一つだけ言っておこう。 ☆ ☆ ☆ な が く て く ら い よ ☆ ☆ ☆
日本に住む西洋人の家庭に一人娘として生まれ、特に不自由を受けることなく育つ。しかし、3歳の頃に公園で遊んでいたとき、誤って車道に飛び出して車に轢かれて死んでしまう。この時死んだことによりオーヴァードとして覚醒、その場で肉体が蘇生する様子を母親は目撃してしまう。結局、その時の目撃者は母親のみ(あるいは轢き逃げした車の主は知っていたかもしれない)だったため、(不幸にして)この事件が世間に知らされることはなかった。
キャサリンの両親はオーヴァードについて無知だったが、娘が化け物に成り果てたことだけはよく理解していた。この現実を認めることができなかった父親は、娘の姿をしたモノに対して苛烈な虐待を浴びせたのだ。通常の子供ならば死んでいるであろう暴力の日常の中で、キャサリンは死ぬことはなかった。否、何度も死んだのだがその度に生き返ったのだ。母親は暴力を加えることはなかったが、依存的な性格の人間であったため、数度の離婚・再婚を繰り返した。もっともキャサリンにとって不幸だったのは、その何人かの再婚相手にことごとく虐待を受けてきた点であろう。こうしてキャサリンの精神はどんどん歪んでいくことになる。
傷つき、極限まで精神を擦り減らしたキャサリンの前に、救世主が現れた。かの"イスカリオテ"アルフレッド・コードウェルが。
彼はキャサリンを娘として受け入れた。キャサリンにとっては、理想の父親として振る舞ってくれる(自分を認めてくれる)存在があらわれたことは何にも代えがたい至福であった。この出会いによってキャサリンは名をカタリナ・N・コードウェルに改め、かつての親をミンチにし、そして"お父様の為の世界"を創るため、K市セルの幼きエージェントとして活動を開始した。
コードウェル帰還が世界に広まるより以前から、カタリナはコードウェルに接触していたとされる。FHに迎えられたカタリナは間もなく頭角を現し、短期間のうちにK市セルの主要メンバー、さらにはセルリーダーとしての座を獲得していた。キャサリンは当時から一貫して"お父様の為の世界"を指針としていたが、セルメンバーもまさかそのお父様がコードウェルだとは考えていなかったようで、お父様とは彼女の空想の中の人物か何かなのだろうと考えられていた。カタリナが11歳の頃、K市山中にあるEXレネゲイド「紅玉の眼(ダゾルレッド)」の能力を利用し、泥と金属と血で出来たブロブと呼ばれる怪物を作り任務を行ったことがある。この時に生まれたブロブはすべてUGNにより掃討されているが、数件の一般家庭に被害を及ぼしている。因みにこの時のUGN側の戦力には先代・櫻月剣や只野などがいた。
コードウェルの帰還により、カタリナは改めて"マスターレイス22(ウプシロン)"のコードネームを得て、活動範囲を全国に広げることになる。それに伴いK市セルは遊撃部隊としての色を強くし、以降「birdcageFinale」までは実質的にK市に常駐するFHのセルは消滅状態にあった。彼女は使徒などと同じくコードウェルの為に戦ったが、カタリナと使徒たちの最大の違いはその任務が実際にコードウェルの命令により行われたものである必要があるか、ということだ。使徒たちがコードウェルの命令で邪魔者を葬ることはあろうが、カタリナは葬って「お父様はきっと褒めてくださりますわ!」となるような相手を自ら洗い出し、殺す。彼女にとっては、ともすれば単にコードウェルの前を歩いただけでも殺害理由になりうるのだ。
あるとき、カタリナは此花慈雨という人間を記録に見つける。彼はコードウェルからの誘いを断り、UGNエージェントとして生きているという。この人物を抹殺するため地元K市に帰ってきた彼女は、そこで"融合師"とUGNの争いに首を突っ込む形で戦闘に乱入する。乱戦では分が悪いと戦略的に撤退したカタリナであったが、かつてのK市セルには"眠れる死屍"の罠が待ち構えていた。戦闘直後のカタリナは綿密に構築された彼の計画に抵抗することができず、部下ともども記憶を改変させられてしまう。部下たちは"眠れる死屍"の配下になり、そしてカタリナは記憶の殆ど全てを封印される形で無力化され、再びキャサリン・フェイトとして偽りの生活を与えられることになる。彼女の放たれた日常には多くの矛盾点があったが、空にされた記憶がその矛盾を無意識のうちに補完していく。そうして1週間もしない間に、カタリナ・N・コードウェルは密やかに存在を消去されたのである。
