- 07-518:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:41:11.56 ID:Yd/jNab0
- “偉大なる航路”の後半の海――通称『新世界』を航海中の麦わらの一味は、とある無人島に辿り着いた。
記録指針を引きつける磁気も安定していたその島は、一見して何の変哲もない、緑豊かな小さな島で、パンクハザードなどとは違って上陸に難はなさそうだった。
新しい島にはしゃぐルフィは、錨を下ろすのすら待たずに、腕を伸ばして島に生えている木を掴み、パチンコのバネよろしく跳んで行ってしまった。
「ルフィ~!!! もう、またアイツは何も考えず飛んでくんだから……」
毎度のことながら自由奔放すぎる船長の行動に溜め息を吐くナミ。
島の沿岸に船を寄せて錨を下ろした頃には、ルフィの姿は鬱蒼とした森の奥に消えていた。
「ったく、しょうがねえ奴だ……おれが行って探してくる」
真っ先に地面に降り立ったのはゾロは、そう行ってさくさく歩き出す。
「オイオイオイオイ!! お前一人で行く気か!? 止めとけ!! 行方不明者が一人増えるだけだ!!」
「てめぇはいい加減に己を知れ、迷子マリモ!!」
すかさず、ウソップとサンジが一斉にツッコミを入れる。
かくして、方向音痴な剣豪の迷子防止と島の偵察も兼ねて、ゾロ、ウソップ、サンジの三人が、森に消えたルフィを探しに行くことになった。
森には、見たこともないような種類の虫や、形は見慣れていても有り得ない大きさをした虫が多数生息していた。ムカデやらクモやら、いわゆるサンジの言うところの“気味悪い系のやつ”も多く、度々野太い悲鳴が上がった。
「なんだよサンジ、まだ虫嫌い直ってなかったのかよ」
「修行が足りねえな」
「うるせえ! おれは虫とかオカマとか、おぞましいモノは全般大っっっ嫌いなんだよ!!」
その情けない姿を見て笑うウソップとゾロに、サンジは全力で怒鳴り返した。
森に響いたその怒鳴り声の木霊が消えたのと、ほぼ同時くらいだった。不意に三人の頭上から、無数の羽音のようなものが聞こえてきたのは。
不思議に思って空を振り仰いだ三人は、思わず一瞬硬直した。
人間の身の丈くらいあるような巨大な蚊の群れが、いつの間にか三人を取り囲んでいたからだ。
無数の蚊が一斉に飛びかかってきた瞬間、三人は散り散りに跳び退った。ゾロは刀に手を掛けながら、サンジは煙草をくわえ直しながら、ウソップは盛大な悲鳴を上げながら。
次々襲いかかって針を刺そうとする蚊共を、ゾロの刀が両断し、サンジの蹴りが潰し、ウソップの火薬星が撃ち落とすが、何分、数が多すぎてなかなか片付かない。
- 07-519:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:41:54.06 ID:Yd/jNab0
- 「ぎゃああ~っ!!」
ウソップの口から、叫び声が上がる。驚いた残り二人がそちらに目を向けると、ウソップの背中に一匹の蚊が取りつき、その巨大な針を後ろから突き立てていた。
「ウソップ!!」
一足跳びに近付いたゾロが蚊を斬り払おうとしたが、その刃が届くよりも先に、蚊の方がウソップから離れて飛び立った。
ウソップはそのままうつ伏せに倒れ、気を失ったのか、動かない。
一匹が獲物を仕留めたことで、目的を果たしてしまったのか――蚊の群れは、さっきまでの猛攻が嘘のように、ぴたりと襲ってくるのを止め、一斉に上空へ飛び上がると、そのまま遠くへ跳び去って行ってしまった。
「畜生、あの虫ケラども……!」
憎々しげに空を睨みつけて、くわえ煙草を噛みちぎるサンジだったが、すぐに倒れ伏した仲間の方に向き直る。
「おい、マリモ! ウソップは無事か!?」
「ウソップ! 大丈夫か!?」
倒れ伏したウソップを、ゾロが揺り動かす。
幸い息はある様子だったが、ウソップの縮れて広がる長い髪の間から覗く腕が、先ほどまでと較べて明らかに細いのが気になった。
血を吸われて干上がったのか――と一瞬思ったが、水分を失ってシワシワになっているわけでもない。むしろ前より柔らかそうな、瑞々しい質感にさえなっている。
