僕はハムスターにハムちゃんと名づけていた。
呼ぶと巣で寝ていてもにゅーと出てきて鼻をくんくんさせたものだ。

「ハムちゃん」
久々に呼んでみた。あいつと喧嘩して、家でテレビだけがついている
生活が寂しかったからだ。
だが、ハムちゃんはかつてのように出てくる事はなかった。
がっかりしていると・・・

「ハムポーン。出ておいでーご飯だよー」

と声が背後からした。巣の入り口の綿がもそもそっと動き、にゅーとハムスターが
顔を出した。僕は軽いショックを受けつつ
「ハ・・・ハムポンってなんだっ?!こいつはハムちゃんだっ」
と抗議した。最初に名づけ世話していたのは僕なんだ。
「・・・ふふん。貴方が居ない間、私が世話したんだもん。ハムポンだもん」
すぐ背後から声がした。ふと見るとハムスターはいつの間にかひまわりの種を食べている。

悔しかった。僕はずっとハムちゃんと仲良しだった。
辛いときも悲しいときもハムちゃんに癒してもらっていた。
だのに・・・ハムポンになってしまったんだ。
「・・・・そういえば、君に名前がなかったね」
「・・・・?そういえば、そうね・・・」

僕に悪魔がささやいた。
「君の名前は・・・・レイポンだ」
「ちょ・・・なっ・・なんですって?」
「レイポンだーっっっ」

レイポンとは三日口をきいていない。呼んでも答えないからだ。
最終更新:2007年05月01日 04:00