06-387 :これでもバイオ好き:2009/05/16(土) 14:18:57 ID:Y9kwGNle
前半Part1

「弱き人間よ…」
後ろ手に縛められ、ぐったりと意識を失ったレオンの首筋に太い注射針が突き立てられた。
不気味な紫色の光を放つシリンジ内では、半透明の小さな物体が蠢いている。
ピストンがゆっくりと押され、その物体は薬液と共にエージェントの体内に送り込まれた。

「貴様には特別に新種のプラーガを投与してやろう。結果が楽しみだ。」
豪奢な僧衣に身を包み、フードを目深にかぶった男が意味深な笑みを浮かべる。

「この先の納屋に監禁しておけ。変化が現われたら報告しろ。」
男はそう言い残し、取り巻きを連れて部屋を出て行った。後には気を失ったままのレオンと、数名の男達が残された。



最初に気付いたのは窓を叩く雨の音だった。低い雷鳴がその音に混じる。
濁っていた意識が晴れ、粗末な石造りの壁と梁がむきだしになった天井が目に入った。自分は床に倒れていたらしい。

「ここは一体…?」
身体を起こして立ち上がろうとしたその瞬間、胸に激痛が走りレオンはうめき声をあげた。
何かが体内で蠢き、内蔵を喰い破られるかのような苦痛が彼を襲う。
言いようのない違和感を伴って両腕の血管が浮き上がり、それは首を這い登って顔面にまで達しようとしている。

「う、うわあああっ!」
わけの分からぬまま、レオンは絶叫を放った。

06-388 :これでもバイオ好き:2009/05/16(土) 14:21:17 ID:Y9kwGNle
Part2

 次の瞬間。レオンは木の床にうつぶせに倒れている自分に気付いた。
慌てて辺りを見回す。さっきと同じ小屋の中だ。

「今のは…夢だったのか?」
 少し混乱した頭で、今までの経緯を振り返ってみる。
誘拐された大統領令嬢の消息を求めて、スペインのとある寒村に足を踏み入れた時には、地元の警官達と一緒だったのを憶えている。
そこで目にしたものはまるで何かに操られたかのように凶暴化した村人達だった。
警官達は惨殺され、レオンはやむなく銃で彼らを撃退しながら村の奥へ向かった。
朽ちかけた廃屋の中で、ようやく何かを知っているらしいルイスという男に出会った。しかし、詳しい情報を聞き出す間もなく、彼らはルイスが「ビッグボス」と呼ぶ大男に捕えられてしまった。
その後の記憶は少し途切れている。気を失っていたのかも知れない。
隙を見てルイスと共に監禁されていた納屋を抜け出し、渓谷を通り、
再び村の中央から墓地と沼地を抜けて、湖で山椒魚の化け物と闘って。
そうだ、その後この小屋にたどり着いたところで急なめまいに襲われて気を失ってしまったのだ。

06-389 :これでもバイオ好き:2009/05/16(土) 14:24:43 ID:Y9kwGNle
Part3

それからどのくらい時間が経ってしまったのだろうか。辺りはすっかり暗くなっている。
とにかくハニガンと連絡を取らなければ。
レオンはふらつく身体をだましだまし立ち上がった。
手足に力が入らず、ひどく頼りない感じがする。
ちょうどその時、ベルトに取り付けた通信機が信号音を発した。
ディスプレイが明るくなり、眼鏡をかけた若い女性の像が映し出された。
この任務中に彼のバックアップを務めるハニガンだ。

「レオン、6時間も連絡をよこさないなんて…あなた、誰なの!!レオンは何処!?」
「何を言ってるんだ、ハニガン。俺はちゃんとここに…」
言いかけてレオンは声を失った。
彼の使っている通信機には二つのディスプレイ画面がついていて、左に通信相手が
右に自分が映るようになっている。
驚きに目を見開いたハニガンの隣にあったのは、見慣れた自分の顔ではなかった。
まず目に飛び込んだのは長く艶やかなハニーブロンドの髪。
晴れ上がった空を思わせる青い瞳。
柔らかなカーブを描く眉にほっそりとした輪郭、そして仄かに紅い形の良い唇。
髪と瞳の色こそ同じだが、どう見てもそれはたおやかに美しい女性の姿だった。
レオンはとっさに自分の頬に手をやった。
指の先に返ってきたのは、滑らかで吸い付くように柔らかい肌の感触。
本来ならあるはずの、髭の剃り跡はどこを探っても無い。
彼は弾かれたように窓辺へ走り寄った。折から閃いた稲光が、その姿を窓ガラスにはっきりと映し出した。
ディスプレイに映っていたのと寸分違わない顔を。

06-390 :これでもバイオ好き:2009/05/16(土) 14:27:15 ID:Y9kwGNle
Part4

「これは…」
呻くような声が、紅い唇から漏れる。
さっきは気付かなかったが、その声も細く高いものに変わっている。
嘘だ!こんなバカなことがあっていいはずか無い!
レオンは立ち尽くしたまま、自分の肩や腕、胴体を探ってみた。
厳しいトレーニングで鍛え上げた固い筋肉はもはや触れることができず、
しなやかだが華奢な身体がサイズの合わなくなってしまったコンバットスーツの中で泳いでいる。
そして、男を男たらしめている最も重要な器官は…?
もう確かめる勇気もなかった。立ち上がったときから身体の重心がうまくとれず
ふらふらするのはきっとそのせいだ。
―――自分は女になってしまったのだ。でも、何故?どうして?
「レオン、レオン!」
通信機から聞こえるハニガンの声が、かろうじてレオンを現実に引き戻した。

