 22:19:47.85 ID:/6Q/xrt+O
麦わら帽子アライさん「でもアライさんは、自分がやられて嫌なことは、人にしないのだ!やられて嬉しいことをするのだ!みんなと仲良くなって…」

司会「仲良くなって?」

麦わら帽子アライさん「天下を取るのだ!」

司会「天下を取るって…具体的に何するんです?」

麦わら帽子アライさん「わかんないのだ!」

観客「ハハハハハハハハ」

観客席は、あたたかい笑い声に包まれる。
普段聞こえる、アライさんの無様な姿を見て嘲笑う声とはまったく違った。

…これからブラウンが行おうとしていることから、目を逸らすかのように。


861 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 22:24:44.82 ID:/6Q/xrt+O
麦わら帽子アライさん「そうだ、さっきお前はアライさんの絵を褒めてくれたのだ!お礼にいいものやるのだ!」ゴソゴソ

アライさんは、ポーチから何か取り出そうとしている。

司会「おや、何かくれるんですか?」

ブラウンP「っ…まさか…」

麦わら帽子アライさん「いいから!好き嫌いの多いブラウンおねーさん達と違って、きっとこいつは気に入るのだ!」ゴソゴソ

司会「おやおや何でしょうか」

麦わら帽子アライさん「ちょっと目をつぶって、手を出すのだ」

司会「こうですか?」

司会が差し出した手のひらに、何かを握らせる麦わら帽子アライさん。

ブラウンP「…」ハァ…

なぜかため息をつくブラウンP。

麦わら帽子アライさん「…はい、目を開けていいのだ!アライさんが大好きなものをやるのだ!きっと喜ぶのだ!」

司会「なんでしょう…?」パチリ

司会は目を開ける。


863 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 22:27:52.98 ID:/6Q/xrt+O
それは…













※虫の幼虫の画像。閲覧注意。


866 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 22:30:24.93 ID:/6Q/xrt+O
…カミキリムシの幼虫であった。

司会「ひっ…ひいいいぃぃ!?」

麦わら帽子アライさん「アライがずっと小さい頃、お母さんに食べさせてもらった大好きなおやつなのだ!きっとお前も気に入るのだ!」


ブラウンP「またそれ取ってたのか…。みんな食べれないって言ってたでしょ?なんで分からないの」

麦わら帽子アライさん「うぬぬー、これはすごく美味しいのだ!それに食べ物の好き嫌いはダメだって、ブラウンおねーさんもアシスタントのみんなも、教わってないのか!?」


877 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 22:38:36.66 ID:/6Q/xrt+O
ブラウンP「…分からないね君は。みんなこういうのは食べないの」

麦わら帽子アライさん「ブラウンおねーさん達こそ、なんで分かってくれないのだ!食べてみれば分かるのに!すっごく美味しいんだぞぉ!…さあ、食べるのだ!」

司会「い、いりませんよこんなの!返します!」

麦わら帽子アライさん「なっ…なんでなのだ!?アライさんだったらこれを人から貰えたらすっごく嬉しいのだ…!お前も喜ぶはずだと思って…え…」

司会「虫イヤーーー!」ポイッ

司会はステージへ幼虫を捨てる。

麦わら帽子アライさん「…うー。お前はアライさんが嫌いだから受け取ってくれないのか!?」ガシッ

アライさんは虫を拾い…

麦わら帽子アライさん「みんな、この味を知らないなんて勿体ないのだ…」モグモグ

…幼虫を食べた。

観客3「うわ、気持ち悪い…ブラウンP!さっさとやっちまえー!」

司会「うぅ…」ウップ

ブラウンP「…昔は口を開けてクチャクチャ音を鳴らして食べてたけどね。そこは注意したら直してくれたよ」


884 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 22:47:06.15 ID:/6Q/xrt+O
麦わら帽子アライさん「…それじゃあ、別のことでお礼するのだ!こっち来るのだ」クイクイ

麦わら帽子アライさんは、キッチンの流し台の前に立ち、司会を呼ぶ。

司会「何するんですか?」スタスタ

麦わら帽子アライさん「この水道の前で、目をつぶっておじぎのポーズするのだ」クイクイ

ブラウンP「…あっ!いけない…」

司会「こうですか?」スッ

司会は目をつぶって頭を下げる。

麦わら帽子アライさん「それでいいのだ」


889 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 22:50:46.37 ID:/6Q/xrt+O



ザァーーーーッ!!!



