- 03-201 :ステテコ女王:2005/12/11(日) 21:24:22 ID:1/F9JxrR
- 「しまったなあ・・・」
一等宇宙航海士の山田直樹は、窓の外に流れていく星の瞬きを見つめながら、ため
息ばかりついていた。ちなみにここは宇宙資源探索船うまい棒一号の船室である。
直樹はベッドから立ち上がり、ジャパンテラフォースというプリントが入ったツナギを脱
ぎ始めた。胸元にあるジッパーを指でつまみ、へその辺りまで下ろすと、男らしい厚い
胸板がお目見え・・・しなくて、代わりに柔らかそうな乳房がお出ましとなる。さらにツナ
ギから足を抜き一糸まとわぬ姿になると、股間にぶら下がっているはずのモノが無く、
そこには少し肉がはみ出た割れ目があった。
「・・・完全に女性化してる。声もだ」
鏡で自分の姿を見ると、男らしかった顔は丸みを帯びていて、ずいぶん可愛くなってい
る。おまけに百八十センチあった背も縮み、今はどう見ても百六十センチあるかないか。
ツナギがだぶつき、歩くたびに足がもつれてしまうような状態なのに胸元は窮屈で、尻の
辺りもピチピチという有り様だった。
「まずいよなあ・・・」
宇宙資源探索船うまい棒一号は、男所帯の三十人編成。直樹を除いて皆、普通の成人
男性である。しかも地球を離れて早や半年、船員たちは寄ると触ると女の話ばかりして
おり、はっきり言うと女に飢えているのだ。
- 03-206 :ステテコ女王:2005/12/11(日) 21:46:05 ID:1/F9JxrR
- 実は今から一週間ほど前、うまい棒一号はモヘヘ星付近にあった小さな惑星に着陸し、
資源の採掘を行っていた。名も無い惑星だったが、なんとそこには大気が存在し、生物
もいくらかいたのである。とは言え、すべてあまり高い知能は持たず、進化の途中にある
ような生物ばかりであったのだが──
「おっ、あそこにいる動物、ヒトにそっくりだな」
と、直樹が四つん這いで歩く動物を見て、ある悪戯心を起こしたのがいけなかった。
「警戒心は薄いな。特に凶暴でも無さそうだし。おや、こいつメスか・・・」
四本足で歩くヒトとでもいうべきか、かなりヒトに酷似した生物を見て、直樹の心ははやっ
た。辺りには他の乗組員もおらず、ここいらには自分とこの生物だけ・・・そう思ったとき、
直樹はツナギを脱ぎかけていた。
結局、未知の生物を直樹は犯してしまった。幸い、メスと思しきその生き物はヒトと同じ
性器の構造を持ち、直樹をたっぷりと受け入れてくれたのだが・・・
「女になっちゃなあ・・・どうしたらよかんべか」
気がつけば体が女性化してしまったという訳である。船長はただちに直樹を部屋から出
ぬよう指示し、第一級非常事態宣言を乗組員一同に発した。手早く言うと直樹を隔離し
たのである。
- 03-207 :ステテコ女王:2005/12/11(日) 22:00:48 ID:1/F9JxrR
- 「つまんねえな。風呂でも入るか」
隔離されてそろそろ一週間。直樹はその間、誰とも会わずに過ごしている。他の乗組員
は誰も女性化していないそうだから、原因はあの生物に違いないだろう。そうなれば直樹
は他の誰とも接するべきではない。が、しかし──
「寂しいよなあ」
シャワーの飛まつを浴びながら、そんな事を思うのである。うまい棒一号の乗組員は皆、
宇宙海軍学校の同期生ばかりで、船長はそこの教官だった。日本初の単独宇宙探索船
という事もあり、うまい棒一号とその乗組員は家族同然の仲なのである。三十人全員、顔
と名前が一致するほど親しいのだ。なので、直樹は自業自得とはいえ、ただ一人、疎外さ