「ほんとうに、あなたはレオンなの…?」
「ああ。信じられないかもしれないが、俺はレオン・S・ケネディだ。嘘じゃない。」
「…分かった。あなたを信じるわ。一体何があったの?」
「それが、俺にも分からないんだ。急にめまいがして、気を失って。目を覚ますとこうなっていた。」
「めまい?さっき『血がまじった』とか言ってたことと関係が?」
ハニガンの声と表情は既に冷静さを取り戻していた。
どのような事態にあっても沈着冷静に状況を分析し、
的確な指示を与えることのできる彼女は、レオンの頼もしいパートナーだ。彼女に引っ張られるように、レオンもまた落ち着き始めていた。

「分からん…。とにかく任務を遂行する。」
レオンは通信を切り、窓から離れた。そうだ、今はうろたえている場合ではない。
兎にも角にも、ターゲットを確保し、無事合衆国に連れ帰らねばならない。
この身体について悩むのはそれからだ。
素早く装備を点検し、マガジンの残弾を確認すると『彼女』は小屋のドアを開け、雨の中へ一歩を踏み出した。

06-393 :これでもバイオ好き:2009/05/20(水) 23:18:14 ID:fHWtIGcA
後半Part1

「あと一つだ、クラウザー。」
 壁の外側に板切れを打ち付けただけの足場に立ち、レオンは崩れた塔の上から見下ろしている男に言った。

「決着をつけるか。」
厳つい顔に赤い迷彩を施した男は、この先もう武器は必要ないとでも言うかのように、
構えていたマシンガンを投げ捨てた。
半裸の男の胸から両肩にかけては恐ろしい程の筋肉の盛り上がりが見て取れる。
それが決してこけおどしではないことを、レオンはよく知っていた。
なぜならば、その男―ジャック・クラウザーは2年前まで合衆国エージェントとして
レオンと共に数々の過酷なミッションを闘ったパートナーだったからだ。
エージェントとしてのクラウザーは極めて優秀だった。
その彼が事故死を偽装してまでレオン達の前から姿を消し、アンブレラ復活を目論むウェスカーの組織に加わっていたとは。
狂った世界のパワーバランスを変えるため―クラウザーはそう言ったが、
それが何を意味するのか、また彼が何故そう考えるに至ったのか、
レオンには分からない。
ただ一つ確実なのは、最も敵に回したくなかった相手がいま、目の前に立ちふさがっているということだ。
 突然、クラウザーが低く唸りながら左腕を空に向けて突き上げた。
逞しい上腕筋が不規則にうねり、膨らんで変形していく。
見る間にそれは何とも形容しがたい異形の生物に変化を遂げた。

「これが寄生体の力だ。」
己の最高の武器を誇るかのように、クラウザーは言い放った。

「地に落ちたな、クラウザー!」
レオンは吐き捨てるように言った。
超人的な力を求めて自ら寄生体を取り込むなど、正気の沙汰とは思えない。

「いくぞ、レオン!」
異形の左腕の、剣のようになった切っ先を振りかざし、クラウザーが襲いかかった。
間一髪でかわし、体勢を立て直す。
息つく間も与えず、クラウザーがなぎ払いとまわし蹴りを繰り出す。
身体を低くして避け、カウンターを浴びせようと試みたが、
小さくなってしまった身体のせいでわずかにリーチが足りない。
銃による攻撃はことごとく左腕のブレードで弾かれ、相手にかすり傷さえ負わせることができない。
我知らず心に芽生えた焦りがレオンから冷静さを奪い、攻撃が乱れてゆく。
何度目かのジャンプ攻撃の後、クラウザーが膝をついた。
(今だ!)
レオンはマグナムを構え、全弾をその頭にめがけて撃ち込んだ。
が、普通の人間なら一発で吹き飛ぶはずのマグナム弾さえ、あっさり弾かれてしまった。
(何だって!)
驚愕が反応を遅らせ、あっという間に距離を縮められる。
足払いをまともに喰らい、レオンの身体が無防備な体勢で転がった。
その目に、閃くブレードが映る。

06-394 :これでもバイオ好き:2009/05/20(水) 23:21:42 ID:fHWtIGcA
後半Part2

(殺られる!)
レオンは思わず目を瞑った。
切っ先が石の床に刺さる鋭い音が、耳のすぐ際で弾けた。
レオンの細い首はブレードと床の間に挟まれ、
後はクラウザーが数インチ左腕を動かすだけで切断される。
だが、しばらくしても最後の一撃は来なかった。
レオンは恐る恐る目を開けた。
クラウザーが無表情に見下ろしていた。左腕のブレードはレオンの首に当てたままだ。

「なぜ、殺さない…」
「生け捕りにしろとの、サドラーの命令だ。」
「サドラーの?」
レオンの形の良い眉が、わずかに歪む。
サドラーが自分を生かしておく理由が見当たらない。

「サドラーはお前にことの外興味を持っている。
いずれ同化が完了すれば特別な役目を与えるそうだ。
その為に生かして捕え、『調整』しろ、とな。」
クラウザーの話す内容を、レオンはとっさには理解できなかった。
特別な役目?調整?その言葉の意味するところを悟った時、「彼女」は肌が粟立つのを感じた。

