558 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 21:14:41.23 ID:lMW/PCQpo
…夕方…
工場男「ふぅー」ガチャッ
工場男が帰宅し、居間へ来た。
鳥籠の中のイボアライちゃんは…
イボアライちゃん「の…のぁあ…」グッタリ
…あれから一枚もトイレットペーパーを食べていなかった。
イボアライちゃん「ご…ごしゅじんしゃまぁ…!ごしゅじんしゃまのふわふわごはん…ありゃいしゃんじゃ…たべれないのりゃあ…」ゼェハァ
アライちゃんはもう空腹が限界のようだ。
このままトイレットペーパーを与え続ければ、栄養失調か低血糖で、死に至るであろう。
工場男「…」チラッ
工場男は砂トイレを見た。
砂トイレには、茶色くなった紙の塊が排泄されている。
水を飲みまくって、なんとか便秘を解消できたのであろう。
イボアライちゃん「おねがいなのりゃあ…!ごじゅじんしゃまぁ…!ぽんぽんきゅーきゅーなのりゃ…!べつのごはんくだしゃいましぇなのりゃあ…!」ブルブル
工場男「さすがに餓死は勿体ねえかな…」スタスタ
工場男は、燃えるゴミ箱を漁った。
※嘘偽りなくただのゴミなのでここに表示はしません。上URLと、下の方にもアップロードしてあるので、気になる方はそちらからお願いします。
工場男「これでいいか」
559 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 21:21:23.35 ID:lMW/PCQpo
工場男はビデオカメラを用意し、撮影を開始した。
工場男「そうか、じゃーこれ食え」スッ
工場男が鳥籠へ入れたのは…
紅茶のティーバッグ。
それも使い終わった出し殻だ。
イボアライちゃん「の…ぁあ…くんくん…」クンクン
イボアライちゃんは、ティーバッグの匂いを嗅いだ。
イボアライちゃん「…いーのいなのりゃああ!」パアア
イボアライちゃんはとても嬉しそうだ。
イボアライちゃん「ぺろぺろ…」ペロペロ
イボアライちゃんはティーバッグを舐めている。
味覚センサーもまた、毒味には重要な感覚。
本来飼い主から与えられた餌に毒が入っているはずはないのだが…
トイレットペーパーを与えられたイボアライちゃんは、食物に対する警戒心が本能的に高まっているようだ。
味を確かめたイボアライちゃん。
イボアライちゃん「ありがとなのりゃあ、ごしゅじんしゃま!しゅきしゅきなのりゃ!いただきましゅなのりゃああっ!」ガブゥ
イボアライちゃんは、ティーバッグへ噛みついた。
工場男「ウケるwwただのゴミなのにww」ゲラゲラ
560 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 21:27:25.74 ID:lMW/PCQpo
イボアライちゃん「がぶがぶ!はぐ!あむあむ…!」バクバク
イボアライちゃんはティーバッグの紙を破き、中の茶葉を食べている。
工場男「クスクス…食えるわけねーのにww」ヒソヒソ
イボアライちゃん「あむあむ…!おいちーーのりゃあああっ!≧∀≦」シッポフリフリフリフリ
工場男「え」
イボアライちゃん「あむあむあむあむあむあむっ!あむあむあむあむあむあむっ!(≧'ω(≦ )」 ムシャムシャ
工場男「…」
なんとイボアライちゃんは、美味しそうに茶葉を食べ始めた。
イボアライちゃん「おいちーのりゃ!おいちーのりゃぁぁっ!」ムシャムシャ
そもそも茶葉はそのまま食っても平気なのである。
紅茶の茶葉を混ぜるケーキもあるくらいだ。
かといって、本来茶葉はそのまま食ったら苦味や渋みがあるはずだが…
イボアライちゃん「もぐもぐ!おいちぃ~~~っ!≧∀≦」モグモグ
工場ではクソマズい餌ばかり与えられていた上に、
栄養失調寸前の飢餓状態であるイボアライちゃんには、
普通に食えるだけでご馳走のように感じられていた。
561 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 21:31:54.23 ID:lMW/PCQpo
イボアライちゃんはティーバッグを完食した。
イボアライちゃん「ごしゅじんしゃまありがとーなのりゃあ!だいしゅきなのりゃー!≧∀≦」フリフリ
工場男「お…おう…」タジタジ
工場男とて社会人だ。
感謝されて嫌だということはない。
工場男「…」
イボアライちゃん「ごしゅじんしゃま!もっとたべたいのりゃ!」シッポフリフリ
工場男「…」
かつてこの鳥籠で飼っていたインコは、餌を与えても感謝することはなかった。
基本、ペットに感謝の概念はないからだ。
工場男「………」
…いつぶりであろうか。
こんなに満面の無邪気な笑顔で、感謝をされたのは。
