314 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 20:44:01.73 ID:3+nJ6vU4o
~大久野島~
職員1「…」チャポン
休憩中に、海岸で釣りをしている大久野島の職員。
2本の竿を使っている。
1本をスタンドに立て、もう一本を手で持っている。
島アライさん1「今日は家主が、戦闘員達のアライさん達を迎えにいく日なのだ!」ドタドタ
島アライさん2「大きくなったアライさんの姿、お母さんに見せたいのだぁ!」ドタドタ
職員1「…」チャプチャプ
島アライさん1「おお~、何やってるのだ?」ドタドタ
島アライさん2「棒切れに糸垂らして…何かの遊びか?」ドタドタ
職員1「ああ。これは魚釣りだよ。やってみるか?」
島アライさん1「面白そうなのだあ!よこすのだあ!」ドタドタ
職員1「待て待て、手本見せてやる。こうやって…こうだ!」ザパァ
アイナメ「」ピチピチ
島アライさん1&2「「おおー!面白そうなのだぁ!」」
職員1「やってみるなら、俺がしばらく…」
職員2「おーい、清掃の準備があるから来てくれ」
職員1「分かった。俺が来るまで、まだ釣りせず待ってろよー」スタスタ…
島アライさん1「…」
島アライさん2「…」
島アライさん1&2「「面白そうなのだぁ!やるのだぁ!」」ガシィ
釣竿を握る島アライさん1&2。
315 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 20:50:15.74 ID:3+nJ6vU4o
島アライさん1「たあ~!」ポイッ チャポン
島アライさん2「たあ~!」ポイッ チャポン
擬似餌がついた釣竿を投げるアライさん達。
しばらく待つと…
島アライさん1「おおっ!?」グイグイ
島アライさん2「引いてるのだ!」グイグイ
どうやら2つの釣竿に魚がかかったようだ。
島アライさん1「引いてるのだ!引いてるのだ!ど、ど、どうすればいいのだ?」クイクイ
島アライさん2「引いてるのだ!そうだ、あいつはこのレバーをグルグル巻いてたのだ!真似するのだ!」グルグル
島アライさん1「たあ~!」グルグルグルグル
島アライさん2「たあ~!」グルグルグルグル
フグ1&2「「プクゥ」」ザッパァアアン
島アライさん1&2「「美味しそうなのだあああ!」」
釣れたフグを見て、目をキラキラと輝かせる島アライさん1&2。
317 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 20:58:39.98 ID:3+nJ6vU4o
…
~その頃、大久野島へ向かう船上~
船の上に、山小屋アライさん、ロッジアライさん1~10、会長、大臣がいる。
これから大久野島へロッジアライさん達を連れていくのである。
山小屋アライさん「お前達、よくやったのだぁ…これで『罪滅ぼし』は終わったのだっ…」
ロッジアライさん1~10「「「なのだー!」」」
山小屋アライさん「『アライさんネバーランド計画』作戦開始から2年経ったのだ。お前達のチビも、みんな大きくなった…のだ」
ロッジアライさん1「うぅ~、チビの顔を見るのが楽しみなのだ!きっともう大人なのだぁ!」ワクワク
ロッジアライさん2「アライさんのチビは、湖で捕まえた魚を食べるのが好きだったのだ!」ワクワク
ロッジアライさん3「ふふーん。アライさんにはチビはいないけど…。戦闘員は皆カースト最上位!チビを作る権利は最優先で貰えるのだ!」
大臣「お前達のおかげで、一斉掃討作戦はだいぶ捗ったのです」
会長「いい仕事したのです」
ロッジアライさん1~10「「ふっふっふ~!アライさんをもっと誉めるのだ!」」ピカピカガイジガオ
318 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 21:06:44.64 ID:3+nJ6vU4o
ロッジアライさん4「この腕輪もオシャレなのだ!みんなに自慢できるのだ!」フフン
ロッジアライさん5「アライさんの罪を晴らすために戦った勇者の武勲なのだぁ!勲章なのだぁ!」フフン
ロッジアライさん1~10「「なのだー」」コスリコスリコスリ