「う……んん……」
気が付いたらしいウソップが、呻き声を上げて身動いだ。その声も、妙に高い。元々声は高めな男だったが、それにも増して高すぎた。まるで子供か、女のように。
やがて、むくりと起き上がったウソップの姿を見て、ゾロとサンジは息を飲んだ。
「お……お前……その身体……」
絞り出すようなゾロの言葉に、首を傾げたウソップだったが、下を向いて自分の今の状態を確認し、叫び声を上げた。
「ぎゃっ!! また太った!? えっ!? でも胸だけっ!? 他ンとこはむしろ細くなってるよーな……ええええっ!?」
狼狽えまくったウソップは、自分の股間を押さえて更に混乱した表情を浮かべた。
「な……な……ないっ!! お、おれ……女になっちまった~!!!?」
両手で頭を抱えて空を振り仰ぎ、絶叫するウソップ。
その上半身に唯一身に纏っているサスペンダーから、かなり豊かな乳房がぷるんと零れ出る。暑いくらいに温かい気候の島だったから、服装はいつものオーバーオールのみだった。
「……とりあえず上に何か着ろ」
そう言ってゾロは自らの上着を脱ぎ、ウソップに差し出した。
「早いとこその乳隠さねえと、そこのエロコックにまた輸血が必要になるぞ」
ゾロの親指が指す方へウソップが視線を移すと、“エロコック”ががっくりと地面に膝と片手を付き、もう片方の手で、鼻から迸る鮮血を抑えているところだった。
- 07-520:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:43:44.45 ID:Yd/jNab0
- 「……とりあえず、女の身体になった以外は、別段異常はねえのか?」
ウソップがゾロの上着を身に纏ったことで、ようやく落ち着いたサンジは、鼻に詰め物をしながら、変わり果てた姿となった仲間に尋ねた。
「ああ……刺されたはずのところにも、痛みはねえ」
背中を擦りながらそう言って、ウソップは頷いた。
とりあえずルフィ捜しよりも、こんなことになってしまったウソップを、安全に船に帰してチョッパーに診せる方が先決だろうということになり、三人は元来た道を戻ることにした。
ルフィならば、虫や獣に襲われたとしても無事に切り抜けられるだろうし、無人島ならば騒ぎを起こす心配もない。
(しかし……女になったってだけで、こうも変わるもんかね……)
ウソップよりも少し前を歩いていたサンジは、後ろをちらりと振り返って、心の中で呟く。
冷静になって、改めて見れば見るほど、女になったウソップは以前の姿とは似ても似つかなかった。
瓜型に面長だった輪郭は、顎が華奢になった分だけシャープな細面になっており、かつてのどんぐり目は、形の良い切れ長な瞳に変わっている。
急に見舞われた異常事態のせいか、浮かべる表情は暗いが、そうして伏し目がちになると、長い睫毛が頬に影を落として、神秘的な雰囲気すら感じさせる。
元々厚めだった唇は、たらこ唇というよりは、ぽってりとセクシーな肉厚の唇、といった風情になっている。
要するに、かなりの美人になっていたのだ。ウソップの癖に。特徴的な長い鼻は相変わらずだったが、それすらも、エキゾチックなアクセントに感じられるくらいだった。
それにくわえて、ナミやロビンほどではないが、それでもかなりな巨乳で、引き締まったウェストと、ずり落ち気味のオーバーオールから覗く腰の括れには、たまらないものがある――
「前見て歩け、鼻血くん」
ちらりと見るつもりが、いつの間にか後ろを凝視していたらしく、横を歩いていたゾロに肘で突かれた。
「誰が鼻血くんだ、誰がァ!」
果てしなくムカついて蹴り掛かると、ゾロも刀を抜いてそれに応戦し、いつもの喧嘩が始まりそうになる。
「おめーらこの非常事態に何やってんだァ!!」
不毛な喧嘩は、ウソップのツッコミと実力行使によって、即行で幕を閉じた。女ウソップの鉄拳制裁でも、ナミにボコられる程度には痛いのだ。
- 07-521:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:44:48.01 ID:Yd/jNab0
