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血反吐牢⑥ ~窮鼠猫を噛む~

742 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 22:42:52.03 ID:d5yQ7eLhO
…

…2週間後…

~小屋~

アライさん「…」ポッコリ

妊娠してから1ヶ月が経過し…
御手洗のお腹は膨らんでいた。

あと1ヶ月で、アライちゃん達が産まれるであろう。

監視カメラ「」ジィー…

アライさん「…」

小屋の中の御手洗は、四六時中監視カメラで監視されている。

4人ほどの人間が、交替しながら常に見張っているのである。

アライさん「…」

けものプラズムでできた御手洗の耳は、既に元に戻っていた。
尻尾も半分くらいの長さまで戻っていた。


743 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 22:48:43.60 ID:d5yQ7eLhO
~小屋の外~

MCチヘドロー「アライロンダリング計画は順調やな」

黒スーツの男1「ああ。滞り無しだ」

黒スーツの男2「このままいけば…、御手洗という戸籍持ちアライさんの、ロンダリングが完了するだろう」

灰スーツの男「…最近ここの係になったんだが。そもそもアライロンダリング計画って何なんだ?」

MCチヘドロー「ああ、教えたるで。まずは目的からやな」

MCチヘドロー「アライロンダリング計画の目的はシンプル」

MCチヘドロー「フォアグライを大量生産し、キレイな正規ルートで販売することや」


746 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 22:54:10.23 ID:d5yQ7eLhO
灰スーツの男「フォアグライ…というと、アライさんの脂肪肝だったか?」

MCチヘドロー「…」キョロキョロ

MCチヘドローや黒スーツの男達は、周囲に不審な人物がおらず…
ここで話したことが外部に漏れる恐れがないことを、用心深く確認した。

MCチヘドロー「せやで。ショクエモンPっちゅう天才…というか…変態?が作り出した、悪魔的美味な超高級食材や」

灰スーツの男「…それとロンダリングがどう関係あるんだ?」

MCチヘドロー「かつて日本がフォアグライを海外へ輸出してた時…、世界中の大富豪が、その美味に病み付きになった」

MCチヘドロー「そして、野良アライの駆除が完了した今…、もう二度と、まともな方法でフォアグライを手にする方法は無い」

MCチヘドロー「なにせフォアグライの元手になるアライちゃんが自然にいないし、ショクエモンPがアライちゃん養殖をせんかったからな」

MCチヘドロー「せやけどフォアグライを求める声は世界中にある。せやから、『ワイら』がフォアグライ再生産のお手伝いをしようって話や」

灰スーツの男「そのために、ID2番を拐った…?しかしマズイだろう。今ポンとフォアグライを売ったら、それは間違いなくID2番の子供の脂肪肝というこよになる」

灰スーツの男「正規ルートではおろか、裏ルートでさえ扱えん、そんな危険な商品は…」


747 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 23:01:47.28 ID:d5yQ7eLhO
灰スーツの男「ID2番は戸籍持ち…人権があるんだろう…。いくら美味でも、人身売買で稼ぐのは無理だ」

MCチヘドロー「せやろか?もし…『ID2番の子供だと分かっていても、正規ルートで売れる方法』があるとしたら?」

灰スーツの男「…どういうことだ?」

MCチヘドロー「今、世界中では誰もが…、『ID2番は森へ逃げ込んだ』と信じて疑っとらん状況や」

MCチヘドロー「そこでワイらは、ID2番のガキをこっそりと、ある特別な環境下で養殖し…」

MCチヘドロー「殖えてきたところで、ドイツの森に放流する」

灰スーツの男「ドイツ…!?」

MCチヘドロー「せや。ドイツの森にも、アライグマはわんさかおる」

灰スーツの男「そして…放してから、どうするんだ?」

MCチヘドロー「そのまましばらくほったらかしや。森で雄アライグマと繁殖し、ウジャウジャ殖えるのを待つんや」


751 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 23:08:38.92 ID:d5yQ7eLhO
灰スーツの男「そ、それでは、ドイツでアライハザードが起きるのではないか?」

MCチヘドロー「日本でのやりとりで、奴等の『御し方』は分かった。余計な被害は出さんわ」

MCチヘドロー「そうすると、森で殖えたアライ共のことを…、世間は『ID2番が、森で害獣を繁殖させた』と思い込むんや」

灰スーツの男「…」

MCチヘドロー「フォアグライを売買するとして、それが『誘拐されたID2番のガキを、監禁して作ったモノ』やったら、そら出所真っ黒や」

MCチヘドロー「せやけど、『森で繁殖した害獣を、取っ捕まえて作ったモノ』やったら。出所はキレイになるんや」

灰スーツの男「…つまり、アライロンダリングとは…」

MCチヘドロー「ヒト扱いされとったキレイなハエガイジを、汚い害獣に戻す」

MCチヘドロー「『資金洗浄』ならぬ、『害獣汚染』!それがアライロンダリングってことや」


754 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 23:17:23.81 ID:d5yQ7eLhO
ラジオ『…次のニュースです。森へ逃げたとされるID2番は、未だに捜索が続けられています』

