一人は麦わら帽子を被り畑仕事。一人は日傘の下で冷たいお茶を飲みながら読書中。
読書と言っても……お店の紹介案内の雑誌である。
「そういえばりゅーじってさー」
せっせと野菜をかごに詰めていく折原が、近くで優雅にお茶をしていた白百合に向かって聞く。
寮の裏側の庭の一部を折原が畑として使っており、結構いい物が出来ている。
「はい?」
「最近やつれてね?」
「……ユーも言いますか。……女禁しよっかな」
お気にの姫にも心配され、身進ちゃんにも言われ、折原にまで言われるか。
そう思うと、流石に遊び過ぎてるのかと少し考えてしまう。
懐が暖か過ぎるのもどうかというものか。ついついオプションを追加してしまったり延長したりとげふんげふん。
「そういや女性ってたらあの娘とはどうなったん?」
「あの娘?」
様々な女性をとっかえひっかえ遊んでいる白百合には誰の事かわからなくなっている。
特定の……お気にの姫とか覚えてるけども折原も知ってる女性なんて……
「ほら、この前りゅーじの部屋で寝てた娘」
「……は?……あぁ、あの娘とはそう言う関係じゃないので。……言うなら猫みたいな?」
「なんだそれ。ぬぉ、喰われてる……」
虫に食われたトマトを手に取り、服で軽く拭くと喰われてない方を一口。
流石虫が食うほど美味しいといわれる。甘い。
「見てると……なんでしょうか、猫と同じ感覚で見てしまうんですよね」
「んぐんぐっ……愛玩動物的な視方?」
「猫は好きですけど……だからか?」
見かけたらとりあえず撫でたい。抱いてるだけで癒される存在。それは猫だ、と白百合の中で確定されている。
もちろん女性を抱くのとは違っている。……こう、ふわーっと癒される、落ち着く、絶対的な可愛さ。
それが彼女に……?……いや、絶対違うだろ。……多分違う。
「……惚れてんじゃね?」
「あれは、違う……だろ。なんなんだろうなー……」
「りゅーじ?聞いてねー……」
呆れて再度熟したトマトをもぎ取っていく。すると。
「ねぇ、それ食べれるん?」
「ぬぅぉっ!?」
いつの間にか折原の隣にナツカがちょこんと座りながらトマトを見ている。
突然の声にビックリして横に倒れ、手から離れたトマトが宙を舞い。 落下。 ぐっちゃり。
「ぬぁーっ!?トマトがーっ!?」
「もったいなぃ」
「って、嬢ちゃん何時の間に……寿命縮んでるぜ。おぃ、りゅーじー」
折原が声をかけても考え事中。さっきからページが1ページも進んでないところ、本気で考えてるようだ。
「……猫か?やっぱり……捨て猫っぽくて……ぁ?ん……なつか。何しにきた」
「近くまで来たから。で、これ食べれるん?」
「上手いぜー。もろきゅーとかにしたりさ。酒のつまみに……あぁ、美味そうじゃね?」
「おいしそうだね。食べよ?」
「集り過ぎですよ」
扇子がナツカの頭にすぱーんと。
「いたぃ……なにするんよ、りゅーじ」
「ユーは食べる事しか興味無いのですか」
「食べる事と、寝る事。あ、あと飲むこと」
「うわぁ……ダメ人間の典型じゃね?まぁ、まだネトゲとかにハマってるよかましか」
「駄目なん?」
「よく生活できるなと思います」
「要領がいいんだよ。賢いの。で、食べへんの?」
「もちろん食べるさ。クロード喜ぶぜー?昨日の見てた番組でキュウリをじーっと見てたからなぁー」
「よし、いこ」
野菜を運びながら寮へ戻る二人。
「二人とも元気ですねぇ……こんなにだる……遊び過ぎか。はぁ」
その後、頑張ってみたけど3日目にお気に入りの姫の同伴お願いでギブアップだとか
最終更新:2009年11月01日 00:18