- 「はぁ~、なんか、どっと疲れたよ。ちょっと休もうぜ」
盛大に溜め息を吐きつつ、ウソップは近くにある岩に腰を下ろした。本当にヘバっているらしく、その顔には疲労の色が濃い。
「まだ大して歩いてねえぞ。女になって、体力も減ってんのか?」
サンジが尋ねると、ウソップは怠そうに頷いた。
「……つうか、ガマ口鞄が重いんだよ。ポップグリーンやパチンコの他に、鉛玉とかハンマーとか、色々大量に入ってやがるから……。男のときは平気だったけど、女の体だとキツい……」
「ああ……鉛玉は確かにな」
四次元かと思うほどなんでも出てくるウソップのデカい鞄は、前から結構重そうだと思っていたサンジは、その言葉に妙に納得した。
しばらく岩に座り込んでがっくりと項垂れていたウソップは、不意に、何か思い立ったように顔を上げると、両手を組んで瞳を潤ませ、サンジに近付いていった。
「というわけだからぁ……お願いサンジくんv 鞄持ってぇv」
「ィよろこんでェ!! ……って、よろこぶかァ!!!」
まるでナミを真似するようなウソップの甘え声に、一瞬騙され掛けるサンジだったが、すぐに正気を取り戻して怒りの声を上げる。
「いいかウソップ……おれがレディとして認めるのは、身も心も! レディである女性だけだ。いかにレディの外見をしていようとも、お前はウソップ……中身は男。おれは断じてお前をレディとして扱う気はねえから、そこンとこよーく覚えとけ」
人差し指を突き出して断言するサンジに、ウソップは残念そうに口を尖らせる。
「んだよ、ケチー。……あ、じゃあ、あれだ。ちょっとだけオッパイ触っていいから、鞄持ってくんない?」
「ぶっほぉ!?」
躊躇いもなくそう言いながら、前をはだけて豊かな胸を見せつけるウソップに、サンジは詰め物を飛ばす勢いで再び鼻血を噴き出す。
「ぐっ……おぉっ……そ、それは……」
オッパイ触っていいオッパイ触っていいオッパイ触っていい……その言葉が頭の中でリピートされ、プライドと性欲の間で心がぐらんぐらん揺れまくる。
- 07-522:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:45:26.61 ID:Yd/jNab0
- 「……ンなことしなくても、鞄ぐれえおれが持ってやる」
激しく葛藤するサンジを尻目に、ゾロがガマ口鞄をひょいと持ち上げた。
「ゾロ……」
その行動に、ゾロを見るウソップの目が、媚びるのとは違う感じに潤む。外見の可愛さも手伝って、「優しいーカッコイイー」などとトキメいちゃってる女の子のような雰囲気にも見えた。
(ぐあ……なんかわからんが、この状況は無性に悔しい……!!)
結果的に引き立て役になってしまったような気がして、サンジは思わず歯噛みする。
「でもゾロ、もともと刀三本も持ってるから、重いだろ?」
「あ? これは身体の一部みてえなもんだ。重さなんか意識したことねえ。……まあ、コックは包丁より重いモンは持てねえだろうから、無理すんな。貧血気味の鼻血くんは、労ってやんなきゃな」
「また鼻血くん言いやがったなコラァ!!!」
あからさまに喧嘩を売っているゾロの言い種に、サンジのムカつき度は一瞬でピークに達した。
「その鞄を寄越せマリモ!! おれは単に、ウソップの分際でおれを誘惑しようとするかのよーな、見くびった態度がプライド的に許せなかったのであって! そんな鞄如きを持つのがしんどいとかで言ってたわけじゃねえ!! んな鞄くらい、指先一つで余裕で持てるわ!!」
「乳見た瞬間鼻血ブーした野郎に、プライドも糞もあるかよ」
「んだとゴラァァァァ!!! とにかく鞄はおれが持つ!! 持つったら持つ!!いいからさっさと寄越しやがれぇぇぇぇ!!!」
「なんだこのワケのわかんねえ喧嘩……」
無駄に火花を散らしまくる二人の傍らで、ウソップだけが冷静にツッコミを入れるのだった。
- 07-523:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:46:54.17 ID:Yd/jNab0