「女」としての自分の身体が男の欲望にさらされている。
それは名状しがたい嫌悪であり、恐怖であった。
ブレードの刃先が皮膚に食い込むのにも構わず、
レオンは身体をよじって逃れようとした。
しかし、その試みはクラウザーの腕力の前にあっけなく封じられてしまった。
身体が女性化したとはいえ、持ち前の瞬発力や敏捷性は少しも損なわれていない。
しかし、筋肉量の差だけはいかんともし難かった。

「寄生体のサンプルを手に入れるまで、サドラーに疑いを持たれるわけにはいかん。
悪く思うな。」
クラウザーはレオンの両腕を頭上に重ねて拘束したまま、
刃先を黒いアンダーシャツの下に潜り込ませた。
音をたてて布地が裂け、防護衣の留め具が弾け飛んだ。
無粋な戦闘服に隠されていた二つの丸い隆起が露になり、
夜明け前の薄明の中に乳白色の肌が浮かび上がる。
次にクラウザーはレオンのベルトに刃を当てた。
組み敷いた女の着衣を剥ぎ取る作業を、クラウザーは何の感情も表さないまま黙々と進めた。
まるで猟師が仕留めた獲物の毛皮を剥ぐような、機械的な手つきだった。
それがレオンはかえって恐ろしかった。
これが獣欲をむき出しにしている相手ならば、まだ付け入る隙もある。
だが今のレオンは、反撃の糸口すら見つけられないでいた。
共に闘っていた時には頼もしいと思ったクラウザーの冷徹さが、今はレオンを窮地に追い込んでいる。

06-395 :これでもバイオ好き:2009/05/20(水) 23:25:26 ID:fHWtIGcA
後半Part3

その時、首筋に押し付けられていたブレードがわずかに緩んだ。
本能的に体を返し、膝で這って逃れようとしたが、
途中までずり下げられたズボンが足に絡まり、思うように動けない。
たちまち太い腕に肩を掴まれ、床に引き倒された。
固い石の床で肩口をしたたかに打ち、一瞬息が詰まる。
ついに下半身を覆っていたアンダーウエアも引き下ろされ、
見事な曲線を描く尻が白日の下にさらされた。

「やめ、ろ…」
激しく咳き込み、涙を浮かべながら、それでもレオンは絶望的な逃走を試みた。
しかし、その努力は何の効も奏すことなく、易々と引き戻される。
クラウザーの手が、女ならば誰もが羨む細くくびれた腰をがっちりと掴み、固定する。

「No、no!」
次にくるだろう、最悪の事態を予感して、レオンは激しく頭を振った。
背後に布の擦れる音がして、むき出しになったその部分に熱いものが押し当てられた。
目には見えなくても、感触でわかる巨大さにレオンの身体がすくみ上がる。
レオン自身さえ触れた事の無い場所に、それは情け容赦なくねじ込まれた。

「Nooo!!」
絶望に染まったレオンの絶叫が、遺跡に響き渡った。
狭い入り口を引き裂かれる痛みと異様な圧迫感に、涙とともに嘔吐感がこみ上げてくる。
 滲んだ視界に、白い内股を伝う一筋の赤いものが映った。
かつて味わったことのない惨めさと口惜しさが、レオンを打ちのめす。

「苦しいか、レオン。」
レオンを苛む動きを止める事無く、クラウザーが言った。
レオンは拳を握りしめ、ギリリと音がする程に奥歯を噛み締めた。
――まだだ。まだ勝負が決まったわけじゃない。
寄生体の力で超人化していても、クラウザーの性機能が人間のままなら、
いずれ奴も気をやる。
男がいちばん無防備になるその瞬間、必ず反撃のチャンスが来る。
それまで、何があっても耐え抜いてやる。――
だが、続いて浴びせられた言葉は、その希望を打ち砕くのに十分なものだった。

「お前に植え付けられているのは、人間を繁殖用ガナードにする新種のプラーガだ。
第一段階として宿主を繁殖に適した形態に変化させる。
第二段階では性交が引き金となってプラーガが反応し、特殊な化学物質を放出する。
それが神経系に作用し、あらゆる刺激が性的快感に変換されるようになる。
そうなれば『調整』は完了だ。」
まるで学生に化学の講義をするような淡々としたクラウザーの声は、レオンの背筋を凍り付かせた。
自分の身体の変化が、プラーガと呼ばれる寄生体によってもたらされたということは、
ルイスが残した資料などから既に理解していた。
だが、その寄生体がそこまでおぞましい意図のもとに作られていたとは。

「い、いやだ、嫌だぁ!!!」
かつてラクーンシティでゾンビと化した人々に遭遇したときにも、
この村で想像を超える化け物共に相対した時にも感じたことのない恐慌が、
レオンの心臓をわしづかみにした。

「殺せ!!いっそ殺してくれ!頼む!」
「それは出来ん。諦めろ。」
「Noooooh!!」
恥もプライドもかなぐり捨てて、レオンは泣き叫んだ。

06-396 :これでもバイオ好き:2009/05/20(水) 23:29:38 ID:fHWtIGcA
後半Part4

どのくらいの時間が経過しただろうか。その兆候は突然現われた。
みぞおち付近に鳴りを潜めていたプラーガが、不気味な蠢動を始めた。
痛みとも痒みともつかない嫌な感覚が、大きな蜘蛛のように足を拡げてゆく。
ものの数秒で、それは背骨に達し、悪魔の刺を脊髄に潜り込ませて行った。

