06-126 :まるマ女体 1/6:2008/08/15(金) 09:53:45 ID:PNhEVi9u
「エンギワルー!」
「エンギワルー!」

 その朝、目覚めて最初に聞こえてきたのは、つがいで外を飛んでいるらしい、エンギワ
ル鳥たちの鳴き声だった。

「寝覚め悪ッ…………」

 眞魔国では天然記念物として大切にされている鳥らしいが、この鳴き声だけは勘弁して
ほしいと思う。外の天気がどれだけ爽やかでも、これを聞いた途端に、青い空も不吉に見
えてくる。

「昨夜はとんでもない夢見ちゃったしなー…………」

 思わず独り言を呟き、カーテン越しに差し込んでくる陽光に目を瞬かせながら、深い溜
め息を吐く。

 ピンクな夢を期待してはいたが、まさかヴォルフラムが女の子になって、あまつさえそ
のヴォルフと最後までヤッてしまうピンク・ドリームだとは、予想だにしなかった。

 ううっ……今日、城の中で本人と顔合わせるのが嫌すぎる…………。

 その気まずさを想像して顔をしかめた瞬間、唐突に腹の上に衝撃が来て、おれは盛大に
咳き込みながら、体を折るようにして半身を起こす。

「ごふっ! ごほっ、ごほっ…………って、ヴォルフラム!?」

 なんということだ。当のヴォルフラムは既におれの横で大の字のポーズで寝ていて、「ぐ
ぐぴぐぐぴ」とあの独特の鼾をかいていた。おまけに例の驚異的な寝相の悪さで、無意識
の内におれの腹にかかと落としを決めてくれたようだ。

 間近で鼾をかかれている時点ですぐに気づくべきだったのだろうが、既に聞き慣れすぎ
ていて、目立った情報として頭に入ってこなかったらしい。

 しかし、彼は昨夜、客室で寝たはずだったのに、なぜここにいるんだろう。頭の中に浮
かんだそんな疑問は、ネグリジェに包まれた胸元を見た瞬間、見事に打ち消された。
 現実のヴォルフラムにはありえない、Cカップほどもある柔らかな膨らみ。

 まだ夢の続きだったのか…………ほっとしたような、うんざりしたような。現実のおれ
は未だベッドの中で安らかな寝息(いやむしろ荒い息かもしれないが)を立てているだろ
うに、夢の中ではもう二度も寝起きを体験してしまった。どんだけ目覚めの瞬間が好きな
んだ、おれ。

 ピンク・ドリームというからには、一回ヤッちゃってスッキリしたら終わるもんだと思
っていたのに、これ以上なにがあるというのだろう。…………できればこれ以上傷を広げ
ない内に、終わって本物の朝になってほしいんだが。

06-127 :まるマ女体 2/6:2008/08/15(金) 09:54:26 ID:PNhEVi9u
 そんなことを考えている内に、コンコン、と部屋の扉をノックする音が聞こえてくる。

 現実のいつもの朝と同じく、コンラッドが起こしに来てくれたらしい。おれはそう思っ
たのだが、次の瞬間、その予想は微妙に裏切られた。

「おはようございます。起きてますか、ユーリ」

 やたら爽やかな笑顔を浮かべて部屋に入ってきたのは、見慣れた名付け親ではなく、見
覚えのない長身の女性だったのだ。

 余分な贅肉がなく引き締まったプロのスポーツ選手のような体型で、大きく形の良いバ
ストが、そこに健康的な色気を付加している。ダークブラウンの髪はかなり短く整えられ
ており、端正だが派手さのない顔立ちも相まって、ボーイッシュでさっぱりとした雰囲気
の美女、という印象を与えた。

 右眉に残る古い傷跡と、薄茶に銀の虹彩を散らした独特の瞳が、見知った誰かを彷彿と
させる。

 というより、全体的に明らかに『彼』の面影があった。

「コ、コンラッド……?」
「? はい、どうしました?」
 疑問系で名前を呼ぶおれに、コンラッドらしき女性は不思議そうな顔でそう答える。

「い、いや、別になんでもない」
 そう言って誤魔化すが、心の中は冷や汗でいっぱいだった。

 この反応は間違いない。今目の前にいる彼女は、正真正銘(?)コンラッドなのだ。

 よりによってコンラッドまでもが女になって、ピンク・ドリーム出演とは…………(名
付け)親不孝もここに極まれり、という話である。

 夢にはその人の願望が現れるというが、もしもこれがおれの願望なんだとか言われたら、
なんかもうおれ、この先生きていく自信ない。それくらいショックだ。例えて言うなら、
『お袋とヤっちゃう夢を見ちゃった』並みにショックだ(言っておくが、あくまで例えで
あって、実際に見たことはない)。

