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アライさんを滅ぼすということ③その2

670 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/14(火) 23:44:36.39 ID:Mkb7CkGmo
大臣「タイリク。まず最初に、私の立ち位置をハッキリさせておくのです」


大臣「私は、お前の敵には…できるだけ、なりたくないのです。理解者になりたいと思っているのです」

大臣「だからお前も。私には、全て打ち明けてほしいのです。いいですか?」

ブラウンP「…人が良すぎる、あなたは」

大臣「ではまず…。お前は、フレンズから産まれた子供は、多少サンドスターの力が使えるとはいえ、人間と同じとは分かっているのですね?」

ブラウンP「分かってます」

大臣「親アライさん達は、あの子供を…8年近く、育ててきた。分かりかすね」

ブラウンP「はい」

大臣「…アライさんは2年で成体になりますが、人間の2歳児といったらまだ赤ちゃんです。それにアライさんと違い、人間は生まれつき言葉を喋れない」

大臣「あのアライさん達が、未熟児同然の人間の子供を育て、言葉まで教えてきた…。紛れもなく、子供達にとって、あのアライさん達は親だった」

大臣「そして、子供達はアライさんの…親の死を悲しんだ。この意味が分かりますね」

ブラウンP「…あのアライさん達は、人間の子供キチンと育てられるくらいマトモだった…ということだね」

大臣「違うのです。損得勘定の話ではないのです」

大臣「お前が、人間の子供の大事な親を、平気で殺せるようになってしまった…ということです」

ブラウンP「…」


678 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/14(火) 23:56:28.08 ID:Mkb7CkGmo
大臣「思えば、最後のアラジビフェスで、麦わら帽子のアライさんを殺したときから…。お前は、なにか一線を超えて、『ふっ切れていた』のです」

ブラウンP「あの子を育てたのは2年前。その時から…最初から、殺すつもりだったよ」

大臣「それでも、お前や他のアシスタントは、あいつに愛着が沸いていたはずなのです。否定できますか?」

ブラウンP「…いや」

大臣「お前が過去に殺してきたアライちゃん達は、結局のところ…その死を悲しむ者はいなかった」

大臣「だけど、麦わら帽子のアライさんが死んだとき、他のアシスタントや会場の皆が悲しんだ」

大臣「あの親アライさんが死んだとき、その子供が悲しんだ」





大臣「お前は、ヒトを肉体的に傷付けなければ…、犯罪さえ犯さなければ…、いくら悲しませてもいいと思っている」





会長「…」

大臣「違いますか?」

ブラウンP「…何でもお見通しだね、大臣は。…その通りですよ」

大臣「…お前は、昔はそんなんじゃなかったのです」


689 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/15(水) 00:06:37.85 ID:/SJ5hLtyo
大臣「何があったのです。ふっ切れた切っ掛けは何ですか」

ブラウンP「私は、会長。あなたに薦められて、命乞尾シロウ先生という医師の所へ行ったんだ」

大臣「シロウの所へ!?何故なのです、会長!」

会長「フレンズの肉体や脳なら、あいつが世界で一番…いや二番?ともかく、それくらい詳しいのです」

会長「だから、助けになってやれると思ったのです」

大臣「なんて事を!あいつにココロの診療をさせちゃダメなのです!あいつは人間やフレンズの心を、単なるプログラム程度にしか思ってないのです!」

会長「だからこそ適任なのです」

大臣「何が適任ですか!…話の腰を折って申し訳ないのです。タイリク、続きを」

ブラウンP「そして彼は言った。『この世の医学では健全な状態へ治療できない。無害になりたいなら、心を失うか、力を失うか、選ぶしかない』と」


697 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/15(水) 00:20:14.82 ID:/SJ5hLtyo
大臣「心を…失う?」

ブラウンP「そう。ある薬剤を定期的に摂取することで、私は…『喜びや快感を求める欲求』を失う」

ブラウンP「私の殺人欲求は、結局のところ、悦楽を味わうため。だからその薬品こそ、私を無害化するベストな選択だろう」

大臣「…それで…それから…?」

ブラウンP「そう。私はこの作戦が終わったら、喜びや快感を求める欲求を失うつもりだ」

大臣「そ…そんなの…!そんなことしたら、その先、どうやって生きていくつもりなのです?」

ブラウンP「誰も殺さずに生きていくさ」

大臣「嘘なのです。お前の心は死んだも同然なのです」

ブラウンP「…そうですね」

大臣「…まさか、それじゃあ…麦わら帽子や親のアライさんの件は…『ヤケになった』ということですか!?」

ブラウンP「そう。どうせ作戦の後、私の心は死ぬんだ。だから…」

ブラウンP「残りの余生を…、犯罪にならない範囲でセーフティを外して。本当にやりたいことを、自由気ままにやって生きることにしたんだよ」

大臣「…」

会長「…」


709 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/15(水) 00:29:54.95 ID:/SJ5hLtyo
大臣「会長」

会長「どうしたのです」

大臣「会長は、タイリクを…。あの男に任せるべきではなかったのです。マトモな、その手の精神科医の人に預けるべきだったのです」

会長「いえ、精神科医が治せるのは、ストレスからくる殺人衝動だけなのです。こいつのようなケースは、治療の成功例がないのです」

会長「シロウに預けなければ、いずれ大量殺人が起こったのです。こうするしかなかったのです」

大臣「…会長、ひとつ聞きたいのです。今回のような…人間の子供がいるアライさんと出会ったケース、会長は想定してなかったのですか?」

会長「?当然想定済みなのです。…前に、そういう例を見たことあるのです」

大臣「だったら!何故前もって、こういうケースの正しい対処法を教えておかなかったのですか!!」


713 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/15(水) 00:36:55.66 ID:/SJ5hLtyo
会長「?何故って…何かする必要があるのですか?」