563 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 21:37:06.06 ID:lMW/PCQpo
工場男「…出てこい」ガシィ
イボアライちゃん「なのりゃー」ギューッ
工場男は、イボアライちゃんを鳥籠から出した。
工場男「…これも舐めたら」ポイッ
工場男は、コンビニ弁当を食った後の容器を出した。
米粒が若干残っており、ソースやなんかの汁がちょっとついている。
イボアライちゃん「おおおおーー!いーにおいなのりゃあーー!≧∀≦」クンカクンカ
コンビニ弁当の残りカスは、どれもいい匂いのようだ。
イボアライちゃん「いただきましゅなのりゃあっ!ぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃ…」ペチャペチャ
イボアライちゃんは、コンビニ弁当のソースや汁を舐め取っている。
イボアライちゃん「んぉおおおおおおおおーーーー!めっっっちゃおいちーーーーーーのりゃあああああーーーーーーっ!!≧∀≦」 ペチャペチャ
工場男「…」
工場男は、イボアライちゃんが喜ぶ姿を見ている。
566 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 21:40:54.38 ID:lMW/PCQpo
イボアライちゃん「ぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃ!!ぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃ!!」ペチャペチャ
工場男「…」
イボアライちゃんの姿は、ゴミ袋を破り、生ゴミを漁る害獣の姿そのものであった。
イボアライちゃん「ぷはー!おいちかったのりゃー!」
イボアライちゃんは、コンビニ弁当のソースを綺麗に舐めとった。
これを捨てれば、ソースのニオイがゴミ箱に充満することはないだろう。
工場男「…」
イボアライちゃん「かいぬししゃん!しゅきしゅきなのりゃー!」スリスリ
イボアライちゃんは、工場男の足に頬をすり寄せた。
工場男「…」
568 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 21:43:22.50 ID:lMW/PCQpo
工場男「そっか…それじゃあ、今日はここに住んでたら?」ガシィ グイイ
イボアライちゃん「ぴぎいいぃい!?」ブラーン
工場男は、イボアライちゃんの尻尾を掴んだ。
工場男「いくらでも食い物はあるんじゃねえの?そーら」ポイッ
工場男は、イボアライちゃんを燃えるゴミ箱へ投入した。
イボアライちゃん「ぴぃっ!?」スポッ ガサガサ
ゴミ袋へ投げ入れられたイボアライちゃん。
570 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 21:51:34.03 ID:lMW/PCQpo
工場男「…」スッ
工場男は、ゴミ箱の上にビデオカメラを設置した。
イボアライちゃん「うゆ?このなか、いーのいしゅゆのりゃあ!」ゴソゴソゴソゴソ
イボアライちゃんは、ゴミ袋の中を探検している。
イボアライちゃん「なーのりゃー♪」ゴソゴソ
イボアライちゃん「くんくん…おお!たべものあったのりゃあ!」ガサガサ
イボアライちゃんがゴミ袋の中で探し当てたのは、刺身のパックについてきたツマ(細い大根)と、海老の尻尾であった。
工場男は、刺身のツマを食わない派である。
イボアライちゃん「いただきましゅなのりゃー!あむあむあむあむあむ!」サクサクモグモグ
イボアライちゃんは、醤油が染みているツマを食べた。
イボアライちゃん「おいちー!ごじゅじんしゃまぁ!おいちーのりゃあ!≧∀≦」シッポフリフリ
工場男「…」
イボアライちゃん「ふはははー!このなか、おたからでいーっぱいなのりゃあ!たのちーのりゃあ!≧∀≦」ガサガサ
ゴミ箱に捨てられたイボアライちゃんは、とても楽しんでいるようだ。
571 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 21:55:22.06 ID:lMW/PCQpo
工場男「…勝手にしてろ」パタン スタスタ
工場男はゴミ箱の蓋を閉めて、寝室へ戻っていった。
ゴミ箱『あむあむあむあむあむっ!あむあむあむあむっ!』ガサゴソ
ゴミ箱の中からは、イボアライちゃんが生ゴミを食べる音が聞こえ続けた。
573 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 22:00:59.99 ID:lMW/PCQpo
…翌朝…
工場男「…」ガサゴソ
工場男は、手袋をつけてゴミ袋を漁っている。
工場男「…」ガシィ グイイ
イボアライちゃん「のりゃあ…のりゃあ…」zzz