ロッジアライさん達は、『の』の字の腕輪を眺め、手で擦っている。
作戦開始前、役所で戸籍登録をしたときに作ったものだ。
山小屋アライさん「…しかし浮かれてる場合じゃないのだ。アライさんネバーランド計画を進めるにあたって、今のカースト制度は、まだ不完全なのだ」
山小屋アライさん「…新しいルールに合わせて、管理の仕方を…調整…する、仕事が残ってるのだ」
会長「そうなのです、ID1番。伝えることがあったのです」
山小屋アライさん「何なのだ?」
会長「英語で言うのです。いいですか?」
山小屋アライさん「英語…。カタカナ語なら分かるのだ。言ってみるのだ」
会長「アライさんネバーランド」
山小屋アライさん「ん?」
320 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 21:21:31.43 ID:3+nJ6vU4o
会長「…今言った『land』とは、土地を意味する名詞ではなく…『上陸する』を意味する動詞なのです」
山小屋アライさん「そんな意味があったのか…不勉強だったのだ…」
会長「もう一度言うのです」ゴウッ
会長から、野生解放の光がほとばしった。
会長「Araisan never land.」ドシュバアアアッ
会長は光の線となって、船上を駆け抜けた。
ロッジアライさん1「ごぶぎ!」ベギィ
ロッジアライさん2「ぐぶっ」ゴキィ
ロッジアライさん3「かふっ」ボギィ
ロッジアライさん4「びっ!」ベギャァア
ロッジアライさん5「ぶぎゅ!」ボギィ
ロッジアライさん6「がぐぶ!」メシャ
ロッジアライさん7「ぴぎっ」ボギイィィ
ロッジアライさん8「ごぶぇ」ボゴン
ロッジアライさん9「ぎびゅっ」ベギィァ
ロッジアライさん10「ふぎゅ!」ゴシャアア
ロッジアライさん1~10は、会長の目にも止まらぬスピードの手刀を首筋にくらい…
ロッジアライさん1~10「「」」ドサアァ
…首が折れ曲がった状態で船上に倒れた。
会長「ふぅ…」スゥ…
ロッジアライさん1~10「「」」グッタリ
脛椎が完全に破壊され即死しているのは、火を見るより明らかだ。
山小屋アライさん「…え…っ…?」キョトン
今までの平静さが嘘であったかのように、激しく動揺する山小屋アライさん。
324 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 21:38:17.94 ID:3+nJ6vU4o
山小屋アライさん「な…あっ…お前…たちっ…」ヨロッ ガクッ
会長「…お前があの時提案した、アライさんを生かすことの『3つのメリット』」
会長「その1…種を保存すれば国際的非難を軽減できる」
会長「その2…間引きした連中を、アラ虐できなくなった者の暴力の捌け口にできる」
会長「その3…一斉掃討作戦の戦力として、戦闘員を貸し出す」
会長「3つ目以外、価値ゼロなのです」
山小屋アライさん「ぐ…ぅっ…」
会長「国際的非難?言わせておけばいいのです」
会長「それにアラ虐の捌け口にする?…アラ虐は、アライさんが一般的に『憎き害獣』のイメージがあるから正統性が成り立つのです」
会長「お前達が罪滅ぼしをし、害獣でなくなってしまったら、虐待・虐殺に正義は無いのです…ただの悪行なのです」
会長「だいたい、アラ虐をやめられない者にアライさんを与えるなど、アル中患者に強いアルコールを与えるようなもの。悪化を招く間違った対症療法なのです」
会長「暴力の捌け口にさえなれないお前達の部下共は、何の役にも立たないくせに監視や管理のために人員と費用を無駄に浪費する…」
会長「最もタチの悪い、『保護された寄生害獣』。国民の血税をすする蛭なのです」
会長「ならば、全滅させる以外ないのです」
329 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 21:44:42.26 ID:3+nJ6vU4o
山小屋アライさん「う…裏切った…のか…!決して裏切らないと…言ったのは…嘘、だったのか…!」ブルブル
会長「その言葉に、偽りはないのです」
山小屋アライさん「どこがなのだ!!」
会長「『裏切る』というのは、味方に対して使う言葉なのです。我々は、敵同士…野良アライさん同士を、同士討ちさせただけなのです」