大臣「会長…?」





会長「人間は助け、アライさんは殺す。やることはシンプルなのです。特例でも何でもないのです」





大臣「」

ブラウンP「…会長…?」


714 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/15(水) 00:38:13.18 ID:/SJ5hLtyo
会長「というか…私には、なぜタイリクが責められているか分からないのです。結論を先伸ばしにしてどうするのです?」

会長「結局そいつらは、大久野島にも、どこにも行き場所はない…地獄に行くしかないのです」

会長「それにタイリクの言うとおり、『人間の子供を拐う』とか、『人間の子供を作る』とかの逃げ道を作ったら、多くの人が悲しむだけなのです」

会長「ならば早急にディスパッチするのがベストなのです」

大臣「み…」


大臣「ミミちゃんっ…!!」


715 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/15(水) 00:45:14.48 ID:/SJ5hLtyo
…

~サンドスター科学研究所~

大臣「…」

パーク管理人「…」

理科の先生「…」

大臣「…こっちは、もう…タイリクと会長が…ヤバいのです…」

大臣「特にヤバいのは会長の方なのです。タイリクは自覚がありますが、ミミちゃんには自覚すらないのです」

大臣「もしかしたら、ミミちゃんはこのままでは…、フレンズの赤ちゃんを襲うかもしれないのです」

理科の先生「…」

パーク管理人「こっちは…ヤブノウサギがヤバい」

パーク管理人「あいつ、なんというか…どんどん繁殖欲がエスカレートしてる。いつか逆けもシコしかねん」

大臣「逆けもシコ?」

パーク管理人「
逆に
けものが
悶々とした疼きを
鎮めるための
行為
の略だ」

大臣「…ネーミングがイマイチなのです」

パーク管理人「お前じゃい!!!」


720 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/15(水) 00:56:20.40 ID:/SJ5hLtyo
理科の先生「…他の肉食獣フレンズの様子はいかがですか?」

大臣「他のやつらは平気そうなのです」

パーク管理人「うちには…、草食動物のフレンズしかいないから分からん。きっと肉食獣のフレンズが来たら、怯えるだろうな」

理科の先生「かつての旧ジャパリパークでは…」

理科の先生「肉食フレンズも草食フレンズも、互いを襲うことも逃げることもなく…。繁殖欲に悶々とすることもなく、仲良くしていました。まるで魔法ですね」

理科の先生「しかし、先程挙げた3名は…、どうやら魔法が解けつつあるようです」

大臣「…どうしてなのです?」

理科の先生「ヤブノウサギさんについては分かりませんが、残りの2名については、だいたい想像がつきます」

理科の先生「アラジビに手を出し…『フレンズの肉は美味い』と知ってしまったから。封じ込められていた野生の本能が、呼び覚まされてしまったのでしょう」

大臣「…」

パーク管理人「…アラジビか。あんな変なもん食いやがって…」

理科の先生「フレンズは、フレンズを食べるのを嫌う。何故か?簡単です。『フレンズの肉が美味だと知ってはならないため』です」


722 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/15(水) 01:01:23.59 ID:/SJ5hLtyo
大臣「しかし、では何故、旧ジャパリパークでは、フレンズ達は本能を抑えて生きていられたのです?」

パーク管理人「…今の社会に無くて、旧ジャパリパークにあったもの…。というと、まさか、アレか」

理科の先生「そう。旧ジャパリパークのフレンズ達は、ある…今では精製技術が失われた薬品を、食事と共に摂取していたからです」

大臣「…まさか」

理科の先生「そう。今の社会に出回っている、見た目と味を再現しただけのお菓子ではない…」

理科の先生「真のジャパリまんです」


727 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/15(水) 01:07:08.99 ID:/SJ5hLtyo
大臣「っ…」

パーク管理人「ボス達め、黙ってたのか…!」

理科の先生「ジャパリまんは、獣の本能を抑えるための薬品、ジャパリミンを経口摂取させるための食糧…というわけです」

大臣「…つまり、そのジャパリミン…という薬品があれば…」

理科の先生「先程のご三方を、救うことができる…かもしれません」

パーク管理人「どうにかならないのか!?技術の文献は残ってないのか!?」

理科の先生「ロストテクノロジーとなっています。旧ジャパリパークの廃工場には、汚染が酷くて行けない以上…」

理科の先生「車輪の再発明をするしかないですね」

大臣「そういうことは…誰もやってないのですか?」

理科の先生「いえ。やっている者が、一人だけいます」

パーク管理人「何者だそいつは!?」


730 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/15(水) 01:12:41.81 ID:/SJ5hLtyo
理科の先生「我々がよく知る人物…。私が敬愛する恩師」

理科の先生「…教授です」

大臣「…!」

パーク管理人「…あいつか…!なんか、やってくれそうな気がするな」

理科の先生「教授は今も、頑張って開発に取り組んでいますよ。生命維持装置に繋がれながら…」

理科の先生「幸いにも大臣。あなたはアラジビを食べておきながら、症状はまだ進んでいないようですね」

大臣「…いえ。アライさんを躊躇なく食えるようになった時点で、既に手遅れかもしれないのです」

パーク管理人「有り得るな…」

大臣「…教授、頼むのです…」


731 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/15(水) 01:13:18.22 ID:/SJ5hLtyo
つづく






最終更新:2017年11月26日 23:24