れた今の状況が悲しくて仕方が無い。
「それにしても、女って・・・柔らかい体なんだなあ・・・」
石鹸を体にまぶした直樹は、瑞々しくきめ細かい肌を指で押してみた。柔らかいのに弾力
があり、やはり男の時とはぜんぜん違う。
「おっぱいも揉むのは好きだったが、いざ自分の胸にあると重たくてかなわんな。チンポコ
がなくなると何か収まりが悪いし・・・」
髪を洗うと毛が妙に細くなっている事に気がついた。微妙な事だが、何もかも男と女は違う
と、あらためて思い知らされる直樹であった。
- 03-208 :ステテコ女王:2005/12/11(日) 22:16:37 ID:1/F9JxrR
- 「ん?部屋に誰かいるぞ」
風呂から出た直樹は、部屋に誰かが居る事に気がついた。乗組員のツナギを着ている
ので、仲間だという事は分かるが、はたして一体、誰なのだろうかと目を凝らしていると、
当の本人が勝手にこちらへ振り向いてくれた。
「おっ、風呂入ってたのか。すまんすまん」
そう言いながら笑うその人物は直樹の親友、乙川昭彦だった。彼はレーダー技師で、
航海士の直樹とはツーカーの間柄である。
「昭彦か!どうしたんだ?俺は今、隔離中の身だぞ」
「空気感染の心配は無いんだろ?平気だよ。それより、土産を持ってきた」
昭彦は食堂からがめてきたというビールとつまみを持っていた。
「もっと早く来たかったんだが、船長がうるさくてな」
「いや、来てくれてうれしいよ。寂しくて死にそうだったんだ」
ビールも嬉しいが、何より心の通った会話が嬉しくて直樹はあやうく落涙しそうになった。
友達ってありがたい。友情って素晴らしい。そんな思いで心が一杯になる。
「座れよ、昭彦。さっそく、飲もうぜ」
「ああ、それはいいが・・・その前に、何か着たらどうだ?目のやり場に困るぜ」
風呂上りの直樹は体に巻いたバスタオル一枚という姿。前述した通り、たとえ親友とは言
えども女に飢えた乗組員には目の毒である。
- 03-210 :ステテコ女王:2005/12/11(日) 22:33:11 ID:1/F9JxrR
- 「実は服のサイズが全部、合わなくなってさ。風呂上りはいつもこうなんだ」
いきなり女性になったので、直樹は衣服に困っていた。何せ身長は二十センチも縮み、
バストはトップとアンダーの差が激しくなったのである。腰も細くなり、その分、ヒップが
育ってしまったので、何もかもが今の体に合わないのだ。
「まあ、男所帯だからな。そう思って、乗組員一同から差し入れ預かってきた」
昭彦は何やら小さな箱を取り出し、直樹の前に差し出した。
「なんだ、これ?」
「開けてみろよ。守保係の連中の手作りだって言ってた」
箱を開けると中には女物の下着セット、すなわちブラジャーとショーツが入っているでは
ないか。直樹はそれを手に取ると、苦心して作ってくれた守保係の仲間に感謝した。
「ありがたい。ノーブラじゃ胸が揺れて、困ってたんだ。ブリーフはケツがキツくて駄目な
んだよ。ちゃんと、尻の部分を緩めに作ってある・・・」
「守保の粕谷、あいつの実家、シュリンプっていう女物の下着メーカー屋らしいぜ。その
おかげでブラジャーもパンティも型紙無しで作れるってよ。器用なやつだ」
「粕谷か。たかだか一週間、会ってないだけでずいぶん懐かしく感じる・・・俺に代わって、
お礼を言っといてくれないか、昭彦」
「水臭い事、言うなよ。仲間じゃないか」
仲間、なんて良い響きだろう。直樹はあらためて友情の篤さに感謝するのであった。