会長「敵同士を相討ちするよう仕向けることを、『裏切り』とは言わないのです」
山小屋アライさん「てき…?ちがうのだ…アライさんは、みかたなのだぁ…っ」
会長「我々は誰一人として、最初からお前の部下達を味方などと思っていないのです。『敵をうまく懐柔しただけ』なのです」
336 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 21:53:56.79 ID:3+nJ6vU4o
山小屋アライさん「それなら…あ、あの島は!大久野島は何なのだ!?アライさんの部下達を味方につけるためだけに、費用をはたいて植林してたのか?」
会長「ああ、それなら…」スッ
会長は、無線機を取り出し、何かを話し出す。
会長「こちら会長。職員全員、清掃の準備はできてますね?」
山小屋アライさん「清掃の…準備…?」ガクガクブルブル
会長「職員達。清掃開始なのです」
山小屋アライさん「やっ…や゛め゛ろ゛ぉ゛ぉおおおーーーーッ!!!」
…
~大久野島~
職員1「…」スタスタ
清掃の準備をしに行っていた職員1が、釣竿のところへ戻ってきた。
島アライさん1「あ、来たのだ!職員さん、見るのだ!魚が釣れたのだぁ!」ドタドタ
フグ1「」ピチピチ
島アライさん2「丸くて美味しそうなのだ!ふははー、アライさんの釣りは上手だろぉ!」グイッ
フグ2「」ピチピチ
島アライさん1&2は、釣ったフグを職員1へ見せている。
340 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 21:57:28.70 ID:3+nJ6vU4o
島アライさん1「…おい、何か答えるのだ!」
職員1「今日この日のために…。俺達は、お前達との共同生活に耐えてきたんだ…」ワナワナ
島アライさん2「のあ?な、何言って…」
職員1「くたばれハエガイジ共ォォオォオーーーーッ!」ジャキッ ズダダダッダダダダダッ
島アライさん1&2「「ぴぎゃあああああああーーーっ!!!」」ブシュブシュグシャアア
島アライさん1&2は、職員1が取り出した自動小銃によって蜂の巣となった。
放送用スピーカー『大久野島全職員へ告ぐ!直ちに清掃開始せよ!清掃開始せよ!』ウーウー
347 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 22:04:44.98 ID:3+nJ6vU4o
ダダダダダダダ…
ノギャー!ピギイィィ!ショクインサンタスケ…グブエ!
島のあちらこちらで、職員達による『清掃』が始まる。
島アライさん15「嫌なのだあああああ!」ドタドタ
島アライさん16「アライさんは真面目に働いてきたのだ!盗みも犯罪もしてないのだぁ!」ドタドタ
島アライさん17「アライさんはどうすれば良かったのだああ!」ドタドタ
職員2「どうもこうもねえよ!生きてるだけで重犯罪だ!野良アライ共ォォーーッ!!」ズダダダッダダダダダッ
島アライさん15~17「「「びぎゃがあああああーーーっ!!」」」ブシャアア ドサアァ
そう、島アライさん達の一斉駆除である。
副リーダーアライさん「これはどういう事なのだ!?職員さん、部下達が何か非礼をしたのか!?」ガラッ
職員3「ああ、やったよ…」
副リーダーアライさん「な、何をしたのだ!?謝らせるのだ!関わった連中処刑してやるから、教えるのだ!」
職員3「ここで過ごしてきた1分1秒…全てが非礼だァーーーッ!!」ズダダダッダダダダダッ
副リーダーアライさん「のぎゃあああああああああっ!!」ブシュブシュグシャアア
副リーダーアライさん「」ドチャァ
山小屋アライさんに将来を有望視されていた副リーダーは、そこら辺の害獣と何ら変わり無い扱いを受け、
ただの物言わぬ骸と化した。
356 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 22:19:42.46 ID:3+nJ6vU4o
~大久野島 海岸~
島アライさん28「し、職員達が裏切ったのだああ!ガイジになったのだああ!」ドタドタ
島アライさん29「海に飛び込んで逃げるのだああ!たあ~!」バッシャアアン
