GM:あなたは、イリスリードとアルティアス間に休戦条約が結ばれてから戦線を離れ、首都に向かう途中です。
あと3日もすれば、首都フォートレンにたどり着けますが、ちょうど、町から遠い場所で日が暮れてしまいました。
マユラ:ああ、時間の計算ミスったなあ。
ま、野宿は慣れてるし、いっか。
GM:目視出来る距離に、行商団が野営しているのが見えます。
目的地は首都ではないようですが、合流すれば今夜の食事は豪勢になるかも?
マユラ:やったわ!そこそこ運に見放されてなかったみたいね。
ねえ、こんばんは。あたしは傭兵やってる
マユラっていうの。
雇ってくれとまでは言わないから、一晩テントある隣くらいで寝させて?
野党とかクマとか、嫌だもの。
行商団の男:へえ!あんた、そんな若いのに、かわいいのに、傭兵かい!
びっくりだなあ。でっかい剣…。
マユラ:うふふ、かわいいと侮ってると首が飛ぶわよ。
まあ、民間人に攻撃するほど落ちぶれちゃいないけどね!
行商団の男:ひええ、恐い恐い~!
歴戦の戦士って感じだなあ!
武勇伝でも聞かせてくれや!
GM:行商団に快く迎え入れてもらい、夕飯をご馳走になり、寝床まで提供してもらうことになりました。
マユラ:一宿一飯の恩~!!ご飯は大事なのよ!!
ああ、あったかいご飯ありがとう。塩味のお肉をかじるだけの食事の長かった身には染みるわぁ~。
行商団の女性:ぼうや!ぼうやはどこ!?
遠くに行ってはいけないと、あれほど言ったのに!!
行商団の女性:うちの子が見当たらないんです。
もうこんな時間なのに…。
行商団の女性:6歳です。名前はトマです。
どうしよう、明日は早いのよ!この地を離れてしまうのに!!
マユラ:6歳の子が歩ける距離って、たかが知れてるわね。
ご飯の恩は忘れないわ。ちょっと探してくる。
見つかるかどうかはカミサマ次第だけどね。
行商団の女性:本当ですか!?あ、ありがとうございます…!
GM:行商団の男衆も、たいまつを持って周辺を探しています。
どうやら、近くにある森が怪しそうです。
子どもが興味本位で入ってしまいそうな雰囲気です。
マユラ:森に入ったとしたら、ちょっとやっかいね…。
でも、だからこそあたしが探した方がいいか。
(行商団の人にたいまつを分けてもらって森を探す)
GM:森はひらけていて、そんなに木が密集はしていません。
奥まで行けば違うかも知れませんが、奥へ子どもの足で行くのは時間的に難しそうです。
マユラ:この辺にいてね、お願いよ。
トマくーん!いたら返事して!あんたのお母さん、心配してるわよー!!
GM:その時。
マユラさんは、ぞくりと悪寒を感じました。
戦場で、油断をして目の前に矢が迫っていた時のような。
死に瀕している状態を、たった今悟ったときのような、そんな…経験のある悪寒。
マユラ:(ぞくっ)な、何!?
ここになにか危険があるの!?(たいまつを木の枝に刺し、剣を構える)
誰もいない、わよね…?(きょろきょろ)
GM:トマくんの姿はもちろん、行商団の皆もこのあたりは探していません。
人の気配はありません。動物の気配もありません。
ただ、悪寒がするのです。ぞくぞくと。
マユラ:嫌…。こういうの、嫌だ…。
絶対なにか、ヤバいこと、起こる…。
…大丈夫よ、あたし。この悪寒は何度も経験した。
でもあたしは生き残ってきたわ。
死なない。死んでやらない。絶対にあたしは死なない!!
GM:
マユラさんの周囲の景色が一変しました。
黒、です。
闇ではありません。黒一色に変化しました。
まるで、黒い箱にでも詰め込まれたかのよう。
でも、
マユラさんは一歩も動いていません。
剣も構えたままです。
マユラ:嘘…!?
なに、ここ!?夜目が利くとかの状況じゃない!?
げ、幻影の魔法…?
謎の声:『ミツケタゾ……××××………イマノナハ………
マユラ!!!』
GM:声は右側からしました。
おぞましいほど低く、人間とは思えない、地の底からはい出すような声でした。
あなたの名を間違いなく呼んだその声は、声が感覚となったかのように、右腕をつかんできました。
姿も形も見えません。でも、右腕を捕まれた感覚がします。
ぎりぎりと締め上げられる…!!巻き付いてゆく…!?
