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――悠月は目を覚ました。 「あ、れ……?」 視界に映ったのは見たことない白い部屋だった。ずいぶんと狭い。 自分はいったいどうしたのか? そうだ。学校の帰りに太った男数人に声を掛けられて―― 「なに……? これ?」 ぼんやりとした意識が覚醒していく。 悠月は逆Y字型の椅子に座らされ、太ももから足首までがっちり複数のベルトで拘束されていた。軽く開かされ前方に伸びた脚。足首から先の部分は壁の向こうにあって見えなかった。 膝下から足首まで素肌が露出している。穿いていたはずの紺のハイソックスは脱がされたようだ。 「誘……拐……?」 悠月は不安に襲われた。 自由な両手で上半身に触れた。よかった。制服は脱がされていない。犯されたわけではないようだ。 しかし、下半身の厳重な拘束はいったいなんだろう。 悠月は太もものベルトを引きはがそうと引っ張るが、びくともしない。 「……いっ!?」 足に力を込めて、違和感を覚えた。 足の裏が引っ張られたような感覚。足の指がまったく動かない。 どうやら壁の向こうで、足の指が10本とも紐か何かで縛られているようだ。 足だけが壁の向こうにある不気味な状況。 向こうに誰かいるのか、何をされるのかもわからない。 ひんやりと足の裏に当たる風が、恐怖を増長させた。 「ちょっとー? 誰かいないのー?」 天井あたりを見回しながら叫んでみる。 そのとき、 『あ、あ、あ、あ』 がさがさと雑音の混じった声が聞こえた。悠月はびっくりしてきょろきょろとあたりを見回す。天井の隅にスピーカーを見つけた。 『北村悠月さん、北村悠月さん』 まるで校内放送で呼び出されるような。 「だ、誰? どこにいるの?」 『よくもワダスたちをいじめてくれましたね? あなたはいままでに蹴った人間の数を覚えていますか?』 「え?」 『そうです。そのにっくき足。今日はこれからその足の裏を徹底的にくすぐらせていただきます。ワダスたちのささやかなお礼です』 スピーカーの人物は、まったく会話をしようとしなかった。 悠月は突然のことに混乱していた。 わけがわからない。 「ちょ、えっ!? なに!? くすぐるって……どういう――」 そのとき、悠月は壁の向こうに気配を感じた。 「ややや、やだっ! なに!? 誰!? ちょっとやめて! 変なことしないで――」 壁の向こうで、足の裏に何かが近づいてくる気配を感じる。 悠月は必死に足をひっこめようともがいた。 しかし、足は壁の向こうでまったく動かせない。 そして、 「……やっ、――ああああぁぁぁあああはははははははははははははっ!!!? やだっ!!! やだぁぁぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」 悠月は左足の裏に強烈なくすぐったさを感じ、笑いがこらえられなかった。 じょりじょりと何かを、足の裏へ激しくこすりつけられている。 「やめてぇぇえええああああっはっはっはっはっははっははだめぇぇぇええ~~~!!!」 悠月は上半身をくの字に曲げ、両手を激しく振り回して叫んだ。 「おねがいやめでぇぇぇえ~~っはっはっはっっはっはくすぐったぁぁあっはっはっはっはっは!!! くすぐったすぎるぅぅぅ~~ひゃっはっはっはっは!!」 そんな中、 『北村悠月さん、北村悠月さん』 再びスピーカーから声が聞こえる。 『足の裏をブラシでしごかれるのはいかがですか。いつも足技ばかり使うくせに、少々敏感すぎやしませんか?』 「やぁぁぁっはっはっはっはっはっははは!?!? こんなの誰だってむりだってぇぇえええはははっははははははははは!!!」 『身動きの取れない足の指がひくひく動いているのが絶景です』 「じっきょうやめてぁぁああはははっはっははっはははっはははっは~~!!」 ブラシだとわかると、もうブラシにしか思えない。 ブラシの尖端が足の裏をなで回すような動きを想像してしまい、余計にくすぐったく感じる。 『一日学校生活を終えて、ソックスの裏地の糸くずがついてますね。キレイキレイしましょ』 直後、ブラシが足の指の間にねじこまれるのがわかった。 「だぎゃああぁぁあっはっはっはっはっはっは!!! 無理にぃっぃっひっひっひ、無理にやらないでぇぇぁあはははははははははははは!!!」 悠月はくすぐったすぎて涙が出てきた。 笑いっぱなしで息ができない。