 …………いやいや、有り得ない有り得ない。相手がヴォルフラムならまだ、そういう願
望を持つことも理解できなくはないが、コンラッドはさすがにないだう。

 ヴォルフラムのことは、確かに普段から、その辺の女の子よりもよっぽど可愛いとか、
いっそ女の子だったら文句言わず付き合うのにとか、そのくらいのことはたまに考えては
いたが――――コンラッドに対してそんな風に考えたことは、誓って言えるが、一度もな
い。っていうか、外見的にも性格的にも、特に女性的な要素があるわけでもない彼に対し
て、そんなことを思うはずもない。

 それならば何故、こんな夢を見てしまっているのか、と聞かれると、何も答えられない
が……色々な思考が頭の中をぐるぐると回り、おれは思わず頭を抱え込んでしまう。

06-128 :まるマ女体 3/6:2008/08/15(金) 09:55:01 ID:PNhEVi9u
「大丈夫ですか? どこか気分でも」
 そんな挙動不審なおれに対し、コンラッドが心配そうな顔で尋ねてくる。

「いや、なんでもないよ! 大丈夫! ぜんっぜん平気!」
 まさか、『いやぁ実は、本当は男のはずのあんたを女にして、えっちな夢(推定)に登
場させちゃってるのがショックでさ~』などと、言えるはずもないだろう。

「そうですか? ……けど念のため、熱がないかだけでも」

 おれのわざとらしい誤魔化しでは納得がいかない様子のコンラッドは、さっとこちらに
近付き、おれの額に手を当ててくる。

 相変わらず過保護な母親のような態度で、ちょっとくすぐったい。しかし、これが本当
に母親相手なら、間近に迫った豊かなバストにドギマギしたりはしないんだろうなぁと、
Eカップくらいはありそうなソレにチラチラ視線をやりながら思う。

「熱はないようですね」

 おれの内心の動揺など知らぬ様子のコンラッドが、額から手を離して安心したように微
笑む。それはまるで小さな子どもを気遣う母親みたいな表情で、照れ臭さと同時にそこは
かとない罪悪感を感じ、おれは思わず視線を逸らしてしまった。

「……だから、大丈夫だって言っただろ。子供じゃないんだし、心配しすぎなんだよ、あ
んたは」

 誤魔化すような笑みを浮かべながらそう言うと、おれはベッドから降りてクローゼット
に向かい、中から朝トレ用のジャージを取り出す。

 この後は城の外に出て、ジョギングから始まる早朝トレーニング、というのがいつもの
流れだから、夢の中でもそうだろう。……多分。

 パジャマのボタンを外しかけ、途中ではたと、女の人の視線があるのだということを思
い出す。いつもなら男同士なので、特に何も気にせず目の前で着替えてしまっているが、
コンラッドが女性になっている今は、そういうわけにもいかないだろう。

「……じゃあ、おれ着替えるから、外で待っててよ。後ですぐ行くからさ」
「はい。それでは、いつものように私の部屋でお待ちしています」

 コンラッドもそれが自然と感じているようで、素直に頷く。

 ……着替えにそこまで時間がかかるわけでもないのに、なんでわざわざコンラッドの部
屋に行って待つ必要があるんだろうか。パジャマからジャージになんて、部屋まで移動し
てる間に着替え終わるぞ、多分。

 微妙に疑問が湧くが、「いつものように」という言葉からして、とりあえずそれがこの
夢の中で『自然な流れ』らしいので、おれは特になにも言うことなく、部屋を出て行くコ
ンラッドを見送った。

06-130 :まるマ女体 4/6:2008/08/15(金) 09:59:15 ID:PNhEVi9u
  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *


 さっさと着替えを済ませたおれは、未だ「ぐぐぴぐぐぴ」と美少女の鼾が響き渡る魔王
部屋を後にし、コンラッドの部屋へと向かった。

 ヴォルフラムのことは、一旦は起こそうと試みたのだが、相当深く寝入ってしまってい
るらしく、いくら声をかけても肩を揺すっても、一向に起きる気配がなかった。

 もともと寝穢いところのあるヴォルフラムだ。昨夜、色々と汚れた状態のまま寝るのも
アレだからと風呂に入らせたときも、既に相当眠そうにしていたから、それでこんなに朝
早く起きるのは厳しいのだろう。無理に起こすのも可哀想なので、まだ寝かしておいてや
ることにした。