「ぐうっ…」
レオンの噛み締めた歯の隙間から、くぐもったうめきが漏れた。
刺の先端から放出された何かが血管に入り込み
血流に乗ってすさまじい速度で全身を駆け巡る。
ほんのり桜色に染まった肌の上を、えも言われぬ感覚がさざ波のように駆け抜けて行った。
体温が上昇し、心泊数が跳ね上がる。
絶え間なくレオンを苛んでいた下半身の痛みが、甘い痺れに塗り替えられて行く。
突き上げられ、押し広げられる度にそれは密度を増しレオンを追い上げた。
初めて知る女としての快楽に、レオンの脳は混乱し思考が失われて行く。
レオンは、快楽の波に飲まれて行く自分を引き戻そうと、二の腕に歯をたてた。
血がでるほど強く噛んでいるのにもかかわらず、
それは刷毛でなぞられている程の刺激しかもたらさなかった。
口の中に広がる血の味さえ、甘い。
皮肉な事にレオンの試みは、容赦なく高まっていく性感をさらに加速する結果となった。
秘所からの出血はとうに止まり、替わって溢れ出た愛液が内股を濡らしている。
レオンの意志とは裏腹に、女の器官は満たされることを望んで男根を喰い締める。
我知らず腰が揺らめくのを、どうする事も出来ない。
最後の意地で、声を漏らすまいとしたが、それも長くは続かなかった。
やがて、レオンの唇から艶めかしい嬌声がこぼれ始めた。
一度堰を切った流れは、もはや押しとどめることは不可能だった。
クラウザーの動きに翻弄されるままに、レオンは艶声をあげ続けた。
もう何も考えられない。
頭の中は白熱し、ただ快感に灼き尽くされる。
それは、数々の死闘を勝ち抜いて来た凄腕エージェントが、
発情した牝に堕ちた瞬間だった。

「地に落ちたのは、お前の方だったな。レオン。」
クラウザーの皮肉めいた言葉も、もうレオンには届かない。
高く掲げた尻を自分から激しく振り、ひたすらに快楽を貪るだけだ。

06-397 :これでもバイオ好き:2009/05/20(水) 23:35:19 ID:fHWtIGcA
後半Part5

突然、クラウザーがその動きを止め、レオンの体内から、
愛液にまみれた男根を引き抜いた。
中断への不満を訴えるように、レオンが振り返った。
クラウザーはレオンの身体を床に転がすと、膝まで下ろされていたズボンを剥ぎ取った。
レオンの身体の拘束は完全に解かれたが、もはや逃げることなど思いも寄らなかった。

「クラウ、ザ、やだ…もっと…」
レオンの口から途切れ途切れに零れ出たのは、拒絶ではなく哀願だった。

「慌てるな。」
クラウザーがレオンの膝の間に身体を割り込ませ、両腿を裏からすくいあげる。

「時間はある。望み通りたっぷり可愛がってやる。」
レオンの柔らかくほころび、濡れそぼった部分に再び隆々と屹立したものが突き込まれた。
求めていた物を与えられ、レオンはひときわ高く悦びの声を放った。
大きく足を拡げ、自ら腰を浮かせてて男をさらに深く迎え入れる。
凛々しい顔立ちは淫らに蕩けきり、かつて強い意志の光をたたえていた青い瞳は
焦点があわぬままに見開かれている。
ゾンビが食欲だけの存在ならば、今のレオンは性欲だけの生き物だった。
両足で男の身体をがっちりと挟み込んで、細い腰が淫靡なダンスを踊る。
嬌声をあげ続けるために閉じられない唇の端からは透明な唾液が筋を引き、
埃っぽい床に滴った。
夜明け前の湿った空気に包まれた廃墟に、レオンの嗚咽と淫猥な水音だけが海風の音に混じって聞こえていた。

夢中で腰を振っていたレオンの身体が大きく仰け反り、硬直する。
高まり切った性感が、一点を目指して収束していく。
目が眩み、一切の音が遠のく。
それが極まった瞬間、レオンは体中の細胞が弾けとんだかと思った。
絶頂を告げる言葉を口走りながら、クラウザーの背中に爪を立て、
2度、3度と痙攣を繰り返す。
一度頂点に達すれば後は急速に引いて行く男の快感とは違って、
エクスタシーの波は何度も何度もレオンを襲った。
頂上に追い上げられ、少し下がってはまた追い上げられる。
終わりの見えない快楽の地獄を彷徨いながら、
このまま死んでしまうのではないかという恐怖が灼け爛れた脳裏をよぎった。
――それでも、かまわない。
今はこの快楽だけがレオンの全てだった。
そうして幾度目かもわからない絶頂の果てに、クラウザーが放ったものを
身体の最奥に受け止めた瞬間、レオンの意識は失われた。