寝ているイボアライちゃんの尻尾を掴んで、ゴミ袋から出した。
工場男「…」ジー
イボアライちゃん「のりゃあ…のりゃあ…」zzz
工場男「…ふん」ポイッ
イボアライちゃん「の、のあ、おはよーなのりゃあ」ガシャン
鳥籠へ投げ入れられたイボアライちゃん。
工場男「餌いれとくか…」バッバッ
器に小麦粉を盛って、鳥籠へ入れる工場男。
彼は初日にまともなペットフードを買っているのだが、それを入れる気はないようだ。
イボアライちゃん「うゆ!くんくん!またあたらちーごはんなのりゃ!」シッポフリフリ
工場男「…」スタスタ
イボアライちゃん「いってらっしゃいなのりゃー!」シッポフリフリ
工場男は、なにも言わずに家から出発した。
575 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 22:07:12.29 ID:lMW/PCQpo
駐車場へ行き、中古車へ乗り込んだ工場男。
工場男「…ハエガイジのくせに…」ガチャッ
車にエンジンをかけたその時。
『びぎいいいぃいいいいいい!!?』
工場男「!?」ビクゥ
…車のボンネットの中から声が聞こえたと同時に、車のエンジンが止まった。
工場男「…」ガチャッ
工場男はおそるおそるエンジンルームを開けた。
エンジンルームには…
野良アライちゃん「び…ぎいいいいいいい!い…ぢゃぁああいいい…!」ブシュウウゥ
…血塗れの野良アライちゃんが挟まっていた。
工場男「な!?こ…この辺りにも野良アライが出没するようになったのか…!」
576 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 22:10:04.19 ID:lMW/PCQpo
そのまま工場男は格闘し、エンジンは1時間後に動き出すようになった。
完全に遅刻である。
~会社~
上司「遅刻すんなら連絡ぐらい入れろ!いい歳してそんなんでいいと思ってるのか!最近は少しマシになってきたかと思ったらこれだよ!本当にお前は何にも期待できねー奴だな!」ガミガミ
工場男「…」イライラ
工場男はその日、上司にこっぴどく叱られた。
577 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 22:14:21.67 ID:lMW/PCQpo
…帰宅後…
工場男「…」スタスタイライラ
イボアライちゃん「ごしゅじんしゃまー!おかえりなのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ
工場男「…」
イボアライちゃん「ごしゅじんしゃま!ふわふわのおこなおいちかったのりゃあ!ごしゅじんしゃまだいしゅきなのりゃ!」シッポフリフリ
工場男「…」
イボアライちゃん「ありゃいしゃん、ごしゅじんしゃまとなかよちになれてうれちーのりゃ!ごっしゅじっんしゃっまー♪」コスリコスリ
工場男「……」ガシィ グイイ
工場男は、鳥籠を開けてイボアライちゃんを取り出した。
イボアライちゃん「のりゃ!のりゃっ!≧∀≦あしょんでくれゆのりゃー?ありゃいしゃんといーっぱいあしょんでなのりゃあ!≧∀≦」キャッキャッ
工場男「…」
579 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/03/12(月) 22:24:14.23 ID:lMW/PCQpo
工場男「てめーのせいで遅刻したんだよクソ害獣ッ!!」ブンッ
イボアライちゃん「ぴいぃっ!」ヒュー
工場男は、イボアライちゃんを壁へ向かって投げた。
イボアライちゃん「じび!」ベシャア ボトッ
イボアライちゃんは、壁に激突して床へ落ちた。
イボアライちゃん「の…ぉぉ…ぁああ…!」ウルウル
イボアライちゃん「のぉおおおーーーぁああああーーーーーんっ!のおおぉおおーーーーーぁああああああああああーーーーーんっ!いっぢゃいいのりゃああーーっ!」ビエエーン
工場男「やかましい!誰のせいで恥かいたと思ってんだボケナスがあ!」ガシィ
イボアライちゃん「びぎぃい!?なんなのりゃあ!ごしゅじんしゃまぁあぁ!!ありゃいしゃんなんかわゆいごどぢだのりゃああっ!?」ジタバタ
工場男は、イボアライちゃんを掴んだ。
工場男「てめーのせいで…」ペタペタ
工場男は、イボアライちゃんの尻尾の毛へガムテープを貼り付けた。
工場男「恥かいたってってんだろこのウンコ製造機の穀潰しがァア!!」ベリベリベリッ
ガムテープに、イボアライちゃんの尻尾の毛が毛根ごとたくさんくっついた。
イボアライちゃん「びっっっっぎゃあああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」
…ご主人様と仲良しになりたいという望みは、当分叶いそうにない。
最終更新:2018年05月25日 00:03