島アライさん30「山小屋に帰るのだああ!逃げるのだあ!」バシャバシャ
数匹のアライさん達が、海に飛び込んで泳いでいる。
アライグマは泳ぎが得意な動物。そのフレンズであるアライさん達も、泳ぎは得意であった。
木登り、水泳、隠密行動。
その全てが得意なアライさん達は、
まさにサバイバル能力に特化した、強大なフレンズといえる。
戦闘ヘリ『泳いで逃げているアライさんがいるな。射撃する!』バババババ
…だが、人間の軍事力には敵わない。
島アライさん28「ひっ!?こ、降伏するのだああ!」ブルブル
島アライさん29「実験動物にでも何でも利用していいのだぁ!だから命命だけは助けるのだああ!」ブルブル
島アライさん30「アライさん達はもう害獣じゃないのだ!盗みや悪さをした奴らは『罪滅ぼし』したのだ!アライさん達は…」
戦闘ヘリ『うるせぇ!お前らは今島から逃げて森で繁殖しようとしてんだろーが!未来の害獣をほっとけるか!ディスパッチ開始!』ジャキッ ズダダダッダダダダダッ
島アライさん28~30「「「ごぶぎゃあああーーーっ!」」」グシャドシャビシャ
肉片「」プカァ…
戦闘ヘリ『爆弾処理、完了』ジャキッ
359 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 22:31:14.34 ID:3+nJ6vU4o
~大久野島 遊具場~
島アライさん31「ひっ、ひいぃっ!」ドタドタ
島アライさん31「はぁ、はぁ…!」ガサゴソ
まだ生きている最後の島アライさんは、遊具場の土管の中に隠れた。
島アライさん31「はぁ、はぁ…!こ、ここに、アライさんが生きてきた証を遺すのだ!」キュポン
島アライさん31は、勉強小屋から持ってきたマーカーペンを取り出し、土管の中へ何かを書いた。
島アライさん31「どこかの誰か…。アライさんの最後の言葉を、聞いてくれなのだ…!」カキカキ
島アライさん31は、まだアライちゃんだった頃から、山小屋アライさんや副リーダー…
そして島の優しかった頃の職員達に、文字を教わっていた。
そしてまともに文字の読み書きができるように、しっかり勉強してきたのであった。
いつか自分も、『支配される側』でなく、山小屋アライさんや副リーダーのように、『支配する側』になるために。
だが、もはや逃れる術はない。
支配すべき群れは、自分を残して皆全滅した。
もう間もなく、島アライさん31もディスパッチされるであろう。
だから、その前に。
自分が生きてきたことの意味を記すために…
島アライさん31は、土管の中へ、何かの文章を書いた。
島アライさん31「…へ、へへへへ…。これで、いいのだ…」
島アライさん31は、マーカーペンをしまった。
職員4「サンドスターレーダーに反応あり!ここに隠れてるな!」ジャキッ
島アライさん31「…」
職員4「ディスパッチ!」ズダダダッダダダダダッ
島アライさん31「ぶぎゅっ!」ブシュブシュグシャアア ドサッ
島アライさん31「」ビグンビグンビッタンバッタンジタバタ
…そうして、山小屋アライさんが今まで数年間、ずっと育て、管理してきたロッジアライさん一味は、
30分と経たずに全員死んだ。
363 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 22:40:26.59 ID:3+nJ6vU4o
…
~大久野島へ向かう船上~
会長「…大久野島より連絡があったのです。31匹、全てのアライさんの死亡を確認したのです」
山小屋アライさん「あ…ぁああ…そ、そんな…そんなぁっ…」ガクッ
山小屋アライさん「アライさんの…仲間が…友達が…皆…死んだ…」
山小屋アライさん「ぅあ…あああ…」ブルブル
山小屋アライさん「…島アライさん達がやってきた事は、全部…無駄なことだったのか…。頑張って続けてきた植林のお仕事も、何一つ!何一つ無意味なのかぁっ!」
???「…無意味なんかじゃ、ない」スッ
船の中から、何者かが出てきた。
パーク管理人「お前達が環境を整えてきた、大久野島は…。フレンズ省が、フレンズ達の新たな居住区として使わせてもらう」ヌッ
山小屋アライさん「新たな居住区…だと…」ブルブル
パーク管理人「島一つ使った巨大なサファリパーク。…『フレンズパビリオン』としてな…」