06-398 :これでもバイオ好き:2009/05/20(水) 23:44:38 ID:fHWtIGcA
後半Part6

――風向きが、変わったな。
裸の身体を冷たい床に横たえたまま、レオンはぼんやりと考えた。
遠くに聞こえていた海鳴りが、さっきより近くなっている。
少し前に意識は戻っていたが、何の行動を起こす気力も湧いて来なかった。
プラーガの作用があったとはいえ、あろうことか敵に犯されてよがり狂ってしまった。
自嘲と自棄が覇気を奪い、自堕落な余韻が全身を覆う。
――もう、どうにでもなれ。
自らの未来について想像を閉ざし、生まれて初めて諦めに身を任せた時だった。
しどけなく開かれた身体の上に、何かが投げかけられた。
剥ぎ取られたはずの黒いコンバットスーツ。
防護衣には装備がそのまま着いていた。
ホルスターにはマグナムも収まっている。
半身を起こし、スーツを手に取ったレオンの前に、
鈍い金銅色に輝く金属片が放り投げられた。
扉の鍵となる3つの聖獣のレリーフの最後のひとつだった。

「小娘を連れて、さっさと脱出しろ。」
「クラウザー?」
その真意を計りかねて、レオンは目の前に立つ男を見上げた。
既に着衣を整え、左腕は元に戻っている。

「ただで爺にくれてやるのも癪だ。」
本気なのか、それとも気の利いたジョークのつもりなのか、
相変わらずその表情からは読み取れない。

「礼は言わないぞ。」
視線を相手に据えたまま、レオンは言った。
クラウザーは答える事無く、ただ鼻で笑うとレオンに背を向け遺跡の階下へと姿を消した。

レオンは手を伸ばし、ハンドガンを手に取った。
冷たい銃身はずしりと重い。
寒さに凍えた身体に体温が戻るように
レオンは絶望と自棄に麻痺しかけていた闘争心が目を覚ますのを感じた。
そうだ、やけになっている場合じゃない。
自分には命に代えても遂行しなければならない任務があるのだ。
揺るがない意志の光を取り戻した瞳を行く先に向け、エージェント・レオンは立ち上がった。

06-414 :これでもバイオ好き:2009/06/22(月) 22:50:28 ID:oMcvjlRJ
今日こそはセーブして飲むぞ。と、いつも飲み始める前はちゃんと決心するんだよ、俺も。
けれどその通りにできた試しは滅多にない訳で。
今日も今日とてへべれけ寸前の千鳥足を引きずってアパートへ帰ってくる羽目になっちまった。
おまけに片腕には飲み過ぎの原因を作った張本人を抱えているもんだから、歩き難いったらない。
てこずりながら鍵を開け、とっ散らかったリビングを横切り、朝起きだしたまんまのベッドへ取りあえずこの『お荷物』を下ろす。
ほら、着いたぞ。水、飲むか?
「んん~。もう飲めない…。」
お荷物、もといレオンは枕に顔を埋めると、すやすや寝息をたて始めた。
ったく、いい気なもんだ。
事の発端はこうだ。アフリカ西部で大規模なバイオテロが画策されているとの情報がB.S.A.Aにもたらされた。
しかも、今回はウィルスではなく特殊な寄生体によるものらしい。
そこで俺は以前ロス・イルミナドス教団事件で寄生体に寄生された敵と闘った経験のある合衆国エージェント、
レオン・S・ケネディに連絡を取った。
レオンとは妹のクレアを通じて知り合った旧知の間柄だ。
南極での事件の後、クレアに引き合わされた俺たちはすぐに意気投合した。
たった1日とはいえラクーン市警の警官だったレオンは俺にとっては後輩に当たるし、
属する組織は違ってもバイオテロを撲滅するという志は同じだ。
レオンは俺の頼みを快く聞きいれ、忙しい中時間を割いて会いに来てくれた。
本来なら俺の方から行くべきなんだろうけど、チームの編成変えや何かで馴れないデスクワークに追いまくられて動けなかったからな。
待ち合わせ場所に現われたレオンを見て、俺は目玉が飛び出る程おったまげた。
何と、奴は……女になっていた。それもとびっきりの美女に。
そりゃまあ、奴は元々モデルか俳優でも通用するくらいのイケメンだったから、
女になったら美人になるのは当たり前っちゃ当たり前だけど。
何でも例の事件の際、教団にとっ捕まって特殊な寄生体を植え付けられ、身体が女性化しちまったんだと。
幸い脱出する前に寄生体そのものは除去できたが、もう身体は元に戻らなかったらしい。
とてもにわかには信じられない話だけど、本人を目の前にしては、
世の中にはそう言う事も有るかも知れないと納得するしかない。
レオンのレポートは俺も読んだが、人間を元の姿が想像できないような化け物に変化させる能力のある寄生体なら、
性別を変えるくらいは簡単なんだろう。

06-415 :これでもバイオ好き:2009/06/22(月) 22:53:00 ID:oMcvjlRJ
そんな訳で外見は別人(面影は残っていたけれど)になっても、
レオンの中身はちっとも変わっていなかった。
まっすぐで熱いハートのナイスガイだ。
ハリウッド女優も真っ青の美女をつかまえてナイス「ガイ」もないだろうけど、
事実そうなんだから仕方ない。
何と言っても、旧友と飲む酒は実に美味い。
お互い、間一髪で危機を乗り越えた後だけになおさら身に沁みる。
つもる話を肴に俺たちはついついグラスを重ね、気がついたときにはすっかり出来上がってたって訳だ。
俺より一足先に撃沈しちまったレオンを宿泊先に送って行こうにもそれがどこだかわからんし、
かといって放って置くなんて論外だ。
仕方なくアパートに連れて戻って来たけど、これってよく考えたら『お持ち帰り』しちゃったって事になるのか?
やべぇ、やべぇよ。ジル辺りに知られでもしたら、どんだけからかわれるか分かったもんじゃない。
言っとくけど、神様に誓って、そんな下心なんて1ミリグラムだってありゃしねえよ!
とにかく、俺はリビングで寝るとして、何か掛けておいてやったほうがいいだろう。
レオンの足下に丸まっているブランケットを拡げて着せかけてやろうとした時、
奴が何やら呟いたのが聞こえた。

