440 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/21(火) 23:48:16.01 ID:7LMrOgDfo
…
衰弱しきったパルコアライちゃんが研究所で真っ先に受けた検査は、
「レベルの測定」と、「DNAの検査」であった。
理科の先生「…バカな…」
研究員1「いかがでした?」
理科の先生「…大型のレベル測定器を使っても、レベルは65513と表示されました」
研究員1「…つまり、どういうことでしょうか」
理科の先生「…考えられる要因は、3つあります」
理科の先生「マル1。実際に、レベルが65513」
理科の先生「マル2。我々の検査装置に不具合…もしくは測定できない条件がある」
理科の先生「マル3。あのフレンズのレベルに、何らかの異常がある」
研究員1「…どれでしょうね?」
理科の先生「…今のままでは、情報が足りません」
441 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/21(火) 23:50:35.95 ID:7LMrOgDfo
理科の先生「そして、DNA鑑定の結果が出ました」
研究員2「どうでした?」
理科の先生「あのフレンズの遺伝子は…」
理科の先生「…100%、アライグマのフレンズと一致しました」
研究員2「…100%ですか!?あんなに姿が違うのに!!」
理科の先生「はい。少なくとも、突然変異によって遺伝子が変わってああなったわけではないようです」
研究員2「何が起こったのでしょうか…」
理科の先生「…」
442 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/21(火) 23:58:31.95 ID:7LMrOgDfo
パルコアライちゃん「ふがあーーごごごごご…ごがぁあーーーごごご…」zzz
理科の先生「現時点で、あのフレンズについてわかっていることは」
理科の先生「1つ。レベルが65513という異常値を示していること」
理科の先生「2つ。遺伝子が、100%アライグマのフレンズと一致すること」
理科の先生「3つ。見た目がアライグマのフレンズとはかけ離れていること」
理科の先生「4つ。会長曰く…噛み砕いても再生した…らしいということ」
研究員1「それぐらいですかね…今言えるのは」
理科の先生「いえ。もう一つ」
研究員2「まだ何かありました?」
理科の先生「5つ。あのフレンズが5ヶ月ほど前に確認されたとき、生後3週間程度の体格だった」
理科の先生「それなのに、生後3週間だというのに…。この気温の低いヶ月間。今まで生き延びていた、ということです」
研究員2「…誰かに保護されていた、ということですか?」
445 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/22(水) 00:04:30.74 ID:Z8+QARWZo
理科の先生「本人に聞いてみたところ、『ママがいないけどゴハン探してた』とか言ってました」
研究員1「…誰にも保護されていなかった…?」
研究員2「そんなバカな…!?」
理科の先生「…アライちゃんには外敵がつきまといます。今くらいの成長度合いのアライちゃんであれば、運が良ければ生き延びるかもしれません」
理科の先生「しかし、生後3週間の状態だというのに、誰にも保護されず、一人で餌を確保し続け、いかなる外敵にも事故にも命を奪われずに生きてきた…」
理科の先生「確率的には、極めてレアケース…『有り得ない』レベルと言えます」
研究員1「…やっぱり記憶が混濁してて、本当は誰かに保護されていたのでは?」
理科の先生「…その可能性が大きいですね…。今の時点では、何とも言えません」
447 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/22(水) 00:09:48.24 ID:Z8+QARWZo
研究員2「ところで、会長が言っていた、再生能力があるという話…本当でしょうか?」
理科の先生「会長が嘘をつくとは思えませんが…。少なくとも、我々はそれを見ていません」
研究員1「…何か実験するんですか?」
理科の先生「…あのフレンズはアライさん。特定有害駆除対象フレンズです。それ故に、法律上いかなる虐待をしても、いかなる苦痛を与えても、問題ありません」
理科の先生「例えば、体を切り刻む、火で炙るなどのダメージを与えて実験をすれば、再生能力があるかは確かめられるでしょう」
理科の先生「しかし…そんな実験をすれば、あの個体は今まで実験台にしてきたアライさん同様、我々へ敵意を持つようになります」
理科の先生「敵意のあるアレを、生かしたままにすること…。それが得策であるか?…私は、慎重になるべきと考えます」
研究員1「…いつになく慎重ですね」