MCチヘドロー「はは、ウケるな。ニュースではまだ、ID2番が森ん中逃げ回っとるっちゅーことになっとる!」スタスタ

MCチヘドロー「アイツに聞かせたろ!」スタスタ

黒スーツの男1&2「「全く、好きだなぁチヘチヘは」」ハハハハハ

…

~小屋~

アライさん「…」

御手洗は、四肢がないまま固定されていた。
再び手足を生やしたら、その途端スタンガンで電流が流れるように、拘束台に仕掛けをされているのである。


MCチヘドロー「よう!ハエガイジ!このニュース聞いてみーや!」スタスタ

ラジオ『…ID2番は、尚もフランスの森の中で捜索が続けられています』

アライさん「…」

MCチヘドロー「アーヒャヒャヒャ!!!ウケるな!みーんなお前が森を逃げるクソ害獣やと疑っとらん!」

MCチヘドロー「だーれもお前を助けになんか来ないで!なんせ、味方がおらんのやからなぁ!」ゲラゲラ

アライさん「っ…」

MCチヘドロー「いつもいつも、何もせんでも人に助けて貰ってる甘えん坊ちゃーん?甘えられる相手が誰もおらん気分はどうや!?アーヒャヒャヒャ!!」


755 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 23:22:54.71 ID:d5yQ7eLhO
ラジオ『…!臨時ニュースです!たった今情報が入りました』

MCチヘドロー「お?なんやなんや」

ラジオ『えー…森を逃げているとされるID2番ですが…。それ以上に有力な説が浮かび上がりました』

灰スーツの男「有力な説?なんだ?」

ラジオ『…ID2番は、現在…』



ラジオ『…誘拐され、イタリア南部に監禁されている可能性が非常に高い…とのことです』



MCチヘドロー&黒スーツの男&灰スーツの男「「「!!!!!???」」」


760 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 23:29:33.47 ID:d5yQ7eLhO
MCチヘドロー「はぁ!?何や、何でそうなった!?どっから情報が漏れた!?ピンポイントやないかい!!」

灰スーツの男「まさかイベント運営の奴等が…?いや、奴等の中で、計画のことを知っとる奴はもう海外でバカンスしてるはずだ!!どうして!!」

ラジオ『えー。地中海にあるサルディーニャ島の東部、チレニア海側の沖へ…』

ラジオ『…けものプラズムでできた、アライさんの尻尾が漂着した、とのことです』

黒スーツの男1「し…」

黒スーツの男2「尻尾…だと…!?」

MCチヘドロー「バカな!ハエガイジ!お前の尻尾は、人に化けるために隠したはずや!!」

MCチヘドロー「…まさか…」

アライさん「…アライさんは…自分のことを…人間だなんて思い込めないのだ」

アライさん「自分の意思で、耳や尻尾を引っ込めるなんて…できないのだ」

アライさん「でも、傷の治りが早いのが、取り柄なのだ」

MCチヘドロー「…はぁ?う、嘘や…!ありえへん…嘘や!」ハァハァ

灰スーツの男「ど、どういうことだ!説明しろチヘドロー!!」


767 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 23:36:04.71 ID:d5yQ7eLhO
MCチヘドロー「っ…ク…ソ…ガ…イ…ジぃいいいいいいいッ………!!!」ハァハァ

アライさん「アライさんは、耳と尻尾を…自分で引きちぎったのだ!そして、川に流したのだ!」

アライさん「耳はどこに沈んだか分からないけど…でも、尻尾がうまく届いてくれたのだ!」

黒スーツの男1「耳と尻尾を、川へ…!?チヘドロー!追って回収しなかったのか!!」

アライさん「できるはずなかったのだ」

アライさん「チヘドローはその時…、アライさんが、人間に化けるために、自分で引っ込めたと思ってたから…!」

アライさん「アライさんのことをガイジだと思ってたから!人の真似を本気でやってると思って!その裏を読まなかったのだぁ!」

MCチヘドロー「くっ……ぅぅぅ…クソが…クソがああああっ!」ハァハァ

ラジオ『今後は、森の捜索も進めますが…、誘拐されたという線を有力視し、捜査を進めていくとのことです』


769 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 23:39:03.63 ID:d5yQ7eLhO
灰スーツの男「な、ちょっといいか…?」

MCチヘドロー「なんや」ハァハァ

灰スーツの男「ID2番が、イタリア南部に誘拐された…っていう論説が主力になったら…」




灰スーツの男「アライロンダリング、できなくね?」



MCチヘドロー&黒スーツの男1&2「「「な…あ!!!!!」」」


779 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 23:47:25.92 ID:d5yQ7eLhO
黒スーツの男1「もし、今さらドイツの森に放流して、森に逃げたんだって主張したとしても…」

