04-197 :ルルーシュ輪姦1:2007/03/04(日) 16:05:14 ID:sx297qZ6
あの日からしばらくして、ルルーシュは繁盛に外へと出かけるようになった。
時間帯は気まぐれで、昼に行っては夕方帰って来る事もあれば、深夜に突然姿を消す事もしばしばだった。
そしてまさに今、日付が変わったばかりの時刻。
小さな物音で目を覚ました俺がふらふらと部屋の電気をつけると、そこに彼女の姿は無かった。

「………またか」
はあ、とため息をついて無人のベッドに腰掛けた。
束縛する気は毛頭無いが、だからといって何故わざわざこんな時間に街をうろつく必要があるのかと思う。
一度本人に聞いてみたが「何か行動しないと落ち着かない」のだそうだ。
加えて、おかしな奴らに絡まれないとも限らないだろうと言えば
「お前が言うのか」と鼻で笑われ、返す言葉も無く肩を落としてしまった。
外をちらりと見やれば、あちらこちらに並んで美しく輝く人工的な光が眼に映った。

ルルーシュは外に出るたび、毎回ルートを変えて歩くようにしている。
前回は路上に出て、右側への道を真っ直ぐに進み、人通りも多い比較的広々とした場所を歩いた。
その前は左へ少し進んでから、右へ回り込んで、住宅街をぐるりと一周してから帰ってきた。
(やはり街並はイレブンのそれと酷似しているな)
崩壊しているという点以外では。
今日はどこへ行こう、としばらく考えてから、足先をマンションの裏側へ向けた。

04-198 :ルルーシュ輪姦2:2007/03/04(日) 16:06:18 ID:sx297qZ6
奥へ進むとずいぶん荒んだ建物ばかりが目に入った。
先へ行けば行くほどに作りの悪そうなアパートや、既に潰れたらしい工場の跡地が目立つ。
それらは微かに、元の世界へ戻ったかのような錯覚を起こさせた。
周りは深夜という事もあり、明かりはほとんど皆無に等しい。
頼りなげに道を照らす外灯だけが行く先を教えてくれた。

「そろそろ戻るか……」
人の気配もまったくしないし、もうだいぶ歩き続けたため、
戻るにも時間を要しそうだと考えたルルーシュは踵を返した。まさにその時。

「うぅっ…、ああ…っ」
左側にある小さな建物から小さな人の声が聞こえたのだ。
それも首を絞めた時に発するようなくぐもった呻き声だった。
しかしその声はよほど神経を集中させなければ聞こえない程に微かで。
ルルーシュは不審に思い眉を顰めながらも、
その建物の入り口(完全に崩壊しており、ドアは剥がされている)の奥から目が離せなくなった。
そうして、気がつけばその入り口に身を投じていたのだった。

中は埃が充満していた。既に使われなくなった家具が散乱している。
だが肝心の、声を発したであろう人間が見当たらない。
もし何か事故で窮地に立たされているとしたら、放っておくのはいい気がしない。
きょろきょろと辺りを見回し、床に視線を置いた時、ある事に気がついた。
木製の床板がまるで切り取られたように、人一人分入れる程の穴を開けている。
ルルーシュはゆっくりそこへ近づき、奥を覗き込んだ。そこは更に深い闇が覆っている。
――地下があるのか
目を凝らして見ると、きちんと梯子まで取り付けられていた。
意を決して、足を滑らせないように梯子に掴まる。そして一歩一歩ゆっくりと下へ降りていった。

04-199 :ルルーシュ輪姦3:2007/03/04(日) 16:07:09 ID:sx297qZ6
梯子はそれほど高くは無かった。
降りついた地面はコンクリートでできており、両サイドの壁も石造りだ。
そこから続く道も人が一人ようやく歩ける程の幅しかない。
壁に手をつきながら少しずつ進んでいくと、さほど距離も無いところで通路が右へと曲がっていた。
素直に右へと足を向ける。するとそのまた向こうは左へと曲がっており、またそこからは煌々と光が射していた。
ルルーシュは背を壁に当てながら、横伝いに歩いてゆく。
すると徐々に人の話し声が聞こえてきた。小声で話している分、よく聞き取れないが、どうやら向こうにいるのは一人ではないようだ。
ルルーシュは光の射し込む方向を壁から少しばかり頭を突き出して覗き込んだ。
するとそこには黒いスーツを纏った背の高い男が二人と、その間に中年の小太りした男が一人、
そして床には腹を抱えてうずくまり「うぅ…ああうーー…!!」と悲痛な声を上げ、悶え苦しんでいる男が一人いた。
その者を見下ろしながら中年の男が言った。

