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インターンシップに送り出す親と、行きたくない子と

962 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/09(水) 20:11:09.48 ID:vptDo8kno
…2週間後…

アライさん「わっせ、わっせ」ザックザック

アライさんは子育ての合間に、斜面となっている地面へやや上向きの横穴を掘っていた。

これは、成体アライさんが越冬するためにこもる巣穴である。

春~秋と違って、地面に掘った巣穴にはダニなどの虫が湧き辛いため、地面に越冬用の一時的な仮住まいの巣穴を掘る。

成体アライさんは、気温がマイナス4℃以下の日が続くと半冬眠状態となる。

半冬眠状態のアライさんは、体温、脈拍、呼吸数が大きく下がり、代謝が著しく低下する。

月に1~2回程度目を覚まし、貯蔵した食べ物を少し食べて栄養を補給し、また眠る。
その繰り返しで冬を越すのである。

アライさん「はぁはぁ…土を掘るのはしんどいのだ~…わっせ、わっせ」ザックザック

もっとも、アライさんは土を掘るのがあまり得意ではない。

だから、古い熊の冬眠穴や廃屋など、『既にあるもの』を使いたがる。

中には、独身男性の家に入って『交尾させてやるから宿を貸すのだ!』等と要求する個体もいるらしい…。

アライさん「うぅ…あれから全然、あの男が来ないのだ…。越冬の危機なのだぁ…」ザックザック

子育ての中でどんどん減っていく備蓄食糧に、アライさんは危機を感じていた。


963 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/09(水) 21:06:03.11 ID:vptDo8kno
アライさん「ふぃ~、随分掘ったのだ。さて、チビにおっぱいあげなきゃいけないのだ…」ヨジヨジ

アライさんは木を登り、子供達を木の穴から出した。

アライちゃん1「のりゃ~」ヨジヨジ
アライちゃん2「なのりゃ~」スリスリ
アライちゃん3「ぴぃぴぃ」シッポフリフリ

そして、アライちゃん達へ授乳をする。
すると…

アライちゃん1「あぐあぐ」ハムハム

アライさん「ん?…おお、歯が生えてるのだぁ!」

どうやら、アライちゃん達には乳歯が生えたようだ。

通常の子育てなら、ここからさらに言葉を話せるようになるまで育て、狩りの訓練をさせて…
鋭い牙がか生えてから、インターンシップへ送るのである。

そしてインターンシップでは、少しの間だけ母親がアライちゃんのガイドをして…親離れとなる。

しかし、そこまで育つ頃にはもう、冬になっている頃であろう。

そして、そこまで育てるには、明らかに食糧が足りない…。

アライさん「…チビ達」ガシィ ヨジヨジ

アライちゃん1「のりゃ?」ブラン

アライさんは、アライちゃん達を一匹ずつ木から下ろしていく。

アライさん「…こっちへ来るのだ」ノソリノソリ

アライさんは、どこかへ行くようだ。

アライちゃん1「なのりゃ~」ヨチヨチ
アライちゃん2「なのりゃ~」ヨチヨチ
アライちゃん3「のりゃ~」ヨチヨチ

アライちゃん達は、母親へついていく。


964 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/09(水) 21:15:34.84 ID:vptDo8kno
アライさん「いいのだ?チビ達。お前達は、これからインターンシップへ行くのだ」スタスタ

アライちゃん達「「のりゃ~」」ヨチヨチヨチヨチ

アライさん「ごはんを手に入れるのも、お母さんに頼っちゃダメなのだ。姉妹で協力したり、自力で手に入れるのだ」スタスタ

アライちゃん達「「「のりゃ?」」」ヨチヨチヨチヨチ

アライさん「インターンシップへ行ったら、もうお母さんとはお別れなのだ。森に戻ってきちゃだめなのだ」スタスタ

アライちゃん達「「「なのりゃ~」」」ヨチヨチヨチヨチ

アライさん「もし戻ってきたら…」スタスタ

アライさんは歩きながら、アライちゃん達へインターンシップで生き抜くための様々なコツを教えていった。

やがて一向は、人里に着いた。

アライさん「…」

アライちゃん1「ぜーはーぜーはー」ハァハァ
アライちゃん2「ぴぃ、ぴぃ…」ゼーゼー
アライちゃん3「のりゃああ、のりゃあああ」ゼーゼー

アライちゃん達は、森から人里までヨチってきたので、大変疲れているようだ。


965 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/09(水) 21:19:46.31 ID:vptDo8kno
アライさんは、ここに着くまでに、アライちゃん達へ自分が知る限り全ての『生き抜くための知恵』や、『インターンシップのルール』を説明してきた。

我が子へ知恵を継承するのは、母親の務めである。

アライさん「…よし!可愛いチビ達、アライさんは教えられることを全てお前達に教えたのだ!」

アライちゃん1~3「「「のりゃ!のりゃ!」」」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん達は、アライさんの足元へ這いヨチり、アライさんの足へ頬擦りして甘えた。