マユラ:(ためらいなく右腕を、肩のすぐ下から剣で落とす)
GM:腕を切り落とした激痛…は、何故かまったくありませんでした。
腕を落とす、つまり謎の物体を体から切り離した瞬間、
マユラさん視界は元に戻っていました。
夜の森に立っています。
腕は…あります。右腕は失っていません。
マユラ:なに、夢?立ったまま夢でも見たっていうの…?
GM:右腕に鋭い痛みが走りました。
よく見ると、右手から手首あたりまで、蛇のうろこのようなあざ…刺青にも見えるものが刻まれています。
マユラ:蛇の鱗!?ちょっと、冗談じゃないわ!!
たぶん呪いか何かね…。なんなのいきなり…。
呪われる覚えは…ああ、敵さん側ならいくらでもあたしを呪うかなあ。
まあ、これはこれ。痛いけどそれだけ。腕があっただけもうけものよ。
トマくん、トマくーん!
これであんたが見つからなかったら、あたし丸損なんだからねー!!
GM:トマくん、見つかりました。
大人なら這い上がれるけれど子どもなら出られない程度のくぼみにはまって泣いています。
マユラ:よかったあ…。
今度から、お母さんの言うことを聞いて、危ないところや遠くに行っちゃダメよ(左腕で抱き上げる)
トマ:うん、うん…。ぐずっ、ごめんなさぁい…!
GM:迷子の子どもを見つけたことで、
マユラさんは行商団からこぞってお礼を言われました。
しかし、右手の痣を見るなり皆おののき、ただごとじゃない、なにかある、おばば様に話を聞いた方がいいと促します。
行商団の男:この旅団の最長老でねえ。昔は星見もやってたんだよ。
最近は目が悪くなったけど、たまに予言めいたことを言ったり、難しいことの解決法を教えてくれる。
知恵袋みたいなもんだよ。
この奥のテントだ、ほら。
GM:テントは他とは少し変わっていて、香のかおりがします。
マユラ:おばば様…若い女から生気吸ったりしないわよね(苦笑しながら入る)
おばば様:ああ、やっと来たのかい。
おばば様:ああ。待っておったよ。あんたを。
おばば様:どうとってもらってもかまわんよ。
あたしは、言うべきことを言うだけさね。
あんたの右腕に刻まれた痣、そいつは死の紋さね。
おばば様:ああ。そうさ。
そいつはあんたの魂に食い込んでいる。
鱗の紋様は少しずつあんたの腕を這い上がり、そのうち全身を覆う。
紋様が体の内側に至り心の臓を食い破ったらあんたは死ぬのさ。
ゆっくり、じっくりと時間をかけて。
そうさね、だいたい一年かねえ。
おばば様:「メルリース」を探すんだねえ。
マユラ:メルリース?
聞いたこともないんだけど、それは何?
おばば様:さあ、なんだろうねえ。
あたしも知らないのさ。悪いね。
ただ、あたしは知ってる。あんたが助かる道はひとつだけだと。
呪いの進行より早く、「メルリース」を見つけること。
見つかったらあんたは助かるだろうよ。
ただし、「本物のメルリース」でないと駄目だからね。そこは間違えないように。
マユラ:メルリースは偽物とか本物とかあるの?(^_^;)
おばば様:さあ、あたしも知らないねえ。
間違えるなってことだけは解る。
人間は万能じゃない。未来なんてカケラしか見えないのさ。
あとはあんたがやればいい。
あたしの言葉を信じても信じなくても、あんたの人生。
でもね、あんたはもう、ずっと前から選ばれていた。
おばば様:あんたの胸にあるものさ。
GM:
マユラさんは、御守り刀を胸に忍ばせていますよね。
6歳の時、お父さんにもらった宝物。
柄の部分に動物の牙のような紋様が刻まれた、黄金色なのに金ではない不思議な金属。
マユラを守ってくれますようにと託された御守り刀は、本当にあなたを戦火から守ったんでしたね。
おばば様:ああ、それさ。
それがある限り、それを手放さない限り、あんたは必ずメルリースにたどり着ける。
メルリースの呪いから解放されるだろうよ。
マユラ:ちょっと待ってよ。
あの気味悪い声と、この痣。
それが『メルリース』だっていうの!?
おばば様:ああ、そうさね。
それは違いない。
あんたを呪っているのはメルリースさ。
マユラ:そう。
それが解れば話は早いわ。
ぶった切ってバラバラにしてやりゃあ、呪いは解けるんでしょ。
この剣が道しるべになるっていうなら、絶対に手放さないわ。
…あたしは、死なない。死んでなんかやらない!!
おばば様:(何も言わずに笑っている)
GM:次の日の朝、
マユラさんは行商団と別れを告げて、3日かけて首都に辿り着きました。
そこから物語は始まります。
最終更新:2019年04月11日 01:24