そのあと。ちなみに100gあたり1000円ぐらい

―――寮 MyHome 管理人棟

「……と、いう事なんだが」
「……」

 数時間前の事をセレナに話す。
 沙羅はともかく、クロードも少し緊張していた。それまでifな話だったのが現実の話になったのだ。
 そんなセレナは特に怒る様子もなくいつも通りの笑顔で答えてくれた。

「クロードが望むなら別にかまいませんよ。良かったですねハーレムルートのフラグが立って」
「……あ、あぁ」

 普段そんな事を言わないのだが。クロードの元に居たせいか。あるいは少し怒ってるのか。普段の表情となんら変わらない顔からは何を思ってるのかそう簡単に見抜くのは難しく。

「あ、あの、その……」
「沙羅ちゃんなら良いって事ですよ。悪い人じゃありませんし。クロードが何かしら脅しをかけて強制的に告白させられてると言う話でしたらなら後で御仕置きですけど」
「セレナ……怒ってる?」
「いえ?クロードに相応しくないって思ったら反対します」

 立ち上がり、沙羅の前まで行き、何か確認するかのように見つめ。

「セ、セレナさん?」

 ちょっと恥ずかしがる沙羅。異性でも惚れそうな美人が目の前に、しかも見つめられてるのだから平静ではいられず。
 柔らかい手で顔を撫でられる。少し良い匂いも。

「……んっ」

 おもむろにキス。

 しかも舌が唇に触れ――後退。

「ふぇっ!?な、なにをっ!?」
「セ、セレナっ!?」

 突然の事に驚く二人。

「良い感じです……♪御主人様、百合は好みじゃありませんでしたか?」
「大好きです」

 即答。

「ふふっ…… 私一人じゃできない事もありますし……ね?」
「な、な…… く、クロードっ!?」
「ま、確かに。それに両手に花は素晴らしい」
「ば、馬鹿…… そ、そろそろ失礼します」

 沙羅は顔を赤くしたまま、ソファーから立ち上がる。
 できるなら一緒にいたい所だが、晩御飯の準備があったし、何より孝道や孝美に知らせたかった。
 昨日あれだけ心配させてしまったし、お詫びもしたかった。

「送りいらないのか?」
「うん、商店街で晩御飯のオカズも買いたいから。ありがと」
「ん、気をつけてな」
「あ、セレナさん。先程緊張して言えなかったので……ごめんなさい。……クロードに対する気持ちは、負けませんから」
「……その気持ち、変わらないでくださいね。ご主人様の為にも」

 互いに、クロードを想う気持ちは同じであった。

「変わりません。セレナさんがいても」
「えぇ、私だって沙羅ちゃんがいても」
「……幸せ者だな、うん」

 出る前に、気になった事を。

「あ、先ほど言ってましたが…… 私はセレナさんとも…… その、するのですか?」
「それは…… 御主人様が望むなら、です。沙羅ちゃんはキスまでしか許しませんよ?」
「わ、わかってます!!……では、失礼します」
「はい。また明日」
「またなー」




「……変わりませんから、ね?」
「……くくっ、ありがとな」







―――大佛家

「幸せそうだね、姉さん」

 鼻歌を歌いながら晩御飯の調理を進める姉。それを居間から見つめる二人。
 今晩はすき焼きだよ!とかなり高めの肉を惜しみなく買ってきたあたりかなりご機嫌である。

「……」
「不満そうだね、兄さん」

 そんな超絶ご機嫌良好状態の沙羅を何とも微妙な、複雑な顔で見つめる兄。
 泣き顔で帰ってくる、そう思ってどう接すればいいのか考えて考えてたが、何故か笑顔で帰ってきたもんだ。

「少し整理がつかないだけだ…… セレナさんよく許しましたね……」
「……はぁ。ま、帰ってきたらどうしようか悩んでましたが、良かったです」
「……あの野郎」
「はぁ」









 後日


――創尾市内

「だぁー…… やっと終わった…… 月曜の授業だりぃ…… あと4日間続くのか」
「頑張りましょう。ほら、駅前のクレープ屋でも行きませんか?」

 えっと、1話参照。ほら、沙羅が男子生徒の想いを砕いた後の。友人A・B。

「そだなー。そいや沙羅は?」
「用事がある、って先に帰っちゃいました」
「ふーん…… ま、行こ――」

 う、とクレープ屋に行こうとしたが、止まり。理由はその女生徒の視線の先。

「ん?どうしたの?」
「あれ、沙羅じゃ……」

 二人が見たのは、映画とかでしか見ないけど、有名な高級車…… に、乗り込む沙羅が。隣にはスーツ姿の男性が。

「沙羅ちゃんと…… 大人の人?」
「ま、まさか……援交っ!?」

 ……傍から見ればそうなるか、うん。ちゃんと次の日、問いただされたので訂正。誤解は解きました。
 女友達からは玉の輿、それを聞いた男子等は、がっかりそうに。





―――安満堂神社

「貴様…… 何考えてる」
「あ?」

 三色団子を咥えながら返事。

「んー、そうだな…… セレナと沙羅の幸せか?」
「セレナさんがお前の傍にいても、沙羅は幸せらしいが……しかし――」
「もし…… あの時、僕にはセレナがいる、と断ってたら…… 今頃、な」
「お前……」
「何してるんだろうな。あ、僕はあれだぞ、女性なら誰の求愛でも受ける、という訳じゃないからな」
「……はいはい」

 色々考えての答えだったのか、と。先程まで少し怒り気味だったが落ち付き、孝道の中で少しだけ整理がついた。

「私はな、お前が嫌いだ。お前も私は嫌いだろう?」
「くくっ…… 男に好かれてもなー」
「が、妹を預けるには信頼はできる…… 沙羅は任せたぞ」
「安心しろ……お義兄さん」
「お前に言われると……殴りたくなりますね」
「すぐに叔父サンに変えてやるから安心しろ」

 睨み合い。これがアニメとかならバチバチと効果音がなってるか。

「……やっぱりお前は嫌いだ」
「……男に好かれてもなぁ?」

 互いに嫌な顔をしていた。が、互いの悩みが一つ解けたからか、内心ホッとしていた。

 沙羅を任せられる、安心できる男ができた事に。

 セレナがいても、沙羅を任せてもらえた事に。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年06月22日 02:14
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。