アライちゃん1~3「「「な~のりゃ~♪」」」スリスリ

アライちゃん達は、甘えん坊で母親のことが大好きなようだ。

アライさん「うぅ、チビ達は可愛いのだ…」ナデナデ

アライちゃん1~3「「「のりゃ~♪」」」スリスリ


966 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/09(水) 21:24:19.63 ID:vptDo8kno
アライさん「…だけど、甘やかしちゃいけないのだ!強いチビだけが生き抜くのだ!」

アライさん「アライさんも、そのお母さんも…ずっとずっとそうしてきたのだ!だからお前たちもそうするのだ!わかったのだ?」

アライちゃん1~3「「「なのりゃ~」」」シッポフリフリ

アライさん「よし、じゃあ…」




アライさん「…辛いけど、お別れなのだ」スタスタ

アライさんは、子供達へ背を向けて森へ歩いていった。

アライちゃん1「のりゃ?」
アライちゃん2「のりゃ!のりゃ!」
アライちゃん3「なのりゃ~!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん達は、母親についていこうとしている。

アライさん「お前達!さっき教えたのだ!お母さんについてきちゃダメだって!」

アライさん「アライさんは、お前達がおっぱい飲まなくても自分でご飯食べれるようになるまで育てたのだ!」

アライさん「そこから先はお前達の人生なのだ!お母さんに頼っちゃダメなのだ!」

アライちゃん1~3「「「なのりゃあ~」」」ヨチヨチ

しかしアライちゃん達は、母親の言うことを聞かず、アライさんに這いヨチる。


967 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/09(水) 21:28:23.15 ID:vptDo8kno
アライさん「うぅ…可愛いチビ達との別れは辛いのだ…!でも、アライさんも子離れしなきゃいけないのだ…!」タタタッ

アライさんは全力疾走する。

アライちゃん1~3「「「ぴいぃぃ!?」」」

当然ながら、ヨチラーとしてすらまだ未熟なアライちゃん達では、アライさんに追い付くことなどできはしない。

アライちゃん1「ぴぃ!ぴいいぃぃ!」ヨチヨチ
アライちゃん2「きゅるる!きゅるるるるるぅ!」ヨチヨチ
アライちゃん3「のあああーーっ!のあああーっ!」ヨチヨチ

アライちゃん達は、必死に母親へ追い付こうとするが…

アライさん「達者で生きるのだ~!」タタタッ

…アライさんは、森の中へ消えていった。

アライちゃん1~3「「「…ぴいいぃぃ~~~!」」」ビエエエエン

母親と離れ離れになったアライちゃん達は、大声で泣いた。
別れを悲しんでいるのであろうか?


968 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/09(水) 21:34:51.54 ID:vptDo8kno
アライちゃん1「くんくん…ふんふん…」クンクン

アライちゃん1は、地面のにおいを嗅いでいる。

アライちゃん2「くんくん…のりゃ!のりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2は、アライさんが去った道をたどり、母親の跡を追っている。

アライちゃん1~3「「「なのりゃ~!なのりゃ~!なのりゃあああああーーーーーっ!ぴゅきゅるるるぅーーっ!」」」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん姉妹は、大声を出しながら、母親の匂いを辿って今まで住んでいた森へ向かった。

…インターンシップはどうしたのであろうか?
母親の説明を聞いていなかったのであろうか…。


970 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 21:39:38.85 ID:0I/ONFFm0
乙

まだ知能が発達していなかったか...
そりゃそうか。


971 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 21:42:49.69 ID:HJRhsMIY0
乙でしゅ
せめて言葉を話せるようにならんと厳しい気もするね。次回も楽しみです


995 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/15(火) 06:18:01.51 ID:ZqXxDTogO
…

ヨチラーとして未熟なアライちゃん達を送り出したアライさんは、森を駆けていた。

以後、区別のためにこの一家を『森アライさん』、『森アライちゃん1~3』と呼ぶことにする。

森アライさん「うぅ…。チビ達は、どう考えても世に送り出すにはまだチビすぎたのだ…」ザザザ

森アライさん「でも、でも…。これ以上は、アライさんの越冬のための食べ物を切り詰められないのだ…」ザザザ

森アライさん「だ、だけど!アライさんは立派なのだ!一人で歩けてご飯を食べれるようになるまで育てたのだ!」ザザザ

森アライさん「それに…、体は小さくても、アライさんが生きるための知恵を全部教えてやったのだ」ザザザ

森アライさん「きちんと学ぶかどうかはチビ達次第なのだ…!」ザザザ

森アライさん「うぅ、可愛いチビ達…。アライさんが献身的に死に物狂いで育てた可愛い可愛いチビ達…。どうか達者で暮らすのだ…」ホロリ

森アライさんは、親子の別れを描いた映画の感動的なシーンでも観たかのような涙を流した。


996 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/15(火) 06:25:27.54 ID:yStiiQugo
…