- 結局、鞄はサンジが持つことになり、ウソップを無事にサニー号まで送り届けた後、サンジとゾロは、今度はロビンと共にルフィ捜索に出た。
……この二人は、一緒にしておくには常にクッション役が必要なのである。
ロビンがハナハナの能力で目を生やしたこともあって、ルフィはすぐに見つかった。
ウソップは、その間チョッパーの診察を受けていたが、四人が戻ってきてから聞いた診察結果は、「今は元に戻す方法が見つからない」というものだった。
「ウソップが女になったのは、ホルモスキートっていう蚊の分泌物のせいなんだ。ホルモスキートは生まれたときはみんなメスなんだけど、クマノミみたいに、繁殖期になると群れで一匹だけオスに性転換して、他のメス達と交尾して繁殖するんだ。
その性転換に必要なのが、他の生き物から吸い取る男性ホルモンなんだよ。
あと、蚊って血を吸う代わりに、痒くなる成分の分泌液を血管に注入するだろ? あれと同じで、ホルモスキートは男性ホルモンを吸い取るのと同時に、女性ホルモンを注入してくるんだ。だから、刺された男は、女になっちゃうんだよ」
「じゃあ、ウソップのホルモンを吸い取った蚊をとっつかまえて、取り戻せばいいんじゃねえか?」
単純思考なゾロの提案に、チョッパーは首を振った。
「その蚊を捕まえてきても、吸い取られたホルモンを取り戻すのは無理なんだ……ホルモンだけを吸い取るっていう、ホルモスキートの能力はすっごく特殊で、今の医術でそれと同じことをやろうとしてもできないんだ。
ウソップの中の女性ホルモンを取り除くのも無理だし……」
無力感からか、チョッパーはがっくりと項垂れる。
「注射とかで男性ホルモンをウソップの身体に注入して、少しずつ『男っぽい』身体にしていくことはできるけど……それをやっても、完全に男の身体に戻すことはできないんだよ……」
「ってことは……おれは一生このまま……」
絶望感を滲ませた声で、ウソップが呟く。その場にいる誰もが押し黙った。
- 07-524:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:47:48.67 ID:Yd/jNab0
- そのときだった。
「あ! そうだ、イワちゃんだよ!」
出し抜けに、ルフィが大声で言いながらポンと手を打った。
「イワちゃんなら、ホルホルの力で男を女にしたり、女を男にしたりできるんだ! イワちゃんに会えれば、ウソップを元に戻してもらえるぞ!」
「……イワちゃんイワちゃんって、それ、誰の話よ?」
聞き覚えのない名前を連発され、ナミが首を捻りながら尋ねる。
「……!!! イワちゃんってまさか……あのカマバッカ王国の『イワ』のことか!?」
その名前に心当たりのありまくるサンジは、忌まわしい記憶と共に彼の人物を思い浮かべ、冷や汗を浮かべた。
「サンジ、知ってんのか!?」
「お、おお……ちょっとな……」
「お前、そのカマバッカ王国ってとこに縁でもあるのか?」
ウソップの質問に、サンジは全力で首を振った。
「縁はない!! 断じてない!!! ……が、お前等と再会する前に、ちょっとだけいたことはある……そこでイワと知り合った」
本当は、そこでガッツリ二年間も修行し、縁はありまくりなのだが、あの忌まわしい日々の記憶を事実として認めたくないサンジにとって、その表現がギリギリの譲歩だった。
「そっか……! じゃあ、イワちゃんは今そのカマバッカ王国ってとこにいるんだな!? よーし、今すぐカマバッカ王国へ行こう!!」
「待ちなさい! 今すぐ行くって言ったって、ここからどうやってその国まで行くのよ!?」
先走りまくるルフィを、ナミが一喝する。
普通の海ならいざ知らず、ここは“偉大なる航路”。記録指針で島々の磁気を記録し、ログを書き換えながら、一つずつ進んでいくしかない海だ。
例え船員の一人が行ったことのある島だとしても、おいそれとそこに辿り着けるものではない。
「ねえサンジくん……カマバッカ王国への永久指針は持ってる?」
「……持ってないです」
そんなものは、例え持っていたとしても、とっくの昔に叩き割っていたことだろう。
「じゃあ……カマバッカ王国にいる誰かと、ビブルカードを分け持ってたりはしてない?」