「待ってくれ…エイダ…」
エイダ?やれやれ、こんな時にも女の名前かよ、と苦笑いしかけた顔がふと強ばった。
こいつだっていい歳なんだから、付き合ってた女くらいはいただろう。
それがこんな事になって、別れる羽目になったってのは十分考えられる。
レオンは「この身体にも、もう馴れたよ。」なんて笑っていたけれど、
望みもしないのにいきなり性別が変わってしまったんだ。
きっと、俺なんかには想像もつかない程のストレスや葛藤があるに違いない。
たまにはべろんべろんになるまで酒でも飲まなきゃやってられないよな…。

06-416 :これでもバイオ好き:2009/06/22(月) 22:55:05 ID:oMcvjlRJ
寝返りをうったレオンが、また何か呟いた。

「ナタリー」
えっ?さっきと名前が違うんですけど?
「アンジェラ…ニキータ、アイリーン…」
って、おい!!
「ユウコ、シャロン、リーファ、グレイス…」
お前、どんだけタラシなんだよっ!!まさか、クレアに手ぇ出してないだろうな!
前言撤回だ!心配して損したぜ、まったく!
ブランケットを放って立ち上がろうとしたとたん、
俺はいきなり強い力で腕を引っ張られてバランスを崩した。
細い腕が首に巻き付いて一気に引き寄せられ、すごい勢いでキスをかまされた。
ちょ、待て、俺はエイダでもアイリーンでもねぇ!やめろ、止めろって!
「なんだ、野郎かよ…あれ、クリス?」
野郎で悪かったな、そうだよ、俺だよ!クリスだよ!
「なんでクリスがいんの?」
お前が酔い潰れちまったから、俺ん家に連れて来てやったんだろーが!
「ふーん、そうだったのかぁ。ま、この際クリスでもいいや。」
クリスでも、って何だよ。でもって。

「ヤろうぜ。」
ななな、何をヤろうってんだよ?
「せっくす。」
アホかーっ!!!!んなことできる訳ねえだろうが!
正気に戻れこの酔っぱらい!つか、お前、酒癖悪過ぎだぞ!
レオンは俺の抗議なんぞ聞く耳持たず、さらに強く引き寄せて唇を押し当ててくる。
ちょ、舌入れるなってば!
さっきはビックリして気付かなかったけど、すげぇ熱くて柔らかい。
それに…タラシだけあって?むちゃくちゃ、巧い。なんかくやしいぞ、おい。
あ、ヤバい、あそこがむずむずして来ちまった。
ここんとこ、忙しくてご無沙汰だったからな。

06-417 :これでもバイオ好き:2009/06/22(月) 22:57:12 ID:oMcvjlRJ
などど余計なことを考えてるうちに隙をつかれ、マウントポジションを取られちまった。
急所を決められて、思うように動けない。
歩くのもやっとだった癖に、なんだよその体術のキレは!
よく考えてみたら、こいつってたった一人でカルト教団(含む化け物)ひとつぶっ潰した、
シングルアーミーなんだよな。
おたおたしてるうちに、レオンは俺に馬乗りになったまま、シャツとブラを脱ぎ捨てた。
むき出しになったバストは、大きさこそ標準だけど形は理想的だ。
眩しいくらい白い肌に、チェリーピンクの乳首が実に美味そうで、俺は思わず生唾を飲んでしまった。
ウェストは俺の両手にすっぽり収まるほど細くて、小さくキュッとへこんだ臍が何ともセクシーだ。
つい見とれていると、レオンが意味ありげに笑いながら俺のジーンズのボタンに手を伸ばして来た。
ちょ、マジやばいって。これ以上何かされたら、俺だってもう自制が効かねえよ。
そりゃ俺も昔は結構やんちゃだったからさ、酒飲んで盛り上がって
その日会ったばかりの女とヤッちゃった事もあったから、
アルコールのせいでそーゆー気分になるのも分かるけどさ。
お互いそろそろ分別があってもいい歳なんだし、
それより何より酔った勢いで友達とセックスしちまったりしたら、後ですげえ気まずいぞ。
いや、ほんと。
だから止めとこ、な。止めて下さい、お願いします。
……そうですか、止める気ナッシングですか…