黒スーツの男1「…ドイツの森から、サルディーニャ島の東部に尻尾が流れ着くなんてことは…主張に無理がありすぎる!!」

黒スーツの男2「クソ!なんてこった!!!このアライロンダリング計画では、何十億っていう金が動くはずだったのに…!」

黒スーツの男2「尻尾一本のせいで!!何もかもパーだ!!クソ!!」

MCチヘドロー「クソガイジぃいいいいいッ!!」ガシィ

MCチヘドロー「てめーのせいでッ!!てめーのせいで、世界中の富豪がフォアグライを口にする機会が無くなったんやぞッ!!!このクソ害獣!」グイイイッ

アライさん「…アライさんは悪くないのだ」

MCチヘドロー「ぁああ!何やてクソガイジ!この期に及んで…」



アライさん「こうなったのは!お前がそのクソガイジに!まんまと出し抜かれたからなのだ!!!」


MCチヘドロー「ぬっ………ぅうううううううッ!!!」


786 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/21(木) 23:58:27.71 ID:d5yQ7eLhO
黒スーツの男1「…チヘドロー!」グイイイッ

MCチヘドロー「ぐっ…!」

黒スーツの男1「お前がッ!!クソガイジといつも呼んでいるこいつの目論見を読んで、尻尾を追っていればッ!!」

黒スーツの男1「追い付いて回収できたはずだッ!!こんなことにはならなかったッ!!アライロンダリング計画がご破産なんてことにはッ!!!」

MCチヘドロー「ハァー…ッ!ハァー…ッ!」ブルブル

灰スーツの男「…ボスから、伝言があrた」

MCチヘドロー「なんや」




灰スーツの男「…『チヘドロー。お前の処遇は、追って連絡する』…だそうだ」




MCチヘドロー「う…ぁ………ああああああああーーーーーーッ!!!!!!」

MCチヘドローの顔に、いつもの余裕はなかった。

こともあろうに。
いつもいつもクソガイジと罵っていた相手に…
『アライさんはクソガイジである』という思い込みを利用され、
その心理的盲点を突かれたからである。

加えて、仲間からの評価が下がったこともショックであった。
MCチヘドローは、周囲からの評価を強く気にする人間であるため、
見下されることを何よりも嫌うのである。


御手洗の一撃は、まさしく『窮鼠猫を噛む』といったところである。
しかし、その一噛みは…
まるで、狂犬病ウイルスやアライグマ回虫を媒介するアライグマの牙のように、
深く、致命的に、MCチヘドローへ突き刺さっていた。


792 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/22(金) 00:07:35.83 ID:KGM4iFdvO
MCチヘドロー「くぉのッ!!!ク…
ソ…ガ……イ……ジぃいいいいいいッ!!ブッ殺してやるゥゥゥッ!!」ジャキィ

アライさん「…」

手足の無い御手洗へ、ナイフを向けるMCチヘドロー。

今の状態ならば、MCチヘドローでも刺し殺せるであろう。

黒スーツの男1「やめろ!クソガイジ以下ァ!」ドゴォ

MCチヘドロー「グハァ!!」

黒スーツの男に、膝蹴りをくらったMCチヘドロー。

黒スーツの男2「まだプランB!裏ルートでの臓器売買ができるだろう!そっちまで潰す気かッ!!クソガイジ以下ァ!!」

MCチヘドロー「その呼び方を…やめんかボゲエェェッ!」ハァハァ

アライさん「…」

MCチヘドロー「勝ったと思うなよ害獣がァァッ!てめーはワイを出し抜いたんとちゃう!ただ運が良かっただけや!いつもみたく、運に助けられただけやッ!!」


尻尾がサルディーニャ島へ流れ着いたのは必然ではない。
まぎれもなく、幸運だったからである。

尻尾を川に流す行為は、間違いなく部の悪い賭けだったといえよう。


797 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/22(金) 00:12:49.33 ID:KGM4iFdvO
だが、もし尻尾を流さず、あきらめて自殺していれば…
その幸運さえ掴めなかったであろう。


御手洗が、川の前でした決意。

それは…

かつてジャパリパークにいた時のように、能天気に…
部の悪い賭けができる、ある意味での『バカさ』を取り戻す決意。

アライさん生来の『自分に都合がいい未来が来ると、根拠なく信じる』という、蛮勇とも呼ぶべき愚かさを取り戻す決意。


そして…
今まで何度も何度も、御手洗を迫害してきた人間達を…。

…それでも、信じようとする決意であった。


802 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/22(金) 00:17:23.33 ID:KGM4iFdvO
アライさん「こ、これで…!警察が来てくれるはずなのだぁっ!」

MCチヘドロー「はっ…ははっ…はははっ…!今さら、警察が何や!」

黒スーツの男1「…」

アライさん「のあ…?」

MCチヘドロー「ワイがつるんどる、このニイちゃん達が!何者かわかっとらへんようやなァッ!ボンクラぁ!」

アライさん「…?」

MCチヘドロー「このニイちゃん達の組織は!…いや、『ファミリー』はッ!」

MCチヘドロー「ここ南イタリアでは!警察とどっこいどっこいかそれ以上のチカラを持った集団や!!」

MCチヘドロー「麻薬や武器の密輸もお手の物!今さら警察がどうこう、恐れるかボゲエエエエッ!!!」ハァハァ

アライさん「っ…」


803 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/12/22(金) 00:18:07.78 ID:KGM4iFdvO
つづく






最終更新:2017年12月23日 23:26