「……してません」
あの国にいる誰とも、そんな真似は死んでもしたくない。
「……じゃあ、少なくとも今すぐ向かうっていうのは無理だわ。記録指針の示す航路を進みながら、どこかでカマバッカ王国への永久指針を入手する。カマバッカ王国に向かえるのはそれからよ」
「なんか……エラい時間かかりそうだな……」
あまりの先の長さに溜め息を吐きつつも、希望が見えた安堵感に、ウソップは微かな笑みを浮かべたのだった。
- 07-525:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:48:51.19 ID:Yd/jNab0
- その夜。サンジが明日の朝食の仕込みをしていると、地下のウソップ工場に引っ込んだはずのウソップが、キッチンに入ってきた。
水でも飲みに来たのかと思ったが、ウソップはそのまま食卓に座り、何をするでもなくサンジの作業を眺めていた。
「……寝たんじゃなかったのか?」
「うーん……いや、今まで大人数で雑魚寝が当たり前だったからさ、あの部屋で一人で寝てると、どうも落ち着かなくてよ」
そう言ってウソップは、食卓の上に両腕を投げ出して突っ伏した。
とりあえず、当分の間ウソップは女の身体で過ごさなければならないことが確定し、それに伴って、生活上のルールも多少変更されることとなった。
一番の悩みどころは寝場所の問題だった。麦わら一味の男性陣がルフィのような男ばかりなら、男部屋で雑魚寝しても問題はないだろうが、サンジのような男もいる中でそれはマズイ、というのがほぼ満場一致の意見だった。かといって、女部屋に入れるわけにもいかない。
結果、彼の唯一の私的スペースである、地下のウソップ工場にボンクを設置して寝ることとなったのだ。
だが、基本的に人と一緒にいたがる性質のウソップだ。一日目にして、その環境が嫌になったのだろう。
「はあ~あ」
わざとらしいほど深い溜め息を吐き、ウソップは椅子の背もたれに身を投げ出して、後ろで手を組む。当然そんなポーズをすると、豊かな胸が強調されてしまうため、サンジは思わずそこに目がいってしまう。
船に着いてからウソップは、借りていたゾロの上着を返し、自前のTシャツを身に付けていた。肌剥き出しよりは遥かにマシだが、ノーブラ巨乳に薄いTシャツ一枚、というのもまた、それはそれでいただけない。乳首の形がくっきり浮き出てしまっていて、なんともエロいのだ。
ウソップの格好を見て、女性陣も「これはマズイんじゃ」という顔をしてはいたのだ。しかし、それでも流石に、元は男だった仲間に自分のブラを貸すのは嫌だったらしく、ウソップは、少なくとも次の寄港まではノーブラで過ごすことを余儀なくされていた。
といっても、ウソップ本人は、それを全く気にはしていないのだが。
付けて加えて今のウソップは、オーバーオールから、寝巻き代わりのボクサーパンツに履き替えていた。元々ウソップは、暑い日にはこれ一丁で寝ていたのだ。
ゆるゆるのボクサーパンツからは、当然ムッチリした太股は丸出しで、角度によっては、下手すると中身まで見えてしまいそうだった。中に別の下着は着けていないだろうし、足を開いて座られると気が気じゃない。
ナミやロビンの色気が、露出するところはしても、本当に恥ずかしいところはしっかりガードする隙のないセクシーさだとしたら、ウソップのそれは、油断しっぱなしの隙だらけ、自覚なしの危ういエロさだ。
そういうのが一番下半身を直撃してくれるんだよな、と思いつつ、なるべく平静を保ちながらサンジは仕込みを続けた。
- 07-526:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:50:51.55 ID:Yd/jNab0
- ウソップはなかなか部屋に帰ろうとはせず、サンジに向かって他愛もないホラ話をし続けていた。
それにしても、顔立ちはどちらかといえば大人っぽいセクシー美人系なのに、口を開けばどこまでもウソップらしいアホ話ばかりなのだから、なんというか、残念な美女という感じだ。
本当に女の子だったなら、そのギャップが可愛いと思えなくもないのだが。