06-418 :これでもバイオ好き:2009/06/22(月) 22:59:14 ID:oMcvjlRJ
ええい!こうなったらもうヤケだ!後からそんなつもりじゃなかったとか言っても知らんからな!
着ている物をそこいら辺に脱ぎ散らかし、同じく素っ裸になったレオンとベッドの上でもつれ合う。
すこし汗ばんでしっとりとした肌が、柔らかく吸い付いてくるようで心地いい。
たわわに弾む胸をそっと掴み、ツンと立ち上がった乳首を口に含んで舌で転がしてやると、
レオンは喉を反らせて啼くような声をあげた。うおお、そそるぜ。
上になったり下になったりしながら、お互いの身体を隅々まで探り合う。
レオンの、バービー人形みたいにすらりと長い両足の間に手を伸ばすと、そこはもう洪水状態だった。浅く指を埋め込んで小刻みに動かすと、奴はいっそう悩ましい声を漏らして腰を揺らめかせた。
それに合わせるように俺の指を包んだ柔らかい壁が蠢き、もっと奥へと誘い込もうとする。
俺のミサイル(断じて豆鉄砲では無い!)のほうも、発射準備完了で臍にタッチせんばかりの体勢で待機している。
レオンが俺の背中をベッドに押し付け、腹の上に跨がった。ちらりとこちらに視線を投げ、ゆっくり腰を落とす。
ちょっと待った!!ナマはまずいだろ、生は!!
そのまま一気にいってしまいたいのを辛うじてこらえ、慌ててサイドテーブルの引き出しを探る。
しばらく使ってなかったから、見つけ出すのにすこし手間取ってしまった。
せっかく高まった興奮に水を差されて、レオンは不満顔だ。

「だっせ。最後に使ったのいつだよ?」
うるせえ、余計なお世話だ。

06-419 :これでもバイオ好き:2009/06/22(月) 23:00:57 ID:oMcvjlRJ
今度こそ準備万端整え、いよいよ本番だ。なんかドキドキしてきたぞ。
レオンはぺろりと自分の唇を舐め、右手の指でこれから俺の入る場所を押し広げた。
綺麗なピンク色の内壁が粘液に濡れてぬらぬら光っている。
うお、いい眺め。鼻血吹きそう。
次いで左手をゴムを被せた俺の分身に添え、その場所へと導いて行く。
熱く蕩けた粘膜に分身を飲み込まれ、俺は思わず呻き声を漏らした。
あああ、俺いまあのレオンと合体しちゃってるよ。
奴がエロいとしか言いようの無い声を上げながら腰を振り始めた。
いきなりトップギア、エンジン全開だ。うああ、容赦ねえ!
腰の動きに合わせるように内部がうねり、俺を喰いちぎらんばかりの勢いで締め付けたかと思うと
柔らかまとわりつき、ひくひくと震える。
ポルノ小説でしかお目にかかったことががないけど、これがいわゆる名器ってやつか?
反撃の余地もないまま俺はコーナーに追いつめられ、あっという間にダウン寸前だ。
溜まるだけ溜まってたとはいえ、このまま呆気なく終わってしまうのはいくらなんでも情けなさすぎる。
俺にも意地と面子ってもんがあらあ。
必死で化学反応式を思い浮かべたりレポートの文章を反芻してみたけれど、無駄だった。
頭の中でテンカウントが聞こえ、ゴングが鳴り響く。
……負けた。完敗だ。

06-420 :これでもバイオ好き:2009/06/22(月) 23:03:56 ID:oMcvjlRJ
レオンを見上げると、案の定『えっ??』というような顔をしている。
頼むから時計を確認しないでくれ。
あ、あのな、これは久しぶりだったのと、酒と、油断のせいであって、
いつもこんなに早いわけじゃないからな。
あ、何だその微妙な表情は?
『うんうん、分かってる。』って、ほんとはそう思ってないだろ絶対!
これはナニか、アダルトビデオとかで男が自分より粗チンだったり早漏だったりすると妙に嬉しいという、例のアレか?
…何かアタマにきたぞ!リターンマッチじゃ、リベンジじゃあ!!
繋がったままレオンの腰を抱え、上半身を起こして体勢を立て直す。
今度は俺が奴の上に乗っかる形になった。
自慢じゃないが、回復力には自信がある。このまま2ラウンド目突入だ!
驚いたレオンが何か言う前に、攻撃を開始した。先手必勝!攻撃は最大の防御だぜ!
上から抉るように、下から掬いあげるように、ガンガン突きまくる。
たちまち奴は泣き声をあげながら、俺の首っ玉にかじりついてきた。

「ああっ!クリス、凄いっ!」
ふっふっふ。1回出してるから、今度は余裕だぜ。
強く弱く、リズムを取って攻めながら、レオンの様子をうかがう。
ようし、そろそろだな。
頃合いを見計らって、ぎりぎりまで引き抜いて一気に突き入れる攻撃パターンに切り替える。

「こっ、壊れる!壊れちゃうよぉ!」
レオンは半狂乱になって長い髪を振り乱した。
動きが一瞬止まり、俺を飲み込んだ器官がビクビクと痙攣して奴が絶頂に達したことを伝える。

