指示名詞と人称

 
他言語の人称代名詞に当たる単語を指示名詞と呼びます。文法上は名詞の一種として扱われ、話し手と聞き手双方に知られた特定の名詞の代替語として用いられます。
指示名詞は他の単語と比べて短い語形を持つものが多く、文中に高い頻度で登場します。
 

○使い分け

指示名詞は、代替対象の名詞が持ついくつかの文法的区分によって使い分けられます。
 
①人称
代替対象の名詞の人称が1人称2人称3人称4人称のうちどれに属するかで、選択される指示名詞が異なります。 話し手を含み聞き手を含まない名詞は1人称、話し手を含まず聞き手を含む名詞は2人称、話し手も聞き手も含まない名詞は3人称、話し手も聞き手も含む名詞は4人称に属します。
指示名詞を除く全ての名詞は原則として3人称に属し、特定の接辞(人称化拡張辞)を連結することでのみ 1人称、2人称,4人称の属性を持つことができます。1人称、2人称、4人称用の指示名詞はこのような単語を代替するものと考えられます。
 
②性
代替対象の名詞の性が男性女性中性乱性楽性のうちどれに属するかで、選択される指示名詞が異なります。原則として1つの指示名詞が1つの性に対応しますが、中には複数の性に対応する指示名詞も存在します。
 
③歌唱能
代替対象の名詞が歌を歌う能力(歌唱能)を持つか否かで、選択される指示名詞が異なります。原則としてそれぞれの指示名詞が歌唱能を持つ名詞、持たない名詞のどちらかに対応しますが、中には両者に使われる指示名詞も存在します。
 
歌唱能を持つ名詞:
ĭubisユービス(人間)、cuŗiĭnaクリーナ(ボーカロイド)など
 

○単語

よく使われる指示名詞を、各人称と性ごとに紹介します。
 
1人称:
çiチ(d)、faファ(c)
2人称:
gemゲム(d)、ļucリュク(c)
3人称:
ejeエージェ(d)jusumìaジュスーミャ(c),ňazeガーゼ(d)、baŗaバーラ(c)
4人称:
milミル(d,c)
 
※括弧内のd,c,ç,r,gはそれぞれ男性、女性、中性、乱性、楽性を表します。辞書などにもこの形で掲載されます。
最終更新:2013年09月12日 23:04