パーク管理人は、山小屋アライさんから目を逸らしている。
非情に振る舞ってはいるが、内心は罪悪感に苛まれているようだ。
364 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 22:49:25.82 ID:3+nJ6vU4o
パーク管理人「この広い島でなら、ジャパリパークで退屈しているフレンズ達も窮屈せずに生活できるだろう」
パーク管理人「もっとも…、ここを作ったのが、殺処分されたアライさん達だなんて教えられないけどな」
山小屋アライさん「教えられない…だと?…ふざけるな…ふざけるな…!アライさん達が、一生懸命植林してきた土地を、横からやってきて略奪するだと…?」ブルブル
山小屋アライさん「…アライさんが、たとえ害獣だとしても…!そこまで、そこまで…やるのかぁっ…!感謝も、労いすらないのかぁっ…!」ブルブル
会長「お前達は、パン作りに使うドライイーストと同じなのです」
山小屋アライさん「ドライイースト…!?」
会長「我々はパンを作るとき、パン生地へイースト菌を植え付けるのです」
会長「イースト菌は、パン生地を勝手に自分たちの食糧兼巣だと思い込み、一生懸命働いて、パン生地を発酵させるのです」
会長「そして我々は、発酵したパン生地をイースト菌ごと焼くのです。当然、イースト菌共は皆死ぬのです」
会長「我々はイースト菌を一匹一匹救出したり、感謝したり、労ったりしないのです」
会長「お前達も、イースト菌と同じ。ただそれだけなのです」
山小屋アライさん「つまりアライさん達は…アライイーストだったって事…なのかあっ…!」
大臣「…?」ポカーン
パーク管理人「?何て?」
会長「…そ、そういうことなのです」
368 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 22:57:42.96 ID:3+nJ6vU4o
山小屋アライさん「…もういいのだ…。アライさんも、殺すのだ」チラッ
山小屋アライさんは、首を折られて死んでいるロッジアライさん1~10の死体を見ている。
山小屋アライさん「…きっと、全てを知ったアライさんは、邪魔な存在なのだろう?口封じした方がいいのだろう?」
山小屋アライさん「そうしてお前達は、この船上で行われた殺人事件を、国家ぐるみで隠蔽するんだろう?」
山小屋アライさん「だったらアライさんもディスパッチすればいいのだ。…部下達がいる天国…いや、地獄へ送ればいいのだ」
山小屋アライさん「だが、覚えておくのだ」
山小屋アライさん「この行いは…、お前達の政府が、『目的を達するためなら、戸籍のあるフレンズを平気で殺し、隠蔽する組織だ』ということを意味するのだ」
山小屋アライさん「お前達は、これからも同じ事を繰り返すのだ。不正、隠蔽。不正、隠蔽。…ずっとずっと繰り返すのだ」
山小屋アライさん「そしていつしかボロが出て、隠してきた犯行が公の場に晒されるのだ。その時が、この国の信用の失墜…破滅の時なのだ」
山小屋アライさん「ふっ…ふははっ…!アライさんは、お前達がアライさんのいる地獄へ堕ちてくるのを楽しみに待っててやるのだ!」
会長「殺すわけないのです」
山小屋アライさん「はっ…何故なのだ」
370 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 23:08:08.46 ID:3+nJ6vU4o
会長「何故なら、お前は…『戸籍持ち』だから。人間と同じ扱いをする必要があるのです」
山小屋アライさん「そこの、戸籍持ちの死体を側に置いて…何を言ってるのだ」
会長「ああ、これなのですか」チラッ
会長は、ロッジアライさん達の腕輪を見る。
戸籍登録のときに作られた、けものプラズム製の腕輪だ。
会長「この腕輪は…シロウが、3日で調整してくれたのです。これができるように」ポチッ
会長は、リモコンを取り出して押す。
ロッジアライさん達の腕輪「」シュパアアァ…
すると、腕輪は光となって消えた。
山小屋アライさん「な…あっ…!?」
会長「この腕輪は偽物なのです。こいつらには、元々本物の戸籍は与えていないのです。第一、法律上無理なのです」
