また退屈な一日が始まった。
幼馴染みのあいつが死んでから一年。
働く気も起きず実家から大学に通っている
朝起きて学校に行き帰宅すると部屋で寝る、そんな生活を続ける内に友人と呼べる人もいなくなり親からも見捨てられた
あいつがいれば「
ばっかじゃないの?」
とでも叱ってくれそうだなと思いながら支度を済ませ学校に行く
ただひとつ、今日はいつもと違っている事に気付いた
授業開始ギリギリに教室に入る。
あいさつなどせずに席につく
「おはよう、遅刻ギリギリじゃん」
俺は驚いた。話しかけてくる奴がいるとは思ってもいなかった
隣りを見た瞬間自分の目を疑った。
そこには生きた幼馴染みが座っていたのだ
「え!?」
席から飛び上がり大声を出す
「おい、静かにしろ」すぐに先生に怒られてしまった・・・・
「先生!なんでこいつがここにいるんですか?」
「はぁ?何言ってるんだお前は」
クラスメイト全員が笑った。隣りの彼女も。
訳がわからないまま授業だけが進んで行き昼の時間になった
俺はすぐに彼女を追いかけて行った
「ちょっと!まてよ」
彼女の細い腕を掴んだ、間違いない
生きている
「お前死んだよな?」何を言っていいかわからずにこんな言葉がでてきた
「うん、私は死んだよ」
そうだ、死んでるはずなんだ
「でも今は生きてるんだよな?生き返ったのか?」
彼女はすぐに答えた
「あんたバカねぇ、私が死んだ後に死のうとか考えたでしょ」
「うっ・・・」
確かに何回も考えたさ、何しても楽しくなかった
「図星のようね・・・そんな人見てほっとける訳ないじゃない・・・」
「でも、他の奴等はなんで何もいわないんだ?」
「私が"死んでない"と思わせているから」
「?」
「今日はあんたの為に来てあげたんだから」
「え?」
彼女の顔は真っ赤だった
「死んでる人間が学校にきたら驚くでしょ?だから死んでなかったことにしてるのよ」
「よくわかんないけど今は生きてる、お前は死んでないんだよな?」
「今日一日はね・・・」
「明日からは?」
「また死人に戻るのよ」
「今日一日・・・」
俺は悲しくなった。
「そんな顔しないでよ・・・せっかく来たんだから、ね?」
「うん・・・なぁ、学校抜け出そうぜ。二人で遊びに行こう」
彼女はしばらく考えて
「そこまで言うなら行ってあげてもいいけど」
昔のままだ。
「よし、じゃあ街を歩こう」
彼女の手を引っ張り俺は街に出た
生前よく一緒に行った店を回った。
「うわぁ~これかわいい!見て」
こうしていると幸せだ、前はめんどくさいと思ってしまったが今思うとこれ以上の幸せはない。
「買ってやるよ」
「本当?ありがとうw」
彼女の笑顔をみるのも久しぶりだ
そして俺自身も笑ったのは一年ぶりかもしれない
飯食ったりゲーセンいってプリクラ撮ったりもした。こんな事できるのに死んでるのか
と思うと悲しくなるので考えずにいた
時間が過ぎるのもあっという間でもう11時になっていた。
大きな公園について俺たちはベンチに座って話した
昔の話しをしたりして盛り上がった
永遠にこの時間続く事を祈りながら・・・
「もう11時30・・・」唐突に彼女が言った
それは後30分でまた死んでる事になると言う事だ
「・・・」
沈黙が続く
急に彼女が言い出した
「ちょっと目つぶって!」
言われるままに俺は目をつぶった
ガサガサ
何かをポケットに入れた後キスされた
「あ・・・」
目を開けると真っ赤な顔をした彼女が涙を流していた。
「そろそろお別れみたいね」
その言葉を聞いて俺も自然と涙がでた
「やっぱり辛いよ・・・離れたくない」
彼女が言った
「ばかやろう、俺だって離れたくないよ。でもしょうがないだろ」
「うん、そうだね」
時間は後5分で12時だ
「今日一日ありがとう、」
彼女が言う
「俺も楽しかった」
「手紙書いたから見てね?」
「絶対見る」
「私の事忘れたら許さないんだから」
「絶対忘れるもんか」
「最後に・・・」
「ん?」
「いままでありがとう、今度こそさようなら」
俺はすぐに彼女を抱き締めた。
何も言葉がでなかったけどただ抱き締めた
俺の時計が12時を告げる
その瞬間に彼女は光の粒になってその場から消えた、微かな温もりを残して。
涙でぐしゃぐしゃになりながら俺は手紙を思い出す。
すぐに読み始めた
「私からの最後の手紙。実は死んでからずっと側から見守ってた、正直あそこまで私の事思ってるなんて思ってなかったよ(笑)私が消えたからって悲しまないで仕事も恋愛も頑張ってね!あ、私より可愛くない女と結婚したら承知しないからね!」
俺は最後まで読んでまた泣いた。
「あのバカ、最後まで世話焼きやがって」
その日から仕事も始めた、学校でも楽しい生活を送っている。
他に変わった事といえば・・・女と遊んでると幼馴染みが邪魔する事かな?
最終更新:2007年05月01日 03:36