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狩るか、狩られるか

285 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/20(土) 23:15:49.20 ID:1FZVHXYOO
~路地裏~

アライちゃん「おなかへったのりゃー」ヨチヨチ

路地裏をヨチラーが歩いている。

野良猫「…」ニジリニジリ

アライちゃん「うゆ!けものがいゆのりゃ!」シッポフリフリ

野良猫「…」

アライちゃん「…」シッポフリフリ

野良猫「…」

アライちゃん「…よけーなあらそいはさけゆのりゃ。みのがしてやゆのりゃ」ヨチヨチ

いくらアライちゃんが、自分が強いと思い込んでいるアホでも…

目の前の動物と戦うのは得策ではないと思ったようだ。


286 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/20(土) 23:25:22.32 ID:1FZVHXYOO
だが。

野良猫「フシャアアアアッ!」ガバッ

アライちゃん「ぴぎゃああーっ!?」

野良猫にとっては…
目の前の弱そうな獣は、絶好の獲物に見えたようだ。

野良猫「ウニャウウゥ!」ガウガウ

野良猫は、アライちゃんの首に噛みつこうとしている。

アライちゃん「ふぎいぃ!なんなのりゃ!やめゆのりゃあ!きゅうるるるうるるぅっ!ぶっこよすぞぉ!」ブンブン

アライちゃんは爪を振るい、野良猫を引っ掻いた。

野良猫「フギャア!?」ザグゥ

野良猫の腹から血が流れた。


287 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/20(土) 23:27:27.76 ID:1FZVHXYOO
アライちゃんはご存じの通り、頭がデカくて重い。

ヨチヨチ歩きをするには、頭の重さを腕で支えながら四足歩行する必要がある。

つまり、ことヨチラーであるアライちゃんは…

脚よりも、腕力の方が強いのである。

人間相手には歯が立たなくとも、野良猫サイズの相手であれば…

アライちゃん「たあー!たあたあたあたあたあたあたあたあたあたあ!」ザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュ

野良猫「フギャアアアアアア!グギャアアアアアアア!」ドクドク

…引っ掻きで深手を負わせることも、頑張れば可能だ。
人間よりも皮膚が薄いのだから。

アライちゃんの爪は、間違いなく『武器』であり、『凶器』である。


290 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/21(日) 00:00:04.10 ID:2Z69etmyO
野良猫「フシャアアアッ!」バリィ

野良猫は、アライちゃんの顔を引っ掻いた。

アライちゃん「びぎゃあああ!いぢゃいのりゃああああっ!」ビエエエーン

アライちゃん「しかえしなのりゃあ!しねぇ!」バリィ

アライちゃんも、野良猫の顔を引っ掻いた。

野良猫「フギャアアアアアア!」ズバァ

野良猫は、間一髪顔や鼻が傷つくことは防げたが…
顔のマズルの部分に深い引っ掻き傷を負った。

野良猫「フギャウゥゥ!」バッ

野良猫はいちかばちか、再びアライちゃんの首へ噛みつこうとした。

噛みつきに成功すれば、この取っ組み合いは勝ったも同然だ。

しかし…

アライちゃん「させないのりゃああ!だああ!」ズバァ

野良猫「フギュゥ!」ザグゥ

このアライちゃんは、もうすぐ二本足で立てるようになるサイズだ。

つまり、前の廃屋の話でいうところの、『大アライちゃん』にあたる。

バイトや男児がなぶり殺してきた、バカで弱い小さな幼獣とは違う。

体力と筋力、そして生き延びるための知恵を学習し…
街中での生活を生き抜いてきた獣である。


291 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/21(日) 00:11:26.22 ID:2Z69etmyO
野良猫「ふ…ぎゃ…」バッ

野良猫は、アライちゃんから飛び退いた。

格闘して勝てる相手ではないと判断したのであろうか。

野良猫「フギャアア!」タタッ

野良猫はアライちゃんに背を向けて逃げ出した。

アライちゃん「うぬぬー、にがさないのりゃ!ありゃいしゃんのじびえにしてやゆのりゃ~!ふははー!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

本来、機動力ではアライちゃんよりも野良猫の方が圧倒的に速い。

しかしこの野良猫は心なしか、あまり逃げるスピードが速くない。

アライちゃん「ふははー!のろのろなのりゃ!おいついてたべゆのりゃー!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんは狩人の目をして、野良猫を追いかける。

アライさんという種族は、決して弱い動物ではない。

アライボウのような凶器や、アライ取りペレットのような猛毒を、
ホームセンターで一般販売してまで自衛せねばらないほど強い種族なのである。


292 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/21(日) 00:19:52.26 ID:2Z69etmyO
野良猫「ウニャアアア…!」トテトテ ヨタヨタ…

横断歩道を渡っている野良猫のスピードは、明らかにだんだん遅くなっている…。

アライちゃん「はぁ、はぁ…ふははー!ばててきてゆのりゃあ!ぜぇ、はぁ…!」ヨチヨチヨチヨチ

バテてきているのはアライちゃんも同じだ。

ぜぇぜぇはぁはぁと、息を切らしている。

アライちゃん「つかれたのりゃ…でも、ここでぜんりょくでがんばれば!おっきーじびえおにくたーっぷりたべれゆのりゃあ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんは猫に追い付くことだけに集中し、必死に手足をヨチヨチと動かし、猫を追いかける。