山小屋アライさん「でも…住民票は…アライさんが、一枚一枚…。偽造防止用フィルムを確認したはずなのだ…!」
会長「それは役所で作った偽物だからなのです。ついでに言うと、あのとき銀行で渡した口座の通帳は、前もってこちらで作っておいたものなのです」
山小屋アライさん「っ…ふはははっ…結局、犯罪の隠蔽なのだ!公的文書の偽造は犯罪なのだ!お前達もみんなみんな犯罪者なのだ!」
374 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 23:16:54.12 ID:3+nJ6vU4o
会長「いいえ?何の犯罪も犯していないのです。我々のやったことは、完全にクリーン、潔白なのです」
会長「なぜなら、これらの偽造はすべて…。前もって、最高裁の許可を得たからなのです」バッ
会長は、最高裁からの書類を取り出して見せた。
害獣駆除促進のための超法規的措置として、今回のケースだけ例外的に、戸籍と住民票諸々すべての偽造を許可したことが記されている。
山小屋アライさん「」
山小屋アライさんは、ただただ唖然としている。
いくら害獣駆除のためだからといって、絶対中立であるはずの最高裁が、国家ぐるみでの公的文書の偽造を認めたという信じがたい事実に、
ただただ驚いている。
会長「全く…。これを取りに行くせいで、私は最後のアラジビフェスに参加できなかったのです。アライビャック食べたかったのです」
山小屋アライさん「は、はは…。この国は、いつから独裁国家になったのだ…?」ブルブル
もはや山小屋アライさんは笑うしかないようだ。
会長「何を馬鹿なことを。我々の国家は、きちんと三権分立された民主主義国家なのです」
会長「フレンズ省でも、この作戦にほぼ全ての者が賛成したのです。もっとも、極僅か、『いくら害獣とはいえ、可哀想だし悪質すぎる』と異議を唱えた少数派もいましたが…」
山小屋アライさん「…」
379 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 23:34:09.55 ID:3+nJ6vU4o
山小屋アライさん「なるほどなるほど…はは!全て潔白!お前達が全部正しい!アライさん達が全部間違っている!ああそうなのか!」
山小屋アライさん「それがお前達のやり方なのか!」
山小屋アライさん「お前達のやり方は!考え方はっ!!アライさん以上に腐りきってやがるのだぁぁっ!!!」
会長「それはお前が腐った目で見ているから、なんでも腐って見えるだけなのです」
山小屋アライさん「だったら…ID2番はどうなのだ!?あいつだけ何故特別扱いで依怙贔屓されてるのだ!」
会長「御手洗ですか?」
山小屋アライさん「そうなのだ!このアライさんとの扱いの差はなんなのだ!お前があいつのお友達だから、依怙贔屓してるんじゃないのか!?」
会長「ただ、真っ当に区別しているだけなのだ」
山小屋アライさん「嘘なのだ!明らかに優遇されているのだ!お前の私情なのだ!」
会長「…人間だって同じなのです。御手洗は職に就いてて、犯罪を犯していない社会人なのです」
会長「それに比べてお前は、社会からドロップアウトして納税も年金も払っていない犯罪者なのです」
会長「害獣の一斉掃討作戦に貢献したことは、戦闘員を提供したお前も、清掃に参加したあいつも同じなのです」
会長「たとえアライさんじゃなく人間だとしても、扱いを区別されて当然なのです。10人いれば10人があいつを優遇するのです」
山小屋アライさん「…『犯罪者』…か」
会長「そうなのです」
384 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 23:39:34.27 ID:3+nJ6vU4o
会長「そして、後は…ごく真っ当に、正当に法が適用されるだけなのです」
オーロックス「警察だ!」ガチャッ
アラビアオリックス「アライグマID1番。お前を特定有害駆除対象フレンズ繁殖助長の罪で逮捕する」スタスタ
警官のフレンズが、船の中から出てくる。
パーク管理人と同じように、今まで隠れ潜んでいたようだ。
山小屋アライさん「…」ガチャッ
山小屋アライさんは、手錠をつけられるのを黙って受け入れた。