- 03-211 :ステテコ女王:2005/12/11(日) 22:45:39 ID:1/F9JxrR
- 「ところでブラジャーって、どうやって着けるんだろうな」
ストラップの部分を指でつまみながら、直樹が首を傾げた。これを着けている女性とは
幾度も夜を共にしたが、自分が身に着けた事はない。
「紐を肩に通すんじゃなかったか?」
「悪いけど手伝ってくれよ、昭彦」
ビールをちびちびやりながら、二人はああでもないこうでもないとブラジャーに翻弄され
はじめた。
「カップに手を添えていないと、ずれるな。昭彦、ホックを止めてくれないか」
「よしきた」
直樹は気持ち前かがみになり、たっぷりとした乳房にカップをあて、背中のホックを昭彦
に止めさせた。そしてストラップを手繰って、形を整えると何とかなったのである。
「うん、いい感じ!乳揺れが収まった!」
「パンティは自分で穿けるな」
「ああ」
直樹は昭彦の前で堂々とショーツに足を通した。普段、男所帯で隠すものが何も無いた
め、他人の視線が気にならないのである。しかし今、直樹は可愛い女性になっている。
おまけに二人は飲酒中で、理性のタガが外れやすくなっている状態。何やら不穏な空気
が部屋の中に満ち始めた。
- 03-214 :ステテコ女王:2005/12/11(日) 23:05:01 ID:1/F9JxrR
- 「穿けた。なんだか落ち着いたよ」
「そうか、そうか」
ブラジャーとショーツを身に着けた直樹はくるりと身を躍らせ、一回転してみせた。胸は
揺れるがブラジャーのおかげで収まりが良い。ショーツもぴたりと尻に密着しながら、き
ちんと余裕もあるので、今の直樹にはまさにあつらえたような感じだった。
「そうとなればビール、ビール・・・そういえば昭彦、地球まであとどれくらいで着くのかな」
「まだ全行程の半分だから、半年はあるぞ」
「それまでずっと、俺、女のままなのかな・・・」
「もしかしたら、一生かもしれんぞ」
「脅かすなよ。地球に帰れば、何とか対処法も見つかるさ」
宇宙を航行中のうまい棒一号内では無理だが、きっと地球に帰れば男に戻れると信じ、
直樹はビールに口をつけた。
机の上にビールの空き缶が五つも転がると、徐々に昭彦の目が座り始めた。酒乱揃いと
いう訳ではないが、うまい棒一号の乗組員は基本的に荒くれ者が多く、昭彦は酔った体を
揺らしながら、とうとうと語り始めるのである。
「そもそも、お調子者のお前が悪い!妙な動物とやっちゃうからだ。ガハハ!」
直樹が女性化した事を詰り、嘲笑う昭彦。しかし、直樹だって負けてはいない。
「そんな事を言うがな、お前だってあの場にいればやったに決まってるよ」
「いいや。俺はやらない」
「やる!」
「やらない!」
二人はいつしか顔を突き合わせ、犬のように唸り声を上げていた。
- 03-215 :ステテコ女王:2005/12/11(日) 23:22:02 ID:1/F9JxrR
- 「俺だってなあ、あの生物がこんな格好してなきゃ、やらなかったよ!」
直樹はベッドに這いつくばると、くねくねと尻を振って見せた。女の体に女物の下着を身に
着けた直樹が、シーツの上に波を作って婀娜っぽい微笑をたゆませると、それまで饒舌だ
った昭彦が急に無口になった。目は完全に座り、ふっくらと丸みを帯びた直樹の尻に釘付
けとなっている。
「いいケツしてるな、お前」
「ん?何言ってんだ、昭彦」
昭彦がすっと立ち上がり、ベッドへと迫る。股間を見ると男の形が浮かび上がっており、彼
が今、興奮状態にある事を示していた。
「考えてみれば、今、俺は女と部屋に二人っきりなんだな。そうなりゃ、やる事はひとつだ」