野良猫「う…にゃ…」ヘロヘロ ペタン

とうとう猫は、止まってしまった。

アライちゃん「ふははーーー!もらったのりゃーーー!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんは、止まっている野良猫のほうへ全力で近付く。

アライちゃん「ありゃいしゃんがいーっちばん!かしこくって!つよいのりゃーーーっ!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ


294 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/21(日) 00:26:20.04 ID:2Z69etmyO



自動車「ブオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーンッ」


アライちゃん「おにくたべゆぶぎゃばぎゃああああああああっ!!?」ブヂィイイッ


猫を追うことに集中していたアライちゃんは、赤信号の横断歩道のど真ん中で車に轢かれた。


297 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/21(日) 00:29:22.84 ID:2Z69etmyO
アライちゃん「が…びゃ…い…ぢゃ…ぃい…」ドクドクブシュウウゥ


アライちゃんの下半身は完全に潰れ、内臓をぶち撒けている。


…横断歩道の信号機が青に変わった。

野良猫「ニャー」トテトテ

今まで生き延びて賢くなったと自称するアライちゃんは…
まさか自分が、本気で猫の全力スピードに追い付けるとでも思っていたのであろうか。

野良猫が自分を車の前へ誘導するために、わざと追い付けそうで追い付けないスピードを出していたと…

『罠にはめられていた』と想像すらできないのであろうか。

野良猫「ハグ」ガブゥ

アライちゃん「う…ぎゅぅ…」

野良猫「ニュゥー」トテトテ

アライちゃん「び…ぃ…」ズルズル

どんなにアライちゃんが危険で強い動物種であろうが…
たかが半年も生きていない若僧。

野良猫にあっさりと狩られ、引きずられていった。


299 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/21(日) 00:37:00.74 ID:2Z69etmyO
アライちゃん「や…なの…りゃ…!ありゃ…い…しゃ…しぎだ…ぐ…」ズルズル

アライちゃん「うん…わるかった…だけ…あらいしゃ…の…ほう…が…」ズルズル

アライちゃん「つよ…が…っだ…の…にぃ…まげで…ない…のにぃ…」ズルズル

野良猫「…」ズルズル

アライちゃんは負け惜しみを言っている。
自分の方が本来は強いはずなのに…
運が悪かったせいで負けた、と。

本来勝っていたのは自分だから…
自分は野良猫なんかに敗北していないと…。

やがて、野良猫は路地裏へアライちゃんを引っ張ってきた。

野良猫「…」トテトテ

アライちゃん「…ぁ…」ズルズル

アライちゃんが見たのは…

♀野良猫「みゃー」

仔猫1~4「「ごくごく…ちゅぱちゅぱ…」」ゴクゴク

授乳している野良猫の親子と…

アライちゃんの骨の山「」カラン

…今まで仕留めたであろう、たくさんのアライちゃんの骨の山であった。


302 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/21(日) 00:46:55.03 ID:2Z69etmyO
アライちゃん「…の…あ…」

この骨の山が語る真実、それは…

『この猫は、いつもと同じやり方で、狩りをした』ということ。

アライちゃんは、運などではなく…
知恵と実力で完全敗北したということだ。

アライちゃん「っ…!」ウルウル

アライちゃんは泣いた。
痛みや死への恐怖もあるが、何よりも…

悔しさに、惨めさに、泣いたのである。

♀野良猫「みゃ~」シッポフリフリ

野良猫「フミャー」ガブゥ ズルズル…

野良猫はアライちゃんを引きずり、子供へ授乳中の雌猫の前に持っていった。

アライちゃん「の…のー…かうん…と…」ウルウル

アライちゃん「の…かう…と…なの…りゃ…!」ウルウル

出血で意識が薄れ始めたアライちゃんは、妙なことを口走った。


303 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/21(日) 00:49:57.54 ID:2Z69etmyO
野良猫「ハグゥ!」ガブゥ

♀野良猫「アング」ガブゥ

アライちゃん「ぎ…じ…」ズルズル

だが野良猫達は一切お構いなしに、アライちゃんの内臓に噛みついた。

アライちゃん「も…い…っかい…やれ…ば…あ…りゃい…しゃ…が…かちゅ…のあ…」ウルウル

野良猫「ウミャー」バリィ モグモグ

アライちゃん「だが…りゃ…!やり…なおさ…せ…ろぉ…!いっがい…だげぇ…!」ウルウルポロポロ

♀野良猫「みゃー」ガブゥブヂィ モグモグ…

アライちゃん「も…い………がい…」

野良猫&♀野良猫「「モグモグ…」」ガブゥブヂィ モグモグ

アライちゃん「」

野良猫&♀野良猫「「みゃー」」モグモグ


アライちゃんは、野良猫夫婦に食べられた。


305 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/21(日) 00:52:16.90 ID:2Z69etmyO
野良猫「フイ」ポイッ

アライちゃんの骨の山「」カラン

自分が一番賢くて強いと信じていたアライちゃんは…

狩られたたくさんのアライちゃんの骨に積み重ねられ、『仕留めた獲物の一匹』にカウントされた。


307 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/21(日) 00:52:44.66 ID:2Z69etmyO
つづく


306 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 00:52:34.37 ID:zuW5zb010
喋る害獣ってほんとにホラーだな






最終更新:2018年02月20日 20:55