司会の頭に、蛇口の水がかけられた。


司会「ひぃ冷たいっ!な、何するんですか!!」ビクゥ

麦わら帽子アライさん「ふははははー!この水道で、頭を洗ってやるのだ!アライさんは洗うの上手だぞぉ!」ワシャワシャ

司会「!?何で!?や、やめ、せっかくワックスで整えた髪がぁ!」

麦わら帽子アライさん「髪を綺麗にするのは気持ちがいいのだ!お前の頭もピッカピカにしてあげるのだ!ふはははー!」ワシャワシャ

麦わら帽子アライさんは、司会の髪を水で丁寧に、心を込めて洗う。


893 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 22:55:33.28 ID:/6Q/xrt+O
司会「やめて下さい!怒りますよ!っていうかマジで怒ってますから!」ジャバアア

麦わら帽子アライさん「えっ…」ピタッ

麦わら帽子アライさんは、蛇口をひねって水を止める。

麦わら帽子アライさん「は、はい…タオルなのだ」スッ

アライさんは流し台のタオルを司会へ渡す。

司会「…どうも」フキフキ

ブラウンP「…アシスタントや私にしなくなったから、もうやらないと思ってたのに…!」

麦わら帽子アライさん「うぅ、それはみんなが…え…?みんな…髪洗うの嫌いなのか?そんなのばっちいのだ!」


897 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 22:59:42.87 ID:/6Q/xrt+O
麦わら帽子アライさん「ドライヤーもあるのだ」スッ

麦わら帽子アライさんは、キッチンにあった食器乾燥用ドライヤーを、司会に手渡す。

司会「…どうも」ゴォーッ

麦わら帽子アライさん「ふはははー!どうだったのだ?頭アライさんしてあげたのだ!スッキリしたのだ?」

司会「…せっかくキメた髪型が…とほほ」ゴォーッ


901 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 23:04:06.58 ID:/6Q/xrt+O
麦わら帽子アライさん「…?なんで喜ばないのだ?アシスタントさん達みたいなのだ…。アライさんは小さい頃、水場でお母さんに髪をピカピカに洗ってもらうのが大好きだったのだ」

司会「喜ぶわけないでしょう…」

司会は明らかに怒っている。

麦わら帽子アライさん「え…なんで…。アライさんは、ただ、お礼のつもりで…喜ばせてあげようと思って…!」アセアセ


観客1「う…常識とかいうもんがないのか?」

観客2「何回も注意されてるっぽいのに…。相手の気持ちを考えれば分かりそうなもんじゃないか?」

観客3「やっぱガイジだな!ブチ殺し確定!」

ザワザワザワ…

ブラウンP「…これがアライさんの限界なんだよ」

ブラウンPは、静かに口を開く。


909 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 23:15:06.28 ID:/6Q/xrt+O
ブラウンP「害獣と呼ばれる野良アライさん達だって、何も意図的に人を困らせようと思って、迷惑行為を繰り返すわけじゃない」

ブラウンP「フレンズ達は人間と違って、産まれた時から少しずつサンドスターによって言語や道徳を与えられ、人格形成していくんだ」

ブラウンP「一般的なフレンズが、サンドスターによって与えられる道徳は、その多くが人間にとって『善良』と捉えられるもの…『利他的』なものだ」

ブラウンP「しかしアライさんは違う。生まれつき、サンドスターによって人間が『害悪』と捉えられる…『利己的』な道徳を与えられる。…何故か知らないけどね」

ブラウンP「それ故に、野良アライさんは皆、生まれつき無自覚ながら、悪の人格を持つことになる」

麦わら帽子アライさん「…ぶ、ブラウンおねーさん…?」


912 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 23:20:19.04 ID:/6Q/xrt+O
ブラウンP「しかしながら、私は小さい頃からこいつを育てて、善良な道徳心を身に付けさせてきた。…結果、さっき言った通り、4つのことができるようになった。…言ってみな」