「あ、そうだ。なーサンジー。なんで夕メシのとき、おれにデザート出してくんなかったんだよ。おれ、ちょっと期待してたのに」
「あ?」
口を尖らせてブーたれるウソップに、サンジは片眉を跳ね上げる。
「それはお前、さっきも言っただろ。おれはお前をレディ扱いする気はねえ。
おれはなあ、身体は女だけど心は男とか、身体は男でも心は女のオカマ野郎とか、そーいう中途半端なのはレディとして認められねえの。
心も身体もれっきとしたレディじゃなきゃ、おれの愛は受けられねえと思え」
「いや別に愛はいらねえけど。デザートだけ欲しい」
身も蓋もない口調でそう言い、テーブルの上に横向きに顔を伏せるウソップ。
「……あ、でもよ、サンジ。おれ今、案外、心も女になってるかもしれねえぞ」
「ああ? なんだそりゃ」
テーブルに横顔を付けたまま、悪戯っぽく笑って言うウソップに、サンジは怪訝な表情を向ける。
「チョッパーに聞いたんだけどよ、人の気分とか心の状態って、ホルモン状態にかなり左右されるんだってさ。
女性ホルモンが濃いときと男性ホルモンが濃いときで、男と女の見え方が全然違う、とかよ」
顔を上げ、ついでに人差し指を立てながら、ウソップは船医から聞きかじった知識を披露する。
「……男性ホルモン濃いと女が良く見えて、女性ホルモンが濃いと逆、とかいうことか?」
「そーそー。わかってるじゃないのサンジくん」
人差し指を振りながら、偉そうに言うウソップ。
「確かにおれも前と今とじゃさ、男と女の見え方変わってる気がするんだよな。
ナミやロビンの胸見てたりしてもさ、普通にスタイルいいなーとは思うけど、なんかこう、ムラッとくるもんは全然感じないっつーか。
多分、今あいつらの裸見たとしても、そんなコーフンはしねえと思う」
「てめェ、なんて罰当たりな発言を……」
あまりに明け透けで身も蓋もないウソップの言い種に、サンジはぐる眉を顰める。
「んでさ、男の見え方もちょっと違うっつーか……ゾロなんか、5割増格好良く見えちゃったりしてさ。側寄ると、なんかドキドキしちゃったりするんだよな」
ちょっと頬を赤らめて言うウソップ。女の姿だからいいが、男のままで言っていたら、ちょっとキモチワルイ台詞である。
「でも、男のときだったら、そんなん思うわけねえだろ? コレってやっぱ、身体だけじゃなくて心も女になってる、ってことだと思うわけよ」
ビッと人差し指を突き出して、ウソップは力説した。
「なるほどねー……マリモで5割増っつったら、おれなら8割増ってとこか? おれの方が絶対、女の子ウケはいいからな」
自信満々で宣うサンジに、ウソップは冷めた表情で片手を横に振る。
「いや、サンジにはそーいうの全く感じねえ。面白いくらいに全くトキめかない」
「バカ正直に失礼かコラァ!!」
ぶっちゃけすぎなウソップの言葉に、思わずテーブルにドスッと包丁を突き立てるサンジ。
「わかった!! おれはもう絶対にお前をレディとしては扱わねえぞ! レディがマリモなんぞにトキめいて、おれは眼中ナシなんてことがあって堪るか!!!」
「いや、なんだそりゃ! 現実を受け入れろよサンジ!」
「うるせェ!!」
吠えてサンジは、テーブルに刺した包丁を引き抜き、仕込みを再開する。
- 07-527:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:51:27.99 ID:Yd/jNab0
- 「なんだよ、結局ダメか~。あーあ、女になって得できることなんて、サンジのデザート食えることくらいだと思ってたのによ~」
不満そうにブーたれるウソップだったが、すぐにまた、何か思いついたように表情を明るくする。
「じゃあ、やっぱアレだ。オッパイ触らせてやるからよ、明日からデザート出してくれ」
事も無げに宣ったウソップは、べろりとTシャツを捲って豊かな胸を露わにする。
「いやどんだけ食いてェんだデザート!! 大体な、躊躇いもなくそーいうことする時点でレディとは程遠いっつーんだよっ!! ちったあ恥じらいというものを知れ!!」
ツッコみつつも、やはり鼻血は噴いてしまうサンジであった。