 ウェラー卿の寝室の前に着いたおれは、その扉を軽くノックする。

「コンラッド、着替えてきたぞー」
「早かったですね。どうぞお入り下さい」

 すぐに返ってきた返事は、穏やかな雰囲気に名付け親の面影はあるものの、やはり聞き
慣れない女性の声で、なんだか落ち着かない気分にさせた。

 ある意味、女性の寝室にお邪魔していることになるんだな、と思うと微妙に緊張してく
る。そんな複雑な気持ちを抱えつつ、そっと扉を開けると、部屋の中は何故かカーテンが
閉めきられていて妙に薄暗く、少しぎょっとした。

 地球のおれの部屋に比べれば遙かに広いが、無駄に巨大な魔王部屋よりは大分常識的な
サイズの部屋の中には、見覚えのある家具が置かれていて、少し心を落ち着かせる。しか
し、奥にあるベッドの端には、やはり知らない女性にしか見えないコンラッドが腰掛けて
いる。

「お待ちしていましたよ、ユーリ」
「ああ、うん」
 柔らかく微笑まれながらそう言われ、おれは妙に照れたように耳の横を掻いた。

「それじゃ……」
「どうぞ」

 朝トレ行こうか、とおれが言いかける寸前に、コンラッドが笑顔でそう言い、自分が座
っているすぐ横を、片手でぽふぽふと叩いてみせた。

 なんなんだ、その仕種は。そこに座れ、という意味なのだろうか。今から朝トレ行こう
というときに? 大体、なんでカーテンを開けないんだ。まさか、見られて困ることでも
始めようというのか。

 色んな疑問や危惧が胸に湧いたが、とりあえず言われた通り、コンラッドと並んでベッ
ドの端に腰掛ける。

 ……ほら、もしかしたら、なにか大事な話があってそうするのかもしれないし。別に何
かを期待してるわけじゃないぞ、決して。その証拠に、コンラッドとはひと二人分くらい
距離を開けて座った。

 とはいうものの、やはりどう考えても怪しすぎる雰囲気に、さながら初めて風俗にやっ
てきた新米のサラリーマンの如く、ガチガチに緊張してしまってもいた。

06-131 :まるマ女体 5/6:2008/08/15(金) 10:00:12 ID:PNhEVi9u
 おれのそんな様子を見て、横にいるコンラッドが、口許に片拳を当ててクスッと笑う。

「どうしてそんなところに座るんですか?」

 からかうような、それでいてどこか甘い響きを含んだ声で言いながら、コンラッドは自
分から距離を詰めて座り直してくる。

「ちょっ……ち、近すぎ……」

 柔らかな太股が触れてくるぐらい密着した位置に座られてしまい、動揺したおれは思わ
ず上擦った声を上げた。

「どうしたんです、ユーリ? 急にそんなに恥ずかしがって。最近はもう、すっかり慣れ
てきたと思っていたのに……」

 子どもをあやすような、しかし、それにしては艶っぽすぎる声音で言いながら、膝の上
に置かれたおれの手をそっと撫でるコンラッド。

 慣れるってなんだ、慣れるって。慣れるほど、というか一度たりとも、コンラッドとそ
ういうコトをした覚えはないのだが、夢の中では、既にそういう設定が出来上がってしま
っているらしい。

「いや、その……えーっと……」
「可愛い……ユーリ……」

 しどろもどろになるおれのこめかみ辺りを、指先で優しく撫でながら、コンラッドは蕩
けそうに甘い声で耳許に囁いてくる。豊満な身体がより密着してきて、押し付けられた胸
の柔らかな感触に、否が応にも体温が上がってきてしまう。

「そ、そんなにくっ付かれると……って、ていうか、朝トレは?」

 つい流されてしまいそうになりながらも、精一杯の理性を振り絞り、おれは、ここに来
た本来の理由だったはずのことを指摘した。

「朝トレ?」

 まるで考えもしなかったことを言われたかのように、コンラッドはきょとんとした顔を
する。

「あなたがそうしたいのでしたら、そちらを先にしても構いませんが……でも、ヴォルフ
ラムに見つかる心配なく色々するには、この時間帯が最適なんですけどね。あの子、この
時間帯にはまだ熟睡中のはずですから」

