高校生でありながらとある高級マンションで同棲するアベルとティア
これは二人のとある休日の模様である
11時50分 起床 自宅
「ん・・・・・・・」
朝の日差しに照らされティアはゆっくりと体を起こす
その一糸まとわずの体をシーツで隠しながら隣で眠る愛しい人を見る
「ちょっとがっついちゃったかな・・・?」
この頃は定期テストやライブやらでご無沙汰だったので翌日が休みだったこともあり
軽く3回戦まではいった気がする・・・・多分
「アベルぅーもう12時なるよー、今日は渋谷行くっていったじゃーん」
寝顔を眺めながらほほをつつき、なにも羽織らないまま観察する
とふいにガバっと抱かれそのまま抱き上げられる
「・・・・・お前ががっつくからだろう」
アベルは眠そうな様子でティアを抱え、ベッドから降りると風呂場へと歩いてゆく
「へ?、ちょ、ちょっとお風呂ぐらい一人で入れる・・・・!!」
「今更なに恥ずかしがってる、時間の無駄だ」
顔を赤くして抗議するティアに有無を言わさずアベルは風呂場へと入っていった・・・・
2時28分 昼食そして買い物 901
手早く昼食を済ませると、二人が向かったのは901
ティアが目を輝かせ服を選ぶのとは対照的にアベルは手早くお気に入りを見つけるとさっさと買ってしまった
「ねえねえ、このワンピースってどっちがいかなぁ」
ティアが目を輝かせ、二つのワンピースをアベルに見せる
「・・・・・・・・・・」
着たってどうせ脱がすのに・・・などと考えていたがここで
「どっちでもいいだろう」
と答えようものならまた「アタシのことどうでもいいんだぁー」といって泣きかねない
「・・・・・・・左があってると思う」
「そっかぁ、アタシは右がいいと思うんだよね」
そういうと右に持っていたワンピースを店員に持ってゆく
(・・・・・なぜ聞いたんだ?)
いまいち理解できない
(・・・・・・・今夜は思いっきりいじめてやろ)
ゾクッ
(・・・・今、悪寒が)
アベルのドS全開な考えを感じ取ったのか悪寒を覚えるティアだった
21時47分 帰り道 裏通り
「えへへー、こうやって二人で出かけたのも久々だよねぇー」
ティアは楽しんだといった様子でスキップする
「最近はてんやわんやだったからな・・にしてもそんなに買ってどうするんだ?」
アベルも-表情はあまり変わらないが-楽しそうだ
二人は恋人つなぎをして歩きながら
外出の際はサングラスや帽子をつけている(食事の際はさすがにはずすが)
加えてTVに出演する時やライブでの服装もメイクもプライベートと仕事ではまるで違うためバレるほうが少ないのである
それでもバレるとめんどうなので裏通りを歩いていたのだが
「お二人さーん、ちょっといいかなぁ?」
見事に絡まれたわけで
「ちょっと、オマエらさ。来るトコ間違えてんじゃねぇの?」
「ダメじゃーん、彼女とこんなとこ来ちゃぁ」
わらわらと湧き出してくる、さながらゴキブリだ
「ハァ・・・・オマエらみたいの来っとシラけんだろが・・・・・なぁ?」
二人はかまわず通り過ぎる
「無視してんじゃねえぞ!!」
不意に男がティアの腕をつかむとナイフを取り出し、ちらつかせる
「この子に傷つけられたくなかったら金だせ・・・!?」
言い終わる前に腹部に強烈な衝撃を感じうずくまる
「ティアにさわるな」
「てめえ!!」
「・・・・黙れ、醜男共、空気の無駄だ」
アベルは平然と言い放ち、
同時にケータイの着信に気づきケータイを開く
「っのやろぉ!!ぶっ殺してやる!!」
まずは一人が懐からメリケンサックを取り出す
メールを打つアベルの顔面を狙って大きく振りかぶり――
「ガッ!」
振り下ろされる前に男の腹部に鋭い蹴りが入り、男は崩れ落ちる
「なっ・・」
「ハヤト!!」
他の四人に動揺が走る、だが当のアベルはさほど難しいことをしたわけではなかった
そもそも拳をわざわざ振りかぶるのは愚行としかいいようがない、
奇襲ならまだしもこの状況ではみすみす相手に殴るタイミングを教えているようなものだ
アベルはうずくまる男を一瞥し
「武器まで使って、先に手を出したのはお前らだ・・・・・これは正当防衛だろ?」
ケータイを閉じ、馬鹿にしたように笑うと弾かれたように四人が殺到する
だがその実力はアベルには遠く及ばず、軽くいなされる
そこには手加減などなく肉が衝撃を受ける鈍い音の中に骨が砕ける乾いた音が響く
「オレらみたいのが来るとシラけると言ったな」
最後の一人を蹴り飛ばす
「オレから言わせれば貴様らみてぇなハンパなのが、まだ生存してるってのがシラける」
そして笑う
残った者は二人、最初にアベルが蹴りを入れた男とアッパーを食らわせて失神させた男
「ちっくしょぉ!!」
うずくまっていた男がようやく立ち上がると持っていたナイフを腰だめにかまえ、突進する
「ふん」
アベルは落ち着き払ってギリギリまで迫ったところでナイフが握られた男の手を、思い切り蹴り上げる。
爪先を突き立てるように振るわれたそれは、男の指の骨を砕き、ナイフをその手から弾く
宙に舞ったナイフはそのまま落下――する前にアベルがその柄を踏みつける
「ぎ、ぎゃああああ」
タイミング良くナイフは見事に靴を貫き足をつらぬいたのだ、それを蹴り飛ばすと男はゴミ捨て場につっこんで動かなくなる
わずか5分――10人いたチンピラ達は全員、アベル一人に沈められた
「すまん、ティア時間を取らした」
ほこりを払いつつ、いつのまにか階段の段差に座っていたティアに近づく
見苦しいところをみせた、と謝罪する
「大丈夫♪アベルかっこよかったよ」
痛みに呻くチンピラを尻目に二人は表通りへと出て駅へとむかった
こうして二人の貴重な休暇(常人には非日常)は幕をとじるのだった・・・・・・
最終更新:2009年04月19日 00:18