"眠れる死屍"がUGNによって倒された後、キャサリン=カタリナであったことがUGNの間で明らかになった。強大な戦闘力、またそのポテンシャルを秘めた存在が「少なくとも一時的に」無力化された状態で一般人としての生活を送っている、という点に、幹部達は、彼女がカタリナであると知る他勢力によるキャサリンの回収及び利用、あるいは何らかのきっかけで彼女が記憶を取り戻した際の危険などの理由から、現状のままキャサリンをほおっておくのはリスクが高いと判断したのだ。このため、キャサリンは櫻月劒支部長の提案・推薦もあり、UGNK市支部の指導の下、エージェントとして活動することになった。ここでキャサリンはレネゲイドのコントロール法を学び、新たにK市支部の戦力として組み込まれていく。
UGNでの活動が功を奏したか、普段の生活に「カタリナ」としての側面が見られることはなかった。しかし、戦闘時など極度に侵蝕率が上昇する場合においてはその限りではなく、言動の中にカタリナ時の特徴をもつ台詞などが見え隠れしていた。キャサリンがカタリナを取り戻す大きなきっかけは、支部での事務仕事の一環でFHのマスター級エージェントについて調べていた時、偶然コードウェルに関する資料を閲覧してしまったことだ。これによりキャサリンは「カタリナ」の記憶が自身の中に存在することを自覚するに至る。そしてキャサリンの、過去の自分がやってきたこととの内なる戦いがはじまった。慈雨への気持ちの吐露や他のマスター級エージェントとの戦いを経て、キャサリンはいまやコードウェルよりも慈雨をはじめとしたK市支部のメンバーが自らの根源であると一応の結論を出す。しかし、この問題と決着をつけるのはまだまだ先になるだろう。
キャサリンにとっての此花慈雨との出会いは、路地で不良に絡まれたところを助けられたところから始まる。この出会いをきっかけとして彼女の中での彼に対する憧れは強くなっていく。キャサリンのUGN入り以降はレネゲイドトレーニングの指導を手伝ってもらうなど、現在は良好な関係を構築している。その一方で、かつてジャームとオーヴァードの境界にいたキャサリンには、ジャームは排斥すべしという慈雨の論には同意しきれない部分があり、この点が彼女に一抹の不安を感じさせている。慈雨を後継者にしようと画策したマスタージェントルの主張には、慈雨が反発していたためか嫌悪感を示していたが、平行世界にてマスタージェントルとなった(その世界での)かつての慈雨には共感を示し、その上で過去を変えるという選択を拒んだ。
キャサリンのバロールとしての能力は、魔眼を操ることよりも、むしろ時の進み方を僅かに歪めるというものである。強力なジャームは超高密度のレネゲイドウイルスで戦場を満たすことであたかも神速であるかのような動きを発揮するが、彼女の場合はこれを瞬間的な超重力によって再現する。そうして「支配した」わずかな時間はキュマイラの力、そしてソラリスの毒によって一切の無駄なく消費される。その結果、敵は攻撃されたことを知覚する暇もなく全身を切り刻まれ、その傷口から強烈な酸を注ぎ込まれるのだ。例え一撃で敵を葬ることができずとも、一度当たれば全身を焼ける様な痛みが支配し、次の攻撃を受け止めることは難しくなるだろう。また、彼女は敵が攻撃する瞬間に見せるわずかな隙も見逃さない。その瞬間に敵が彼女の攻撃圏内にいたならば、鋭利な爪の餌食となることは必至だろう。
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