 サラッとすごいことを言われてしまった。色々ってなんだよ、色々って。それは要する
に、朝トレと称し、婚約者(この夢の中じゃもう体の関係があるわけだから、『自称』婚
約者でもないわけだし……)の目を盗んで朝っぱらからイカガワシイ行為をしようという
ことなのか。しかもその相手がコンラッドじゃ、兄弟……否、姉妹どんぶりってことにな
ってしまう。

 なんて不健全でインモラルな性生活を……けしからん……と、夢の中のおれ自身に説教
かましたくなるが、不覚にも、同時に色々とアレな想像が頭の中で渦巻いてしまい、下半
身に熱が集まってくるのを抑えられない。

06-132 :まるマ女体 6/6:2008/08/15(金) 10:01:34 ID:PNhEVi9u
「それに……」

 そんなおれの葛藤をよそに、コンラッドは婉然とした笑みを浮かべると、その白い手を
おれの下半身に伸ばしてくる。

「このままじゃ、辛くないですか?」

 既に勃ち上がりかけていた場所を優しい手つきで撫で上げられ、耳に吐息を吹きかける
ように囁かれて、おれの思考は完全に停止してしまった。今まで以上に急激に下半身の一
点に血が集まってきて、半勃ちだったアレはあっという間にガチガチになってしまってい
た。

「コ、コンラッ……」

 なけなしの理性で制止の言葉を口にしようと開いた口は、彼女の唇によって途中で塞が
れてしまう。

 最初は啄むようだったが、徐々に深いものになっていき、舌を絡ませる生々しい水音が
薄暗い部屋に響く。

「んむっ……ぅっ……」
「ん……ふ、……んっ…………」

 柔らかい舌が口内で艶めかしく蠢き、じわじわと与えられる快感に、正直なおれの分身
が、ズボンの前を押し上げてますます膨れあがる。

「……はっ……っ……はあ…………」

 やっと唇が離れた頃には、お互いにかなり息が上がっていた。大人の女性の上気した顔
に、ゾクッとしてしまう。

「大分、辛そうですね。今、楽にしてあげますから……」

 大分切羽詰まっているおれの下半身を見てそう言うと、コンラッドはベッドから降り、
おれの前に屈み込む。そして、座ったままのおれのジャージの下穿きを半ばずり下ろし、
紐パンも手早く外して、完全に勃ち上がったモノを外気に晒した。

 ああ、これはもしかして……と期待に胸膨らませるまでもなく、コンラッドは何の躊躇
もなしにおれのモノに舌を這わせ始める。

「うっ…………」

 ゆっくりと裏筋を舐め上げられ、今まで味わったことのない快感におれは身震いした。
先端まで届いたところで、舌先で鈴口をくすぐられ、電流のような快感が体の中心を駆け
抜けていく。

「ユーリ…………」
 息を乱したコンラッドが、どこか切なげな熱っぽい声でおれの名前を呟き、先走りを零
し始めたモノを口に含んでいく。

「んっ…………っ…………」

 喉の奥からくぐもった呻きを洩らしながら、コンラッドは薄桃色に上気した顔を上下に
動かして、唇でおれのモノを扱く。

 舌での愛撫を続けながら、コンラッドは自らの軍服の上着とシャツのボタンを、片手の
指で器用に外していき、豊かな胸を露出させる。下着は既に着けていなかった。普段から
ノーブラ派なのか、今だけ敢えて着けていなかったのかは不明だ。

「ユーリは、こっちでする方が好きでしたよね……」

 そう言うとコンラッドは、その豊満な膨らみで、生まれて初めての強烈な刺激にずくん
ずくん脈打っているおれ自身を挟み込み、ゆっくりと上下させ始めた。

「うっ……く……」

 唾液と先走りの滑りを借りて、柔らかな膨らみに扱かれる感触と、大きく形の良い乳房
が、自分の性器を挟みながら思いっきりこね回されている光景に、おれはすぐに限界を迎
えそうになるほどの快感と興奮を覚える。

 擦る動きを速められると、あっという間に高みに上ってしまった。

「あっ……もっ……もう、出るっ…………!」
「あ…………」

 コンラッドの胸の間で、おれはあっけなく精を吐き出した。びゅくびゅくと飛び散る白
濁液が、彼女の胸や顔を遠慮会釈なく汚しまくった。


(つづく)

最終更新:2012年01月24日 09:54