かつて、アライキング・ボスの拘束に使用されたものと同じ…
サンドスターを利用した対高レベルフレンズ用手錠、『フレネミーズ・ジェイル』である。
会長「…繁殖助長は、それほど重い罪ではないのです。それにお前には、今回の作戦に多大な貢献を成し遂げた功績があるのです」
会長「きっと裁判では、お前への刑罰はごくごく軽いものになるはずなのです」
会長「すぐに牢屋から出られるのです。その後は、森に帰るなり、フレンズパビリオンに来るなりして、自由に生きればいいのです」
山小屋アライさん「…」
会長「お前はできる奴なのです。受け入れてくれる所はいっぱいあるのです」
山小屋アライさん「…ふっ…ははっ…」
山小屋アライさん「…死んでもお断りなのだ」シュウウゥゥ…
大臣「!?」
山小屋アライさんの体から、サンドスターの光が漏れ出す。
まるで、水の入った水筒に穴が空いたかのように。
396 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 23:52:34.14 ID:3+nJ6vU4o
山小屋アライさん「アライさんは…今日の今日まで、老化して病巣となったこの体を、仲間達のために延命させてきたのだ」シュウウゥゥ…
山小屋アライさん「死刑になった同胞の脳ミソを食べてサンドスターを補給し、無理矢理生き長らえてきた…」シュウウゥゥ…
山小屋アライさん「だけど、もう用済みなのだ。この体も、この命も、この世界も…」シュウウゥゥ…
大臣「な、何を…」
パーク管理人「っ…」
山小屋アライさん「アライさんはもう、チェックアウトなのだ」バッ
山小屋アライさんは、船の上から飛び降りた。
会長「…!」
山小屋アライさん「」ドッボオオオン
そして、海に落下した。
大臣「早まったことを!」バッ ドボオン
大臣は飛行し、海の中へ潜る。
大臣「っ…」!ゴボゴボ ガシッ
山小屋アライさん「」ゴボゴボ…
大臣「ぷはぁ!」バシャッ
山小屋アライさん「」グッタリ
大臣は、海に身を投げた山小屋アライさんを救出し、船上へ戻った。
400 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/02(土) 23:58:26.17 ID:3+nJ6vU4o
大臣「ヤマゴヤ!」
山小屋アライさん「」グッタリ
山小屋アライさんの顔は老婆のように皺だらけになっており、髪も白髪と化していた。
大臣「っ…」ピタッ
大臣は、山小屋アライさんの首筋に手を当てた。
脈は無くなっている。
大臣「ヤマゴヤっ!しっかりするのです、ヤマゴヤっ!」グッグッ
心臓マッサージをするが、蘇生はしないようだ。
大臣「…」
会長「…」
…山小屋アライさんの死因は、誰が見ても明らかだ。
…老衰であった。
大臣「…ヤマゴヤ…」
会長「…大臣。ヤマゴヤは、我々が死に追いやったのです」
大臣「…なのです…」
408 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/03(日) 00:08:55.91 ID:L7iZ2RQLo
大臣「…」チラッ
大臣は、ロッジアライさん1~10の死体を見た。
大臣「…こいつらの死体は、どうするのですか?」
会長「もうアラジビを食べれる機会はないのです。食っておくのです」スタスタ
大臣「!?や、やめるのです!」ガシィ
パーク管理人「よせって、会長…!」ガシィ
2人のフレンズは、会長を止めようとする。
会長「何故なのです?お前達もコッチ側…。加害者側なのです。こいつらの死体がどうなろうと関係ないのです」
大臣「…ミミちゃん、止めるのです、お願い…!」ブルブル
パーク管理人「くっ…そっ…」ブルブル
会長「邪魔なのです」バッ
会長は、二人を振りほどく。
オーロックス「おい。警察が見ている前で暴力沙汰はやめろ」
会長「…大臣、管理人。本当に、何故止めるのです?私は何か間違ったことを言ってるのですか?」アセアセ
大臣「ミミちゃん…お前は…」
パーク管理人「開き直ってるんじゃなくて、本当に何がヘンか…分かってないのか?」
会長「…」コクリ
会長は、黙ってうなづき…
ある決意をした。
最終更新:2017年12月04日 22:23