「サンジにだけは恥じらい云々言われたくねえな」
「んだとコラ!? 誰が恥知らずのエロコックだって!?」
「別にそこまで言ってねえよ」
怒鳴りつつも、サンジの視線は豊かなオッパイに釘付けだったりする。
「で、どうすんだ? ……触りたくねえの?」
ウソップはサンジを挑発するように、片腕で軽く両の乳房を持ち上げて寄せて見せる。
「うっ……ぐっ……」
サンジの中で、プライドとスケベ心が激しくせめぎ合うが――どちらに軍配が上がるかは、言わずもがな。
「さ……触らせて下サイ……」
「はじめっからそー言えばいいものを」
サンジの敗北宣言に、ウソップはやたらと冷静な口調でそう言った。
- 07-528:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:53:48.63 ID:Yd/jNab0
- 「つうか……いいのか……!? デザート一つでこんなエロいこと……本当にいいのか!?」
ウソップと向かい合って座り、既に両手を前に出してスタンバイしつつ、一応確認を取るサンジ。
「いいよ。たかが胸部についてる脂肪触らせるくらい、別にどってことねーし」
「色気の欠片もねえ言い方するなっ! やっぱお前、中身は絶対レディじゃねえ……」
事も無げに言うウソップは、危機感ゼロな様子だが、実のところ、既にサンジの股間は相当ヤバいことになっていた。
指先が柔らかなものに触れた瞬間、そこから軽い電流のような痺れが走り、サンジはごくりと喉を鳴らす。
中身がウソップだとはいえ、レディの身体を乱暴に扱う習慣は、サンジは持ち合わせていない。
痛いほど力を込めて揉むようなことは決してせず、形をなぞるように優しく撫で回しながら、少しずつ指を食い込ませて柔らかさを味わった。
「……っ……」
愛撫としかいいようのない刺激を受ける内に、ウソップも次第に息を弾ませ、むずがるように身動ぎし始めた。
「ちょっ……やめろその無駄にエロい手つき……すげ、くすぐったい……」
正確に言えば『くすぐったい』のではないだろうことは、ほんのり上気した頬と、潤んだ眼を見れば明らかだった。
「エロいことしてんだから、エロい手つきで当然だろが……じゃあなんだ、もっと乱暴に揉んで欲しいのか?」
そう言ってサンジは、ぐっと力を込めて柔らかな乳房に指を食い込ませる。両の乳首を、指の間にきつく挟み込みながら。
「ひあっ……やっ、そこは触ん、なっ……」
背中を反らせ、可愛らしい声を上げるウソップに、サンジは下半身がズキズキと痺れるのを感じた。
「そこってどこだよ?」
既にコリコリに硬くなっている『そこ』をわざと摘んで捏ね回しながら、サンジは意地悪い口調で問う。
「やっ、あっ、乳首……弄るなって……あっ」
「そりゃねえな、自分でオッパイ触っていいとか言っといて。乳首なんてオッパイの中心じゃねえか、ここ弄るのが一番の醍醐味だろ?」
「や、やだっ……あっ……やだって……」
拒否の言葉を発し続けるウソップの、声色はそれでもどこか甘く、ますます煽られたサンジは、乳房の片方を下から鷲掴んで、その頂きにむしゃぶりつく。
「ひっ……!? そ、そんなの、いいって言ってなっ……あっ、やぁっ……!」
鷲掴んだ手で揉みしだいてその柔らかさを堪能しながら、じゅぅじゅぅと音を立てて敏感な場所を吸い上げる。もう片方の手は、変わらず指で硬く凝ったそこを刺激し続けた。
- 07-529:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:54:44.44 ID:Yd/jNab0
- 「手で触るのに限定するなんて言ってねえだろ? 口で触ってるだけだって、もう許可済みだ」
「そ、そんなん屁理屈だ……バカ、このエロコック……!」
頭を振りながら、可愛らしいとしか言えない罵り言葉で抗議するウソップを、サンジはニヤニヤと眺めた。
「エロいのはお互い様だろ? それはお漏らしかい、お嬢ちゃん」
ウソップのボクサーパンツの股間部分は、既にじっとりと湿って、色を変えてしまっていた。指摘されて初めて自分の状態を知ったらしいウソップは、下着にできた大きな染みを見て、耳まで真っ赤になる。