「何、言ってるんだよ・・・俺は今、隔離中の身で・・・」
二人は会話が噛み合わないまま、ベッドの上に体を重ねた。直樹はたった今、着けたばか
りのブラジャーとショーツに手をかけられ、じたばたと暴れ始める。
「よせ、昭彦!冷静になるんだ!」
「うるせえな。黙って足開けよ」
「あっ、あっ・・・やばいって!ああっ・・・」
女の体になった上に酔っていたので、直樹はたいした抗いも出来ぬまま、股間に異物を
挿入されてしまった。昭彦は勃起した男根を直樹の胎内へ奥深く突き入れ、これでもかと
いうほど激しく出し入れをした後、勝手気ままに子種を放出したのである。
- 03-216 :ステテコ女王:2005/12/11(日) 23:36:49 ID:1/F9JxrR
- 半年後。種子島宇宙センターは、資源探索船うまい棒一号の帰還を喜ぶ人々の出迎え
で沸いていた。何せ、日本初の宇宙探索という快挙を果たしたのである。国民の熱狂ぶ
りはさもありなんという感じであった。
「うまい棒一号が見えたぞ!」
銀色に光る船体の脇腹に、うまい棒一号という文字が見える。JAXAの発表では、乗組員
も全員無事でただの一人も欠ける事無く帰って来たという。彼らは出遅れた感のある、日
本の宇宙開発に偉大な足跡を残したと言えよう。
「うまい棒一号が着陸しました。さあ、大役を果たした勇気ある乗組員たちを拍手で出迎え
ましょう!」
この場には世界中から報道陣が集まり、帰還した乗組員たちを今か今かと待ち受けてい
る。かくして船体のハッチが開いた。そして──
「乗組員一同、ただいま帰りましたわ」
まず、ミニスカート姿の女性がずいっと前に出た。胸元には大佐の階級章が光っており、
彼女が艦長である事を示している。次いで、
「一等航海士、山田直樹。えー、恥ずかしながら、帰って来ちゃいましたあ」
ぴょこん、と飛び出したのは、あの直樹である。彼は、いや彼女もむっちりとした太ももが
丸見えになるほどの短いスカート姿で、胸元は手作りらしきチューブトップで決めていた。
- 03-217 :ステテコ女王:2005/12/11(日) 23:55:34 ID:1/F9JxrR
- 「乙川昭彦・・・すみません、帰って来ちゃって・・・」
その後も次々と現れる乗組員は皆、うら若き乙女の姿となっていた。それを見たJAXA
の関係者、ならびに乗組員の家族親類、はては報道陣までがあんぐりと口を開けて、放
心してしまう。
「おい、衛星の回線を切れ!放送事故だ!」
某国営放送のスタッフがまず、中継から一面のお花畑に画像を切り替えた。民放各局も
それに倣い、一斉にしばらくお待ちくださいのメッセージを出す。だが海外のマスコミ陣は
面白いという理由でカメラを回し続けた。
「艦長、何があったんだ!これはどういう事だ!」
JAXAの責任者が艦長に詰め寄ると、
「じ、実は、粘膜感染する女性化ウイルスが艦内に蔓延いたしまして、乗組員三十名すべ
てが汚染されました」
「粘膜感染?そ・・・それって、もしや・・・」
「はあ。艦内で風紀が乱れまして・・・」
察する所、直樹に端を発した女性化騒動は昭彦が媒介し、その後、艦内中に広がったと
いう事だろうか。それにしても、三十名全員が女性化するとは、あまりにも不甲斐ない。と
言うか、情け無い。
「前代未聞の珍事だ・・・国辱ものだ・・・う~ん・・・」
責任者が泡を吹いて倒れた。結局、この不祥事によりJAXAは大幅に予算を削られ、日本
はやはり宇宙開発に出遅れる事となったという。
おしまい
最終更新:2012年01月24日 09:14