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エルフ


「これほどの美が存在するとは思ったこともあリませんでした」ゴールドムーンが静かに言った。

  その日の行程はきつかったが、その先には夢にも思わない報酬が待っていた。
  彼らは高い崖の上から伝説の都クォリノストを見下ろしていた。
  都の四隅からは、ほっそりとした四基の尖塔が紡錘のようにきらめいてそびえ立っている。
  その燦然と輝く白い石に、銀の大理石模様がまばゆい。
  優美なアーチが尖塔から尖塔へと空を横切っている。
  それはいにしえのドワーフの金銀細工師の技によリ、一軍隊の重みにも耐えるほど頑丈なのに、
  外見は非常に繊細で、鳥が一羽とまっただけでも均衡をくずしてしまいそうに見える。
  この輝くアーチが都の唯一の境界だった。
  クォリノストには城壁はない。工ルフの都は、愛情深く荒野に腕を広げていた。

           ――マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン「城砦の赤竜」(安田均訳、アスキー/工ンタープレイン刊)

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最終更新:2025年07月27日 00:30