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「・・・また血が流れてるね」
「そうね」

あたしには自傷癖があった。自分を傷つけて血を流し、安心する。
痛みと恐怖が、安心になった。
そして、またあいつが現れる。悪霊ってやつだろう。
あたしが傷をつけ、血を流すと現れる。

「舐めてほしい?」
同年代の女。いつもあたしを見下すような目をしていた。流れる血を
舐める。傷にkissをする。
「好きにすれば」

「ふん・・・・ちゅ・・・・」
「んっ・・・・・」

誰もいない部屋。誰からも愛されず必要とされないあたし。
流れる赤い血に舌をのばし、傷に唇を這わすこいつは私の死神か。


「甘い」
「・・・・そう?」
「血は・・・止まったわ」
「・・・・そう」


ワンルームの狭い部屋の中、沈黙だけが漂う。
屈み込んだまま、あたしを見つめる・・・悪霊。
その顔に表情はなく、唇には血がついている。

「血は、とまったわ」
「・・・ふん。あ、ありがとうとでもいわれたいの?」
「いいたいの?」

白い肌、青みががった瞳。胸元にあるその顔は日本人とは思えず、
あたしから見ても美しい。
「・・・いわない」
「そう」

そのまま、あたしたちは何もいわず見つめあった。
本当は知っている。こいつあたしが、傷をつけると現れる。
血を流すと現れる。血を止め、痛みがひくまで消えないって事を。

「何考えてるか、あてようか?」
青みがかった瞳が、あたしの心の奥まで見透かすように輝いた。
「・・・いい」
「そう?」

あたしはきっとまた自傷する。こいつが・・・現れるから
最終更新:2007年10月29日 02:08