「……疼いて仕方ねえだろ? 悪かったな、放置してて」
言って、内腿をつっと撫でてやると、ウソップは怯えたようにビクッと大きく身体を震わせた。
「や、やめろ、そっちは触っていいって言ってない! 絶対ダメだ!」
「もちろん、おれは触らねえよ」
半ベソでぶんぶん首を横に振りながら、必死で拒否するウソップに、サンジはあくまで優しい口調で答える。
「自分で弄りな」
そう言ってサンジは、ウソップの手を掴み、濡れている箇所へと導く。
「そっ……そんなのできるわけっ……」
「なに言ってやがる。ここで終わっても、どうせ後で一人でヤるんだろ? どうせなら今、ここでしろよ」
サンジが空いた方の手で、唾液に滑る胸の突起を捏ねくり回すと、ウソップの身体がビクリと震えた。
「んっ……!」
「一人淋しくやるより、こっち弄ってもらいながらオナニーした方が、数段キモチいいぜ、ウソップ」
サンジは、掴んでいたウソップの手の上に自らの手を被せると、その柔らかな手越しに濡れた場所を刺激し始めた。
「んんっ……や、だっ……っ……」
手も腰も逃げようと動くが、指一つでも捕らえれば、ウソップの手がサンジの力から逃れられるわけもなく、もがく腰をどこまでも追いかけて、サンジはウソップの手に媚肉を愛撫させた。
「んんっ……はあっ……!」
唇で乳首を捕らえてきつく吸い上げてやると、ウソップの背中が仰け反り、浮いた腰が刺激をねだるように自身の手に押しつけられる。
その内に、重ねていた手をサンジは離したが、戒めを解かれてもウソップの手は自慰を止めなかった。
- 07-530:ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:55:30.57 ID:Yd/jNab0
- 「はっ……ああっ……ぃっ……はぁ…………!」
サンジが両手と唇を使って思うさま乳房への愛撫を始めると、自らを慰めるウソップの手の動きも激しくなった。布地越しに性器を擦っていた手が、いつしか下着の中へと忍ばされ、くちゅくちゅと卑猥な音を立てて割れ目を嬲る。
「……キモチいいだろ?」
長い髪の間から覗く耳に唇を寄せて低く囁いてやると、ウソップの腰がヒクヒクと痙攣するように震え、一際甘い声が洩れた。
「んあぁっ……き……も、ち……いぃ……」
嗚咽混じりに洩らされた声に、熱く滾ったサンジのモノが暴発寸前まで膨れ上がる。
突っ込むわけにはいかねえだろうなぁ……と苦笑いを浮かべつつ、サンジはスラックスの前を寛げると、ようやく窮屈な場所から解放されたそれを、自分で扱き始めた。
絶頂に近付いてきているためか、ウソップは、サンジのそんな様子にも気付かないほど、既に自慰に夢中になっている様子だった。
サンジは自分のモノを扱く手を速めながら、空いた手で豊かな乳房を鷲掴み、先端を一際きつく吸い上げる。
「あああぁっ!」
瞬間、悲鳴のような喘ぎと共に、ウソップの身体が激しく仰け反り、ビクビクと痙攣を始めた。きつく指を食い込ませた箇所からどっと蜜が溢れ、椅子の上に水溜まりを作る。
「はあ……はあ……」
緊張していたウソップの身体から、かくりと力が脱け、ずるずると椅子からずり落ちる。
絶頂の余韻のせいかとろんとした表情のウソップは、力なく床に横たわり、荒い呼吸に胸を上下させる。
たくし上げたTシャツから未だに露わになっている乳房の上に、サンジは自らの白濁をぶちまけた。
「ひぇっ!?」
呆けていたウソップも、流石にこれには動揺して妙な声を上げる。
「さ……最悪だ……ザーメンぶっかけられるなんて……」
「いいじゃねえか、オッパイぶっかけは男のロマンだろ。お前もイッたんだし……大目に見ろ」
思いっきりブルーな表情を浮かべて嘆くウソップを、サンジはよくわからない理屈で丸め込んだ。
翌朝の食卓で、意地悪い笑みを浮かべながら狙撃手にデザートを振る舞うコックと、ぶすくれた表情でそれを食べる狙撃手という、不思議な光景が見られ、事情を知らないクルーたちは皆首を傾げていた。
最終更新:2012年09月05日 14:21