「この手紙を受け取った方は必ず100人にメールを回してください」

おお、懐かしいの来たよ、これ。
しかも、見ろよおい。メールなのに、手紙ってどうなん? お、他の文章も破綻してるなぁ。
しっかし、迷惑なものだ。最後の部分はやはりお決まりの…の?

「メールを止めないでください。もし止めたらあなを祝います」

…おいおい。何だコリャ。ぷふー(笑)。こいつ駄目だ。駄目駄目だ。
俺はひとしきり大爆笑したあと、あっさりそれをごみ箱にドロップした。


夜。ドアが乱暴に開く音で目が覚めた。な、なんだ?

はっと気が付くと部屋に女がいた。手には包丁が月の光を受け鈍く輝いている。

「なぜ? メールを止めるの?」な、な、な、なんだこれは! 俺は動転して反応できない。
「あなたには私の苦しみがわからないのね。あなたはメールを最後まで読んだんでしょう?」俺はこくこくとうなずく。

「死んでよ」い、いやだ。こんなわけのわからない死に方はいやだ。
「メールを止めたら死ぬって書いたわよね?」…いや、確か書いてませんでした。

「…何いってるのかしら。いまさら苦し紛れの言い逃れ?無駄よ」
女はすごんでいるのだが…あれだ。土壇場の人間ってすげー。今、俺、超冷静。
俺はふとんから起き上がってパソコンをつけた。ごみ箱にはまだ、メールがいきていた。開いて見せてあげる。

文章の破綻部分を指摘するたび女は顔を赤らめ「ふ、ふん、わ、わざとよ」とかいっていた。
よく見ると、この女、可愛いかも。
「…ふ、ふん。それがどうしたのよ。でもでも最後の部分はちゃんと警告してるじゃない」来たーw
「最後の部分読むぞ。『もしとめたら、あな を いわいます』じゃねぇか」あなって何だよ(笑)

「…」女は無言だ。肝心な部分を間違えたんだから無理も無いだろう。

「…合ってるわよ」…へ?

「私はあなたを殺して、新しい墓穴を祝ってやるつもりなんだから」と微笑んだ。
最終更新:2007年10月29日 02:09