- 07-206 :Metamorphose Panic1:2011/05/03(火) 08:17:44.05 ID:+lEC/6dm
- ある日目覚めたら、俺は女になっていた。
「ぎゃあああああああああああっっっ!!!」
自分の姿を鏡に写したら、胸元にあるやたらと大きな膨らみが見えた。
その時あげた悲鳴が、自分の聞いたことがない甲高い声で、自分でも耳障りだった。
「今度の世界は、士くんが女の人になる世界なんでしょうか?」
「……知らん」
「しかし、士が来た時驚いたよね夏海ちゃん。俺、一瞬誰かと思ったよ」
「そうですね」
「……さっきから何度同じ事を話してるんだ、おまえ達は」
黙々と朝飯を食っている俺を、舐めるように見つめてくるユウスケと夏みかんに溜息混じりで言う。
朝、目覚めてこんな身体になっていると気付き、渋々とスタジオ兼リビングに入ってきた時の奴らの顔は、なかなかの見物だった。
夏みかんは俺を見た途端、目を真ん丸にして固まって、ユウスケは手に持ってたカップを落としていた。
いつもなら笑ってやるところだが、こんな格好じゃ笑えもしない。
「それで、結局それはなんなんだろ?なんかの呪い?」
「呪いって、非現実的過ぎます」
あぁーもう!煩せぇ!!そんなの俺が知るか!!
俺はイラついて朝飯のウインナーを乱暴に突き刺した。
「しかし、顔も声も違うのに士なんだな」
「そうなんですよね。流石と言うべきでしょうか」
畜生、見世物じゃねえんだから、そんなにジロジロ見てんじゃねえ。まったく、飯もろくに食えやしねえ。
変な空気の中、朝飯を食い終わりコーヒーを飲んでいるところ、夏みかんがズイと顔を近づけた。
「士くん。洋服そのままじゃダメだと思います。それに下着も。多分、私のは入らないと思いますから、あとで買い物に行きましょう」
「必要ねえ」
女物の服なんか絶対着ねえ。下着なんぞもってのほかだ。
「必要なくなんかありません!ちゃんとよく見てください。あのユウスケの顔!!」
夏みかんがビシッと、ユウスケの奴を指差したから見てみたら、奴はややニヤついて鼻の下を伸ばしていた。
は?何でそんな面白い顔をしているんだユウスケ。
「ノーブラでシャツ一枚。しかも私より胸が大きいのにそんな格好……同じ女として許せません!」
最後は私情が挟まってるような気がするぞ、夏みかん。
まあ……言ってることもわからんでもない。
今の俺の格好は、裸にそのままシャツ一枚といつものパンツスタイル。全体的に細くなってるみたいだが、尻と胸だけ窮屈とかどうなってんだこの身体は。しかも胸元は大きく開いてしまっている。
だからと言って、別に隠すつもりはねえ。女じゃねえんだし。
つーわけで、女装なんぞ絶対するつもりはねえ。
「俺は女じゃねえし、女物なんぞ着たくねえ!」
「だったら下着だけでも」
「これが目立たなくなりゃ良いんだろ?それに、そんなもん着けなくても何も困らないだろ!」
「だーかーら!困るんです!!痛い目に合いますよ!」
「痛い目って……どう困るんだよ」
「まず、走り辛くなります!それに肩凝りも酷くなりますよ!」
「はぁっ!?」
何なんだいきなり。意味がわからないことを言い出したぞこいつ。俺が女の下着を着けない事と、肩凝りとかが何の関係があるんだ?
「あと……」
「なんだよ……?」
「そんな格好のままだと襲われますよ?」
「はぁ?何言ってんだ夏みかん!?俺をどこの誰が襲うっていうんだよ」
そんな奴がいたら返り討ちにしてやる。
「と……とにかく!後で買い物に行きますよ!」
「意味がわからねえ!!絶対行かねぇからな!!」
夏みかんの強引な決定に、俺は断固反対した。その時。
「なんだか賑やかだね?どうしたんだい?」
あぁ……また、うるさい奴がやってきた。
- 07-207 :Metamorphose Panic2:2011/05/03(火) 08:20:54.15 ID:+lEC/6dm
- 「大樹さん。勝手に人の家に入ってくるのはやめてください」
「やれやれ、相変わらず細かいなぁ、夏メロンは。そんなんじゃ、つかさ……に……」
ガシャーン……!!
