骨董店「雨夜の月」

雨夜の月 -The moon is not existing-

注釈

骨董【こっとう】
日常的な使い物としてではなく、古道具・古美術として珍重されるもの。

だとしたら、この店は骨董屋じゃないな。そうだな……「いらないもの屋」とでも名乗った方がいいか。
――レオノーレ・エーベルリン

解説

商店街の中心よりは少し外れ。駅側とは逆の方角。連なる店屋と行き交う人々の雑多と過密がそろそろ薄まりつつある、程ほどにひらけた場所に本当にひっそりと看板を下げている。
まず古風であることは分かるのだが、国の伝統とも西洋の文化ともつかない様式の築物である。
入店してまず初めに目に付くのは正面の書架。縦向きに幾つか並んでおり、すぐに本の背表紙を確認することは出来ない。
左を見れば壁に沿って手に乗る程度の小さい品々がウィンドーにぞろぞろと在り、突き当たりには壺だとかタペストリーだとかウィンドーに収まらなかったりそもそもや展示手段が違う等の代物が静まっている。
右には、この位置からでは書棚に半分ほど隠された帳場を見つけられ、そこに近づくと店の奥が見えてやっと店内を一覧できたことになる。同時に、物が雑多なせいでいまいち気付き辛かった店内が広いことを認められるだろう。
帳場を覗くといつも髪の長い女性の店主が雰囲気に溶け込みながら座っている。常に売り物の本を読み茶を飲みながら、閑散と退屈を凌いでいる。
さして何が悪いというわけにも見えないようなのに閑散と退屈の付きまとう店構えなのは、それは店主いわく「店」が「品物」が、彼らが自らの買い手持ち手を選びたがるからだそうで、
彼らの眼鏡に適ったほんの一握りの人間以外はこの店を眼前に見つけることすらできずに通り過ぎてしまうのだという。どこかで聞いたような話である。
そんな店主の不可思議な話も、この店のおどろおどろしく「それっぽい」雰囲気を盛り上げている。

人物

レオノーレ・エーベルリン(Leonore Eberlin)
店主。背の高い女性。経歴不明で、想像もしがたい。
大佛 孝道
常連客。神主には見えない。
クレア=アージェント
少女。不思議な団扇を見出す。エーベルリン曰く、資質がある。


品目

「天狗の団扇」の話
少女の目にふと留まった、葉団扇。
それは、一振りで家を吹き飛ばし、二振りで大樹を根こそぎ吹き飛ばすと言われる本物の天狗の団扇だった。
単なる好奇心から彼女はそれを譲り受け、それを取りもどそうとする本来の持ち主の存在には、全く気付いていなかった。


原案 樹

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最終更新:2007年11月20日 21:31
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