449 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/22(水) 00:15:48.37 ID:Z8+QARWZo
理科の先生「不確定要素がある以上、最悪のケースを想定する必要があります」
理科の先生「もしも…」
理科の先生「アレのレベルが、実際に65513であり」
理科の先生「今まで本当に一人で生き延びてくるほど、サバイバル能力に長けており…」
理科の先生「そして、人間に敵意を持ち、アライさんまで成長したら」
理科の先生「…この研究所から脱走し、どこかのアライグマと繁殖したり、人間を攻撃するかもしれない」
理科の先生「そうなったら、アライハザードどころの話ではありません。セルリアン襲来以上の大惨事を招きます」
研究員1「…マジですか」
理科の先生「…とにかく。正確な情報が分かるまでは、アレを敵に回すべきではない」
理科の先生「もしくは…、敵に回る前に、殺処分しなくてはなりません」
研究員2「…まるで爆弾を抱えた気分ですね…」
理科の先生「…全くです」
453 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/22(水) 00:24:08.60 ID:Z8+QARWZo
…
~留置所~
警官「あなたは無罪です。釈放です」ガチャ
会長「…むざい…?」
警官「はい。あなたが食べかけたというフレンズは、遺伝子的には100%アライグマのフレンズと断定されました」
警官「戸籍のないアライグマのフレンズです。よって会長、あなたは自首してきたようですが…、何の罪にも問われません」
会長「…私は、そうと知らずに食べたのですよ?それでも、ですか?」
警官「…それでも、です」
会長「…分かったのです。手間をかけたのです」
警官「会長。あなたは自分の罪を、いくらでも隠すことができました。例のフレンズを食べたことを誰にも告げないことができました」
警官「にも関わらず、あなたは誰にも目撃されていない自分の犯行を、こうやって自首しました」
会長「…」
警官「…人格的に優れたあなたを、逮捕したくはありません」
会長「…すまなかったのです」スタスタ…
454 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/22(水) 00:29:55.50 ID:Z8+QARWZo
会長「…」スッ
会長は電話をかけた。
会長「シロウ、シロウ。話があるのです。…私が、例のアライちゃんを、正体不明のまま食べた話は聞いていますか?」
理科の先生『…はい。聞いています』
会長「…そうですか。私は…どうなっているのですか?なぜこんなことをしているのですか?」
理科の先生『…仮説ですが。ジャパリミンという、フレンズの獣の本能を抑える薬品を摂取していないためです』
理科の先生『それに加え、あなたはアラジビを主食にしている。…それがあなたの本能を呼び覚ましたのかもしれません』
会長「…例の、ブラウンPに処方するという薬。何と言いました?」
理科の先生『失楽薬ですか』
会長「はい。失楽薬を飲めば、私も…本能による捕食をやめられますか?」
理科の先生『…』
456 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/22(水) 00:32:11.47 ID:Z8+QARWZo
理科の先生『…失楽薬は、喜びや快楽を味わおうという欲求を無くする薬です』
理科の先生『会長は、例のアライちゃんを捕食したとき、喜びや快楽を味わっていましたか?』
会長「…いえ。ただ普通に、食事のつもりで食べたのです。嬉しいとか、気持ちいいとか、そういうのは無いのです」
理科の先生『………………………………………………………』
458 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/22(水) 00:37:50.67 ID:Z8+QARWZo
理科の先生『…例えば、あなたが常人と同じ程度の力になったとしても。捕食の意思があれば、なにか動物や自分より弱い生き物を狩ることは可能です』
会長「なのです」
理科の先生『とすれば、あなたが誰も傷付けたくない、狩りたくないならば…』
理科の先生『力を奪うしかありません。それも、自由を失うレベルで』
会長「…それでいいのです」
理科の先生『…まずは、一斉掃討作戦が終わったら相談しましょう。我々はまだ、あなたという戦力を欠く訳にはいかないはずです』
会長「…分かったのです…」ピッ
会長「…」
会長「…大臣…私は…。いつからおかしくなっていたのですか?」
会長「もしかして、今までにも…。誰かの大事ななにかを、奪っていたのですか?」
459 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/11/22(水) 00:38:17.49 ID:Z8+QARWZo
つづく
最終更新:2017年12月02日 22:34