海東の奴、俺と目が合った途端、持ってたディエンドライバーを落として石化しやがった。おまえもなのか、面倒臭い。
てか、いきなり落としても暴発しないんだなあれ。
「もしかして……士なのかい……?」
フルフル震える指を俺に指して、確認をする海東。だから、もうそれはいい。俺はうんざりして溜息をついた。
「あぁ、そうだ」
「あ、大樹さんなら士くんがこうなった理由がわかるんじゃないんですか?」
「いや、流石に僕もわからない」
海東は俺を見て暫く呆けていたが、夏みかんの声にハッとしたようで、ディエンドライバーを拾っていつもの表情を取り戻して首を振っていた。
「そうですか、困りました」
はぁ……と、溜息をつく夏みかん。いや、困ってるのはこっちだ。
「それにしても、ものすごい変貌だね。士」
「煩い、うせろ」
厭味なほどの笑顔を見せて俺に近づいてくる海東に、ふぃとそっぽを向いてやった。のに、こいつは笑顔を崩さなかった。
「いつもながら酷いなぁ……って、あっ!凄いお宝を持ってるね」
「ーーーーーっ!!!!!!!」
しかもコイツ、シャツを指で引っ掛けて中を見やがった!!
「何しやがるテメエ!!!!」
「やだなぁ、ちょっと見ただけじゃないか。別に良いだろ?女の子じゃないんだから。それにしても士、隙だらけだよ?」
「うるせえ!!」
確かに油断してたが、普通見るか!?男の胸だぞ!!
流石、海東だ。頭がおかしい。
「もしかして、夏メロンより胸大きくないかい?」
しかも、そのあと余計なことまで言いやがるんだコイツは。
口は災いの元とか言う言葉を知らないのか?馬鹿なのか?
てか、夏海の胸を見た事があるのかテメエ!!!!
「何言ってやがる」
「やだなぁ、そんな怖い顔をしないでよ士。適当に言ってるだけじゃないか」
「本当だろうな……?」
「そうなんです、大樹さん」
「「えっ?」」
いきなり夏みかんが会話に割り込んできて、海東と声がハモってしまった。
「士くん、私より胸が大きいんです」
「夏みかんっ!おまえ、何言いやがる!」
「へえ……♪」
「男の人なのに、こんなに大きいなんて許せません!!」
と、夏みかんはあろうことか俺の胸をがっしりと鷲掴みにした。
- 07-208 :Metamorphose Panic3:2011/05/03(火) 08:23:34.15 ID:+lEC/6dm
- 「な……夏みかん!やめろ」
「いいなぁ……士くんの胸。柔らかくて気持ち良い」
さも、羨ましそうな顔をして、俺の胸を揉みはじめる夏みかん。
いや、おまえも相当でかいだろ。俺はそれで満足してんだから気にするな。
と、言っても無駄な気がする。とにかく、夏みかんのその手を払いのけようとしたら、今度は海東からがっしりと腕を掴まれた。
「ダメだよ士、大人しくしなきゃ」
こいついきなり何を……って!!
おいっ!おいおいおいおいっ!!こいつ、笑ってるけど目がめっちゃ据わってる!!獲物を見つめるハンターの目だ!!
な……何で、今トレジャーハンターモード入ってんだ!!
「わたしもこれくらい大きかったらなぁ……」
「そしたら士をもっと悦ばせる事が出来たのにね、夏メロン」
いまだ大胆に胸を揉む夏みかんと、ややしゃがんで俺の腰に腕を回しはじめた海東。
だからだな、夏海。今でも充分満足……
とか、思ってる場合じゃない!!ヤバい!!この状況は非常にヤバい!!ヤバすぎる!!
このままじゃ間違いなくこいつらに食われる!!
「もう、良いから離せ!!」
必死に叫びバタバタと手足をバタつかせて身体をよじるが、海東の奴がしっかりと身体を押さえ込んでて身動きが取れない。
何だこいつ、ここまで力あったか?こんだけ抵抗してビクともしないなんて有り得ねえ。
て、言うか。もしかして、俺が女並の力しかないのか……?
…………………ますますヤバい!!!
てか、なんでこんな事になったんだーーー!!!!!!!
と、思っている間も夏みかんの手は俺の胸をまさぐってて、何かを感じたのか嬉しそうに目を細めて笑った。
「あの……士くんの、硬くなってきてますよ」
この女……!!絶対楽しんでんな。
「えっ?士、夏メロンに揉まれて感じてるのかい?案外厭らしいんじゃないのかな」
食いついてんじゃねえよ!この変態野郎!!
「夏メロン。そこ、ちゃんと触ってあげたらどうだい?」
「はい」
「海東、テメっ!余計なこ……んっ!!」
夏みかんから硬くなっているらしい乳首をきゅっと摘み上げられて、思わず詰まった声が上がり身体がビクンとなった。
な……なんだこれ……?女ってこんなに感じるのか……?
「あ……可愛い。士くん」
それを見て夏みかんが調子に乗って摘んで引っ張って引っ掻いて……
その度にビクビクと身体が震えて、言いようのない感覚が駆け巡った。
「や……やめっ……ん……!」
「随分可愛らしい反応するんだね?士」
喧しい!いちいち食いついてくるな!!このド変態コソ泥野郎!