06-421 :これでもバイオ好き:2009/06/22(月) 23:05:27 ID:oMcvjlRJ
こっちもつられてイきそうになるのを何とか踏みとどまり、
ぐったりしているレオンを膝の上に抱きかかえて今度は下から揺さぶりにかかる。
いわゆる対面座位ってやつだ。
上体を反らせてベッドに手をついたレオンの尻を左右からがっちり掴み、
深く結合しながらじっくり攻めたててやる。
奴はもう喋ることもできずに、切れ切れに啜り泣くだけだ。
突き上げる動きに合わせてぷるんぷるんとバストが揺れ、
繋がった部分からグチュグチュとやらしい音が響く。
安物のベッドが盛大に軋んで今にもぶっ壊れそうだけど気にしない。
アパートの壁が薄くて防音がいまいちなのはちょっと気になるけど。
とろとろの熱い肉が、また小刻みに震えながら俺を喰い締めてきた。
これ以上は俺も堪えられそうにない。
よし、今度は一緒にいくぞ。
レオンの背中を支え、耳元でそう囁いてやると、奴は頷いて腕を首に巻き付けて来た。
そのまま唇を重ね、舌を絡め合いながらお互いのタイミングを計り合う。
二人ほぼ同時に沸点に達した快感が背骨を駆け上り、俺は今日2回目の爆発の瞬間を迎えた。
もつれあったままベッドに倒れ込み、しばらくは言葉もなく肩で息をする。
喋るのも億劫なほど消耗している癖に、一旦火の点いた欲望は一向に収まる気配もない。
まだまだ序の口だからな。覚悟しろよ、レオン。
そう言うと奴はにっと笑って親指を立てやがった。

06-422 :これでもバイオ好き:2009/06/22(月) 23:09:15 ID:oMcvjlRJ
飲み過ぎた翌日に頭が痛くなるのは当然の事としても。
今朝の俺の頭痛はアセトアルデヒドによってもたらされたものでは無かった。
いつもよりずいぶん遅く目を覚ました俺は、数分後には文字通り頭を抱えることになった。
昨夜のあの強烈な出来事は、実は夢だったんじゃないかと最初は思った。
だって突拍子もなさすぎるだろ?
あのレオンが女性化してて、しかもそれとやっちまったなんてさ。
夢で終わらせないとか何とか、能天気な歌があったような気がするけど
夢であってくれと切に願わずにはいられない。
だけどベッド周りの惨状を見れば、あれは現実だったと認めざるを得ない。
ベッドはぐちゃぐちゃ、シーツはガビガビ、服や靴はそこらじゅうにほっ散らかされて、
ゴミ箱には丸められたティッシュの山。
中身はもちろん使用済みコンドームだ。優に半ダースはある。
しかし、あれを使うだけの理性が残ってたんなら、なんで思いとどまらなかたんだよ、俺。
しばらく酒は控えよう。真剣にそう思った。
それにしても。
俺は傍らでまだ眠っているレオンにちらりと目を向ける。
こいつが起きたら、何て言やいいんだ?
『昨夜のあれ、一時の気の迷いだから。無かったことにしといてくれる?』
とは言えないよなあ。
かといって、『責任とります。』というのも何か違う。いや、絶対違う。
とにかく気まずい。むちゃくちゃ気まずい。
などと悶々としているうちに、昨夜のクレイジーとしか言いようの無いのアレやコレやを
ばっちり無修正で思い出してしまい、顔がかーっと熱くなった。
酒の勢いって恐ろしいわ。素面じゃぜってー無理だ、あんなこと。
しかし。それだけ酔っぱらってたとなると、ちゃんとしたつもりで実は出来てなかったかもしれないな…避妊。
顔面に上った血が、こんどはざーっと音をたてて引いて行く。
どどど、どうしよう?失敗してたら、やっぱり結婚するしかないのか?そうなのか?
第一、 あいつは法的には男、女どっちなんだ?

06-423 :これでもバイオ好き:2009/06/22(月) 23:16:05 ID:oMcvjlRJ
一人で赤くなったり青くなったりしていると、レオンが目を覚ました。
奴も最初は状況がよく理解できていない様子だったが、そのうち思い出したらしい。
天を仰いで額に手を当てている。
あ、あのな、レオン…。

「あちゃー、ま た やっちまったか…」
またって、お前!
「あ、いや、そんなしょっちゅうって訳じゃ…」
あたりまえだ!こんなこといつもやってたら洒落にならんぞ!
そ、それよりな、大丈夫なのか?
「へ?何が?」
に、にん、妊娠だよ!可能性はないのか?
「あー、それなら無い、無い。多分。」
多分、なのか…。

「おれ、今まで妊娠とかしたことないし。」
お前、ついこの間まで男だっただろうが。

「ま、平気でしょ。もし2ヶ月たっても生理が来なかったら連絡するし。」
………………。

「じょっ、冗談だってば!そんなもん、ハナっから無いって!
生殖能力のある寄生体は除去済みだから、もう大丈夫だよ。」
先にそれを言え、先に!
「だから、全然気にする必要ないぜ。クリスが初めてって訳でもないし。」
それはそれで、問題があるような気もするが。

「ほら、あれだ、何つうの?犬に噛まれたと思って忘れなさいってやつ。」
おまえはケルベロスかよ。

「ちょっと違うか?出会い頭の事故みたいなもん?」
なんか泣けてきた。いろんな意味で。

流石にレオンも気まずかったのか、シャワーも浴びずそそくさと、
けれど妙にすっきりした顔つきで帰っていった。
嵐が去った後に、俺だけがぽつんと取り残されたみたいだ。
その嵐たるや、カトリーナ並みのハリケーンだったけど。
床の上に投げ出されたジーンズを拾い上げ、ポケットから携帯電話を取り出す。
ちょっと迷った後、俺はある番号を押した。
………あ、バリー?おれ、クリス。今、大丈夫?休みの日に悪いな…
いや、別に急用って訳じゃないいんだけど……ちょっと話したくなってさ…
うん…聞いてくれる?


クリス・レッドフィールド32歳独身の、明日はどっちだ?

最終更新:2012年01月24日 10:03