「売りをやっているあんたが溺れちゃ、救われんな」
その台詞に対して、うずくまっていた男が青ざめた顔を上げ、必死の形相で言う。

「頼む…!!ちゃんと言われた分だけは売りさばくから、俺にはタダで分けてくれ…!」
「駄目だ、商品を全て使い果たすような役に立たん下衆に誰がくれてやるか…」
それらを見たルルーシュは、なるほど、と一人納得していた。
どの世界にもこういったやり取りは裏で行われているという事だ。
先ほどから「頼む、頼むから薬をくれ」と嘆く男は、中年の男の足に縋りついたが、
即座に両脇にいた二人によって壁に向かって蹴り飛ばされた。
自業自得だ。ああいった類の人間は心が弱いからすぐ手近な物に縋ろうとする。
ルルーシュが最も嫌うタイプの人間だ。
助けてやる義理も無いし、関わり合いにならない方がいい。そう思いさっさと出口へ向かおうとした。

04-200 :ルルーシュ輪姦4:2007/03/04(日) 16:08:04 ID:sx297qZ6
だがその瞬間、壁に寄りかかったままぐったりしていた男が突然身を起こし、
ひるんだ三人のうち、大きなケースを持っていた男の方へ激しく体当たりをかました。
そして瞬きもしないうちに、倒れた男からケースを奪い、
猛ダッシュでルルーシュのいる通路まで駆け込んで来たのだ。
大きな音で思わず振り返ったルルーシュと、ケースを両手で抱えた男の目が合った。
男は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにきつい目で「どけ!!!」と叫ぶ。
しかしすぐ後ろに中年を除く男二人が駆けつけてきていた。
男は「糞がっ――!!」としかめ面で言い放ち、そのままルルーシュに向かってケースを投げ飛ばした。

「う、わっ!!」もともと俊敏な方ではないルルーシュはまともに食らったケースの重さに耐え切れず、その場に尻餅をついてしまった。
ケースを投げつけた本人は既に出口へ向かって駆け出した後だった。
その場に追いついた男二人は、倒れ込んだルルーシュを見て、驚愕した目で「誰だ!?」と問うてきた。
加えて、「あいつの仲間か?」とも。
ルルーシュは頭の中で、最悪だ、と呟いた。

中年の男は、羽交い絞めにされたルルーシュを一瞥しながら億劫そうに話し始めた。

「あの男の事はもういい…警察へ行くはずも無ければ、どうせ薬欲しさに自ら寄ってくるだろう。その時にでも殺すさ」
だが、と目を細めて再びルルーシュを見やる。

「お前を逃がすと面倒な事になりそうだ。
偶然この場を見てしまったと言い訳して逃げられると思えば大違いだぞ」
ルルーシュは負けじと言い返す。

「俺は無関係だ。この事は外に出てからも一切他言しない」
「ふん、信じられるだけの保障が無いな」
第一、こんな街の外れにある廃墟へ、わざわざ深夜に立ち寄るところからしておかしい、と中年の男は言った。

「薬は持ち逃げされなかったが、今まであの男にちょろまかされていた事を思うと、今日は虫の居所が悪くてな…
お前も、少しの好奇心が己の首を絞める事もあるというのを、身体で勉強するいい機会だろう」
その台詞を聞いたルルーシュは身を固くした。
それに反して自分を押さえつけている男と、その脇に立った男が薄く笑ったのが解った。

04-201 :ルルーシュ輪姦5:2007/03/04(日) 16:08:41 ID:sx297qZ6
「見たところ、ずいぶん中性的な顔をしているが…
まあいい。こいつらはどちらも食える性質だからな。服を脱がせろ」
素早く近づいた男がルルーシュの着ている制服の襟元に手をかけた。
しかし彼女は臆する事無く「やめろ!触るな!!」と片足で男の脹脛を強く蹴る。
痛みに顔をしかめた男は、次に一瞬の躊躇も見せないまま、思い切り力を込めてルルーシュの右頬を平手で打った。
バシィ!!という激しく、そして容赦の無い皮膚を打つ音がした後で、
ルルーシュはあまりの衝撃と痛みにしばらく呆然としたままだった。

打たれた頬はじんわりと熱を持って赤く染まる。
再び服を脱がしにかかった男の後ろで、中年の男が笑みを携えながら言った。

「勘違いするな。今この場で主導権を握っているのは誰か考えろ」
言いながら懐に手を入れ、煙草やライター、折りたたみ式のナイフ、
そして拳銃を、隅に置かれたテーブルの上を置いた。
そして煙草を一本だけ加え、慣れた手つきで火をつける。

「開いていた入り口も完全に塞いだ今、お前が死ぬ時だって誰もかけつけはしないさ」
それは、無駄に抵抗するようなら殺す事さえ可能だという、脅しそのものだった。

最終更新:2012年01月24日 09:33