と、罵ってやりたいのに変な声が出そうで言えねぇ。あぁ、くそっ!夏海ごときにこんなっ……
はっ!!そうだ!!
「お……おい!おいっ!ユウスケ!!こいつらどうにかしろ!!」
なんとかユウスケの方を見て助けを求めたら、奴は腕でバツを作り必死に首を横に振っていた。
「お……おいっ!!ユウスケ!!どこ行くっ!!」
そして、そそくさとリビングから退散しやがった。そうか、狂暴みかんと変態コソ泥には関わりたくねえってわけか!そうなのか、小野寺ユウスケ!!
見てろよ、男に戻ったらギッタギタにしてやる。
「だから言ったじゃないですか。襲われますよ……って」
「意味が……わからねぇ!!」
まさか女になって、しかも、恋人から襲われそうになるとか有り得ねえだろおまえ。
「人の言うことを聞かない人にはお仕置きです」
は?いや、女物の服着たくないとか至極当たり前な反論だろう。とか言いたかったが、その前にシャツをガバーッとたくし上げられた。
「☆〇△×□※$¥*!!!!!!」
思わず声にならない悲鳴が上がる。男なのに自分の胸がプルプル揺れるという、有り得ない光景を目の当たりにしてしまった。
「凄い、士くん。胸の形すごく綺麗です」
わざわざ感想を述べるな、夏みかん。それと同時に、海東の息を飲む声が聞こえて身体が硬くなった。
「大樹さんも一緒にお仕置き、しますよね?」
ニッコリと海東に微笑む夏海の顔が、悪魔の微笑みに見えた。
- 07-209 :Metamorphose Panic4:2011/05/03(火) 08:30:12.32 ID:+lEC/6dm
- 「それにしても、自分の恋人を他の男に抱かせるなんて、ずいぶん寛大だね。いいのかい夏メロン」
「今日だけ特別です。そのかわり、ちゃんと避妊だけはしてください。士くんと大樹さんの赤ちゃんが出来たら困ります」
「OK。じゃあ、士のハジメテは君に譲ろう。感謝したまえ」
「当たり前です!士くんのハジメテは私が貰います!」
ちょ……!!ちょ、ちょ!!ちょっと待て!!!
おまえらなに俺を差し置いて、そんな恐ろしい話しを進めてやがる!俺の意志はどこだ!!
「お………おまえら、ちょっと落ち着け!!」
「やだなぁ、士。僕たちはすごーく落ち着いてるよ?ねえ、夏メロン」
「はい。寧ろ、士くんが落ち着いてください」
いきなり海東から抱き抱えられて(しかも、俗に言うお姫様抱っこだ!!気持ち悪過ぎる!!)、リビングから俺の部屋まで移動させられた。
それから、ベッドに投げ出されてあれよあれよと言ううちに素っ裸にされてしまっていた。
そして今は、背後には海東がべったり引っ付いて、身体のあちこちを撫で回している。
そんな状態で、落ち着いていられるものかーーーーーー!!!!!
「わかった!!着る!!女物の服も下着も付ける!!わかったからやめろ!!………ふぁ……っ!」
なんとか止めてもらおうと必死に叫んでいる途中に、海東が胸をやんわりと掴んできて、思わず変な声が上がってしまった。
「ぁ……やめ……かい、と……」
「まったく………いまさら往生際が悪いよ、士?大丈夫だよ、心配しないで。僕たち二人で気持ち悦くさせてあげるから」
「ば、か……いうなっ……ぁっ……」
「ほら、可愛い声が出てるじゃないか」
無駄にでかい乳を下から持ち上げ、先端を弄りながら、海東が言う。
奴の指が動く度に、感じたことのない感覚に襲われた。
「そんな声、で、て……ねえっ!」
「可愛い、士」
うっとりした声出してんじゃねえ!つか、なんか尻に当たってるんだよ!!気持ち悦くなってんのはおまえだろうが!!
てか、気持ち悦くするとか、そう言う問題じゃねえ!!
「そうです、士くん。今更です」
おまえまで言うのか夏みかん!!
「大丈夫です。同じ女ですから、士くんのイイところわかります」
いや、だからそういう問題じゃねぇ!!
「ちがう!そうじゃねえ!!俺は襲われるのなんかまっぴらごめんだ!!」
「そんなに嫌がらなくても良いじゃないか」
「くそ!!離せ!!この、ド変態バ海東!!」
「…………………さあ、ヤろうか、夏海」
どうやら海東の奴、俺の罵倒が気に食わなかったらしい。少しの沈黙の間、俺の腕を痛いくらい掴んで、夏海にそう言った。
最終更新:2012年01月24日 10:17