ブラウンPは、麦わら帽子アライさんを『こいつ』と呼んだ。

麦わら帽子アライさん「ひ、ひとつ!何かするときは、自分が相手の立場だったらどう思うかを考えるのだ!」

麦わら帽子アライさん「ふたつ!良いことして貰ったらお礼を言い、悪い事したら謝るのだ!」

麦わら帽子アライさん「みっつ!自分がされて嫌なことは、他の人にやっちゃダメなのだ!」

麦わら帽子アライさん「よっつ!自分がされて喜ぶことを、他の人にするのだ!」

麦わら帽子アライさん「…アライさんはこれを、ずっとやってきたのだ」

ブラウンP「そうだね、でも…」


923 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 23:33:29.14 ID:/6Q/xrt+O
ブラウンP「何度言っても、君は4つの間違いを繰り返した」

ブラウンP「ひとつ。自分の価値観を押し付け、相手の気持ちになって考えようとしなかった」

麦わら帽子アライさん「っ…そんなの、分かるわけないのだ!言ってくれなきゃわかんないのだ!」

ブラウンP「ふたつ。君は人に言われないと、他者の好意に気付けないし、自分が悪い事したのに気付けない」

麦わら帽子アライさん「じゃあそのとき毎回言ってくれればいいのだ!どうしろって言うのだ!」

ブラウンP「みっつ。君は自分がされて嫌じゃなければ、なんでも人にやっていいと思っている。君が嫌じゃなくても、それを嫌だと思う人はいっぱいいる」

麦わら帽子アライさん「だから、言わなきゃ分かんないのだ!教えてくれればいいのだぁ!」コスリコスリコスリコスリ

麦わら帽子アライさんは、俗に『ハエガイジムーブ』と呼ばれ忌み嫌われる仕草をした。

ブラウンP「よっつ。自分がされて嬉しくても、他者にとっては嫌かもしれないという可能性を全く考えない」

麦わら帽子アライさん「だ…だから…それは…!うぬぬ…!」コスリコスリコスリコスリコスリコスリ


928 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 23:42:24.78 ID:/6Q/xrt+O
ブラウンP「これがアライさんの限界だ。どんなに善良になろうとしても、どんなに害悪になりたくないと願っても。決して人と共感できず、決して人を思いやれない」

麦わら帽子アライさん「お、思いやってるのだぁ!なのに、なのに…!」

ブラウンP「それは友達が欲しいからという利己的な理由だろう?それを思いやりとは言わない」

麦わら帽子アライさん「うぅ…!それが分からないのだ…!何回言われても!分からないのだあぁっ!」

ブラウンP「みんな分かったかい?アライさんという生き物は、悪意で人を傷付けるだけじゃない。善意を持つことでさえ人に迷惑をかけ、傷付ける!」

ブラウンP「何度言っても、何回言われても…決して!『善意の刃』を直せない!」

麦わら帽子アライさん「うぅ、ううううぅ…!分からないのだあ…!なんでなのだ、なんで…!」

ブラウンP「…だから君は。いや、君達は…」スッ

ブラウンPは、アライさんに冷たい目を向けた。


934 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 23:47:30.56 ID:/6Q/xrt+O



ブラウンP「本質的に『害獣』であり」



ブラウンP「本質的に『ガイジ』なんだよ」



司会「っ…」

麦わら帽子アライさん「ひっ…!ち、ちがう!あ、アライさんは、アライさんは、悪い事なんてしてないのだ!が、害獣でも…ガイジでも…ないのだあああああああぁっ!」

麦わら帽子アライさんは、頭を抱えてうずくまった。

ブラウンP「…どうしたんだい?観客のみんな。こういう時、君達はいつもアライさんへ…このこの子の同族へ、ガイジコールをしていただろう?」

ブラウンP「やりなよ。ガ・イ・ジ、ガ・イ・ジ、ガ・イ・ジ、ガ・イ・ジ」パチン パチン

ブラウンPは手を叩きながら、観客席へコールを求める。
誰も応じないのを知りながら。

観客1「…」

観客2「…」

観客3「いいぞもっと言ってやれー!ガ・イ・ジ!ガ・イ・ジ!ガ・イ・ジ!」パチン パチン

観客4「…」

ごく少数の観客がコールに応えた。


935 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/10/20(金) 23:48:20.27 ID:/6Q/xrt+O
つづく






最終更新:2017年11月24日 21:20