森アライちゃん1「のりゃあああああああんっ!のぉぉぉぁあああああーーんっ!」ヨチヨチ

森アライちゃん2「ピイイィィーーーー
っ!ピィィーーーッ!」ヨチヨチ

森アライちゃん3「ぴーぎゅるる!きゅるるぅ~~~んっ!」ヨチヨチ

母親を追って森に戻ってきた森アライちゃん達は、くたくたに疲れていた。

未発達な筋力で、こんなアンバランスな体型の体を支えて人里まで往復ヨチヨチしてきたのだ。そりゃ疲れるだろう。

森アライちゃん1「うゆぅぅ…」グーギュルルー

お腹もぺこぺこなようだ。

森アライちゃん2「のぁあああーーんっ!のぁあああーーんっ!」ビエエエーン

必死に母親を呼びながら、一列に並んで山道をヨチヨチ行進する森アライちゃん姉妹。

すると、何かが見えてきた。



余所アライさん「毛繕いするのだ、チビ達!体をピカピカにするのだ!」

余所アライちゃん1~5「「あぐあぐあぐ、あむあむあむ、ぺろぺろぺろ…」」ハムハム



それは母親に毛繕いの仕方を教わる、余所アライちゃん1~5であった。

前にトウモロコシ畑を襲撃した時よりも、少し大きく成長している。


997 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/15(火) 06:31:32.25 ID:yStiiQugo
森アライちゃん1「ぴいぃぃ!」クンクン

森アライちゃん2「きゅるるるる!」クンクン

森アライちゃん3「なのりゃ!なのりゃ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

森アライちゃん1~3「「なのりゃ~!」」ヨチヨチヨチヨチ

森アライちゃん達は、余所アライさん一家へ近付く。

余所アライさん「ん?こいつら…。くんくん…。森アライさんのチビ達のにおいなのだ」クンクン

余所アライちゃん1「うゆ?なんなのりゃ?」クンクン

余所アライちゃん2「おともだちなのりゃ?」

余所アライちゃん3「いっしょあそぶのりゃ」シッポフリフリ

余所アライちゃん4「ありゃいしゃんよりちーっちゃいのりゃ」

余所アライちゃん5「のりゃ~」

余所アライさん「お前ら、母親はどうしたのだ?」

森アライちゃん1~3「「「ぴいいぃぃ~~っ!きゅるるるぅ~っ!」」」スリスリ

森アライちゃん達は、余所アライさんの足へ頬を擦り寄せて媚びる。

森アライちゃん1「のりゃ!」
森アライちゃん2「きゅぅ~きゅるるぅ~」ペロペロ
森アライちゃん3「ふみゅぅん、ふみゅぅん」スリスリ

余所アライさん「…」

どうやら森アライちゃん達は、余所アライさんに餌をねだっているようだ。


998 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/15(火) 06:37:46.62 ID:yStiiQugo
余所アライさん「そうか、お前らあいつに捨てられたのか!バカなのだ、こうなるのはとっくの昔に分かってたことなのだ。あいつはどこまでも甘ちゃんでお人好しなのだ…」

森アライちゃん「「きゅるぅぅ~っ!」」スリスリ

余所アライさん「チビ達!」

余所アライちゃん1~5「「のりゃ?」」

余所アライさん「チビ達はいずれ、インターンシップへ行くのだ。だからインターンシップのルールを教えてやるのだ!」

余所アライちゃん1「いんたーちっぷ!」
余所アライちゃん2「はやくいきたいのりゃ!」シッポフリフリ
余所アライちゃん3「ひとりだちしていだいになゆのりゃ!」コスリコスリ

森アライちゃん1~3「「「のりゃ!のりゃ!きゅるるるるぅ!ふみゅぅ!ふみゅぅ!」」」スリスリ

森アライちゃん達は、餌を貰おうとして必死に余所アライさんの足に頬擦りして媚びへつらっている。
本能的に可愛がられようとして、可愛さをアピールしているのである。


999 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/05/15(火) 06:46:40.34 ID:yStiiQugo
余所アライさん「インターンシップのルール。それは…」



余所アライさん「『人里から森に戻ってきた落第のチビ』と!『母親を亡くしたチビ』は!大人のアライさんのゴハンになるのだ!!!」ゲシイィ

森アライちゃん1「ぴぎいぃぃっ!?」ドガァ

森アライちゃん2&3「「のりゃ!?」」ビクゥ

余所アライさんは、森アライちゃん1の顔面を蹴った。

森アライちゃん1「びえええええーーーーんっ!のおおおぉぉーーーーーーーーーーーぁああああああああああああああーーーんっ!!のぉぁあああああああああーーーんっ!ぴぇえええーーんっ!」ビエエエエン

森アライちゃん1は大声で泣き叫んだ。

森アライちゃん2&3「「のりゃっ!のりゃっ!」」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

森アライちゃん2&3は、余所アライさんを怖がって足から離れ、回れ右して必死のヨチヨチ歩きで逃げ出す。

余所アライさん「チビ達!そいつらを捕まえるのだ!狩りの練習なのだ!」

余所アライちゃん1~5「「「なのりゃlーーー!!ふぅうーーーっ!きゅるるるぅ~っ!」」」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

余所アライちゃん達5匹は、森アライちゃん3匹を追いかける。

それにしても、冬が近付いているこの時期に、食べ盛りのアライちゃん5匹を余裕綽々に育てる余所アライさんは何者なのであろうか。


最終更新:2018年05月26日 01:19
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